メス猫と子猫の親子関係について
◆基本的にはメス猫が子育てをする
メス猫は、子猫が産まれてから、独り立ちできるようになるまで、子猫と深く関わりあいます。
妊娠期間はもちろんのこと、出産してから、授乳をして、危険から守り、安全に育て、獲物を捕まえられるようになるまで、四六時中一緒に過ごして子育てをし、面倒を見ます。
子猫がまだすばやく動けない間は、母猫は敵から子猫を守り、子猫を咥えて安全な場所へ移動させたりすることもあります。
メスの猫と子猫との親子関係は、とても密接なものだと言えるでしょう。
◆猫の群れはメス猫を中心に集まる
子猫は生後6ヶ月ほどで、独り立ちできるようになります。次第に母猫が子猫を寄せ付けないようになり、生後1年から2年までには子猫たちは自立し、自分で生きていくことになります。
しかし、完全に猫たちが単独で生きているかというとそうではありません。実際には餌場を中心として、猫たちの集まりが自然と出来上がり、共同体のようにして暮らしています。
野良猫の場合、群れを作って共同生活をするのは、メス猫とその子供達や姉妹など、血の繋がりのある猫たちです。オス猫は独り立ちすると、主に単独で動くことが多くなりますが、メス猫たちは微妙な距離を取りながら、親子または姉妹で集まって暮らします。
猫の群れの多くは、まだ親離れしていない子猫と親猫、複数の血の繋がりのあるメスといった、女系の家族で作られているということですね。
◆他のメス猫と一緒に子育てをすることも
メス猫は基本的に自分だけで子猫を育てますが、メスの姉妹猫と暮らしていてその中の誰かが妊娠し出産すると、一緒に子育てをすることもあります。
さらに、子猫を産んだばかりの母猫は母性本能が強く、他の猫の子も一緒に子育てしたり、犬やうさぎなどの赤ちゃんでも受け入れて育てたりすることがあります。
ただ、もちろん、猫が暮らす環境や猫の生息数などで状況は変わりますので、単独で生きているメス猫もいます。
オス猫と子猫の親子関係について
◆オス猫は子育てをしない
オス猫は、自分の子猫の世話をすることはほぼありません。発情期を迎えたオス猫は、メス猫との交尾が終わると、すぐまた他のメスを探しに行ってしまいます。
自分の子供を身ごもったメス猫の世話をすることはありませんし、生まれてきた子猫の子育てをすることもありません。自分の子供と顔を合わせることすら無いこともあります。
そして発情期が終わると、オス猫はまた単独で行動する生活となります。
しかし、どのオス猫でも餌場の近くになわばりを持つため、全く他の猫と会わないということはなく、距離を保ちながら同じ地域で生きている場合も多くあります。
◆一時的にオス猫が子育てに参加する場合もある
まれにですが、仲の良いオス猫とメス猫が家族のように暮らし、子猫もそばにいて、家族で一緒に子育てをして生活するといったことも起こります。
ただそれは一時的なもので、オス猫が再び発情期を迎えたり、子猫たちが成長したりすることによって、それぞれに別の生き方をすることになります。
◆オスの子猫は独り立ちして群れを離れる
メス猫たちの群れで育ったオス猫が成猫になると、自発的または親猫に追われることで群れから離れ、単独行動を取るようになります。
オス猫は、親猫のいる群れから離れたあと、再びその群れに接触してくることはないということです。これは、近親交配を本能的に避けるための行動だと考えられます。
つまり、オス猫が単独行動をするようになった後は、母猫との親子関係はほぼなくなってしまうということになります。
◆飼い猫や去勢避妊手術の有無が関係することも
飼い猫で去勢や避妊手術されていると、子猫が家族に加わった時に、オス猫でもお世話をしたり、メス猫でも全くお世話をしなかったりする、といったことも起こります。
人間に飼われているオス猫が後から来た子猫を受け入れて子育てをした、という例もありますので、猫の個体差も大きく関係すると言えるでしょう。
猫の親子はお互いを忘れる?覚えている?
◆離れる時間が長ければ忘れてしまう
親子の猫であっても、離れ離れになって時間が経てば、お互いを忘れてしまうことはよくあります。
成猫になって独り立ちした、飼われていて生まれた子猫が里子に出されたなど、離れる原因は様々ですが、離れている時間が長ければ長いほど、忘れてしまうと言えるでしょう。
特に、親離れしたオス猫は、再び以前の母猫がいる集まり(群れ)には戻らないとされていますので、親子であったことは関係なくなってしまうと考えられます。
そのため、親子であっても縄張り争いをすることも充分あり得ます。
◆母猫が育児放棄する場合もある
子猫がまだ生後3ヶ月以内ほどで幼く、母猫を必要とする時期に離れ離れになったとすれば、再会した時に再び親子関係を取り戻せることもあります。
しかし、人間が保護して、子猫に違う匂いがついたことが原因で、育児放棄をしてしまう母猫もいます。この場合は、忘れたというよりも、自分の子ではないと母猫が判断してしまうためだと考えられます。
親子の猫がある期間離れ離れになり、その後再会して仲良くなったとしても、それが親子関係を覚えているためなのか、忘れているけど相性が良くて喧嘩をしないのかはわからないことです。
◆猫の親子を再会させるときのポイントは?
もし離れ離れだった親子の猫を再会させて、一緒に暮らしたい場合には、次のようなことに気をつけて再会させると良いでしょう。
・離れている時間が短いうちに再会させる
離れ離れにした親子の猫を再会させる時には、時間が経って成長してしまうと、お互いを覚えていることは難しいと考えられます。
一旦は別々に過ごさせたけど一緒に暮らすようにしたい、という時には、できるだけ早く引き合わせた方が良いでしょう。
・以前一緒に過ごしていた場所で再会させる
子育てしていた場所、親子の猫が一緒に過ごしていた場所と同じところで再会させると、お互いを思い出すことがあるかも知れません。
さらに、もし親子関係を忘れていたとしても、お互いが仲良くできれば、再び一緒に暮らすことができます。
親子だからお互いを覚えているかも知れない、ということに期待するより、猫同士が仲良くなれるかどうかを大切にして、再会させた方が良いと言えるでしょう。
・ケージ越しで再会させる
猫同士は、喧嘩しないようにケージ越しで会わせて、何日か過ごして様子を見ていくと良いでしょう。
猫の多頭飼いを始める時のやり方と同じです。もし親子であったことを忘れていても、相性が良ければ仲良くなれるでしょう。
猫の親子愛を感じる動画6選
◆五匹の子猫に授乳する母猫
五匹の子猫と母親の親子猫動画です。
おっぱいを飲んだ後には子猫のお尻を舐めて排泄のお世話をする母猫。母猫が子猫をぎゅっと抱きしめる仕草にとても愛を感じます。
◆成長した子猫に授乳する母猫
随分体も大きくなって、母親とほぼ変わらないくらいに大きくなった二匹の子猫が、おっぱいを欲しがって母猫を追いかけます。最初はかわしていた母猫ですが、ゴロンと横になっておっぱいを飲ませてあげています。
体は大きくなっても、母のおっぱいを飲みたがる子猫と、受け入れる母猫に、親子の愛を感じます。
◆子猫を運ぶ母猫
雨の中、子猫を一生懸命運ぶ母猫です。大きく育ってちょっと重くなった子猫を咥えて、途中で休みながら、周りを気にしながら運ぶ姿に親子愛を感じます。
◆子猫を運ぶ母猫達
子育てをする母猫が、子猫の首を咥えて運ぶ動画です。
色々な母猫と子猫がでてきますが、高いところに登れない子猫を咥えて運んだり、巣から離れた子猫を咥えて連れ帰ったりする姿に親子愛を感じられます。
◆母猫と父猫で子育てする親子
ドンスフィンクスの親子ですが、出産の時から、父親の猫がそばにいて見守っています。お腹の大きな母猫をやさしく見守る父親猫はとても優しそうです。
出産を終えた母猫をなめてあげたり、子猫を見て戸惑っているようであったり、授乳姿をやさしく見守ったりするなど、父親猫が母猫や子猫と一緒に過ごす珍しい様子です。
動画の後半では、父親猫がちゃんと子猫のグルーミングをしてあげたり、成長した子猫たちと遊んであげたりと、しっかり子育てしている様子もあります。
母猫だけでなく、父猫の愛も感じられる親子猫動画です。
◆犬から子猫を守る母猫
散歩中の大きな犬が、子猫を見つけて近寄って行き、噛み付こうとします。
すると茂みの向こう側にいた母猫がすごい速さで飛び出してきて、犬に体当たりして子猫から離し、さらに飛びかかっていって子猫を守ります。
子猫は無事で、犬も母猫の勢いに押されてしまいます。
自分より何倍も大きな犬に躊躇せず向かっていく母猫の姿に、親子愛を感じます。
猫の親子関係と子育てのまとめ
基本的には、猫の子育てを担うのはほぼ母猫であり、父親猫はほとんど子猫の面倒を見ないとされます。
しかし、まれにメス猫の群れの中に父親猫もいて、子猫の面倒を見るといった場合も起こるようです。夫婦で飼われている猫が仲良く子育てをしている例もあります。
父親猫は、発情期が来るとメス猫を求めて行動するようになりますので、親子関係は長く続くことはないと考えられます。
母猫と子猫は長い時間を一緒に過ごし、子猫達が独り立ちするまでは常に一緒にいるような状態です。
母猫の愛情の深さは、動物の中でもとても強いものだとされています。親子の猫を見かけたときは、そっと見守ってあげてくださいね。
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