冒険心に満ちあふれるワイルド系の「オス野良猫」
ひとくちに野良猫と言いますが、オスとメス…という性別の違いで生活パターンが違います。まずは、オス猫の生活パターンについて見ていきましょう。
◆単独行動が好きなオス猫
オスの猫は、基本的に単身で行動することが多くマイペースです。もともと冒険心が強い性質なので、メスと比較すると行動範囲がかなり広め。決まった範囲に定着して生活することはあまりなく、放浪の旅が大好きです。
◆幼い頃に家族と離れる
基本的にオスの野良猫は“ワイルド系”で単独行動を好みますが、生まれて間もない幼い頃には家族と一緒に過ごします。母親や兄弟たちと生活することで、「一人で生きる術」を習得していくためと言えるでしょう。
しかし、その生活は長くは続かず、遅くても生後2年頃までには自然と家族から離れていきます。
これは、成猫になったオスが同じ母から生まれたメスと恋愛になることを避けるためのようです。本能的に「近親交配をしない」といいうことが分かっているゆえの行動と捉えられています。
◆恋愛シーズンになると行動範囲がさらに広くなる
オスの野良猫は、繁殖シーズンになると「恋愛OK」というサインを出すメス猫を求めて行動が活発になります。たくさんの「恋」をしようといろんな場所に積極的に出向き、エネルギッシュな生活を送る傾向にあります。
長距離を動いてエネルギーを消費しても、結果的に素敵なメス猫に出会えるなら、オス猫達の気分も楽しいものなのかもしれませんね。
◆ときにはケンカだってする
オス猫は、基本的に闘争心が強め。縄張りをめぐってトラブルになることも多いです。また、繁殖期には一匹のメスをめぐってケンカをすることも珍しくありません。
ケンカに負けたオスは、しぶしぶ立ち去って他のエリアに行動範囲をうつしていくことになるでしょう。体が大きくパワフルなオスほど、ケンカに勝ちます。
◆育児にオス猫が参加することはない
オスは遺伝子を残したいという気持ちが本能的にあるため、交尾対象のメスをたくさん望みます。
野良猫の恋愛スタイルは、同時進行でもOK。それはメス猫も分かっていて、「交尾を終えればサヨナラ」というのは猫界では普通の話です。人間の恋愛とはかなり考え方が違いますよね。
次の素敵なメス猫を求めて違う地域に行ってしまうので、育児にオス猫が参加することはまずありません。
◆草食系のオスは広範囲で動かない?!
人間でも、自分から女性に声をかける肉食系の男性、なかなか積極的になれない草食系の男性など、いろいろなタイプがいますが、猫界でもそれは同じことが言えます。
野良猫のオスのなかには、少し気弱な性格の子もいます。いわゆる「草食系」のオスは、あまり広い範囲を動き回ることはしません。初めからエネルギッシュにメスを求めても、強いオスに勝てないと本能的に悟っているからのようです。
家庭を守る良いお母さんが多い「メス野良猫」
次はメス猫の生活のパターンについてです。
◆集団で生活する
オスと比べると、メスの野良猫は集団で生活する傾向にあります。
「群れ」と言ってもそれほど大それたものではなく、血が繋がった親子や兄弟を中心としたアットホームなものです。
「母猫+オスの子猫+メスの子猫」という組み合わせが多いですが、オスは1~2歳までには母猫のもとを巣立って自立します。そのため、最終的にはメスだけが集団で生活するパターンが多いようです。
◆母猫は家族の大黒柱的存在になる
野良猫の集団生活は、基本的には母親を中心として成り立ち、自分が産んだオス猫やメス猫を育てていきます。子猫達のために食料の確保をする大黒柱的存在でもあります。
敵から襲われないエリアを見極め、安定した暮らしを求めるので、オス猫のように広い範囲を動くことはありません。
◆集団といっても単独行動の時間は多い
“群れ”というくくりのなかで生活はするものの、自分の時間は自由に単独で過ごします。同じ家で家族として過ごすものの、仕事や学校に行ったり、友人と遊んだり…など、人間の家族ととてもよく似ているのかもしれません。
野良猫の集団は「ゾロゾロと皆で動き回る」というわけではなく、近い行動範囲のなか、お互いに「おひとりさま行動」をすることが多いです。あまり密着した関係性ではなく、どちらかというと「ドライ」で、適度な距離感で集団生活をしているようです。
◆群れない気質のメスの野良猫もいる?!
メス猫だからといって100%集団で動くとはかぎりません。集団スタイルで生活するメス猫のグループは、「集団で過ごす・狭い範囲で過ごす」という暮らしをしても、基本的に安定した暮らしが確保できている傾向にあります。
例えば、公園や空き地など「ここなら敵に襲われずに安心」という場所を見つけていたり、その地域にいる人間がエサを日常的にくれたりなど。
このような状況の場合、ライバルがあまりいないので、集団で暮らすことは「生き抜く」ことの支障になりません。
しかし、人間が暮らすエリアとはかけ離れた過酷な自然環境で暮らすメス猫の場合、自分が生き抜くために獲物を探すなど、オスのように行動範囲を広く“単独”で動くこともあります。
野良猫が食べているものとは?
外で暮らしている野良猫は、当然のことですがキャットフードを食べることはできません。いったいどんな食生活をしているのでしょうか?
◆ネズミやウサギなど小動物系の獲物
猫と言えばすぐに思い浮かべるほど、野良猫の食事としてもイメージが強いネズミ。チョロチョロと動く小さな生き物を捕まえるハンター能力は素晴らしいです。
また、そのほかにはウサギ、モグラ、リスなど、小動物系の獲物を食べることが多いです。
「肉」となるので、野良猫の貴重なエネルギー源となるでしょう。
◆カエルやヘビなど爬虫類系&両生類
野良猫は、カエルやヘビなどを捕まえるのも得意です。得意の瞬発力で、動きの素早い獲物も上手く捕まえることができます。
◆虫なども食べる
外で生きているものは、何でも食べる野良猫。草むらにいるようなバッタやカマキリ、蝶々、セミなども好物です。チャンスさえあれば、人間が嫌うゴキブリも食べるのだとか…!小さな虫さえも、野良猫が生きるためにはかなり貴重な栄養源なんですね。
ただ、野良猫は基本「肉食」。小さな虫は、「お腹いっぱい!」とはならず、食べごたえはあまりないのかもしれません。
◆空を飛ぶ鳥も食料にする!
地上に這っている獲物だけが野良猫のターゲットではありません。優れた跳躍力を持つ野良猫なら、ヒョイッとジャンプして空を飛ぶ鳥さえも捕まえることができます。たいていは、スズメなどの小鳥を狙うようですが、強敵とも言えるカラスを獲物にする野良猫も…!
空を動く鳥までも獲物にできるなんて、猫の身体能力のすごさに感心させられます。
◆水辺があれば魚も食べる
エリア内に海や川があれば、魚も捕まえることができる野良猫。また、釣りスポットが近くにあれば、「釣りをしている人間の近くでスタンバイし、釣った魚が入っているバケツを狙う」なんて賢い野良猫もいるようです。
◆人間が出したゴミのなかからの食べ物
ネズミやウサギなど、肉食系の獲物でお腹を満たしたいところですが、住む場所によっては見つけることさえ難しいでしょう。仮にターゲットが見つかっても、ライバル猫達と同じエリアで暮らしているとなかなか食べものにあり付けないことも…。
そんな都会派の野良猫は、人間がゴミに出すような「残飯」的な食べ物もエネルギーとして食べます。
野良猫のふだんの生活はかなり「過酷」
野良猫は、人間に飼われていないため、食事や寝床すべてを自分でなんとかしなければなりません。常に過酷な状況で生活しているので、飼い猫とは全く行動パターンが違っています。
◆食事調達も住むエリアによっては厳しい
ひとくちに野良猫と言いますが、暮らすエリアによって食べものの見つけやすさは違います。
人間が少ない「田舎」と言われる地域なら、猫が好物とするネズミやリス、ウサギなどの小動物が主な食事内容となるでしょう。
一方で、人口が多い街中の野良猫の場合、生ゴミを漁る方法もありますが、人間がエサをくれることもあるので嬉しいことかもしれませんね。
◆母親とはぐれた子猫の生活は厳しい
成猫になれば、「一人っきり」で生き抜く能力があるので大丈夫かもしれませんが、幼い子猫は母親から食事を準備してもらうことができます。子猫ならではの特権です。
でも、そんな子猫時代は長くは続きません。いずれは「自分で食べものを見つける」能力を身につけなければならない厳しい環境なのです。
また、迷子になる、なんらかの理由で母親から見捨てられた…などの状況に陥ると、子猫が単独で生きるのはかなり厳しいでしょう。
生活能力がない子猫は、すぐに命を落としてしまうこともあります。
◆命を落とす危険が潜んでいる
悲しい事実ですが、車にひかれて命を落とす野良猫は多いです。特に都会に住んでいる野良猫は、常に交通事故の危険と隣り合わせと言えるでしょう。
運転中に野良猫を見つけたら、スピードを落すなど配慮をする人も多いかと思います。
でも、突然飛び出してきた野良猫を避けることができないケースもあり、事故で命を落とす猫は年間を通じてゼロとなることはないでしょう。
◆飲み水はどうするの?
いくら身体能力が高い猫とはいえ、公園の水道の蛇口を自分でひねることは難しいでしょう。
そのため、野良猫の飲み水は、「道路沿いに溜まった水たまり」「人間の生活から排水される水」など、不衛生で病気のリスクのあるものばかりです。それが原因で病気になっても、動物病院を受診できるわけではないため、弱る一方です。
不衛生な飲み水を飲むことも寿命の短さにも関係しているのかもしれませんね。
◆人間からエサをもらえることもある
近所の人からの好意で、野良猫がエサをもらえることもあるでしょう。ただ、野良猫にとっては救世主的な存在ですが、それが問題となり人間同士でご近所トラブルにまで発展するケースも少なくありません。
その一方で、住民の理解のもと、地域に住みつく野良猫の面倒を見ていく「地域猫」の存在が増えてきました。むやみなエサやりで街が不衛生にならないよう地域全体で野良猫を守る取り組みです。
こういった取り組みのあるエリアで暮らす野良猫は、野良猫界でも幸せな方なのかもしれませんね。
◆基本的に短命の野良猫
飼い主さんからの食事や飲み水の提供を受け、温度調整のきいた快適な環境で過ごすことができる飼い猫は、10~15年くらいと長く生きることができます。
しかし、常に不衛生で過酷な状況に強いられている野良猫は、病気になりやすく、ストレスも相当なもの。
交通事故や感染症などで命を落とすケースが多く、一般的には、5年も生きられないと言われています。
まとめ
「のんびりした足取りで歩く野良猫」「公園で日向ぼっこをしている野良猫」たちを見ると少しのどかな微笑ましい気持ちになるかもしれません。でも、あどけない表情からは想像がつかないかもしれませんが、飼い猫と比べるとかなり過酷な生活を強いられています。
そんな生活背景を知ると、「お腹がすいているのかな?」「触ってみたいな」と近づきたくなるかもしれませんが、警戒心が強い野良猫が多いので注意が必要です。
少しでも野良猫のサポートをしたいと考えている人は、自治体や保護団体などで行っている活動にボランティアとして参加するのもひとつの方法です。
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