ヘソ天とも呼ばれる猫の仰向けとは?
ヘソ天とは、文字どおり猫が「おへそ=お腹部分」を「天=空」に向けてお腹を見せて仰向けになり、寝転がっている状態です。
この猫のヘソ天は、どんな時に見られるのでしょうか。
◆熟睡している時
ヘソ天で寝る時には、大切な内臓のある側がむき出しになっていることになります。
つまり、猫がヘソ天で寝ているということは、猫が今いる環境にとても安心し、安全だと感じているという意味になります。
さらに、一緒にいる飼い主さんや家族のことをとても信頼しており、危険な目に会うことはないと感じているという意味になります。
そのため、野良猫でもよほどのことがない限りは、ヘソ天でぐっすり寝るということはないでしょう。
◆発情期
発情期のメス猫がオス猫にアピールしたり、日向ぼっこをしたりといった時には、野良猫でもお腹を見せて寝ることはあります。
ただ、飼い猫が見せるように、ヘソ天で熟睡することは野良猫ではほとんどなく、うとうとしているか、仲間と一緒にいて比較的危険が少ない状態か、といった場合です。
◆子猫の時期
子猫の頃には、飼い猫でも野良猫でも、母猫の側でヘソ天になって寝ていることはあります。これは母猫が守ってくれているから見せる姿であり、まだ危険や外敵を気にしていない頃のことです。
成長してからヘソ天になって眠ったり、ヘソ天のままで過ごしたりといったことは、人に飼われている猫の多くが見せる姿だと言っても良いでしょう。
◆他のネコ科動物もヘソ天をする?
ネコ科の生き物も、単独で生きているものでは、お腹を見せて寝るものはほぼいません。
群れで生きているライオンは、獲物を捕らえた後に一緒になってお腹を見せて寝ている姿が見られることがあります。これは、群れで生きているためにお互いに危険に気づけることから、安全なことがわかっていて出来るのでしょう。
動物園にいる大型ネコ科動物も、仰向けに寝ることがありますが、外敵に襲われる危険がないと認識したための姿なのでしょう。
猫が仰向け(ヘソ天)になる理由は?
◆仰向け(ヘソ天)になる理由①安心している
お腹は猫にとって急所であることから、仰向けに寝るということは、お腹を見せても危険がないと感じ、安心しているという意味になります。猫が暮らしている空間が、外敵が来ることもなく、危険もなく、リラックスして過ごせる場所だと認識しているということです。
場所だけでなく、暮らしている飼い主さんに対しても安心しているし、酷いことはされないという信頼があるということになります。
もし新しく迎えた猫がこのように仰向けで寝てくれるようになれば、心を許してくれて、環境にも慣れたと判断して良いでしょう。
◆仰向け(ヘソ天)になる理由②構って欲しい
飼い主さんが外出から帰ってきた時や、くつろいでいる猫に近づいた時などにくるんとお腹を見せて仰向けになったら、構って欲しいという意味です。
子猫が生後3週間ごろから見せる動作に、「ベリーアップ」というものがあります。
これはきょうだい猫に向かってお腹を見せて、前足は引っ掻くような動作をして、遊びに誘っている仕草です。獲物になるからかかって来いよ、遊ぼうよ、という意味だと考えられます。
この行動からも、飼い主さんに対して遊びに誘ったり、気にして構ってもらったりしたいという猫の気持ちでいると考えられます。
◆仰向け(ヘソ天)になる理由③相手が好き
安心している、構って欲しいという気持ちがあるのと同様ですが、仰向けになりお腹を見せている相手が好きだという意味です。
子猫は母猫の側にいる時から、きょうだい猫達と共にお腹を見せ合って過ごしてきています。眠る時はもちろん、動けるようになってからも、遊んだり休んだりする時にもお腹を見せて寝ることがありますが、ちゃんと母猫が見張っているという安心感があるからです。
お腹を見せるような相手は、母猫やきょうだい猫と同じように、心を許した大好きな相手だということになります。
◆仰向け(ヘソ天)になる理由④暑いので熱を逃している
暑い夏の猫は、体に熱がこもるのを防ぐため、また熱を逃がすために、仰向けになっている場合があります。
室内で暮らして、リラックスし安心している飼い猫は、仰向けになってお腹を見せて、涼をとっていると考えられます。
野良猫でも、夏場の暑い時季には体を伸ばして、熱が体にこもらないような体勢を取っていますね。
猫は汗をかいたり、犬のように口を開けて熱を逃がしたりできないので、日陰に隠れたり風が通る場所を見つけて、お腹部分を外気に当てて体温をあげないようにしているのですね。
猫が仰向け(ヘソ天)になって寝ている時に気をつけること
◆ヘソ天で寝ている時はそっとしておく
猫がヘソ天になって寝ている時には、猫が安心しているということです。危害を加えられず、安全な場所だと思っているのですね。
そのため、猫がヘソ天で寝ている時には、そっとしておいてあげましょう。
安全な状態だと認識している時に、脅かしたり、抱っこしたりして妨げると、警戒してお腹を見せなくなったり、抱っこさせてくれなくなることもあります。
また、猫にいたずらしたり、驚かしたりすることも絶対にやめましょう。猫が感じている信頼感を崩してしまうことになります。
最初は警戒していた猫が、お腹を見せてくれるようになれば、心を許して来ている証拠です。
飼い主さんにとっては嬉しいことですが、ヘソ天を見せるようになってくれた時こそ、猫をそっと見守るようにしましょう。
◆野良猫は特に敏感
常に外敵の危険がある場所で暮らしている野良猫は、よほどのことがない限りヘソ天ではめったに寝ません。その地域に根付いて暮らしていて、安心できる場所を見つけた猫が、仰向けになって眠っているのでしょう。
もし野良猫がお腹を見せてリラックスしていたり、珍しくヘソ天になっていたりすれば、その時にも優しく見守っていてあげてくださいね。
猫を仰向けに抱っこするのはOK?抱っこするには?
◆猫を仰向けに抱っこするのは注意が必要
猫を抱っこする場合、仰向けに抱っこするのは、少し注意が必要です。
その理由としては、人間の赤ちゃんのように仰向けでお腹を見せた体勢にするのは、猫にとっては無防備で危険な状態であるため、よほど人間に心を許していないと嫌なものだからです。
基本的に猫を抱っこするには、「猫の脇の下に片手を入れて胸を支えて持ち上げ、人の体部分に猫の体を引き寄せて、もう片方の手でお尻部分を支える」というものです。猫のお腹は下を向いていて、猫にとっては自然に近い体勢を取っていると言えるでしょう。
◆リラックスしている状態ならOK
猫が仰向けになるには、リラックスして安心している必要があります。無理やりに仰向けにすることは、猫を不安にさせることにつながります。
抱っこそのものを嫌がる猫も多いので、もともと抱っこ好きな猫か、飼い主さんとの信頼関係ができた猫であれば、仰向けに抱っこすることができるでしょう。
猫が一度抱っこを好きになると、今度は抱っこしてほしいとおねだりしてきたり、抱っこから下ろそうとしても降りなかったりすることもあるくらいです。抱っこ好きの猫になってくれたら、飼い主さんとしてはとても嬉しいことですね。
◆猫を仰向けに抱っこするには?
猫を仰向けに抱っこするには、猫との信頼関係ができていることが大切です。いきなり抱っこするのではなく、基本的抱っこから、少しずつ抱っこの回数や時間を増やすといったことから始めましょう。
嫌がったり、抱っこから逃げたい仕草をしたりすれば、すぐに自由にしてあげてください。
抱っこされても嫌ならやめてもらえる、抱っこは危険ではない、というように猫に理解してもらいましょう。
◆膝の上に乗るようになったらおすすめ
猫が飼い主さんの膝の上に座るようになれば、その時間を増やしていくと良いでしょう。飼い主さんの膝の上といった安定した場所であれば、持ち上げるよりも、仰向けに抱っこしやすい可能性もあります。
さらに普段から仰向けの仕草を見せているような猫であれば、仰向けに抱っこできるようになる可能性もあります。
猫がお腹を見せて仰向けに寝ているということは、猫にとって場所や人に対して安心しているという意味だからです。猫を仰向けで抱っこしなければならない理由はありませんので、猫が心を許すようにならない限りは、無理に仰向けで抱っこすることのないようにしましょう。
猫のヘソ天と仰向けに抱っこすることのまとめ
猫がヘソ天を見せてくれるのは、飼い主さんにとってとても嬉しいことですね。それだけ猫が今暮らしている環境に満足して安心し、飼い主さんのことも信頼しているということだからです。
猫が飼い主さんのことを受け入れていれば、寝ている時にお腹を撫でても、気にせず許してくれたり、全く気にかけなかったりすることもあるかも知れませんね。
基本的には、ヘソ天で寝ている時には、猫をそっとしておいて眺めるだけにしておき、ゆっくりと休ませてあげましょう。
また、猫を仰向けで抱っこする時には、抱っこが好きだとか、仰向け抱っこに慣れたという猫でなければ、無理やり抱っこするのはやめておきましょう。もともと猫にとって抱っこされることは不自然なことですから、すぐに抱っこできなかったとしても仕方ありません。
猫が仰向けを見せるのは安心していること、ということをよく覚えておき、猫がリラックスしたところを見て楽しむのが、猫にとっても幸せなことかも知れません。