動物の糞からできるジャコウネココーヒー!高級な理由は?どうやって作るの?

2022.03.10

動物の糞からできるジャコウネココーヒー!高級な理由は?どうやって作るの?

食後やほっと一息つきたいときに飲みたくなってしまう、コーヒー。濃褐色の液体から漂う香ばしい香りに、心癒される方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。コーヒーにも様々な種類が在りますが、猫の糞から焙煎された「ジャコウネココーヒー」なるものが存在しているのをご存知ですか。 今回は、猫の糞から焙煎されるジャコウネココーヒーができた理由や飲む方法、またジャコウネコについてご紹介します。

動物の糞から採れるコーヒーがある!?

あたたかいコーヒー

◆コーヒーとは?

コーヒーの原料となるコーヒー豆は、「コーヒーノキ」と呼ばれる植物の果実から種を取り出したものです。この種を焙煎して挽いた粉末を、お湯や水で成分抽出した飲み物のことを「コーヒー」と言います。

コーヒーは最も古い文献に登場するのが900年代頃と紀元前より飲まれてきたお酒やお茶よりも歴史は浅いですが、多くの国で飲料されている嗜好飲料であることに間違いありません。

自宅や職場でも簡単にドリップして飲むことができ、喫茶店やコンビニでも手軽に楽しめるので、コーヒーはとても身近な飲み物となりました。

◆ジャコウネコの糞からできるコーヒー豆「コピ・ルアク(kopi luwak)」

コーヒー好きな方の中には、コーヒー豆に拘ったり、抽出に時間をかけて香り高いコーヒーを好んだりする嗜好家も多くいらっしゃいます。

中でも世界一高価と言われているコーヒー豆の名を「コピ・ルアク(kopi luwak)」と言います。「コピ」はインドネシア語でコーヒーという意味があり、「ルアク」はマレージャコウネコの現地での呼び名から名付けられました。

実はこのコピ・ルアク、ジャコウネコの排泄物(糞)から取り出されたコーヒー豆を焙煎して作られたコーヒー。
このインドネシア産のコピ・ルアクのことを、日本では「猫の糞のコーヒー=ジャコウネココーヒー」と呼び、産出量が少なく希少性が高いことから、高額で取引されています。

このようなことから、世界一高価な猫の糞のコーヒーと呼ばれるようになったのです。


ジャコウネココーヒーができた理由は?

なぜ猫の糞を乾燥させて焙煎して飲むのだろうか…という疑問が湧いてきますよね。いくら希少価値が高くても、あまり飲んでみたくないような…。

ですが安心してください、ちゃんと飲めるんです!猫の糞から採れるコーヒー豆の所以は、以下の通りです。

◆コーヒーの豆部分は消化されない

ジャコウネココーヒー

元々雑食のジャコウネコですが、コーヒー豆の原材料であるコーヒーノキの熟した美味しい果実だけを好んで食べる傾向にあります。
この時、果肉はジャコウネコの栄養源となりますが、種子は消化・分解されないので、そのまま糞として体外に排出されるのです。

ジャコウネコが美味しいコーヒーノキの果実を先に食べてしまうことから、産地の農民の方々がジャコウネコの糞を探し、未消化の実や種を回収して使用していたそうです。
回収されたものは綺麗に洗浄され、乾燥させるとジャコウネココーヒー豆の完成です。

◆ジャコウネコの驚きの腸内の働き

いくらジャコウネコがコーヒーノキの実を先に食べてしまったとしても、糞を探してコーヒーにするまでの手間がかかりますし、気持ちの良い物ではなかったのでは?と思いますよね。

なぜそこまで猫(ジャコウネコ)の糞に拘り、ジャコウネココーヒーを作り続けたのでしょうか。

ジャコウネココーヒーは、独特で複雑な香味を持つ特徴的なコーヒーだと言われています。この特有の香味は、ジャコウネコの腸内に存在している消化酵素や腸内細菌の働きによってできるものだそうです。

また、ジャコウネコの腸内発酵によって、カフェインの含有量は通常のコーヒーのおよそ半分に減るので、健康面でも重宝されるコーヒーとも言えるでしょう。

ちなみに、世界中には猫(ジャコウネコ)の糞によるコーヒー以外にも、サルやゾウの糞によって作られるコーヒー豆も存在しているようです。


ジャコウネココーヒーの値段は?飲むには?

猫の糞のコーヒーと言われているジャコウネココーヒーは、とても高価なコーヒーとして知られていますが、実際にその値段はいくらぐらいするのでしょうか。

◆ジャコウネココーヒーの値段

ジャコウネココーヒーは、海外では1ポンド(450グラム)で、300ドル~500ドル(日本円で約30,000~52,000円)前後で取引されているそう。

100gで換算するとおよそ7000円ほどで、通常日本で売られているコーヒーの相場(100gあたり500円程度)と比べるとかなり高価であることがわかります。

ジャコウネコが食べるコーヒー豆の品種により、その味や風味や香りが大きく左右されるそうなので、金額も変動が起こりやすいのです。

しかも一匹のジャコウネコから摂取出来るコーヒー豆の量は、たったの3グラムと言われています。コーヒー1杯分にも満たないので、希少価値が高いのも納得出来ますよね。

「猫の糞」という部分にも、付加価値を強く感じさせられます。

◆ジャコウネココーヒーを飲むには?

是非猫の糞から出来るコーヒーを飲んでみたい!という方は、通販でも簡単に手に入れることが出来ますが、サイトによって値段もまちまちです。

そして、ジャコウネココーヒーの中にも上質なものとそうでないものも存在するので、安心して試飲してみたい方には、コピ・ルアクを提供している喫茶店などに足を運ぶことをお勧めいたします。

日本の喫茶店では1杯8,000円で提供しているお店もあるので、ノリでは頼むことが出来ないことからも、更に飲んでみたいという気持ちにさせてくれる、魅惑の猫の糞コーヒーです。


ジャコウネコはどんな動物?

ジャコウネコ

ジャコウネコとは、食肉目ジャコウネコ科に属する哺乳類の総称です。

◆特徴的な見た目を持つ「ジャコウネコ」

ジャコウネコの体型はイタチやタヌキに似ており、大きさも変異に富んでいます。鼻先も尖っており、顔もタヌキやハクビシンなどによく似ていて可愛らしいです。

毛色は灰黄褐色で黒い班模様が美しく並び、長いしっぽには白と黒の輪っか模様が見られます。どことなく山猫などの複雑な毛色模様を彷彿させるような、独特な模様が特徴的ですよね。

そもそもジャコウネコは「ネコ」と名前がつくように、果たして猫の仲間なのでしょうか。ジャコウネコはジャコウネココーヒーの原料となる糞を出す以外に、どんな特徴がある動物なのでしょうか。

◆ジャコウネコは猫の仲間?

ジャコウネコは、食肉目ネコ亜目の動物として見れば猫と仲間と言えるかもしれませんが、その中でネコ科とジャコウネコ科は独立したグループに分類されています。

猫とジャコウネコは仲間として言えなくはないですが、習性の違いなどから考えると猫の仲間としては言い難い部分もあると言えるのでしょう。

しかし、猫と名前に付くことから、普通に猫の仲間だと思われている方も多く、それ故に猫の糞がコーヒーになるという声が、先行してしまったのかもしれませんね。

ちなみに、ジャコウネコ科の動物は南アジアや東南アジア、アフリカの中南部に分布していますが、日本に生息する野生のジャコウネコ科の動物はハクビシンのみです。

◆ジャコウネコの名前の由来とは?

ジャコウネコには、生殖器付近(会陰部)から臭液を出す顕著な分泌腺が存在します。この分泌液が麝香(じゃこう=ムスク)の香りに似ていることから、「ジャコウネコ」という名が付いたと言われています。

動物性香料の一つでもある分泌物は、霊猫香(れいびょうこう)やシベットとも呼ばれています。メスの分泌物には不純物が多いので、主にオスのジャコウネコから採取し、希釈することによって芳香を放ちます。

本来はジャコウネコ同士のコミュニケーションに用いられる分泌物なのですが、歴史を辿ればクレオパトラも香水の代わりに身体に塗っていたそうなので、驚きですよね。

◆栄養ドリンクにもジャコウネコ?

ジャコウネココーヒー以外にも、栄養ドリンクにもジャコウネコが関係していることをご存知でしょうか。栄養ドリンクの成分に「シベット」と記載があれば、ジャコウネコの分泌物を乾燥して使用しています。

このシベットの用途は、強心、中枢興奮、血流増加、消炎、鎮痛、糖、脂質代謝促進と有能で、まさに生薬と言える有効成分なのです。

このジャコウネコの分泌物を香料だけでなく、乾燥させて生薬として使用してみようという発想力に脱帽ですよね。


ほかにもある!ちょっと変わったコーヒー

ジャコウネココーヒーは数あるコーヒーの種類の中でもかなり変わった作り方でできているコーヒーということがわかりましたよね。

しかし、世界にはまだまだ変わったコーヒーが存在しているようです。

◆タヌキから作られるコーヒー

ジャコウネココーヒー同様に、動物の糞から採取したコーヒー豆を元に作られているのがベトナムで有名な「タヌキコーヒー」です。

コーヒー豆を作っていた農家の人が完熟するまで豆を置いておいた間に、やってきたタヌキが食べてしまったことが始まりのようです。

タヌキコーヒーは希少性が高く手に入れるのは簡単ではないですが、稀にネットなどで販売されていることがあるようです。

チョコレートのような甘い香りが特徴で、飲みやすいコーヒーといわれています。

◆サルから作られるコーヒー

こちらも同様に動物から作られているコーヒーですが、最大の違いはサルが吐き出したコーヒーチェリーを利用している点でしょうか。

猿は本能的によく熟れたおいしいコーヒーチェリーを食べ、しばらく噛み続けたあと種を吐き捨てるそうです。

そうして吐き出されたものから作られたコーヒーが、「モンキーコーヒー」としてインドや台湾で販売されているようです。

◆偽物に注意!

ジャコウネココーヒーをはじめとする動物から作られるコーヒーは、その希少性から価格が高く設定されていることがほとんどです。

中には普通のコーヒー豆と混ぜたものや、香り付けをしただけのものをジャコウネココーヒーとして販売しているお店もあるようです。

偽物を見分けるのは難しいですが、香り付けしたもの等と記載してある場合もあるようですので気を付けて購入しましょう。


まとめ

猫の糞から作られるという高級コーヒーは、コピ・ルアクという名前のジャコウネココーヒーであることが分かりました。

ジャコウネコの麝香の香りのする分泌物は、コーヒー豆だけでなく香水や生薬としても用いられるので、とても有能な動物であることが伺えます。猫の糞のコーヒーが珍しく高価で希少だから興味を持つのではなく、様々な背景を知った上でジャコウネコにもっと興味を持っていきたいものです。

もしジャコウネココーヒーを飲む機会があった場合には、ジャコウネコへのリスペクトを忘れず、感謝をしてあげてくださいね!



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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