猫たちの恋愛は「恋の季節」と呼ばれる時期にピーク
猫界では、年間を通して恋愛をする訳ではありません。恋の季節と呼ばれるある時期になると、あちこちで恋模様が見られます。
◆猫の恋の季節~発情期~
人間の恋愛は「デートに誘う」「一緒に食事に行く」など段階的なものですよね。でも、猫界での「恋愛」はストレートで情熱的なものを指します。
恋愛モードに突入する季節、年に2回ほどある「発情期」と言われる期間になると、猫は「恋がしたい」と本能的な行動を見せるようになります。
一般的に発情期は、春と夏ですが、特に寒い季節の終わりから初春にかけてがピークなので、「猫の恋の季節=春」とイメージされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫の恋は春の季語としても捉えられていて、俳句で「猫の恋」にまつわるエピソードを盛り込めば、春を詠んでいるものと考えられることが多いです。
◆猫の発情期に見られる行動
人間界だと、どちらかというと男性から女性にアプローチすることが多いかもしれません。
でも、猫の世界での恋愛は、メスに起こる発情期がきっかけとなりスタート。「恋人募集中」というメス猫の発情行動によって、オスも恋愛モードになります。
そのため、恋愛する気がゼロというメス猫に対してオスがマウンティングするなどもありません。ふだんは紳士的にふるまっているオス猫も「恋人が欲しいですよ」とアピールするメスに対してだけ、その気になるという感じでしょうか。
発情期にはメスが本能的にオスを求め、自分と交尾してくれる相手をパートナーにしようとします。人間の恋愛と比較すると直接的な行動ですよね。
メス猫は、鳴き声で「私は発情している」ということをアピールします。
そのため、猫の恋愛の季節には飼い猫や街猫たちが「ニャーニャー」と鳴くことが多いのです。そんな声を耳にすれば、春の訪れが近いことを感じる人もいるのではないでしょうか。
猫の「モテる」ってどういうこと?
猫の恋愛は、メスの立場の方が上です。彼氏募集中のメス1匹に対して、どこからともなくオスたちが集まってくることもあります。オスには発情期がないので、「恋愛したい」とメス猫の鳴き声を聞いたとたん、繁殖行動を起こしたくなる本能が湧きあがってきます。
そんな「メス」が一歩リードする猫界の恋愛ですが、実はメス猫がすべてモテるわけではないようです。
◆残念ながら、モテない猫もいる…
メスのOKがもらえれば恋愛できるので、オスたちは競争が激しそうですね。発情しているメス猫が近くにいないと、恋愛もできないかもしれません。
メスが主導権を握る猫界での恋愛ですから、「どんな猫もモテるだろう」と考えますが、残念なことにオスがよってこない「モテないメス猫」も存在します。
オスの近くでアピールしているのに、オスが知らん顔という状況もあり、メスだけが発情している寂しい状態というのもあるのだとか…。
発情しても受け入れてもらえないのは、悲しい出来事かもしれません。メス猫にしてみれば「どうしてなの?」と泣きたくなる現状ですよね。
◆モテるメス猫は「オス猫」選び放題?!
一方、モテるメス猫の周りには、オス猫がたくさん集まり、周りでオスたちの争いが始まることもあります。
たくさん集まったとしても、メス猫はオスを1匹ずつ順番に相手をする訳ではありません。そのなかから、「自分の相手にしたい」という好みのオスを受け入れるのです。
集まったオス猫から選び放題なようにも思えますが、ちょっと違う部分があります。
◆ライバル多数の場合、オスはケンカで決着をつける
ライバルが多数いる場合には、その場にいるオス猫同士で1匹のメス猫の恋の相手を勝ち取る必要があります。
何匹ものオス猫が集まれば「俺が!」「僕が!」と名乗りをあげ、やがてヒートアップして闘いになるでしょう。
自分を奪うために異性がケンカをし合う…、そんなシチュエーションになればかなりのモテ猫と言えるかもしれません。それは、人間界でも同じことですよね。人間の場合、一度に何人もが争うことは滅多にないかもしれませんが…。
◆交渉権を獲得したオス猫はメスと恋愛できるの?
では、メス猫の恋愛相手になるためには「闘いに勝つこと」が条件なのでしょうか?
実は、残念ながら闘いを制したオスでも、メスに気に入られなければ「交尾ができない」という悲しい現実もあります。
ライバルに勝ったのだから「俺を見てくれ!」と勝者のオスはメスにアピールできるのですが、必ずしも恋愛がスタートできるわけではありません。
メスの発情につられて自分も恋愛モードになったオスにとっては「なにがなんでもこの子と恋愛したい」ところでしょうが、メス的に気持ちが乗らなければフラれてしまうことも珍しくないようです。途中までメスの体に寄りかかりながらも最終的に「止めて!」「触らないで!」と拒否されることもあります。
つまり「決闘に勝ったオス」だからと言って「メスと恋愛できる」は必ずしもイコールではないようです。メス猫も「誰でもOK」というわけではないのです。
そんなにオスが集まっていても好みに合うパートナーが見つからないこともあるなんて、猫の世界でも恋は難しいのですね。
◆メス猫の発情期間が過ぎ去れば恋愛は終了
めでたく恋愛ができたカップルでも、メスの発情期間が過ぎれば恋愛は終わりを迎えます。
メスは発情期間には本能的に「恋人が欲しい」という気持ちとなり相手を見つけます。
しかし、期間が終わるころにはオスが近づいてくるのも「うっとうしい」と感じるようにさえなるようです。恋愛が終わりかけてもオスはメス猫に近づこうとするかもしれませんが、メスの態度は急変です。
猫の恋愛はメスの発情期間に合わせて、あちこちで恋が生まれていたり、フラれていたり、お別れがやってきたりというシチュエーションが見られるようです。
モテる猫の条件は「フェロモン」が関係していた!
なにげなく使っている「色っぽい」「色気がある」というイメージのフェロモンという言葉。人間の世界でも「フェロモンがある」なんてよく耳にしますよね。
猫の世界での「モテる」には、フェロモンが関係していると言われています。
◆そもそもフェロモンとは何?
実はフェロモンは、動物同士のコミュニケーションのために、自身の体から放出する「分泌物」です。
その分泌物は無臭ではないものの、微量なため、強い臭覚によってのみ感じることができるものです。
◆猫のフェロモンってどんなもの?
猫のフェロモンは、メスが発情したときに体から発せられるニオイです。フェロモンとひとくちに言っても恋愛に関係するフェロモンだけでなく、縄張りを示すフェロモンなどさまざまです。また、猫の感情によって、分泌される場所も変わります。
◆オスを惹きつける「恋愛フェロモン」
猫が出すフェロモンのうち、モテるメス猫がたくさん出すのがこの「恋愛フェロモン」です。
メス猫の発情行動として尿スプレーは有名ですよね。尿をするときにしっぽをあげ、尿を勢いよく散らす「尿スプレー」という行動をし、フェロモン混じりの尿が噴射されます。この尿にモテるフェロモンが混じっています。
パートナーを欲しがっている発情中のメス猫限定で出すことができるフェロモンです。このニオイをオスが察知することで、「このメスは発情しているから自分も受け入れてもらえるかも」と知ることができるのです。
◆安心感から出る「フェイシャルフェロモン」
猫の顔面から出すフェロモンが「フェイシャルフェロモン」です。
アゴや頬、おでこなど顔面から出す心情としては、「安心する」「落ち着かせる」のような気持ちからだと言われています。
猫を飼っていると顔をスリスリと擦り付けてくる行動がありますよね。これは、自分の好きなものに対してフェイシャルフェロモンのニオイを染みこませて「自分にとって安心できる、居心地のよいものにしたい」という意味からなのです。
◆猫には特殊なニオイをキャッチする器官がある!?
メス猫が「彼氏が欲しい」とフェロモンを発しても微量なため、発情期のメス猫が出しているニオイに人間が気づくことはないでしょう。
でも、猫たちはこれらのニオイを素早くキャッチできる器官を持っています。
猫の嗅覚は人間よりもかなり優れていると言われていますが、フェロモンのような特殊なニオイを嗅ぐことができる器官も、他の動物よりも発達しているのです。
◆微量なフェロモンを察知する「ヤコブソン器官」
猫の口のなかの口蓋と呼ばれる奥の部分に「ヤコブソン器官」という器官があります。
ヤコブソン器官は、猫の体から分泌する本当に微量な成分をキャッチできる特殊なセンサーのようなものです。
ヤコブソン器官で察知したフェロモンは、一般的なニオイをキャッチしたときとは違った経路で脳へと伝わります。そのため「鼻でニオイを嗅ぐ」のとはまた違って、本能的に感じることができるものです。
ヤコブソン器官でメス猫のフェロモンを感じ取ったオス猫は、「フレーメン反応」と言われる現象を見せます。
このフレーメン反応が起こったオスは、口をポカーンと半開きにして、ちょっとウットリした顔つきとなり「心ここにあらず」といった状態に…。そして、半目で目の焦点が定まっていない雰囲気ですが、口を少し開けることでフェロモンの微量な粒子が器官へと伝わっていると考えられています。
モテない猫は恋愛ができないの?
モテる猫は体からフェロモンがたっぷり放出されます。そのため、オスはニオイに惹きつけられるように発情をスタートします。鳴き声でオスを呼び、それに誘導されたオスが発情するかしないかは「フェロモン量」にかかっています。
つまり、フェロモンが少ないメスはせっかく呼び寄せたオスを発情させられない「モテない猫」。恋愛したいのに相手が見つからないのも、少し切ない話ですね。
フェロモンを多く出せるメス猫はモテタイプで、少ないと「恋愛下手」ということになります。
避妊手術や去勢手術が必要な場合も
猫の恋愛は、避妊手術や去勢手術をしていない猫たちだからできるものです。基本的に、手術を受けていれば、発情しないので恋愛モードになることはありません。異性の猫に興味を持って「恋愛したい」と騒ぐこともないでしょう。
発情は「異性と恋愛したい」と心から望むときですが、相手が見つからずにどうしたらいいかと問題行動を見せることが多いです。
特に、室内で暮らしているオスやメスは異性と恋愛できずに大変なことですよね。大きな鳴き声を出したり、脱走しようとしたり…。強いストレスを感じている愛猫を見るのは辛いかもしれませんね。
手術をすれば問題行動は減るかもしれませんが、太りやすくなる可能性も大きいです。今後の生活で注意すべき点やタイミングなど大事なことも多いので、しっかり知識を持って考えてあげなければいけないことでしょう。
まとめ
猫たちの恋愛についてお話ししてきました。いかがでしたか?
猫界では、恋愛においてはメスの方がリードすることが分かり、人間とは違った流れで恋愛が行われているのが面白いですね。そして、猫界でのモテる事情には猫が発するフェロモンが関わっているのも興味深い話です。
そんな裏事情を知ってから、猫の恋模様を見るとちょっと違った見方ができるかもしれませんね。
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