猫もため息をつく?
猫のため息は、人のため息と違います。人のため息は口から「フー」「ハァー」と大きく息を吐き出す姿を指しますが、猫は鼻から「フー」「フン」と大きく息を吐き出します。これが猫のため息です。
猫は本来、鼻呼吸をする動物で、人のように口からのため息を聞くことは残念ながらできません。
人はストレスや不満が理由でため息をすることが多いですが、猫がため息をするからといって心配することはないようです。
猫はどんな気持ちが理由でため息をするのでしょうか。
猫がため息をつく理由は?
◆ため息の理由①集中が切れた
猫は狩猟動物なので、狩りのとき獲物に自分の存在を隠すためにも、息を潜めて集中する習性があります。この時、集中が切れると、猫が「フー」「フン」とため息をします。これは、気持ちをリフレッシュするという理由からです。
例えば、飼い主さんとおもちゃなどで遊んでいるときも、息を潜めてしまうほど集中して狙いを定めておもちゃを狙っています。飼い主さんとの遊びが終わると集中も切れて、猫が「フー」「フン」とため息をつくのです。
◆ため息の理由②緊張から解放された
猫が突然のことで驚いた後に、ため息をすることがあります。人が驚いたときは、身体が動かないときがあるように、猫も同じような状態になります。
例えば、大きな音が鳴ったとき、驚いたとき、他の猫にちょっかいを出されたときなどです。この時、驚きや緊張感から身体と気持ちが解放されると「フー」「フン」とため息をすること多いようです。
このように、緊張状態からリラックス状態に身体と気持ちが切り替わったという理由があります。
◆ため息の理由③ホッとした
猫が一生懸命に毛づくろいをした後、お気に入りのベッドで落ち着いたときに「フーッ」と大きなため息をすることがあります。このため息には、猫の気持ちが落ち着いたという様子が現れています。気持ちよく寝ているときにため息をするのは、心地がいいという理由からです。
また、毛づくろいに集中しすぎて息を止めることもあるようです。毛づくろいが終わった後に「終わった」とホッとしてため息をしているのでしょう。
◆ため息の理由④落ち着こうとしている
何か嫌なことがあった時や飼い主さんにイタズラが見つかってしまい気まずい時などに、「転位行動」によって気持ちを落ち着かせようとする習性があります。
転位行動とは、動物が攻撃か逃避の選択といった葛藤状態になったときに解発される、全く別の第三の行動をすることです。
猫の場合は、毛づくろいやあくび、爪とぎなどがあり、これらの行動と合わせて「フンッ」とため息をすることがあります。
このため息は、飼い主さんに怒られるかもしれないという焦りが理由といわれています。飼い主さんに反抗しているように思われがちですが、猫はため息をして気持ちを落ち着かせようとしています。
猫が鼻息を鳴らすのはどんな時?
ため息とは別に、猫が鼻息を「フンフン」と鳴らすことがあります。猫は、特に興奮している時に鼻息を鳴らすことが多いようです。この興奮にもいろいろあります。
◆飼い主さんに甘えている時の鼻息
猫にもよりますが、飼い主さんに身体をこすりつけながら「フンフン」「フガフガ」と鼻息を鳴らすことがあります。
これは、猫が飼い主さんに甘えている状態で、その興奮から鼻息が荒くなっているようです。
また、飼い主さんから他の猫の匂いがするなど、何か気になるものがある時にもこの行動を見せます。
◆怒っている時の鼻息
逆に、鼻息を長く鳴らす場合は、怒っている状態です。「フンフンフン」と鼻息を荒々しく鳴らすことがあります。
猫同士のケンカを見えると「フンフンフン」と鼻息を鳴らしていることがわかります。猫同士の睨み合いが始まり、尻尾をバタバタと揺らしている興奮状態の時の猫の鼻息は、とても荒々しいです。
◆鼻に違和感を感じている時の鼻息
興奮した時に鼻息を鳴らす猫が多いといわれていますが、猫が鼻息を鳴らす理由はそれだけではありません。
例えば、鼻にゴミが入ってしまったり、鼻がムズムズして鼻息を鳴らすことがあります。その他にも、鼻炎や猫風邪、アレルギーが原因で「フンフン」、「フガフガ」と鳴らす場合もあります。
◆感情の鼻息と病気の鼻息を見分けよう
甘えている時や怒っている時などに鼻息を鳴らす理由が明らかにわかる場合は、心配することはないでしょう。
ただし、猫が頻繁に鼻息を鳴らすことがある場合は、猫が興奮状態なのか、鼻に違和感があるのかを観察しておく必要があります。
猫が鼻息を鳴らしていることに気づいたら、数日様子を見て、それでも改善されない場合は動物病院で獣医師さんに相談しましょう。もしも、感染症にかかってしまい、猫風邪などが理由で鼻息を鳴らすことがあるとしても、多くの場合は薬で完治することができます。
鼻息を鳴らすときに注意したい病気
猫が鼻息を鳴らす理由としては、興奮した状態や鼻にゴミが入ってしまったら、鼻がムズムズして鼻息を鳴らすことがあります。
その他にも、病気が理由で「フンフン」「フガフガ」と鳴らす場合もあります。
◆鼻に異物が入っている
猫の鼻や喉、気管に異物が入った時に、鼻息が荒々しく「フンッ」と鳴らすことがあります。
飼い主さんが異物を取れる位置にあるならば、綿棒などを使って異物を取ってあげましょう。気管などに異物が入っている場合はレントゲンを撮らないと分からないことが多いので、動物病院を受診してください。
◆慢性的な鼻づまり
猫が寝ている時に「ブーブー」「スースー」といった鼻息を鳴らすことがあります。
単なるイビキなので問題はありませんが、寝るたびに毎回イビキをかいていたり、イビキの音が大きかったり、起きても鼻息が治まらない場合は、慢性的な鼻づまりの可能性があります。
◆猫風邪
猫風邪にはいくつか種類がありますが、全体的な症状として、鼻水や鼻づまり、くしゃみや発熱などが起こります。
猫は鼻呼吸をする動物で、猫風邪にかかると呼吸がしづらくなるので、鼻息が荒くなる可能性があります。
猫風邪の1つであるヘルペスウイルスは、1度かかると猫の体内に潜伏し続けて、免疫力が落ちると再発します。猫風邪のワクチ1ン接種で予防ができるので、ワクチン接種をしたほうがいいでしょう。
◆アレルギー性鼻炎
人と同じく、猫にもアレルギー性鼻炎があります。ある季節になると鼻息が荒くなる、ずっと鼻息が荒いという場合は、動物病院でアレルギー検査を行ったほうがいいかもしれません。
アレルギー性鼻炎の完治は難しいので、アレルゲンとなる物質を取り除いたり、薬や食事療法を行うことで症状を抑えること治療を行います。アレルギー性鼻炎がひどくなると猫喘息に発展する可能性があるので、早めに治療をしたほうがいいでしょう。
◆副鼻腔炎
鼻炎が長引くと、副鼻腔のほうまで炎症が広がる可能性があります。鼻水や鼻づまりによって鼻息が荒くなったり、痛みという症状も出てきます。
悪化すると他の感染症にかかるリスクが高まるので、早めに治療をしたほうがいいでしょう。
◆熱中症
猫は肉球にしか汗をかきません。そのため、体温が上昇しても下げることが難しく、呼吸によって体温を下げようとします。この場合、鼻息が荒くなるほど熱中症にかかっている可能性が高いです。
熱中症にかかるのは夏だけはありません。冬でも暖房によって熱中症にかかる可能性があります。
ただし、猫が快適に過ごせる温度は20度~23度といわれていますので、寒いからといって温めすぎてもあまりよくありません。
◆クリプトコッカス症
主に鳩の糞からクリプトコッカスという真菌に感染する病気です。感染した場合、大きなイビキや鼻の周囲にしこりができる特徴があります。
感染しても症状があらわれないこともありますが、免疫力が低下しているときには注意が必要です。鼻から血液を介してクリプトコッカスが脳や目、肺やその他の臓器に広がることがあります。そうなると、髄膜炎や脳炎、網膜剥離などの重い病気に繋がる可能性があります。
感染することは少ないので、猫が鳩の糞に近づかないように気をつけてください。
◆肺水腫
肺水腫は、肺に水が溜まってしまい空気の交換がうまくいかなくなる病気です。他の病気と併発することが多いでしょう。
急性の場合、命を落とす危険性があり、猫が「ゴロゴロ」という荒い鼻息をしていたら注意してください。猫が甘えている「ゴロゴロ」とは違い、猫の鼻を見ると、鼻で一生懸命に息をしているのが分かります。
最後に…
猫が飼い主さんと遊び終わったあとにため息をすることは、決して猫がウンザリした気持ちでため息をしていることではありません。飼い主さんは、猫がどんなときにため息をするか観察すると楽しいでしょう。
ただし、興奮したときに鼻息を鳴らすことはいいのですが、いろいろな病気の可能性もあります。「ゴロゴロ」という音は甘えていると飼い主さんは思いがちですが、苦しそうにしていたら、すぐに動物病院で獣医師さんに診てもらいましょう。
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