猫のしっぽが気持ちを表すって本当?尻尾が膨らむ理由も解説!

2022.02.20

猫のしっぽが気持ちを表すって本当?尻尾が膨らむ理由も解説!

猫のしっぽが膨らむのは、何故でしょうか?言語を持たない猫は、身体のいろいろな部分を使ってコミュニケーションを取っています。その一つが、尻尾です。愛猫を観察してみると、しっぽをゆらゆら揺らしていたり、ピンと立てていたり、いろいろな「表情」があることが分かります。今回は、猫のしっぽと気持ちについて、しっぽが膨らむ場合に焦点を当ててご紹介し、併せて、膨らむメカニズムも解説します。

猫のしっぽが気持ちを表すって本当?

しっぽを立てている猫

猫をあまり知らない人には、猫はクールで無表情に見えるかもしれません。
しかし、よく観察してみると、意外と表情豊かで、様々な感情を表していることが分かります。

言語を持たない猫は、ひげの向きや尻尾の動きなど、身体でコミュニケーションを取っていますが、特にしっぽの向きや動きにはさまざまな気持ちが現れます。

よく知られているのは、猫がしっぽをピンと垂直に立てているときは上機嫌であるということではないでしょうか?
これは、もともと子猫が母猫に甘えるときに取るポーズで、母猫が子猫のお尻を舐めて排せつを促していた名残と言われています。

そんな尻尾の動きの中でも特徴的なのは、尻尾が膨らむところでしょうか。
猫がしっぽを膨らませる時は一体どのような気持ちなのか、ご紹介します。


猫のしっぽが膨らむときの気持ち

遊んでいる子猫の後ろ姿

◆威嚇・警戒

猫は、縄張りをとても大切にしていると同時に、基本的に争いを好まない生き物です。

そのため、自分の縄張りに他の猫や外敵が入ってきたり、見知らぬ来客があったりすると、「出ていけ!」とばかりに威嚇をします。できれば、戦わずに追い出したいわけです。
この時、自分の体をより大きく見せるために、しっぽを立てて無意識に膨らませます。野生の世界では、弱さを見せると攻撃されてしまうため、自分の身を守るための本能的な反応なのです。
尻尾が膨らむと同時に背中の毛も逆立っていて、全体的に一回り大きく見えます。

一方、しっぽが下がっている状態で膨らんでいる場合は、相手に対する攻撃性を示しています。しっぽは一見下がっているように見えますが、いつもより膨らんでいるように見せて、自分の優位性を示そうとしているのです。「自分の方が強いんだぞ!出ていかないと攻撃するぞ!」といったところでしょう。

他にも、動物病院に行ったり、お風呂に入れられたりするのは、猫にとっては嫌なことの場合がありますよね。
このような場合に、「絶対に嫌!」という拒絶の表れや、「それ以上は怒るぞ!」という気持ちの表れとして尻尾が膨らむこともあります。

知らない人がいたり、見たことのないものがあったりして、警戒しているときにもしっぽが膨らむことがあります。
警戒している間は膨らんだままですが、しばらくして頭の中で整理がつくと元に戻ります。その後は、びくびくしながらも、匂いを嗅ぎに近づいていくでしょう。それが何なのかを知りたいという好奇心の表れです。
警戒しているときには目を丸くしていることもあるので、しっぽの様子と一緒に目の様子にも気をつけてみるといいでしょう。

◆怖がっている

今までに見たことのない生き物や、明らかに自分より体の大きい動物と遭遇してしまった時には、猫も恐怖を感じます。しかし、野生の世界でそれを表に出したり逃げ出したりすれば、攻撃されたり追われたりすることになるでしょう。

そのため、怖がる素振りを隠して、無意識にしっぽを膨らませます。少しでも自分を大きく強く見せて、恐怖を感じる状況を乗り切ろうとしているのです。
掃除機を怖がる猫ちゃんの中には、逃げたり隠れたりする子もいますが、しっぽを膨らませる子もいます。きっと、心の中で一生懸命、恐怖と戦っているのでしょう。

◆興奮している

猫じゃらしで飼い主さんと遊んでいるときや、お気に入りのおもちゃでひとり遊びをしているとき、尻尾が膨らむことがあります。
夢中で遊ぶうちに興奮してきて、気持ちが高ぶっていることを表しています。興奮も交感神経の働きを強めるため、自然としっぽが膨らむのです。
興奮でしっぽが膨らむのは、好奇心旺盛な子猫や若いネコに多く見られます。

また、びっくりした時にも尻尾が膨らみます。
突然、予想もしていなかったような大きな物音がしたときや、ふいに背後に物が置かれたりすると、人間でもびっくりしますよね。よく「心臓が跳ね上がる」と表現されるように、心拍数が上がります。これは、交感神経の働きによるものです。
猫も同様で、びっくりすると交感神経が働くため、尻尾が膨らむのです。
特に無防備になりがちな縄張りの中では、ちょっとしたことでもびっくりしがちです。このため、飼い猫は自分の縄張りである家の中でよくしっぽを膨らませると考えられます。


猫のしっぽが膨らむ仕組み

猫と暮らしていると、尻尾が膨らんでいるのを見ることは少なくありません。では、どのような原理で猫のしっぽは膨らむのでしょうか?
これは、実は人間の「鳥肌が立つ」と同じ仕組みで、交感神経とアドレナリン、そして「立毛筋」という筋肉が関係しています。

◆交感神経

「交感神経」は、自律神経の一つです。自律神経は、その名の通り「自律」しているため、意識してコントロールすることはできません。
交感神経は、主に活動的な時に働いています。具体的には、心身が活動しているときや戦ったり逃げたりしなければならない緊張時、興奮・怒り・不安などを感じているときです。

◆アドレナリン

「アドレナリン」という言葉は、よく聞くのではないでしょうか?
アドレナリンはホルモンの一種で、交感神経が働くと、「副腎」という器官の髄質(内側の部分;副腎髄質)から分泌されます。
アドレナリンの分泌量が増えるのは、捕食対象を追いかけるとき、他の個体や外敵と戦うときなど「闘争」(fight)する時と、攻撃してくる敵から逃げるとき、危険を感じる場所から急いで移動するときなど「逃走」(flight)する時です。
つまり、激しい運動が必要になる場面と言ってもいいでしょう。

◆立毛筋

立毛筋とは、一本一本の被毛の毛根あたりについている筋肉です。立毛筋は、アドレナリンの作用で収縮し、その結果、皮膚が引っ張られて被毛が逆立ちます。
立毛筋は猫の全身にありますが、尻尾付近に特に多く存在しているため、緊張や不安など感情が大きく動いたときには、まずしっぽに変化が表れやすいのです。
実は、睫毛や眉毛、鼻毛などの一部の体毛を除いて、人間の全身の体毛の毛根にも立毛筋があります。長い毛がないため毛が逆立っているようには見えませんが、鳥肌が立つのは立毛筋が収縮して毛を逆立たせているためなのです。
鳥肌が立つのは、興奮した時やぞっとした時などですよね。猫の毛が逆立つのも、同じような気持ちが関係していると考えられます。

◆意識して膨らませることはできない

猫のしっぽが膨らむとき、交感神経が働いていることをお伝えしました。
交感神経は自律神経なので、猫が意識して働かせているわけではなく、感情の起伏が激しくなると自然によく働きます。
つまり、猫が意識してしっぽを膨らませているのではなく、無意識のうちに尻尾に感情が表れているのです。


しっぽが膨らんだときはどうすればいい?

猫のしっぽ

猫のしっぽが膨らむのは、威嚇や警戒、びっくりしたり興奮したりと、気持ちが高ぶっているサインです。
そんな時には、うっかり猫を構わないようにしましょう。基本的には、そっとしておくのが無難です。

◆威嚇や警戒の場合

威嚇したり警戒しているときになだめようと手を伸ばしたりすると、攻撃される恐れがあります。本気で噛まれたり引っかかれたりして、思わぬケガをしかねません。できれば部屋を出るなどして、落ち着くのを待ちましょう。

◆怖がっている場合

怖がっているときに撫でたり抱っこしたりするのも、あまりおすすめできません。かえってストレスを与えることが多いからです。
いつもと違う環境になっているところはなにか、怖がっている原因を突き止め、それを取り除いてあげることが一番大切です。

◆興奮している場合

一緒に遊んでいるうちに興奮してしまった場合には、急に遊びを中断するのではなく、徐々にクールダウンさせるようにします。テンションが上がっていると、猫自身にそのつもりがなくても、強く噛まれたり引っかかれたりするかもしれません。
ひとり遊びで興奮しているときは、威嚇などの場合と同じく、そっとしておくといいでしょう。おもちゃを取り上げようとすると、やはり攻撃に転じてしまいかねません。ただし、猫の体に何かが絡まっているなど、猫自身に危険が及ぶ状況の場合には、タオルなどをかぶせて危険なものを取り除いてあげてください。

◆多頭飼いの場合

多頭飼いで、猫同士がしっぽを膨らませて威嚇したりケンカをしたりしている場合には、無理に止めず、まずは様子を見守りましょう。
ケガをするようなケンカの場合、猫同士の視界を遮るなどして、お互いから意識をそらすようにすると良いでしょう。


まとめ

猫のしっぽには、体のバランスを取る、マーキングをするという役割のほかに、感情を表現するという役割があります。しっぽをよく見ていると、実は猫も感情表現が豊かなことが分かるでしょう。
上機嫌な時や親愛の情を示すときにはしっぽをピンと立て、イライラしているときには小刻みに根元からパタパタ動かします。
しっぽをタヌキのように太く膨らませているときは、侵入者に対する威嚇であったり、見慣れないものに対する警戒心や恐怖心の表れであったりと、感情の起伏が大きいことを示しています。負の感情だけではなく、興奮や嬉しさを表していることもあるので、飼い主さんはしっかりと見極めたいですね。
尻尾の動きや向きが示す猫の気持ちを読み取って、愛猫とのコミュニケーションに役立ててみてください。きっと、信頼関係が強くなりますよ。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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