1.猫アレルギーは猫の抜け毛が原因なのか
1-1.Fel d1
1-2.Fel d4
2.抜け毛の少ない猫の種類
2-1.スフィンクス
2-2.ドンスコイ
2-3.ピーターボールド
2-4.シンガプーラ
2-5.ベンガル
2-6.ロシアンブルー
2-7.バーミーズ
3.抜け毛の少ない猫の特徴
3-1.シングルコート
3-2.短毛
3-3.毛質
4.抜け毛が気になるが長毛種が欲しい場合
4-1.ラグドール
4-2.サイベリアン
猫アレルギーは猫の抜け毛が原因なのか
一般に、猫アレルギーの原因は抜け毛だと思われていますが、実際の原因物質(アレルゲン)は抜け毛に付着しているタンパク質です。
アレルゲンは、花粉やホコリの約10分の1と非常に小さく、毛やフケに付着して空気中に飛散します。
猫アレルギーに関しては、現在、「Fel d1」から「Fel d8」までの8種類のアレルゲンが知られています。
中でもFel d1とFel d4が、猫アレルギーの「主犯格」と考えられています。
◆Fel d1
低分子タンパク質ファミリー「セクレトグロビン」から構成されているアレルゲンです。
セクレトグロビンは、上皮粘膜から分泌される物質で、猫では皮脂腺(ひしせん)、肛門腺、唾液腺から分泌されます。
特に首や顔の周りの毛に多いとされ、1匹の猫は平均67mgのFel d1を保有しています。
猫アレルギーの人の約90%が、Fel d1に反応を示すと言われています。
◆Fel d4
有機物を運搬するタンパク質「リポカリン」から構成されており、猫の唾液に多く含まれています。
顎の下にあり唾液を分泌する「顎下腺」から放出され、グルーミングにより毛やフケに付着して空気中に飛散します。
猫アレルギーを持つ人の約63%が、Fel d4に対する抗体を持っているそうです。
抜け毛の少ない猫の種類
◆スフィンクス
カナダ原産で、最も愛情深い品種の1つと言われる利口な猫種です。
無毛に見えますが、実際には産毛が生えています。
皮膚の脂を吸収する被毛を持たないので、定期的に入浴させたり、濡れタオルなどで優しく拭いたりして、脂と汚れを取る必要があります。
被毛がないため、暑さにも寒さにも弱く、陽射しで簡単にやけどを負います。
完全室内飼育で、温度調節をしてあげましょう。
◆ドンスコイ
ロシアのドン川の付近で発見された無毛の猫種です。
「ドン・スフィンクス」という別名もあります。
被毛のタイプは4種類ありますが、「ブラッシュ」以外は、生まれた時から無毛(ラバーボールド)または成長につれて毛が抜け落ちる(フロックド、ベロア)という特徴があります。
活動的でフレンドリー、非常に賢く愛情深い猫種です。
寂しがりやなので、多頭飼いに向いています。
皮脂を吸収する被毛がないため汚れやすく、適宜、濡れタオルなどで拭いてあげる必要があります。
また、陽射しに弱いので、外に出すなら日焼け止めを塗ったり服を着せたりしましょう。
寒さにも弱いので、冬には洋服を着せてあげるなど防寒対策が必要です。
◆ピーターボールド
ドンスコイとオリエンタルショートヘアーの交配によって作出された、ロシア原産の新しい猫種です。
被毛のタイプは、短毛に覆われた顔、耳、足元、しっぽ以外は無毛のタイプから、通常の猫のような被毛を持つタイプまであります。
知的で愛情深く遊び好きで、犬や他の猫とも仲良くできます。
飼い主さんと一緒に遊ぶことも大好きです。
被毛が無い/少ないため皮脂で汚れやすく定期的な入浴を必要とし、直射日光に弱いので外出時には日焼け止めや洋服が必要です。
◆シンガプーラ
シンガポール原産の純血種の中で最も小さな猫種で、平均体重はオスで2.8kg、メスで1.8kgほどです。
目と耳が大きく「小さな妖精」とも呼ばれますが、筋肉質で野性味もあります。
被毛は短毛で、1本1本の毛は根元が最も淡いアイボリー、先端が最も濃い茶色の4色に分かれています。
非常に甘えん坊で、人間が大好きなので、飼い主さんによく懐きます。
ほとんど鳴かず、声も小さいので、マンションなど集合住宅での飼育にも適しています。
知らない人には警戒心を抱くことも多く、神経が過敏な面があるので多頭飼いには向きません。
抜け毛は少なく、短毛なので頻繁なブラッシングは必要ありませんが、美しい被毛を保つために週1回のブラッシングをおすすめします。
◆ベンガル
イエネコとヤマネコ(アジアンレオパードキャット)を交配して作りだされた猫種です。
斑点模様が特徴的なヒョウ柄やタビー、マーブルがあり、被毛はシルクのようになめらかな触り心地です。
全体的に野性味のある外見をしていますが、性格は人懐っこく甘えん坊です。
筋肉質で身体能力が高く、運動量も多めなので、十分に運動できる環境を作ってあげましょう。
あまり水を嫌がらず、水遊びや水浴びが好きな子も多いです。
シングルコートの短毛種なので、抜け毛は少ないと言われています。
◆ロシアンブルー
その名のとおりロシア原産と伝わっていますが、正確な情報は19世紀以降にしか存在しないため、その歴史についてはあまり情報が多くありません。
ダブルコートの短毛種で、他の猫に比べて抜け毛が少ないです。
また、アレルゲンFel d1の産生量が少ないため、アレルギーの人でも比較的飼いやすい猫種と言えます。
愛情深い性格で、飼い主さんの後をついて回る忠実な猫であるため、「犬に似ている」と称されることもあります。
口元がほほ笑んでいるように見えることから、その顔立ちは「ロシアン・スマイル」と言われます。
別名「ボイスレスキャット」と言われるほど、あまり鳴き声をあげません。
◆バーミーズ
先祖はミャンマーの土着の猫で、タイのアユタヤ王朝期の書物にも登場しています。
最初はイギリスで繁殖されましたが、あまり人気がなく消滅したようです。
1930年代、ミャンマーからアメリカに渡った猫とシールポイントのシャムが交配され、「バーミーズ葉巻」に似た色をしていたことからバーミーズと名付けられたと言われています。
顔が丸い「アメリカンバーミーズ」と、顔と体が若干長く被毛の種類も多い「ヨーロピアンバーミーズ」の2種があります。
シングルコートの短毛種で、抜け毛は比較的少ないです。
性格は、遊び好きで人懐っこく、楽天的で社交性もあります。
「話し上手な猫」とも言われ、飼い主さんが話しかけると返事をするようになることも多いです。
抜け毛の少ない猫の特徴
◆シングルコート
猫の被毛には、「ダブルコート」と「シングルコート」があります。
ダブルコートは、やわらかく密度の高い「アンダーコート」(下毛)としっかりとした「オーバーコート」(上毛)が生えているタイプです。
シングルコートは、ハリのあるしっかりとしたオーバーコートのみのタイプです。
シングルコートは、春と秋の「換毛期」にたくさんの毛が抜けるダブルコートに比べて、抜け毛が少ないです。
ちなみに、日本で見られる「雑種」の猫の多くは、ダブルコートであると言われています。
◆短毛
猫には、短毛種と長毛種があります。
長毛種の抜け毛は長いため、抜け毛の量が多く見えます。
また、長毛種はダブルコートが多いのに対し、短毛種はシングルコートが多く、抜け毛が比較的少ないです。
しかし、短毛種の抜け毛はファブリック類に刺さって抜けにくい面があり、掃除が大変だと思う飼い主さんも少なくありません。
一方、長毛種の抜け毛は、細く柔らかいことが多いので、宙に舞いやすく散らばるのが難点といわれます。
◆毛質
猫の毛質は、様々です。
ふわふわと柔らかいタイプ、シルキーなタイプ、ごわごわしたタイプなどがあります。
短毛でスムースなタイプは、一番抜け毛が少ないです。
逆に、最も抜け毛が多いのは長毛のセミロングタイプで、表面の毛だけではなくアンダーコートや耳の下、脇などの毛が柔らかく毛玉になりやすいのも特徴です。
抜け毛が気になるが長毛種が欲しい場合
長毛種はダブルコートの場合がほとんどのため、一般に抜け毛が多くなります。
しかし、長毛種でも抜け毛が少ない猫種や、アレルゲンが少ない猫種もあります。
◆ラグドール
「ラグドール」は、英語で「ぬいぐるみ」という意味の単語で、抱っこされてもリラックスして大人しいことからその名がつけられました。
ミディアムロングの長毛種ですが、体に沿って毛が生えているため、毛玉ができにくく、抜け毛も少ないです。
オスで6~9kg、メスで4.5~6kgと大型の猫ですが、性格は穏やかでしつけもしやすく、猫を飼うのが初めての方にも向いています。
おっとりしているので激しい遊びはあまり好まず、また大きな声で鳴くことが少ない点でも飼いやすい猫です。
「飼いやすい猫」や「人気の猫」のランキングでは、よく上位に入っています。
◆サイベリアン
ロシア原産で、寒さに強いトリプルコートの長毛種です。
アレルゲンFel d1の産生量が少ないため、猫アレルギーを起こしにくいと言われています。
体格はがっちりとしていて筋肉量も多く、体重は4~8kg、オスでは10kgを超えることもある大型猫です。
温厚で大人しく、辛抱強い性格で、指示語でしつけられると言われるほど賢いです。
飼い主さんなど自分が認めた相手には従順な一方で、テリトリー意識が強いため、仲間とみなさない相手には冷淡な面があります。
ネズミ捕りをしていた「ハンター」なので運動能力は高く、水を怖がりません。
暑さには弱いので、夏の室温管理が大切になります。
猫の抜け毛を減らす対策
抜け毛が少ない猫種でも、全く抜け毛が無いわけではありません。
ここでは、抜け毛を減らすための対策について、ご紹介します。
◆ブラッシング
日頃から、こまめにブラッシングを行いましょう。
抜け毛対策だけではなく、スキンシップになり、また体の異常を見つけやすい点でも、定期的なブラッシングは欠かせません。
換毛期には、特にまめにブラッシングをすることで、抜け毛が飛散することを防ぐことができます。
◆掃除
アレルゲンは、それ自体が非常に小さいうえ、毛やホコリに付着しているため、空気中に舞いやすいです。
日頃から、こまめな掃除を行いましょう。
床や壁、天井はもちろん、アレルゲンが付着しやすいカーテンや衣類などのファブリックもこまめに掃除・洗濯をします。
◆ファブリック類を減らす
掃除が大変な場合には、カーペットをやめてフローリングにしたり、ソファを革張りにしたりしてもよいでしょう。
まとめ
掃除が大変そうだったり、猫アレルギーがあったりして、猫の抜け毛を気にする人は少なくありません。
猫アレルギーのアレルゲンはタンパク質で、ホコリや花粉より遥かに小さく、抜け毛やフケに付着して飛散します。
このため、抜け毛が少ない猫種の方が、猫アレルギーを起こしにくいと考えられています。
基本的には、ダブルコートよりシングルコート、長毛種より短毛種が、抜け毛が少ないです。
しかし、無毛の猫種以外では、抜け毛が全くないというわけではありません。
抜け毛対策としてブラッシングや掃除をこまめに行うことで、猫との快適な暮らしを手に入れましょう。
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