【掲載:2021.11.30 更新:2023.03.13】
そもそも「ふみふみ」とは
猫が毛布やクッション、布団など柔らかいものの上で両足を交互に動かす行動を、俗に「ふみふみ」と言います。
これは、もともと子猫が母猫の乳房を押して、母乳が出やすくするための行動です。
英語では、「Kneading」(ニーディング)、「Milk tread」(ミルクトレッド)と呼ばれます。「Kneading」とは「捏ねる」という意味です。また「tread」は、「足踏み」を意味します。日本でのSNSなどで「うどん捏ね」「パン捏ね」と言うことがあるのと共通していますね。
猫が毛布などでふみふみする理由
ふみふみは、もともとは子猫の行動ですが、大人の猫ちゃんでもよく見られます。
実は、猫が成猫になってもふみふみする原因については、現在も解明されていません。そこで、ここでは現在考えられている理由をご紹介していきます。
◆離乳が早すぎたストレス
現在、最も有力とされている説は、子猫の時に母猫に十分に甘えられなかったことからくるストレスであるというものです。
子猫は、生後3ヶ月くらいまで母猫と一緒に暮らします。この時期を過ぎると、子猫たちは自立していきます。
何らかの理由で、完全に自立する前に母猫と離れてしまった猫は、成猫になってもふみふみする傾向が強いようです。
柔らかくて温かい毛布や人肌に、母猫の温もりを思い出しているのでしょう。
◆甘えている
人に飼われている猫にとって、飼い主さんは母猫のような存在です。飼い主さんとずっと一緒に居る飼い猫には、子猫の部分がいつまでも残っています。半分子供、半分大人みたいな感じでしょうか。
猫が柔らかい毛布や飼い主さんにふみふみしている時は、甘えているのだと考えられます。
◆子猫気分
母猫のそばで暮らしていた時の子猫時代は、きっと幸せだったはずです。その時の気分を思い出して、ふみふみしていると言われています。一種の「赤ちゃん返り」と言ってもいいかもしれません。
子猫気分でふみふみするのは、眠い時が多いようです。「寝る前の儀式」になっている猫ちゃんもいるみたいですね。
◆リラックスするため
基本的には甘えているときに見せる行動なので、猫にとってはリラックス効果があります。寝る前や寝起きにするのは、リラックスするためなのかもしれません。
◆ストレス解消
日常生活でストレスを感じている場合に、ふみふみすることで安心感を得て、ストレス解消を行っている可能性があります。
◆お腹が空いたアピール
母乳を出やすくするために行っていた行動の名残なので、猫にとっては「ふみふみすると、空腹が満たされる」という図式のようなものがあるのでしょう。
飼い猫にとっては、飼い主さんがお母さんです。飼い主さんにする時は、ごはんをねだっているのかもしれません。すぐにゴハンを用意してあげてくださいね。
◆お気に入りのものへのマーキング
猫の足には臭腺と呼ばれる匂いを分泌する器官があります。爪とぎをする時も、この匂いをつけることで「ここは自分のもの」とマーキングをしていると言われています。
同様に、毛布や飼い主さんにふみふみして、匂いをつけ、「自分のもの」というアピールをしていると考えられます。
◆後ろ足でしていたら
一般的に前足で行いますが、後ろ足で行っている場合は「マウンティング」と考えられます。これは、生後4ヶ月ごろの思春期のオス猫に見られる行動です。
交尾の練習としての役割があるマウンティングは、成猫になるための通過点と言ってよいでしょう。
マウンティングの場合のふみふみには特徴があり、後ろ足でするだけではなく、
✓毛布などの柔らかいものを噛んでいる
などが挙げられます。
マウンティングは、去勢をすると自然としなくなることがほとんどですが、時期が遅れてしまうと手術後も続ける場合があります。
去勢手術は、マウンティング行為を抑えるだけではなく、生殖器の病気を予防する効果もあります。子どもを産ませる予定がなければ、適切な時期に手術を行いましょう。
ふみふみをしない猫もいる?
ふみふみの理由の一つとして、母猫と早く離れたストレスを挙げました。このため、親離れができていて自立している猫の中には、しない子もいます。
ふみふみは、甘えている、リラックスしているなど、飼い主さんへの信頼の表れとも言えますが、愛猫がふみふみをしないからと言って信頼されていないわけではないので、安心してくださいね。
猫のふみふみは放置しても問題ない?
ふみふみの理由についてご紹介してきましたが、放置しておいて構わないのかも気になりますね。
◆基本的には問題なし。見守ってあげよう
ふみふみは、基本的に甘えたりリラックスしたりするための行動です。したがって、このような場合には放置して問題ありません。静かに見守って、心ゆくまで堪能させてあげましょう。飼い主さんにふみふみするのは信頼の表れでもあるので、しっかりと受け止めてあげると、より信頼関係を深めることができるでしょう。
もし、ストレスを感じてふみふみしているようなら、ストレスの原因を探して、取り除いてあげてくださいね。
猫ちゃんの爪が伸びていると、服や毛布などに穴が開いたり、痛かったりするので、日頃から爪をきちんと切っておくとよいでしょう。
◆毛布をかじっていたら注意が必要
ふみふみと同時に毛布などをチュパチュパと吸っていたり、齧ったりしている場合には、注意が必要です。
これは「ウールサッキング」と言い、「異食症」の一つです。吸ったり齧ったりしているときに、毛布の繊維や破片を飲み込んでしまうと、腸に詰まるなど重大な事故につながることがあります。
ウールサッキングについて
ここでは、ふみふみと同時に見られることのあるウールサッキングについて解説していきます。
◆ウールサッキングをする理由
ウールサッキングは、「wool sucking」と表記します。「wool」は毛織物や羊毛、毛糸などを指し、「suck」は、吸う、舐める、しゃぶるという行為を指しています。異食症の1つで、特に対象となる布の素材がウールであるため、このように名づけられました。
羊毛でできた毛布には、「ラノリン」という羊の脂の成分が浸みこんでいることがあります。ラノリンの匂いは、人間には分からない程度のものですが、人間の汗の臭いや母猫の母乳の匂いに似ていると言われています。猫は、この匂いをかぎ取って毛布を噛んでいるとも考えられています。
また、毛布の柔らかさや温かさが母猫を思い出させるとも考えられており、ふみふみと同じく、母猫と早くに離れた猫に多いと言われています。
実際にはハッキリとした原因は明らかではなく、推測されているのは、
✓フードへの不満によるストレス
✓遺伝性
✓日常的なストレス
などです。
遺伝が原因として推測されているのは、シャム猫(サイアミーズ)やヒマラヤン、日本猫など東洋系の猫で多く見られるからです。しかし、Mix猫でも見られるため、ハッキリしたことは分かっていません。
◆重大な誤飲事故に繋がる場合も
ウールサッキングの対象は、主に布製品ですが、ゴム製品や段ボール、ビニール袋など、個体によって様々です。
糸くずや小さな破片など、少量であれば便とともに体外に排出されます。しかし、放置すると大量に食べてしまい、胃に残ったり、腸に詰まったりといった重大な事故につながることがあります。ゴムやビニール袋を食べてしまう場合、特に危険性が高まります。
胃に残ったり腸に詰まったりした場合、腸閉塞など、命に関わる事態になることもあり、開腹手術で取り除く必要があります。
◆対処法
ウールサッキングをしているときに、怒ったり、叩いたりするのは逆効果です。
離乳が早すぎた場合には、たっぷり遊んであげて、スキンシップをたくさん持ってあげるとよいでしょう。
また、布製品やビニール袋など、異食する対象を極力、猫の届く範囲に置かないようにするのも対策の一つです。お留守番時には、ケージに入ってもらうことも検討しましょう。
なかなか治らない場合には、抗不安剤などのサプリメントや薬を併用することで対策できることもあります。一度、獣医師さんに相談してみましょう。
まとめ
猫のふみふみは、とても可愛いですね。そのときの猫ちゃんは、うっとりしていたり、眠そうにしていたりしています。
この行動は、母乳を出やすくするために母猫の乳房を揉んでいた名残と考えられており、毛布の柔らかさや温もりに赤ちゃんの頃を思い出しているのだと言われています。そのため、自立している猫はしないことも多いです。
ただし、ふみふみしながら毛布を噛んだり吸ったりしている場合には、注意が必要です。異食症の一つであるウールサッキングの可能性があります。ウールサッキングは、命に関わる重大な誤飲事故につながり、外科手術が必要になることもあるので、対策が必要です。
ふみふみするのは、飼い主さんなど信頼している人の前だけだそうです。安心してリラックスしている状態なので、静かに見守って、心ゆくまで堪能させてあげましょう。
– おすすめ記事 –
・猫が電気毛布を使ってもいいの?注意点やおすすめのあったか用品をご紹介 |
・猫のためにベッドを手作りしたい!簡単な作成方法2選をご紹介! |
・愛猫の冬の寒さ対策!留守番時におすすめのあったかグッズ8選【2021年版】 |
・猫はなぜ高い所が好きなの?本能から見え隠れする5つの理由とは? |