セイロンキャットの歴史について
セイロンキャットの魅力についてお話しする前に、まずは歴史についてお話ししていきたいと思います。
ある一人の人間がセイロン島の一匹の猫と運命的な出会いをしたことから、セイロンキャットの歴史がスタートするというどこか心温まるお話です。
◆セイロン島に住む野生猫が元祖
1984年のこと。ある一人のイタリア人獣医師がセイロン島を訪れました。
彼はセイロン島で、野生の一匹の猫ちゃんと偶然出会いましたが、その猫に一瞬で魅了されてしまいました。
…というのも、その野生の猫があまりにもフレンドリーだったからなのだとか。
「野生猫」と言えば、一般的には「人間に対しては警戒心を見せる」とイメージされるものですよね。触ろうと思っても近くにさえ寄ってきてくれないのが普通です。でも、その猫は「とても野生とは思えない」レベルの人懐こさだったようです。
その猫の人懐こい様子が気に入った獣医さんは、セイロン島の野生猫を何匹かイタリアへ連れ帰りました。そして、なんとキャットショーにも登場させてみたのです。
すると周囲の評判も上々で「だったら猫種にしてみよう」という計画が発動、その後4年の歳月が過ぎたころに現在のもとになる「セイロンキャット」が誕生することになったのです。
◆セイロン島とは
セイロンキャットの由来にもなっている「セイロン島」は、インド洋に浮かんでいる島国です。
イギリス領から独立したときには「セイロン」でしたが、1972年からはスリランカと改名されています。
島の政治はスリランカの国が行っていますが、島そのものはいまだ「セイロン島」と呼ばれます。そのため、島で採れた産物は「セイロン」にちなんだネーミングが多いです。紅茶でおなじみのセイロンティーもこの島の名物なんですよ。
◆イタリアで育つが原産はスリランカ
セイロンキャットは獣医師がイタリア人だったので、イタリアで交配がスタートしましたが、原産はスリランカということになりますね。「セイロン島」という地名にちなんで、セイロンキャットと名付けられました。セロニーズという別名もあります。
セイロンキャットの特徴ってどんなものがある?
セイロンキャットは見た目に特徴がいくつかあります。どんな特徴があるのでしょうか。
◆1本の被毛に複数カラー!
セイロンキャットには、レッド、ブルー、ゴールド、クリーム系などの多彩なカラーがあって、それぞれに個性があり鮮やかな色合いが魅力です。
一般的な猫は1本の毛に一つのカラーが入っています。でも、このセイロンキャットは1本の毛に数色のカラーが見られるという特徴があります。「皮膚からの生え際」と「毛の先端」を比較するとカラーが違うなんて、なんだか面白いものですね。
この被毛の特徴は「ティックド」と呼ばれ、他の猫種ではアビシニアンにも見られます。そのため、セイロンキャットは「アビシニアンと似ている」と言われることが多いです。
また、セイロンキャットのなかには、ゴールド系の被毛に「黒」が混じっている毛を持つケースがあり、それは「マニラ」と言われています。
◆クールで上品な外見
セイロンキャットの体型は、かなりスレンダー。細身だからと言って「痩せすぎ」という印象はなく、上品に筋肉がついていて健康的で美しい体型です。
顔もほっそりしていて、丸く形のよい瞳に三角形の耳が凛々しさを増していて、美しさに見惚れるくらいの上品さが感じられます。
セイロンキャットの被毛の特徴と合わせてとても神秘的で「美しいペットが欲しい」という人にも人気があります。
◆アビシニアンと似ている…?
セイロンキャットは「アビシニアン」とよく似た特徴をいくつか持っています。
さきほどお話しした「被毛」のパターン以外にも全体的にスレンダーなところ、そして三角形の立った耳もよく似ています。野生のアビシニアンと言われることもあり、「クールな雰囲気なのに甘えたがり」なところも激似なんですよ。
日本では、セイロンキャットよりもアビシニアンの方が知名度的にはなじみが深いかもしれません。日本ではまだ注目度は低いセイロンキャットですが、実はセイロンキャットという猫種登録のきっかけにもなった獣医さんが住んでいたイタリアでは、かなりの人気者です。
魅力点が多い!セイロンキャットの性格とは…?
セイロンキャットは外見にも惹きつけられる特徴がありましたが、性格もチャーミングで一緒に過ごせばそのチャーミングな可愛さに魅了されるかと思います。
◆優しくフレンドリーな性格
セイロンキャットは、人間に対しても友好的で人懐こさがあり人間との暮らしもスムーズです。一人暮らしの人はもちろん、家族が多いところでも自然に溶け込んでくれると思います。
小さな子供の相手もセイロンキャットは持ち前の人懐こさで対応してくれます。
頭が良い猫なので「気に入らないから攻撃しちゃえ」という発想にはなりません。優しい気持ちで一緒に過ごしてくれますよ。一緒に遊ぶのも大好きなので、子どもの遊び相手としても大活躍してくれるかもしれませんね。
セイロンキャットはフレンドリーな性格なので、一緒に楽しい生活を送ることができるでしょう。
◆ギャップに萌える…実は甘えん坊
セイロンキャットはほっそりしたフォルムなので、どこか上品でクールな印象を持ちます。立ち姿も凛々しいので、人に甘えるイメージがあまりないかもしれませんが、実は甘えん坊の一面もあり、外見を良い意味で裏切ってくれるセイロンキャット。そのギャップが可愛く、猫好きさんのハートをキャッチすることでしょう。
また、セイロンキャットのオスは自分の頭を擦り付けてくる行動を多く見せます。
飼い主さん的には「甘えているんだな」と思ってしまいそうですが、実はオスとしての本能なのだとか。自分のニオイを擦り付けることで「自分のテリトリーなんだ」と周囲にアピールしているのです。
いずれにしても「好きな人」だからこそ…の行動です。セイロンキャットに頭をスリスリされたら、好かれているのだと思って間違いないでしょう。
◆活発でパワフル
もとが野生猫だったセイロンキャットは「活発」な動きをします。
「すばしっこい」という表現がぴったりなほど運動能力が高いことを一緒に暮らすなかで感じることでしょう。
セイロンキャットは人懐こいので、人間とも上手く生活してくれます。
セイロンキャットと暮らしたい!どんな点に注意すべき?飼い方のコツについて
セイロンキャットと一緒に暮らすときに知っておきたい注意点や飼い方のコツについて紹介していきます。
◆運動はたっぷりさせてあげよう
セイロンキャットは、野生出身ということもあり「運動神経がいい」という運動面については、ワイルド系です。スリム&筋肉質という体型を活かし、動きはとても軽やかです。
また、何事にも興味を持つタイプなので、家のなかでもまるで野外にいるように動きたがるでしょう。
セイロンキャットが「運動したい」と言う衝動を見せたときには、思いっきり遊ばせてあげましょう。
ただ、動きが早すぎるゆえ、ケガにも繋がりやすいです。セイロンキャットが遊ぶ範囲内には、危険なものを置かないように配慮もしてあげてくださいね。
◆社会性を教える「しつけ」も大事
セイロンキャットは野生時代の名残で、動きたいというスイッチが入ると、ジャンプしたり着地したり、びっくりするくらい動くかもしれません。キャットタワー以外でもタンスや家具、カーテンなどを上手に使って運動するでしょう。
セイロンキャットの本能のまま運動をさせると、「OKなこと」と「ダメなこと」のラインが曖昧になってしい、かなりヤンチャ系に育ってケガをすることも…。
セイロンキャットを育てるときには、幼少時から注意すべき点は根気よく教える必要があります。
ただ、運動すること自体を制止すると「運動不足からの苛立ち」へと変わってしまいます。家具やカーテンにセイロンキャットを登らせたくないなら、キャットタワーを設置するようにするといいでしょう。
また、セイロンキャットが危険な遊びをしようとしたら猫用のおもちゃで一緒に遊んであげるなど、危ないことを回避できるように、注意をこちらに向けるようにするのもいいでしょう。
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天井の高さや愛猫の成長にあわせて組み替え自由なキャットタワー。おしゃれなチャトラ柄。
ジョイントしてネジでとめるだけで、簡単組み立て。高さ調節は228~273cmまで調節可能。フレームタイプなので奥行きが少なくスペースを取りません。
◆放置し過ぎはNG
セイロンキャットは、遊ぶスペースがあれば一人で楽しく遊んでくれると思います。頭も良いので、一緒に暮らしやすい猫種です。
キャットタワーやオモチャは、セイロンキャットと暮らすなかでは準備したい必須アイテムかもしれませんね。
ただ「楽しく遊んでいる」と思って放置しておくのはNGです。
セイロンキャットはワイルドかつ上品な見た目ですが、人間に甘えることが好きな人懐こさがある猫です。人懐こく、人との関わりを好む猫なので、「誰も自分に構ってくれない」と気づくと寂しさがつのります。飼い主さんが構わな過ぎたり、留守番ばかりさせたりなど「ずっと孤独」だとストレスにもなるでしょう。
ときには、一緒に遊んで時間を共有してくださいね。
また、セイロンキャットは子どもと遊ぶのも好きなのですが、あまりにも年齢が低い場合には大人が付き添ってケガをしないように見てあげるなどの配慮も大事です。
◆正しいお手入れで自慢の被毛をキープしよう
セイロンキャットの被毛は、独特です。1本に数種類のカラーですから「色の組み合わせ」や「毛の生え方」などによっては神秘的な魅力がありますね。被毛のカラーは、明るめのゴールド系や落ち着いたブルー系、爽やかなクリーム系などさまざまです。
セイロンキャットは短毛ですが、カラーバリエーションが多いので「ツヤ」が感じられますし、触ったときにもしなやかで撫で心地も抜群です。
被毛のお手入れが悪いとせっかくの魅力も半減するので、ケアを大事にしてくださいね。
長毛の猫とは違い、短い毛なので毎日のようにブラッシングする必要はありません。
ただし、短毛でも抜け毛はあります。短毛種用の専用のブラシを使って、取り除くようにしましょう。被毛の健康=皮膚の健康です。
ブラッシングをするときには、セイロンキャットの皮膚をマッサージするように丁寧にやってみてくださいね。抜け毛取りに必死になって力を入れ過ぎると皮膚を傷めてしまうこともあります。結果的に「ブラッシングはイヤだ!」と今後のケアが大変になるかと思います。
愛猫への力加減は難しいので、様子を見ながら上手にブラッシング習慣をつけてみましょう。
●猫のブラシについての記事はコチラ
猫を飼っていると、必要になってくるお手入れのひとつ、ブラッシング。短毛でも、長毛でも、どちらの種類でもブラッシングは欠かせません。毛の種類に合わせて行うことが大切です。もちろん猫専用のブラシを使うことも基本です。ブラシの選び方にもちゃんと理由があるのです。猫の正しいブラッシングの仕方とおすすめ手順もあります。猫のブラッシングにおすすめのブラシ、種類に合わせた手入れの仕方についてご紹介します。
セイロンキャットの購入ルートは?日本では入手が難しい?
セイロンキャットは日本では知名度が低いこともあり、ペットショップではなかなか手に入れにくい猫種です。
日本ではセイロンキャットについての情報も少なくブリーダーがいないと思うので、購入するときには、もしかしたら海外からの輸入になるかもしれません。イタリアではかなりメジャーな猫なので、まずは海外のブリーダーへの問い合わせになるでしょう。
ただ、海外からの輸入となると購入価格は高めだと思います。猫の費用だけでなく輸入にかかる諸費用もプラスされるので、一般的な猫種を購入するよりは高めと感じることもあるでしょう。
まとめ
セイロンキャットという猫がどのような猫かについて分かっていただけたでしょうか。
島国生まれでイタリア育ちというルーツを持つセイロンキャット。「ワイルド」と「上品さ」を融合させたような独特の雰囲気、でも実は甘えん坊というギャップがかなり魅力的です。セイロンキャットは日本ではまだメジャーではありませんが、イタリアでの人気は高いそうです。
基本的に優しく穏やかなので、飼育するときの難易度は低い方かと思います。子どものためにペットを飼ってあげたい…という家庭にも安心の猫ちゃんと言えるでしょう。
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