猫に耳掃除は必要?正常な耳の状態とは
猫の耳は、健康な猫であれば、基本的にそれほど汚れることはありません。
耳垢は、耳の中のアポクリン汗腺から分泌されたタンパク質、皮脂腺から出た脂肪が混ざり、さらにそれが古くなってはがれた皮脂と混ざったものです。
猫の耳垢には個体差もあり、耳垢が多い猫、全く耳垢の出ない猫などもいます。
また、夏場は湿った耳垢、冬場は乾いた耳垢など、季節によって耳垢の状態が変わることもあります。
・猫がよく耳を掻いている
上記のような状態が見られるような場合には、耳掃除が必要です。
猫の耳のチェックとして、日頃からどのような点を見ればいいのか見てみましょう。
◆耳垢の状態について
耳垢がたまっている、目に見えて大きい汚れがある、広い範囲で黒いものがあるなど、汚れがひどくなっているかどうかを確認します。
正常な耳垢は、やや茶色で湿っているような状態です。
・パサパサしている
・黄色や緑、黒などの色がついている
上記のように、いつもと違う耳垢の状態であれば病気の可能性もあります。
耳垢が粘ついていて固まりになっていたり、膿のようなドロドロの状態であったり、血が出たりしていれば、病気や寄生虫などが疑われます。その場合は、動物病院で早めに見てもらう必要があります。
◆耳の中の匂いについて
正常な耳垢は、臭いはほとんどなく、無臭に近いと言っても良いでしょう。
腐ったような臭いや、酸っぱい臭いがした場合には、耳に何か問題があると考えられます。
他にも、生臭い臭いや鼻にツンとくる臭い、普段と違う臭いがする場合には、病気にかかっていないか確認してみましょう。
考えられるものとして、真菌が繁殖することによる外耳炎、痒みをともなう耳ダニ、細菌感染、怪我などがあります。
◆耳の中の傷について
耳垢がひどい場合、赤い発疹やかさぶたなどが耳の中に見られることがあります。
傷の理由としては、猫同士の喧嘩、病気で痒みがあるために引っ掻いたなどが考えられます。
耳掃除のしすぎによって傷が出来てしまい、外耳炎の原因になることもあります。猫が後ろ足で頻繁に掻くようであれば、さらに悪化させるおそれがあります。
耳をチェックして傷がある場合には、むやみに触ったり、刺激を与えたりしないで、動物病院に連れて行きましょう。
猫の耳にトラブルが起こる原因は?
耳にトラブルが起こる原因として、ダニなどの寄生虫や外耳炎などの病気、または耳に何か異物や水が入った時、他にはアレルギーが考えられます。
◆原因①耳ダニ感染症
耳ダニが、猫の耳や外耳道に寄生して起こります。黒っぽい耳垢が見られることでわかります。
ダニに感染している猫と接触するなど、外に出ている猫は感染する可能性が高くなります。そのため、多頭飼いの場合は、一緒に住んでいるペット全てにダニの駆除と治療をする必要があります。
◆原因②外耳炎
耳に痛みや痒みがあり、外耳道や周りが赤く腫れ、耳垢が出ます。耳をよく掻いたり、頻繁に頭を振ったり、壁などに耳をこすりつけるようになります。
外耳炎になる原因は、耳に異物が入ったり、ダニなどの寄生虫がいたり、アレルギーだったりと、色々なものがあります。
他にも、耳の中に水が入って外耳道が湿ると、細菌や真菌の感染が起こることで外耳炎になることもあります。
◆原因③中耳炎
中耳炎になると、中耳の部分に炎症や痛みが起きます。外耳炎に続いて中耳炎になることが多いため、外耳炎と同じような症状が現れます。
中耳炎になって、中耳の奥にまで炎症が広がってしまうと、平衡感覚が失われてしまうこともあります。ふらついていたり、うまく歩けていなかったりする時には、中耳炎になっている可能性もあります。
これらの病気の場合には、症状を治してから耳掃除をするか、または治療として耳掃除をすることになると考えられます。病気が疑われる場合は、まずは動物病院で獣医師の診察を受けましょう。
猫の耳掃除の方法
猫の耳は皮膚が薄く繊細なだけでなく、触られるのを嫌がる猫も多くいます。出来るだけ猫が苦痛に感じないような耳掃除をしてあげましょう。
◆準備するもの
猫の耳掃除をする際は、以下のものを準備するようにしましょう。
・猫用イヤークリーナー
◆コットンを使った耳掃除の手順
- コットンや綿棒を用意し、猫用のイヤークリーナーに浸します。
- 猫の耳の内側を見て、汚れを確認します。耳はデリケートなので、猫が嫌がらないように、負担にならないように優しく触ります。
- 汚れがあれば、コットンや綿棒で耳の奥から外に向かって優しく拭き取ります。コットンや綿棒はあまり奥に入れなくて大丈夫です。
飼い主さんがする普段の耳掃除は、この程度で良いでしょう。猫の耳を見て、目に見える範囲を綺麗に出来れば十分です。
汚れがなかなか取れない場合や、奥がとても汚れているという時には、飼い主さんがやろうとするのではなく、動物病院やトリミングサロンで診てもらうべきだと考えましょう。
◆イヤークリーナーを直接耳に入れる耳掃除
他に、イヤークリーナーの液を直接耳の中に注いで、掃除をする方法も広く知られています。
ただ、猫の耳に腫瘍や傷があったりすると、悪化させて中耳炎になったり、他のトラブルが起こることも考えられます。
イヤークリーナーを直接耳の中に使用する前には、一度獣医さんに確認して、猫にとって必要かどうかを判断してもらったほうが良いでしょう。
- イヤークリーナーを2適ほど耳につけ、耳の根元あたりを優しく揉みます。
猫が耳に液体が入ったことで頭をパタパタ振って、汚れと液が飛ぶ可能性があるので注意しましょう。 - コットンや綿棒などでイヤークリーナーを拭き取ります。
猫の耳掃除のポイント
◆耳掃除の頻度は耳の状態に合わせて
飼い主さんが家庭でする場合の耳掃除の頻度は、週に1度という説が多くありますが、目安と考えて、汚れの状態に応じてするようにしましょう。
汚れていなければ、週に1度耳掃除しなければいけないという理由もありません。週に1度は、汚れの状態をチェックする、ということで良いでしょう。
◆耳掃除のしすぎには注意
猫の耳は皮膚が薄く、奥の方もデリケートで体内つながっているため、強い力でこすったり、奥まで掃除したりしてはいけません。掃除をしすぎることでかえって耳に傷がつくなど、耳に余計なトラブルが増えてしまうおそれもあります。
実際の耳掃除は、猫の耳の様子をしっかり観察しながら、やりすぎないように心がけましょう。
◆猫用のイヤークリーナーを使用する
猫の耳はデリケートであることと、医薬品などを吸収しやすい部位であることから、むやみに薬を使用して耳掃除をすることは危険です。
特に、ティートゥリーというアロマを使用したことにより、猫が中毒を起こしたことが知られています。
猫用のイヤークリーナーには、耳垢や古い皮脂が取れやすくなる成分が含まれているので、優しく撫でる程度でも汚れは落とすことができます。安全のためにも、必ず猫用のものを使用するようにしましょう。
◆猫がリラックスしている時に行う
猫がリラックスして落ち着いている状態の時にすると良いでしょう。声をかけながら、驚かせないようにして、時間をかけずにするのがコツです。
猫が動く場合には、抱っこするなどして少し抑えておく必要もありますが、あまり嫌がる場合には無理やりしないことです。
◆耳の外側、見える範囲だけを掃除する
あまり耳の奥までを掃除する必要はありません。外側にある皮脂や汚れを取り除ければ、耳掃除は出来ています。
耳の奥から汚れがひどかったり、耳垢が詰まっていたりするような場合には、飼い主さんが自己判断で耳掃除をするのではなく、動物病院で診てもらいましょう。
◆指で耳の奥の耳垢をとらない
指でこすったりして耳の奥の耳垢を取ることは、絶対にしないようにしましょう。
耳掃除をしているのに、耳垢をさらに奥まで押し込んでしまうことになる可能性があります。また、猫が暴れた時に耳を傷つけるおそれもあります。
耳の奥を掃除したい時は、動物病院で獣医さんにしてもらった方が安心でしょう。
まとめ
もともと綺麗好きな猫ですから、耳掃除は必要な場合にだけ、人間がやってあげるということで良いでしょう。嫌がっているのに必要だからと無理に耳掃除をすると、猫にストレスを与えてしまいます。
病気や怪我などの耳のトラブルや、ひどい汚れが無ければ、耳掃除は頻繁にしなくても良いものです。まず、汚れを普段からチェックすることを習慣にしてください。
日々のチェックが病気やトラブルの早期発見に役立ちます。
普段のコミュニケーションや、スキンシップの延長として耳掃除が出来ると、猫も喜んでくれるでしょう。
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