イエネコの歴史からみる猫の模様
猫の種類は、世界でみると100猫種以上、被毛の種類も含めるとさらに多くの種類が存在します。
◆イエネコの祖先「リビアヤマネコ」
今のような飼い猫の祖先となったのは、遡ること約13万年前、中近東の砂漠などに生息していた「リビアヤマネコ」であると言われています。
リビアヤマネコは、5種類いたヤマネコのうちの1種で、中東地域やヨーロッパ・中央アジア・南アフリカ・中国などに生息していました。もともとは野生でしたが、農耕が発達し集落が現れたことで、人間に懐くようになったようです。
◆リビアヤマネコのキジトラ模様が変化していった
もともとリビアヤマネコは、全身縞模様が特徴である「キジトラ」の毛色しかいなかったそうです。キジトラといえば、日本でもっとも多い品種と言われている猫の種類ですね。
それが遺伝子の突然変異によって変化し、その変化した猫たちはその後人の手によって世界中へと散らばって行きました。そして、現在のような多種多様な模様をもつ猫になっていったのです。
猫の模様にはどんな種類がある?
日本でよくみられる猫の被毛の種類は、単色、二色、班、縞、三毛、混色の6つが代表的です。その中でも一般的によく知られている模様についてみてみましょう。
◆白猫(単色)
全身ムラのない綺麗な白色です。白猫には2種類おり、1つは突然変異で生まれ色素を全く持たないアルビノ、もう1つは遺伝学上優勢な白色遺伝子を持つ子です。
白い体がゆえに目立つ存在ですが、突然変異で生まれるアルビノは世界中でも非常に珍しく赤い目を持つことが特徴です。
◆黒猫(単色)
全身が黒い毛色で覆われた種類です。黒一色で生まれてくるのは珍しいようで、大半の猫に白い被毛が入っています。全体的に毛色が黒であれば黒猫と呼ばれています。
◆白黒(2色)
全体的に白がベースで黒い模様があり、耳や尻尾などの一部分だけに黒い毛色が現れている猫などもいます。白×茶色の猫とともに、黒ブチ・茶ブチなどと呼ばれたりもします。
中でも、頭部から顔にかけての毛色が鼻筋を境に八の字のように分かれている模様は「ハチワレ」と呼ばれています。
◆トラ猫(縞)
その名の通り、体にトラのような縞模様があるのが特徴です。ストライプ模様だけではなく、班模様や薔薇班、縞模様が細かく途切れたものなどその種類は様々です。
トラネコは毛色により、虎(黄色×茶色)、キジ(こげ茶×黒色)、サバ(灰色×黒色)などに分けられます。模様としては「サバトラ」「キジトラ」などと呼ばれることが多いですね。
◆三毛猫(三毛)
一般的に白・黒・茶色の3色の模様を持つ猫です。三毛猫は種類ではなく、3つの毛色を持つことを言います。
三毛猫の中にも3種類あり、ほかにグレーがかった茶色などが混じった毛色で頬や額にキジ猫のようなラインを持つ「キジ三毛」、キジ三毛のような淡い色合いで縞模様が入った「縞三毛」がいます。
遺伝子の特徴上、オスの三毛は珍しいと言われています。
◆サビ猫(混色)
赤や黒などの2色が混じった毛色を指します。その模様が金属の錆のように見えることから「サビ猫」と呼ばれるようになったようです。中には灰色や白色が混じった種類もいます。
日本ではよくみられる柄ですが、海外ではその毛並みが非常に美しいことから珍しがられています。
猫の模様の決まり方は?
猫はその種類の多さからも分かるように、多種多様の毛色や模様を持つ動物で、先に紹介した三毛猫のように同じ品種でも様々な色彩があります。
では、一体どのようにして模様は決まるのでしょう。
◆猫の模様を決める「カラー遺伝子」
猫は、それぞれが毛色を司る「カラー遺伝子」をもち、その両親から受け継ぐ遺伝子によっておおよその模様が決まります。
以下が主なカラー遺伝子です。
因子 | 優性遺伝子 | 毛色・模様 | 劣性遺伝子 | 毛色・模様 | 単色因子 | A | 縞 | a | 単色 | ブラック因子 | B,b | 黒、チョコレート | b1 | シナモン | フルカラー因子 ※1 | C | フルカラー | Cb, Cs | セピア、ミンク、ポイント | 希釈因子 | D | 希釈されない | d | 希釈される | シルバー因子 | I | 毛の根元が薄くなる | i | 毛の根元が薄くならない | レッド因子 | O | 赤 | o ※2 | 黒・赤、黒 | 白斑因子 | S | 白斑になる | s | 白斑にならない | 縞因子 | Ta,T | ティックドタビー,マッカレルタビー,スポッテドタビー | tb | クラシックタビー | 白因子 | W | 白 | w | 他のカラー因子で決定された色 |
※1 色をつける場所とその濃さに関係する因子のこと。耳や鼻先、足先などの色が濃くなるポイント模様(シャム猫、ラグドールなど)が現れます。
※2 同位遺伝子のため、性別によって決まります。
◆優性遺伝子と劣性遺伝子
上記のように遺伝子には優性と劣勢があり、2つで1対の遺伝子となります。生まれてくる子猫は、2つで1対の遺伝子のうち、両親からそれぞれ1つずつ遺伝子をもらいます。
この時、優性遺伝子が1つでもあればその特性が現れますし、劣性遺伝子は2つないとその特性は現れません。
では、Aのカラー遺伝子を持つ猫で簡単な例をあげてみましょう。
– 【例1】父親(こげ茶×黒色のキジ)Aa x 母親(こげ茶×黒色のキジ)Aa –
同じAaの遺伝子型を持った両親からは、「AA」「Aa」「Aa」「aa」の4パターンの遺伝子型ができます。そのうち3パターンはAの優性遺伝子を持ちますので、必ず毛色に縞模様が入ります。
aaの場合は劣性遺伝子のみになりますので、両親が持つこげ茶か黒色の単色の子となります。
– 【例2】父親(こげ茶×黒色のキジ)AA × 母親(こげ茶×黒色のキジ)Aa –
どちらも優性遺伝子型を持った両親からは2パターンでき、すべての組み合わせにAの優性遺伝子が入るので、すべての子に縞模様が現れるということになります。
◆白猫を産む因子は強い
このように、両親の持つ遺伝子を受け継ぐ組み合わせがあるため、同じ模様の両親から必ず同じ毛色の子が生まれるというわけではありません。
ちなみにカラー遺伝子の中で、白因子のWはどの因子よりも強い因子で、すべての色に対して優性であることが分かっています。そのため、両親のどちらかがこの因子を1つでも持っていれば、その子供はすべて白猫となります。
◆珍しい模様の子猫が生まれる理由は?
猫の毛色の実態はとても複雑で、別の要因や突然変異などによっても遺伝子の組み合わせは変わってくるため、なぜ珍しい模様の猫が生まれてくるのかは解明できていない点が多いもの事実です。
また、「尋常性白斑」といった皮膚病によって、珍しい模様に毛色が突然変化することもあるようです。
猫に色々な模様があるのはこういった理由があるからなのですね。
SNSで有名な珍しい模様の猫たち!
さて、ここまで猫の種類や模様の現れ方について書いてきましたが、世の中にはどんな珍しい模様をした猫たちがいるのでしょうか。
その愛くるしい姿で一躍有名になったり、テレビや取材に大忙しと、SNSで見つけた人気の猫をご紹介します。
1.リリィちゃん
黒いマスクを被っているような模様の三毛猫リリィちゃん。まるでオペラ座の怪人のようなマスクがすてきです。
3姉妹猫のうちのひとりで、3匹の仲の良い様子も人気を呼んでいます。
2.スクラッピーくん
現在19歳のスクラッピーくん。稀な肌質で7歳の時に、突然黒から美しいマーブル柄になったそうです。
3.サムくん
常に困っていそうなサムくんは落ち込んでる時に見たら元気が出そうです。
4.ヴィーナスちゃん
その珍しい模様で一躍世界で話題に。2つの顔を持つヴィーナスさん。
5.おまめくん
パッツン前髪がチャームポイント。家族に仲間入りしたおまめくん。
6.鼻に猫模様の野良猫ちゃん
鼻にもねっこがおるよ pic.twitter.com/tmUMqyT5bl
— トウカイトリックbot (@TOKAITRICK_bot) 2017年7月19日
こちらはツイッターでじわじわと有名になった猫ちゃん。なんとも珍しい、猫の鼻に猫が!
まとめ
世界には本当に珍しい模様の猫がたくさんいるんですね。
ちなみに我が家の猫はシャムの一種には間違いありませんでしたが、実際にはシャムとアメリカンショートヘアの混血種である「スノーシュー」という種類のようです。様々な理由により世界的に個体数が少ないとのことでとても驚きました。
皆さんも、この機会に飼い猫さんの模様について調べてみてはいかがですか。面白い発見があるかもしれませんね。
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