1.猫の放し飼いとはどのような状態のこと?
1-1.室内と外を行き来自由な状態
1-2.室内に入れず、餌だけ与えている状態
2.猫の放し飼いがダメって本当?
3.猫の放し飼いによるデメリット
3-1.交通事故に遭う可能性がある
3-2.喧嘩による負傷や病気の伝染
3-3.繁殖して数が増えてしまう
3-4.迷子になり帰ってこられなくなる
3-5.連れ去りや虐待に遭う可能性がある
3-6.ご近所トラブルに発展する
4.猫の幸せのためにも「室内飼い」を行う
4-1.今まで放し飼いでも室内飼いにすることは可能
4-2.外に出さなくても満足できる環境を作る
4-3.出たがっても出さない飼い主の根気が必要
4-4.不妊手術や引っ越しなどをきっかけにするのもおすすめ
5.まとめ
猫の放し飼いとはどのような状態のこと?
放し飼いとは「繋いだり囲ったりすることをせず、広い所に放って飼うこと」を言いますが、猫の場合はどうでしょうか。
猫は犬のように首輪やリードを付けて飼育をしないため、猫に対しての放し飼いがどのような定義なのか、いまいちよく分からないという方も多いはずです。
猫の放し飼いとは一体、どのような状態のことを指すのでしょうか。
◆室内と外を行き来自由な状態
猫ブームが到来して、昨今では猫と暮らす方がとても増えてきましたが、室内に閉じ込めて飼育をすることが人間のエゴのように感じ、猫の自由を奪いたくないという理由で、室内と外とを自由に行き来できるような状態で飼育されている方も居るはずです。
食事や睡眠の時間は室内で過ごし、排泄や散策で外に出るといった生活は、猫からしてみると理想の生活と言えるのかもしれません。
◆室内に入れず、餌だけ与えている状態
「家族の中に猫アレルギーの人間が居て猫が飼えない」「人懐っこい野良猫と仲良くなったけれど、室内ではなく外で飼育している」といった、外猫に餌だけを与えている場合でも、猫の放し飼いをしている状態となります。
猫との距離は近いけれど室内で飼育しない分、猫に必要なアイテムを揃える必要もありませんし、責任をそこまで負う必要もないため、気軽に猫を飼った気分になれますよね。
このようなことからも放し飼いは、飼い主側からしてみるとメリットがとても多いように感じますが、果たしてこのような飼育方法は、世間一般的に見て猫を尊重した飼い方となるのでしょうか?
猫の放し飼いがダメって本当?
猫には完全室内飼いをしないと罰せられるといった法律はありませんが、原則室内での飼育が推奨されています。
そもそも動物愛護法では、猫に限らず生物をペットとして飼育する際の基準が設けられているため、動物愛護法に基づいての飼育が飼い主に対して求められるようです。
その中でもっとも注目すべき項目が「動物の生態、習性に応じて適切な飼育をする」という点ではないでしょうか。
猫の習性を考えてみると、脱走癖や放浪癖があるため、放し飼いこそが猫の生態を理解した飼育方法のようにも思えますよね。
そのため猫の放し飼いは動物愛護法でも許容されており、犬のようにさまざまな規制が設けられてはいませんが、放し飼いが動物愛護法で容認されていることで、別の問題が生じてしまうことも否めません。
犬を放し飼いにした場合は「野犬」とみなされ、捕獲の対象となってしまいますが、猫の場合飼い猫と野良猫の区別が難しく、野良猫と判断されれば排除の対象になる場合もあるため、飼い主自身が曖昧なルールの上で、自分の大切な家族を守る必要があるのです。
放し飼いの法律が飼い猫を保護する効力を持たなくなることからも、猫の命を脅かすような放し飼いは、するべきではないと言えるのではないでしょうか。
猫の放し飼いによるデメリット
猫の放し飼いが違法ではないにしろ、室内と外を行き来したり、外だけで飼育したりする場合に、どのようなデメリットがあるのかも、飼い主さんはしっかりと理解しておく必要がありますよね。
猫の放し飼いをした場合には、以下のような危険性が考えられます。
◆交通事故に遭う可能性がある
外の世界には猫にとってもっとも危険な自動車やバイクなど、走行速度の速い乗り物が溢れています。
道路交通のルールを知らない猫は、左右を確認して道路を横断しませんし、目の前に大きな乗り物が迫ってくると、委縮して動けなくなってしまうことがほとんどです。
猫の自由を尊重して放し飼いをした結果、交通事故は猫の自由を簡単に奪ってしまう結果となるため、避けることができないデメリットと言えるのではないでしょうか。
交通事故に遭って猫が命を落とす件数は、毎年殺処分数よりも多くなると言われていることも事実です。
◆喧嘩による負傷や病気の伝染
猫は単独行動を好む動物であり、野良猫は縄張りを持って生活をしています。
そのため、室内が縄張りの飼い猫が、たまたま足を踏み入れてしまった場所が、別の猫の縄張りだった際には、喧嘩になって争いが起きることでしょう。
喧嘩になればケガを負うことも否めませんし、野良猫が何かしらのウイルスや細菌を所有していれば、感染症が伝染してしまう可能性もありますよね。
放し飼いでは猫だけでなく、さまざまな病気を持った生物との接触も避けられないため、このようなことからも放し飼いはおすすめできません。
◆繁殖して数が増えてしまう
避妊や去勢手術をしていない猫を放し飼いした場合、外で繁殖すれば必然的に数が増えていきますよね。
猫は年に数回の発情期を迎え、その度に数匹の子猫を生むため、1年でとんでもない数の猫が繁殖してしまうこととなります。
殺処分の対象になる猫のほとんどは子猫となり、処分するためだけに産まれた命は、無責任な気持ちで放し飼いをした飼い主さんに責任があることを、今一度考えてみてください。
殺処分されずに野良猫になったとしても、その子が不妊手術をせずに繁殖を繰り返せば、またどこかで望まれない命が生まれるだけなので、このような可能性も視野に入れておくようにしましょう。
◆迷子になり帰ってこられなくなる
日常的に放し飼いをしている飼い主さんの中には、「外に慣れているから必ず帰ってくる」といった自負があるかもしれませんが、想定外のことが起きる可能性だってもちろんあるはずです。
何かしらの理由によりパニックを起こしたり、何かに気をとられて遠くまで行ってしまったりすれば、自分の家に帰りたくても帰れない状況になってしまうこともありますよね。
迷子になって何日も帰ってこないあとに、放し飼いを後悔しても意味がないので、絶対はないことを肝に銘じておきましょう。
◆連れ去りや虐待に遭う可能性がある
ある程度人間に慣れた猫ちゃんの場合、放し飼いをした先でも人懐っこく過ごしている子は多いはずです。
そのような子の場合は連れ去られて別の家庭で飼われることや、虐待目的で捕獲されることもありますので、帰ってこない理由も分からないまま、二度と会えなくなってしまう可能性がないとは言い切れません。
◆ご近所トラブルに発展する
猫好きの方々からしてみれば、猫はとても可愛らしい動物として映りますが、すべての人がそのように感じられるわけではありませんよね。
ゴミを漁っている姿や、敷地内に勝手に入って庭や畑を荒らされたり、その場所で排泄をされたりすれば、誰だって嫌な気持ちになるのも当然です。
猫が原因となってご近所トラブルに発展する可能性もあるため、大きな被害が出ないうちに放し飼いは止めさせるべきではないでしょうか。
猫の幸せのためにも「室内飼い」を行う
愛猫を危険に晒さないためにも、放し飼いを止めたいと考えてみたものの、実行に移すことはなかなか難しいと考える飼い主さんも多いはずです。
室内と外とを自由に行き来していた猫を、室内飼いに戻すことはできるものなのでしょうか?
◆今まで放し飼いでも室内飼いにすることは可能
今まで放し飼いをしていた猫ちゃんであっても、室内飼いにしてあげることは可能となります。
最初はもちろん外に出たがる猫に対して、飼い主さん自身もストレスを溜めるかもしれませんが、根気よく外に出さないような工夫を続けることが必要です。
◆外に出さなくても満足できる環境を作る
猫が外に出ないためには、室内をどれだけ満足できる環境にできるかできないかが重要となってきます。
食事や排泄が満足に行えることはもちろん、ゆっくり休める寝床や落ち着いて過ごせる静かな空間、運動不足解消のできるアイテムや日向ぼっこできる場所など、外の世界に求めていた空間が整っていれば、必然的に猫が外に出て行く理由はなくなるはずです。
もちろん室内の広さには限度がありますが、工夫次第で猫が過ごしやすい環境を作ることは可能ですので、さまざまな情報を収集し、猫にとって理想の空間を作っていくようにしましょう。
◆出たがっても出さない飼い主の根気が必要
どんなに室内の環境を整えても、外の世界にも縄張りを持っている猫ちゃんの場合、どうにかして脱出を試みようとすることがあるかもしれません。
外に出たいのに出られない状態は、猫にとって多大なストレスがかかりますが、命を落としかけない危険のリスクが高い外の世界と、ストレスがかかっても安全な室内を天秤にかければ、どちらが猫にとって大切なのかが一目瞭然のはずです。
どんなに出たがっても出さない根気に併せて、ストレスを抱えない生活環境を整える工夫を続けてあげてください。
◆不妊手術や引っ越しなどをきっかけにするのもおすすめ
日常的なルーティンを突然変更することを、猫自身が簡単に受け入れることは難しいため、猫にとっても重要な出来事が起きた際に放し飼いを止めてみてはいかがでしょうか。
猫ちゃん自身の不妊手術や、引っ越しといった出来事が重なれば、外に出たい気持ちよりも別の感情が優先されるはずですし、変化を嫌う猫にとって有効な手段と言えますのでおすすめですよ。
まとめ
今回の記事では猫の放し飼いについてご紹介させていただきました。
猫の放し飼いは飼い主さんにとっては、猫の自由を奪わないための手段かもしれませんが、ほかの方々からみるとそのような行為は飼い主さんの自己満足にうつり、飼い猫が起こす迷惑行為によって頭を悩ませるのは、きまって赤の他人なのです。
そのようなことからも現在愛猫の放し飼いを容認している飼い主さんは、外に出た際の危険性を改めて考え、安全な室内のみでの暮らしを検討してみるきっかけにしていただけましたら幸いです。
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