お気に入りのお散歩コース
いつものコースです。決まって時計回りにぐるぐると回るのです。何か意味があるのでしょうか?習慣でしょうか?ナナは教えてくれないのですが、このお散歩コースがお気に入りのようです。
さて、春のお庭ではお花たちが夢の国のように香りを放ち、思い思いの色と形で魅せます。小さな体のペルシャ猫にとってはお花たちも大きく見えるのです。
ナナは探検が好き。風にユラユラ、ときどき大きな顔の様に見えるお花さんたち。もしかしたらお花たちも噂しているかもしれません。
「ナナちゃん、また来たね。さっき山鳩さんご夫婦があんずの樹の枝で休んでいたけど、カラスには気をつけた方がいいわよ」
ナナはこたえます。「どして?」
「そよ風さんにきいたのだけど、大ガラスが子猫をさらっていったんだって」
「ナナはもうこねこじゃないよ」
わたしはそんな風にナナとお花さんたちが話しているかのような錯覚に陥りました。
お庭のお散歩では、ナナがまるでわたしに「ついてきなよ」という感じです。わたしは『不思議の国のアリス』の登場人物になったような感じがする不思議な時間を過ごしています。いつも思うのですが、猫にも人格ならぬ猫格があるような気がしてならないのです。(笑)
ナナちゃん、何を見つけたの?
ナナが見つけるものは人間の私が見るとどうってことのないもので、絶対に興味なんかもたないものなんです。でも、室内で過ごして来た時間が圧倒的に長いペルシャ猫にとってお外で見つけるものは、それはそれは大変なもののようです。
ナナはいかにも好奇心でいっぱいという表情をして、大きく目をみはっていました。そして目ばかりでなくお鼻の先っちょもひくひく動かしていました。
この日は花たちも香りを放っていましたが、それにもまして匂うものがありました。どうやらそれにとても興味をもったようです。
ナナの様子はまるでこう言っているかのようです。
「この匂いはあの子の匂いね。妹のわんこです。妹なのにナナよりもずっとずっと大きい。」
それからこんなことも考えていそうです。
「飼い主さんはナナのこと、シルバーシェーテッドグリーンアイという種類だから、二人一緒だと(二匹一緒かな)『きんさん、ぎんさんだね』とわけのわからないことをいいます。妹はゴールデンレトリバーだからかしら。」
あの妹が齧ったらしい棒、それにナナはとても反応しました。
ナナに為り替わって『猫語』(というか『猫の仕草』)を通訳すると、こんな具合になります。
「う~くっさ。だけど、妹、なんでこんなもの好きなのかしら?
ときどき私の毛を舐めてしまうので毛が絡まってダマになってこまるのよ。
今頃妹はおうちで寝ていると思う。がさつだけど、寝顔だけはかわいいの」
♥ナナちゃんのお庭探検のようすはこちら♥
お庭での珍しい出会い
そういえばこんなことがありました。笑ってしまうような嘘みたいなお話しなのですが、本当のことなんです。
ずっとずっと前のことですが、雨蛙がひっついてきて、知らないうちにナナの毛の中に丸まって入ってしまったのです。お家に戻ったナナになにかついているので、わたしもびっくり。おおきなかたまりを毛の間から取り出してみると、さっきまでお庭にいた鮮やかな黄緑色の雨蛙が、ナナの白い毛に擬態して必死にがんばったけど、白い色にはなれなくて水色どまりの姿になっていたのです。それでも、わたしは「水色の蛙なんてはじめてみた」と感激していました。
無事、蛙さんはお庭にかえることができました。ナナもビックリしたけど、蛙はもっとびっくりしたのにちがいありません。