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【子猫の飼い方】初めて子猫を迎える時の完全マニュアル~準備・育て方~
授乳期・離乳期の子猫の見分け方は?
子猫を拾ってしまった。飼っている猫が出産したけれど、子育てをしない。そんな状況で仕方なく人間が生まれてすぐの子猫の世話をしなければならないことがあります。
◆子猫の授乳期と離乳期のお世話は大切!
子猫のお世話は成長過程に合わせる必要があり、授乳期と離乳期では内容も変わってきます。
ミルクか?離乳食か?一度に与えるミルクやご飯の量はどれくらい?与える時間は?離乳期のご飯は何を与えればいい?など、同じ子猫でもお世話の方法で悩むことがあるかもしれません。
子猫はすぐに体調を崩しがちです。しかもその体調不良がそのまま命を落とす原因になってしまいかねません。
子猫の成長具合をできるだけ正確に把握するためには、獣医さんで診察を受けることが一番ですが、すぐに受診できなかったり、緊急にお世話しなければならないこともあります。
◆子猫は生後何日くらい?
授乳期、離乳期を見分けるには次のような点に着目します。
– 産まれたて〜生後1週間 –
体重は平均80~100g。目は開いていません。鼻先の触覚は敏感で、母猫を探してミルクを飲むため、0.2度の温度変化でも感知できるそうです。
前足は生後三日あたりからしっかり動くようになり、ミルクがよく出るように母猫の乳房を「ふみふみ」で刺激します。生後約4~6日でヘソの緒が自然に取れます。
– 1〜2週間 –
生後1週間で約100gずつ体重が増え、150~280g程度になります。
目頭の側から少しずつ瞼が開き始め、生後2週を迎える頃に目が見えるようになります。物を追ったり母猫を探すといった行動が見られます。
足を舐めたり、顔をこするといった猫らしい仕草も始めますが、あまり動かず、四肢をゆっくりばたつかせて泳ぐような移動をします。
– 2〜3週間 –
体重は280~350g程度。生後2週過ぎに耳が聞こえるようになります。瞳はまだ青く、やや外斜視の傾向が見られます。
この頃からよちよちとおぼつかなく歩き始めますが、寝場所から遠く離れることはありません。乳歯が生え始め、爪の出し入れもできるようになります。
– 3〜4週間 –
体重は380~400g程度。目が良く見えるようになり、障害物を避けることができるようになります。
しっかりと歩けるようになり、好奇心旺盛に部屋の中を動き回り、縄張りを確認し始めます。乳歯が徐々に生え揃います。
– 4週間〜 –
生後1ヶ月の子猫で430~500gほど、生後1ヶ月半の子猫で600~700gほどです。この頃から自力で排泄できるようになるので猫用トイレを準備します。
生後5週で乳歯26本が生え揃います。子猫の口の中の細い牙のような歯が乳歯です。この乳歯が揃ったら授乳期から離乳期に移行するタイミング。ミルクを与えていた哺乳瓶の吸い口に傷が目立つようになったら離乳食を始めましょう。
子猫のミルクの選び方、準備するものは?
生後4週間ごろまでの子猫は、高脂肪・高タンパクで栄養たっぷりな母乳か子猫用ミルクだけで育てましょう。
お母さん猫がいる場合は母乳を飲ませるようにしましょう。母乳は子猫の体内に細菌やウイルスなどから身を守り、健やかな成長を促す免疫抗体を与えてくれます。
けれど生後すぐに譲り受けたり拾ったりして、お母さん猫と一緒にいられない場合は、子猫用のミルクを与える必要があります。子猫用ミルクは母乳と同じように、高脂肪・高タンパクで乳糖が消化しやすく調整されているので、子猫がお腹を壊す心配がなく安心です。
◆猫用ミルクと哺乳瓶を準備
猫用ミルクと哺乳瓶は、動物病院やペットショップ、ペット用品売り場などで購入できます。
子猫用のミルクは、子猫が分解できない乳糖が分解された状態で配合されています。生後4週頃までは子猫に必要な栄養素をきちんと吸収できる状態に調整された子猫専用のミルクを与えましょう。
哺乳瓶は、子猫の大きさに合わせて吸い口を選びます。容器が大きすぎるとミルクが早く冷えてしまうため、小さめを選びましょう。人間の赤ちゃん用では大きすぎます。
吸う力の弱い子猫は、硬い吸い口ではうまくミルクを飲めないので、柔らかいものを選びます。
また、吸い口に開ける穴にも注意が必要です。大きく開けすぎると一度に子猫の口にミルクが流れ込んでしまい、誤飲の原因になります。逆さに向けてジワリとミルクがにじむ程度が適当です。
◆猫用ミルクがない場合
猫用ミルクを授乳する事が一番良いのですが、夜中など緊急の場合は、以下のもので代用することができます。
・人間の赤ちゃん用の粉ミルクを通常の2倍の薄さに溶いたもの
・スキムミルクや牛乳を水で薄めたもの
・ブドウ糖液や砂糖水
・乳糖が分解されているタイプの牛乳
乳糖の分解されていないタイプの牛乳をそのまま子猫に与えないようにしましょう。猫は乳糖を分解する酵素、ラクターゼの分泌が少なく、牛乳を飲むと下痢をしてしまいがちです。生後間もない子猫にとって、下痢は体に大きな負担となります。
そしてこれらは一時的な代用品ですので、翌日には必ず子猫用のミルクを購入し、速やかに切り替えることが大切です。
◆猫用哺乳瓶がない場合
ドラッグストアなどで購入できる小さなスポイトで代用します。一回ごとに使い捨てるタイプが衛生的です。
スポイトが手に入らない場合には、清潔にした指先にミルクをつけ、子猫の口の端から湿らせるように少しずつ舐めさせてください。
哺乳瓶やスポイトがないからと、何時間も何も与えないことは子猫の命を奪うことになります。必ず何らかの方法で子猫に栄養を与えてください。
子猫のミルクの授乳方法は?【作り方、量、時間、回数】
◆ミルクの作り方
ミルクはパッケージに表示されている量に従い、母乳に近い38度程度のぬるま湯で作ります。ミルクの温度が低すぎると体温が低下してしまい、消化管にも大きな負担となります。熱すぎると火傷をしてしまいます。
パッケージに表示されているミルクの濃度は健康な子猫用です。保護したばかりの子猫は消化力が弱っていることも考えられます。最初はやや薄めに作り、徐々に規定の濃さにしていくと安心です。
ミルクの作り置きはせず、授乳のたびに新しく作るようにしましょう。
◆ミルクの授乳量、時間、回数
子猫の体重によって授乳量は違います。また、メーカーによってもミルクの量が変わります。パッケージに記載されている量を守って与える事がポイントです。
授乳前、授乳後の子猫の体重を測定すると、実際に子猫が飲んだミルクの量がわかります。子猫のお腹がポンポンになっていれば十分に飲んだと言えるでしょう。
1日の最後に量った体重が、前日の同じ時間帯より右上がりに増えていれば大丈夫です。
生後日齢 | 一日のミルクの回数 | 一回あたりの量 | 生後1〜7日目 | 7~8回(2~3時間ごと) | 5~10cc | 生後8~14日目 | 4~8回(3~4時間ごと) | 5~15cc | 生後15~21日目 | 5~6回(4~5時間ごと) | 5cc~欲しがるだけ | 生後22日~1ヶ月 | 徐々に減らしていく | 離乳食が始まっていればミルクの前に与える |
子猫にミルクをあげる時の注意点
◆無理やり飲ませようとしない
子猫の口の近くに吸い口をあてると、吸引反射によって自発的にミルクを飲み始めます。無理やり口の中に押し込める必要はありません。子猫が前足を激しく動かすときは、片手で軽く抑えながら与えるようにしましょう。また、吐き戻しを予防するため、仰向けの姿勢は避けます。
子猫が食欲旺盛でミルクを欲しがるようなら、やや多めに与えても大丈夫ですが、急いで飲ませようとすると鼻からミルクが逆流したり、下痢の原因になりますので注意が必要です。
◆必要な回数・量を守る
生後間もない子猫の死因の原因に栄養不足による低血糖があります。母猫の子猫への授乳時間は一日平均4時間、生まれたての子猫であれば6〜8時間になります。母猫が子猫に授乳するように、頑張って適切な回数と量を授乳しましょう。
1回あたりの授乳量が5ccに満たないときや自力で吸い付く力が無さそうな時はシリンジやスポイトを使って飲ませましょう。ミルクが気管に入ると誤嚥性肺炎を起こすので、ごく少量ずつ飲ませるように気をつけます。
◆臨機応変に対応する
授乳時間が来ても子猫が寝ている時は、お腹が空いて自分から起きてくるまで待ちます。寝ているところを起こして無理に飲ませてもあまり飲んでくれません。
ただし、生後14日頃までは8時間以上授乳しないでいると低血糖を起こす心配があるので、あまりにも長時間寝続ける時や、1回あたりの授乳量が少なかった時にはタイミングを見て回数を増やすなどして与えましょう。
子猫がミルクをうまく飲まない時に考えられること・対処法
もしも子猫がミルクを飲もうとしなかったり、うまく飲めていない場合は、以下のようなことが考えられます。
◆お腹がパンパン
子猫がミルクを飲まない時は、排泄をしているか確認します。ウンチやおしっこが出ないと、お腹が一杯でミルクを飲まないことが多いのです。
排泄していない場合は、お尻をティッシュなどで優しく刺激して促してあげてください。お腹が空けばミルクを飲むようになります。
◆哺乳瓶が合わない
吸い口の大きさ、硬さなどが子猫に合わず、うまく吸えずにミルクを飲まないこともあります。
その場合は吸い口を交換してみましょう。容器部分が大きすぎると、中のミルクが冷えて飲まないこともあります。
◆体が冷えている、低血糖
授乳中に子猫の体温が下がってくると、胃腸の活動性が落ちてミルクを飲まなくなることがあります。保護したばかりで子猫の体温が下がっている時、長期間放置されているなどして血糖値が下がっている時も自力でミルクを飲むことができなくなります。
まずは子猫を保温してから再度授乳して見ましょう。それでも飲まない場合は、保温しながらブドウ糖液や砂糖水などを少しずつ舐めさせて血糖値をあげます。子猫が動くようになったら、再度授乳してみましょう。
◆それでも飲まない時は
色々試してもミルクを飲まない時、まずは落ち着いて子猫の状態を観察しましょう。子猫が明らかにぐったりしていて元気がない場合や、保温しているにも関わらず子猫の体温が上がらない場合、子猫が元気そうに見えても何時間も何も口にしていない場合は子猫の命に関わります。
どうしても授乳がうまくいかない時は、可能な限り早く動物病院を受診して、必要な処置を受ける必要があります。
離乳食・フードへの移行方法は?
離乳期にはいきなりドライ状の餌を与えるのではなく、市販の子猫用離乳食を与えます。食べやすく、消化吸収のよいもので少しずつ慣らすことが必要です。
◆ミルクに少しずつ離乳食を混ぜて与える
最初はそれまで飲んでいたミルクに離乳食を混ぜてドロドロにしたものを与えてください。そして少しずつミルクの量を減らして離乳食に慣らしていきます。
離乳食を始めたらウンチの状態もチェックしましょう。いいウンチが出ていれば問題ありませんが、下痢を起こすなどの変化があればワンステップ前に戻って、焦らず進めていきましょう。順調に体重が増えていれば大丈夫です。
◆子猫用の缶詰やパウチを混ぜて与える
離乳の途中からは子猫用の缶詰やパウチの餌を混ぜ、離乳終了時には缶詰やパウチの餌だけでも食べられるようにします。
離乳食開始から3~4週かけて離乳食を終了します。生後6〜8週が、完全離乳の目安です。
◆ドライフードをふやかしたものを与える
その後、子猫用のドライ状の餌をミルクなどの水分でふやかしたものも少しずつ加えます。ドライ状の餌の量を少しずつ増やし、ふやかす水分量も減らしていき、だんだん固い餌を食べるように移行していきます。
まとめ
お母さんが何らかの理由で育児放棄してしまったり、生まれたばかりの猫ちゃんを保護したりした場合は、飼い主さんが代わってお世話しなければなりません。もしもそんな場面に遭遇した時のために普段から心構えをしておくと慌てなくてもすみますね。
ミルクも離乳食も、猫ちゃんが健やかに成長していくための大切なご飯。大変な時期はほんの少しです。いざという時は頑張って乗り越えていきましょう!
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