近年、多くの方が犬や猫を室内で飼うようになりました。多くの時間を過ごすおうちですが、実は犬や猫にとって危険な場所や快適とは言えない空間が潜んでいます。それらは同時に飼い主さんにとっても不便さや悩みに繋がっているかもしれません…。
愛犬・愛猫、飼い主さんにとって、おうち時間がより快適になるポイントや簡単にできる工夫を愛犬・愛猫家住宅を数多く手がける建築家 前田敦さんに壁・床・窓・天井4つの角度からご紹介してもらいました。もちろん、マンションで暮らす皆さんでも実践できる内容もありますのでご参考にしてみてください。
– 壁 編 –
「断熱・防音」
ワンちゃん・ネコちゃんは嗅覚に加え聴覚も優れているため、外部の騒音がする環境では落ち着くことができません。可能な限り、騒音を防ぐ工夫が必要です。外部や隣家と最も接する面積の多い部位なので、防音・断熱性能を高める必要があります。
【木造住宅の場合の対策】 | 【鉄筋コンクリート造の場合の対策】 |
防音・断熱性能の高いセルロースファイバーや高性能グラスウールを充填する | 硬質発砲ウレタンやフォームポリスチレンを貼付する |
<賃貸マンションでの工夫Point> |
「汚れ」
壁にカラダをこすりつけたり、ラブラドールのようにしっぽを左右に振りながら歩く犬種の場合は壁が汚れやすいので、汚れにくく、汚れが拭き取りやすい素材を腰壁に貼り付けるとよいでしょう。大型犬などは体をブルブルと振った際に汚れや油脂が飛び散ることもあるので、腰壁も床から2mくらいまでの部分にメンテナンスしやすい建材を張り付けることもおすすめです。
ネコちゃんは爪をとぐために壁をガシガシと傷つけることがありますが、そのような場合にはモルタルや天然水硬性石灰(シリカライム)を塗るという方法もあります。
– 床 編 –
「防音」
下階への振動音を防ぐ配慮は欠かせません。特にマンションなどでは、他人に迷惑がかからないようにマンションのリフォーム基準等は最低限確保することが必要です。L値といって、床衝撃音の防音レベルを表す数値(小さいほど遮音性能が高い)を一般的なマンションでは基準をL-45と設けているところが多いですが、理想的にはL-40を目指してみましょう。
<賃貸マンションでの工夫Point> |
「ケガの予防」
フローリングは滑りやすい製品が多いので、防滑性のあるコーティング剤を塗ることをおすすめします。防水性もあるので、フローリングの継ぎ目からの水の侵入や傷を防ぐ機能もあります。
粗相の癖が抜けない場合には、タイル張りや土足歩行用の樹脂系床材を検討してみるとよいでしょう。
しかし、脚力の強いワンちゃんや中型犬以上では、傷そのものはなかなか防ぎきれませんので、特に走りまわるワンちゃんの場合にはカーペットタイルがおすすめです。カーペットタイルはループタイルタイプの場合、ワンちゃん・ネコちゃんの爪が引っかかってしまうのでさけましょう。
畳の香りは草むらの香りと勘違いしてトイレと間違えて粗相をしたり、掘ったりする場合があります。ペットの出入りする部屋には使用しない方が望ましいです。
– 窓 編 –
「断熱・防音」
暑さ・寒さにもペットは敏感なため、断熱性能にも工夫があると良いでしょう。室内を快適にするのはもちろん、エアコン使用時の光熱費を抑えることにもつながります。熱損失が大きく、音が漏れやすい開口部ですので、断熱・防音性能の高いサッシを取りつけることが必須です。マンションなどで外部サッシをつけられない場合には内窓を取りつけることにより対応が可能です。
写真4:内窓(リノベーション時)
<賃貸マンションでの工夫Point> |
– 天井 編 –
「防音」
上階への防音性を考えると、防音性の高い天井材を使用する方法があります。
吠え癖のあるワンちゃんの場合は天井材として吸音板を張ったり、天井裏にロックウールなどの防音材を敷き詰めることもおすすめです。
「臭い」
ペット臭が気になる時は、天井や壁に天然水硬性石灰(シリカライム)や珪藻土を塗る方法もあります。
【まとめ】
いかがでしたか?これから家を新築・リノベーションされる計画のある方は、ぜひ愛犬・愛猫の目線に立った工夫ができないか検討してみてください。
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