猫がダンボール箱を好きな理由は?
◆身を隠せて落ち着ける場所だから
猫がダンボール箱を見つけると、たとえ自分の体より小さかろうと、まるで箱に吸い込まれるようにダイブしてきます。この行動はダンボール箱だけではなく、紙袋やカゴも同様です。
とにかく、ダンボール箱という体が密着できる、狭い空間に体を押込めている状況が猫にとって、安心できるようです。
では、なぜダンボール箱の中の狭い空間が落ち着くのでしょうか?
猫がダンボール箱を好きな理由は、猫が昔野生で暮らし狩りをして生きていたころの名残が残っているからです。
野生に暮らしていた猫は、獲物からも天敵からも見つからないよう、木の影や草の茂みなどに身をひそめて暮らしていました。野生での生活は危険と隣り合わせです。
そんな過酷な状況下において体を休められ、常に体を隠せる木の影や草の茂みというのは、唯一安心できる場所だったのかもしれません。
天敵に狙われることもなくなった飼い猫でも、ダンボール箱のような体を隠せる場所というのは、本能的に落ち着くという事のようです。
◆科学的に証明された「猫のダンボール好き」
「環境エンリッチメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ペットや動物園動物などの飼育動物が幸せに暮らすことが出来るための対策のことで、この環境エンリッチメントという観点からも、猫という生き物にとって「ダンボール箱」という閉鎖空間は快適さと安心を得ているアイテムなのです。
ストレスの多い状況下で暮らしている猫にとって、ダンボール箱というのは、とても大きな影響をもたらしています。オランダのアニマルシェルターにいる猫を対象に行った研究を紹介します。
オランダのユトレヒト大学の動物行動学者クラウディア・ウィンケは、アニマルシェルターにいる猫のストレス度を測る「ストレス回避説」を研究したひとりです。
まず、新しくやってきた猫のグループに隠れ場となるダンボール箱を与える。一方で別のグループの猫からはダンボール箱を取り上げる。
この結果では、箱を所有する猫と所有しない猫のストレス度には著しい差があることがわかりました。
実際、箱を所有する猫は新しい環境に早く慣れ、初期のストレスはかなり少なく、人間との交流により興味を示したそうです。
飼い猫はダンボール箱でストレスを回避しますが、野生の猫は、木陰などに隠れることで、ストレスを回避するようです。
猫が好きな落ち着く場所とは?
猫は一日の大半を寝て過ごします。野生で生きていた頃も猫は狩りに備え体力を温存するために眠り、獲物を捕食した後また寝るという行動をしていました。
一方で現代の飼い猫は狩りをする必要が無くなったものの、人間よりはるかに睡眠時間は長いです。
睡眠に欠かせないアイテムといったら、安心して寝ることが出来るベッドが必須アイテムです。野生で暮らしている猫にとって身を隠せる安心できる場所が快適な場所となっているように、飼い猫にとってもいかに体を隠すことができ、安心して眠ることが出来る場所であるかが重要なのです。
猫は地面より高いところにある場所の方が落ち着くので、ダンボール箱で遊ぶのであれば床に、ベッドとして使うのであれば上に置いてあげましょう。
ダンボール箱やベッドは、タンスや冷蔵庫の上などの高いところに置いてあげると猫にとって最適な隠れ家となります。
猫がダンボール箱をかじる、噛む理由とは?
猫の大好きな隠れ家のダンボール箱を「ベッド」として使ってくれていればよいのですが、ガジガジとダンボール箱の隅っこをかじり、せっかくの遊び道具をボロボロにしてしまうなんてこともあります。
猫はなぜダンボール箱をかじってしまうのでしょうか?考えられる原因は三つありました。
◆生え変わりで歯がかゆい
まず一つ目ですが、「歯がかゆい」事が原因の場合。
猫も人間同様歯が生えかわります。歯の生え変わりの時期の猫は、ダンボール箱でなくてもタオルだったり飼い主さんの手だったりいろいろなものを噛んできます。
ダンボール箱を噛むことで、歯の生えかわり時のかゆみを取り除いているのかもしれません。
◆ストレス発散
二つ目に「ストレス発散」です。のんびり寝ているだけで何のストレスもないように感じる飼い猫も、実は様々なストレスを抱えていることがあるのです。
例えば、複数匹一緒に飼っている場合、中には気の合わない猫同士もいるので、顔を合わせればケンカをしている場合もありますし、飼い主さんの取り合いでなかなか抱っこしてもらえないなんて猫もかなりのストレスなのです。
この場合はストレスを取り除いてあげる事が先決です。仲の悪い猫同士であれば、部屋を分け、家庭内別居にしてあげましょう。ご飯も、トイレも寝室も全部別にすることで、顔を合わせる回数を減らしてあげるのです。
飼い主さんになかなか甘えられないストレスを感じている子には、飼い主さんが気をつけてあげるしかありません。猫の性格で上手に甘えられ抱っこをしてもらえる猫もいれば、甘えることが苦手だけど実は撫でてもらいたいと思っている猫もいます。
猫の性格は飼い主さんが一番わかっていると思うので、しっかりフォローしてあげましょう。
◆ダンボール箱が好き
最後に「ダンボール箱の匂いが好き」ということが原因の場合もあります。
ただ単純にダンボール箱の匂いが好きなので、思わずガジガジと噛んでしまうという事ですが、猫は匂いにとても敏感な動物なので、人間の私たちにはわからないダンボール箱の特有の匂いがたまらないのかもしれません。
猫がダンボール箱をかじる、噛む場合の対処法!
猫がダンボール箱を噛んでしまうと、誤飲の可能性もありますし、ダンボール箱が毎回ガジガジ噛まれゴミが散乱している状況は飼い主さんのストレスにもなってしまいます。
猫がダンボール箱を噛まないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
◆猫が噛んでも良いおもちゃを与える
歯の生え変わりやストレスでダンボール箱を噛む場合は、ダンボール箱の代わりに猫が噛んでも安全なおもちゃを用意してあげましょう。
布でできたぬいぐるみや紐がついたものなど様々なおもちゃがありますが、誤飲の恐れがあるものは避けるか、遊んでいる間は目を離さないようするのか安心です。
また、歯のケアが気になる猫には、おもちゃを噛むことで同時にデンタルケアができる商品などもあります。
ペットショップには様々な猫のおもちゃが売っていますので、飼い猫がどんなものが合うのか選んであげましょう。
◆ダンボール箱の端をガムテープで止める
猫が噛んでしまうダンボール箱の隅っこをガムテープを貼ってしまいましょう。ガムテープを貼ってしまえばボロボロになる事はないので、猫もダンボール箱を遊び道具から快適なベッドへと考えを変えてくれるかもしれません。
また、飼い主さんがたくさん遊ぶ時間を作ってあげてダンボール箱で遊ぶ時間をなくしてしまい、ダンボール箱は「寝るところ」ということを認識させしっかり区別させてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか。
猫の大好きなダンボール箱ですが、猫の行動には理由があることがわかりました。猫の行動一つ一つにきちっとした理由があることがわかり、猫も色々考えているということがまた一段と可愛く思えてくるのではないでしょうか。
猫にとって安全で快適な場所を用意してあげ、ストレスのない生活を一緒に送れるといいですね。
– おすすめ記事 –
・【癒し動画】飼い猫がいない!?ダンボール箱をトントンすると・・・www |
・猫はなぜ箱が好きなの?その習性を紐解いて寝床を準備してみよう! |
・猫の好きな場所を家の中に作ろう! |
・猫がソファなどの家具に爪とぎや粗相をしてしまう!原因と対策は? |