猫が目をそらす理由は?
◆広範囲を周囲を見渡せる猫
わずかな光さえあれば暗闇でも網膜に像を映すことができる猫は、短時間で網膜を移動する物体をとらえることが得意です。
また、人間はピントが中央に集中するのに対し、猫は周辺視野が広く、焦点が定まる範囲がやや広くなります。人間が20度までの角度で焦点が合うのに対し、猫は30度の角度まで焦点が合うようになっています。
猫の目は、まるでレーザーのように動体視力が高く、広範囲で常に周囲を見ていることになります。
◆飼い主さんから目をそらすのは信頼の証?
一方で、猫の目は人間ほど詳細に見える距離は非常に短く、ぼんやりとした像にしか見えていません。猫が相手をハッキリと見分けられるくらいの距離は6m程です。
猫はいつも自分の身の安全を確保し、また同時に獲物がいないかアンテナを張っています。ぼんやりと見える相手が敵なのか、獲物なのか、味方なのか、瞬時に判断しなければなりません。
けれど、飼い猫のように自分のいる環境が安全だとわかっている場合、対面する相手は自分を大切にしてくれる人だと理解しています。じっと見つめる必要もなく、「そこにいるな」と確認すれば目をそらしてやり過ごしても何の問題もないのです。
◆猫が目をそらすシチュエーション4つ
猫が目をそらすシチュエーションは様々ですが、基本的に猫が対面する相手から目をそらすのは、「あなたに敵意はありません」という意味であるといわれています。
– 1. 他の猫に出会ったとき –
同じ縄張り内に暮らす猫同士は、できるだけ他の猫に出会わないように暮らしています。けれど仕方なく出会ってしまったときは、お互いに目をそらすようにして、知らん顔をしてやり過ごすのが猫同士の礼儀です。一方で抜かりなく相手の観察し、緊張状態ですれ違います。
初めて会う猫でも、それが子猫の場合は成猫側が目をそらすようにします。これは子猫とはケンカができないためです。ボス猫のそばに子猫が近づいて行った時、ボス猫が子猫を見ないようにします。子猫に対する「しょうがないなぁ」という心の声が聞こえてきそうですね。
– 2. 叱られたとき –
いたずらをしたり、入ってはいけないところに入ったり。猫はいつも自分の気持ちのままに行動します。そんな猫を叱ってしまうことはよくあること。「こらっ!」「だめでしょ?」猫に声をかけながら近寄ると、当の猫はふいっと目をそらすことがあります。「全然反省してないな」とがっかりしてしまいますか?
大丈夫です。猫は十分反省しています。猫は喧嘩をしたり争ったりするときはしっかり目を合わせます。その反対、つまり仲良くしたい相手には目を合わそうとしないのです。叱られた時に猫が目をそらすのは「あなたと争う気はありません」という意味です。猫はあなたのいうことをよく理解しています。
– 3. 猫の顔を覗き込んだとき –
「遊ぼうよ」「ご機嫌はいかが?」と友好的な気持ちで猫の顔を覗き込んだ時、猫がプイッと横を向いて目をそらす…。「もしかして嫌われているのかなぁ」と心配になってしまいます。さっきの撫で方が気に入らなかったのかな?大きな声で話しかけたのが怖かったのかな?いろんなことを想像して不安になってしまいます。
大丈夫です。叱られた時と同様、猫が目をそらすのは「あなたに敵意はありません」という意味なのですから。
目をそらす猫にはそのままやさしく話しかけ、撫でてみてください。猫はリラックスしているはずです。目をそらした猫があなたから離れてしまったときはそっとしておきましょう。猫は一人でのんびりしたい気持ちなのです。けれど決してあなたを嫌っているわけではありませんから、安心してください。
– 4. カメラのレンズを向けたとき –
「うちの可愛い猫を、ぜひみんなに見てもらいたい!」と、カメラを使って写真や動画を撮影しようとすると、決まってそっぽを向く猫。目をそらし、全然こちらを向いてくれません。声をかけても、おやつやおもちゃで気を引いても、なかなかうまくいきません。目をそらすばかりか、完全に背中を向けて別の場所に移動してしまったり…。猫がカメラを嫌うのはなぜでしょう?
実は猫にとってカメラのレンズは「大きな目」のように見えているのです。猫に限らず、動物は無用な争いは避けようとします。縄張り争いや雌猫の争奪戦など明確な理由がない限り、猫は本格的な戦闘体制に入ろうとしません。無駄な喧嘩は自分の命を縮めることになりますので、せいぜい威嚇程度でしょうか。
レンズを猫に向けたとき、猫が目をそらすのは本能的なもの。大きな目(カメラ)は嫌いだけれど喧嘩する気は無い。「あなたに危害を加える気持ちはありません」という意思表示なのです。
そんな猫の気持ちは理解できるけれど、やはり可愛い写真や動画は残したいもの。どうすれば猫をうまく撮影することができるのでしょうか。
猫をうまく撮影する方法は?
いきなり猫に向かってカメラを構えて近寄っても、うまく撮影できないことが予想されます。想像して見てください。ピカピカ光ったり、変な音がする物体を持った大きな人間がどんどん迫ってきたら…怖いですよね。
猫をうまく撮影するにはいくつかのポイントがあります。
1. ズーム機能を使う
猫に近寄るよりも、少し離れた場所から撮影する方が猫の自然な表情が撮影できます。猫に気付かれて怖がらせないためにもシャッター音はオフにしておきましょう。
また、猫の目は光に敏感です。フラッシュ機能は猫の目を失明の危険にさらすこともあるため使用しないようにしましょう。
2. カメラに慣れてもらう
猫に「カメラは怖いものではない」と覚えてもらいましょう。普段から猫のいる部屋にカメラを置いておき、猫以外のいろんなものを撮影して、猫の日常にカメラを組み込んでいきましょう。カメラは怖くないと理解してくれたら猫の撮影はぐんとやりやすくなります。
3. 猫と同じ目線で撮影する
いきなり上から覆いかぶさるようにカメラを構えたら、猫も恐怖を感じるに違いありません。猫と同じ目線までカメラを下ろしてみれば、猫を怖がらせないことに加えて、一風変わった猫の表情が取れるかもしれませんね。
4. 猫を安心させる
猫をうまく撮影するためには、普段からの信頼関係が築けていることが大切です。近寄るだけで逃げられるようでは撮影どころではありません。
仲良くなれた猫に、やさしくゆっくり話しかけましょう。「可愛いね」「いい子だね」などなど、猫を褒めちぎりながらカメラを使ってみましょう。こちらの気持ちが通じるのか、猫は安心してくれることが多いようです。
逆に、猫が目を合わせる理由は?
◆目を合わせるのは喧嘩の合図!
猫の世界では正面から目を合わせることは喧嘩を売っている意味。互いに睨み合い、威嚇しあって「喧嘩上等。やる気があるならこっちもやるぜ!!」と喧嘩に発展してしまうことになります。睨み合いの時点で「負けた」と感じた猫は、喧嘩になる前に目をそらす、うずくまる、時にはゴロンと寝転がってお腹を見せるなど、服従の意を示します。
ただし、うっかりと目を合わせたために喧嘩になってしまっても、一度でも猫同士の間で優劣が決まってしまえば、同じ猫同士で何度も喧嘩することはありません。次に顔を合わせても、喧嘩に負けた猫が目をそらすようにして、目線を合わせません。これは「あなたに喧嘩を売る気はありません」という意味なのです。
猫同士が目を合わせるのは、基本的には親子、兄弟間などの限られた関係のみです。
◆親しい間柄ならアイコンタクトの意味も
アイコンタクトとは、目と目を合わせてお互いの意思を通わせる、言葉を介さないコミュニケーション方法を指します。他の動物とはなかなか目を合わせない猫もアイコンタクトでコミュニケーションを取ることがあります。
猫があなたのことをじっと見つめているときはどんな時ですか?例えば、ご飯を食べる場所に座っていませんか?トイレの前でウロウロ?あるいはドアの前?
これらのときは猫が何かあなたに対して要求したいことがあるのかもしれません。「お腹が空いたよ」「トイレが汚れていて不快です」「外が気になるなー」などなど、猫があなたに何かをしてほしいという意味が込められているのです。
猫とあなたの目があったとき、猫がゆっくり瞬きするときもあります。猫は瞬きが少ない動物です。これは猫の眼の内側にある白い膜「第三眼瞼」が目を閉じるたびにワイパーのように目を覆います。その時にゴミを除去し、水分の蒸発を防ぐ油分を目の表面になじませる働きをしてくれるためです。
そんな猫があなたと目があったとき、あえてゆっくり瞬きをするのは、あなたとアイコンタクトを取っているのです。込められた意味は「あなたのことが大好きです」。人間が微笑むように、猫はゆっくりと瞬きすることであなたに好意を抱いていることを伝えているのです。
猫と目が合ったらどうしたらいい?
猫同士のルールでは視線を合わせることは喧嘩を売っている意味になります。外で猫に出会ったときや、猫を買い始めたばかりであまり信頼関係が築けていない時期に、猫の目をじっと見つめてしまうと猫に嫌われてしまいます。わざと目をそらす猫には、顔をのぞきこんだりしないでそっとしておきましょう。
そして、あなたを見つめながら寄ってきたり、鳴いている猫はあなたに対して好意を抱いています。優しく声をかけたり、撫でてあげましょう。あるいはあなたに何かしてほしいことがあるのかもしれません。猫が何を伝えているのかを読み取って、猫との信頼関係を築きましょう。
猫がゆっくり瞬きしてくるときは猫からのラブコール。こんなときはあなたもゆっくり瞬きして返しましょう。それは「私も君が好きだよ」と猫に返信することになります。猫との信頼関係を築くチャンスですよ!
まとめ
猫は言葉を話せない代わりに、体全体で気持ちを表現します。中でも猫の目はとてもおしゃべりです。瞳孔が細くなったり大きくなったり、瞬きしたり、そらせたり…。時には熱い(?)視線を注いできます。大好きだからといって、むやみにこちらも猫の目を見つめ続けることはやめて、猫の視線の意味を汲み取り、シチュエーションにあった対応をしましょう。
私たちを見つめる猫の気持ちを理解して、もっと楽しく有意義な猫ライフを送りたいものですね。
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