【掲載:2018.11.20 最終更新:2025.04.02】
猫のしっぽはどんな器官?

猫がすりすりと足元に寄ってくる時、しっぽをピンと立てるしぐさをしていたり、立てたしっぽを振っていたりする様子を多くの場面で見ることができます。
しっぽを立てる・振る・だらりと垂らすなど、猫のしっぽはさまざまな表情をしています。今回は、このような猫のしっぽの役割やしっぽの構造についてご紹介します。
◆猫のしっぽの構造
猫のしっぽの形には、細くて長いものやふさふさのもの、日本猫のように短く丸まっているものなどがあります。そのため、しっぽを構成している骨や筋肉なども一概に同じではありません。
一般的な猫のしっぽは、しっぽを支えている18個~23個ほどの「尾椎」という骨で構成されています。
そして、しっぽを動かすための筋肉が4つ。この4つの筋肉があることで、しっぽを左右前後に動かせるのです。さらに、猫が細かにしっぽを動かすための8つの筋肉がついています。
◆しっぽは神経の通っている部位
猫のしっぽは脊髄に直結しています。引っ張ったり強く踏んでしまったりすると、脊髄を損傷する可能性や、内臓や後ろ足に重大な障害が残ることも。
しっぽは痛みの感度も敏感な部分です。猫のしっぽには尾骨神経があり、骨盤に近い部分で骨盤神経や陰部神経、下腹神経といった大切な神経とつながっています。
しっぽにある尾骨神経が圧迫されると、連結している各神経に影響が出て、排尿や排便、歩行などに障害が出ることがあります。
猫がしっぽを立てる意味とは?
◆しっぽを立てる意味①甘えている時の愛情表現
猫がしっぽを垂直にピンと立てるのは「甘えている時の愛情表現」といわれています。
子猫の場合、母猫におっぱいをねだったり、おしりをなめてもらう時にしっぽをピンと立てる様子が見られます。
おとなになっても、母猫に甘えたり撫でてもらったり、遊んでもらったりしている時のしぐさで、愛情表現をしているのです。
ご飯を出す時などに、後からくっついて歩いてきたり、おねだりしてすりすりする時は、みんなしっぽが垂直にピンと立てるしぐさをしていますね。
そんなしっぽを立てる状態の時は、甘えていたり、おねだりしていたり、嬉しい気分なのです。
◆しっぽを立てる意味②最上級の愛情表現
しっぽをピンと立てると同時にちょっと小刻みに揺らしたり、しっぽの先だけちょっぴり曲げて歩いてきたりするのも愛情表現のひとつです。立てたしっぽの先だけS字のように曲げて歩いてくる時は、親愛の情を表現しているのです。
このしっぽ立てる&小刻みに揺らすのは、最上級の愛情表現といわれています。
◆しっぽを立てる意味③驚いたり怖がっている時
立てたしっぽがぶわっと膨らんでいる時は、臨戦態勢の時です。驚いたり恐怖を感じていたりする時や、相手を威嚇している時に、カラダを大きく見せて毛を逆立たせているのです。
このような「たぬきのしっぽ」をしているときは、ハッタリ行為といわれ、相手を牽制している状態。むやみに近寄って手を出したりすると、パニック状態のため、ひっかくなどの攻撃をしてくる可能性があり危険です。優しく声をかけて落ち着くのを待ちましょう。
◆しっぽを立てる意味④お怒りモードのサイン
猫がバシバシ音を立てて、しっぽで物や人を叩くように振っていることがありませんか?
上下左右に大きくしっぽを持ち上げるようにしならせながら、かなり音が出るように激しく振っている時は要注意です。
しっぽの動きが大きいほど、怒りのボルテージが高まっていることを意味します。
「シャー!」と面と向かって威嚇されるまで後何秒?といった緊迫した状況。左右に小刻で振っている段階からバシバシ叩くようになったら、「もう我慢できない!」と表現しているのです。
猫のしっぽの役割とは?

しっぽのある動物には、しっぽの役割があります。何の役割もないなら、退化してしまってもいいはずですね。
猫のしっぽには生活していく上での重要な役割があります。
それでは、猫のしっぽの役割をご紹介しましょう。普段の生活でしっぽがどのように使われているのか観察するのも楽しいですよ。
◆バランスをとるために使う
猫は高いところや狭い通路を器用に歩きます。高くて狭い平均台のような場所を、バランスを崩さず歩くのが得意です。
人間が平均台のようなところを歩く時は、両方の腕を広げてバランスを取りませんか?猫は、しっぽを使ってバランスを取っています。
こうした細い場所を歩く様子をよく観察していると、しっぽをすばやく振っていることがあります。このような場合は、バランスを崩しそうな時に人間が両腕をバタつかせているのと一緒なのです。
バランスを崩しそうな時に、しっぽをすばやく振って骨盤の位置を調整し直しています。
しっぽを使うことで、障害物がある狭い場所でもそろりとバランスを崩さずに移動したり、すばやく歩くことができるのです。
◆防寒具の役割
「猫はこたつで丸くなる」と歌われるように、猫は寒さが苦手な動物です。寒い時はカラダを丸めてしっぽもカラダにしっかり巻き付けています。
気温が20度以上の時は、だら~んとしっぽの他にも足を伸ばして寝ていたりします。
しかし、気温が15度以下になると、なるべく体温が逃げないように丸まって、しっぽも防寒具の役割をするのです。
◆マーキングに使う
動物のマーキングはさまざまですが、猫は臭腺という器官でニオイをつけます。猫はしっぽの付け根のおしりにある臭腺を使って、縄張りをマーキングすることがあります。
猫特有のマーキングの方法のスプレー行為は、壁などにしっぽを立てて小刻みに振ってしています。
◆遊び道具として使う
猫と猫じゃらしで遊んでいると、猫じゃらしを操っているのが持っている人だと分かっている様子ではありませんか?動かすのを止めると目を見つめてきたり、持っている手にさわってきたり。
賢い猫は、何が動かしているのかをよく分かっているとしか思えない行動をします。
同じように、猫はよく自分のしっぽにじゃれていることがあります。しっぽにじゃれている時、またしっぽで子猫を遊ばせている時なども、猫は自分のしっぽだと分かって使っているのです。
しかし、認知能力が未発達の子猫の場合は、しっぽを遊び道具と勘違いしていることがあります。子猫にとっては、自分のカラダの一部であっても「動くもの」としておもちゃにしているのです。
◆感情を表現する
猫のしっぽの役割には、感情を表現する時に使っている側面があります。人間がイライラしている時に足で貧乏ゆすりをしたり、机をペンで小刻みに突いたりするのと一緒ですね。
無意識なのでしょうが、感情がしっぽに表れてしまっているのです。
猫のしっぽから分かるさまざまな気持ち
◆しっぽを激しく振る意味:イライラしている時
猫のしっぽは感情を無意識に表しています。同じしっぽを使う犬の場合と比べてみましょう。
犬がぶんぶんとしっぽを振る行動は、「喜びの表現」または「従属すること」を意味しているといわれます。一方、猫がしっぽを振っている時はまったく意味が違うのです。
犬がしっぽをぶんぶん振って喜びを表現しているのに対し、猫がぶんぶんしっぽを振っている時は、イライラして不愉快な時といわれています。
しっぽの立てる様子や振り方をよく観察すると猫の気分が見て取れます。
◆しっぽをゆっくり振る意味:気分がいい時
猫が気分のいいときやリラックスしている時には、しっぽをゆっくり振っています。
イライラしていると貧乏ゆすりを小刻みにしていたり、気分の良い時は鼻歌交じりでカラダをゆっくりゆすっていたりする人間と、ちょっぴり共通しているしぐさがあります。
しっぽのしぐさがサインになることが多い中で、楽しんでいる様子が分かるのがゆっくりしっぽを振っている時です。
◆しっぽを数回振る意味:面倒くさいという時
名前を呼んだ時に、そのままの姿勢や場所でしっぽを数回振っていることはありませんか?
猫は名前を呼んでも犬のように走ってはきませんが、「なに?なに?」と好奇心いっぱいの目をして来ることも少なくありません。
猫だって動きたくない時や、面倒くさいなぁと思っている時があります。しっぽで「呼ばれたことは聞こえているよ(行かないけどね)」という返事と気持ちを表しているのです。
◆しっぽを足の間にしまう意味:もう勘弁してくださいのサイン
けんかに負けた時の猫は、しっぽを足の間に挟んでいます。相手にカラダを小さく見せることで、服従や敗北を示しているのです。
猫はどちらかというと平和主義で、元々争いを避ける傾向にあります。
それでもけんかになってしまうことがあるのですが、相手が負けを認めて勝敗が決したらそれ以上はしつこく追い回したりしません。
負けを認めるサインがこのしっぽを足の間に挟むしぐさなのです。
このサインは「もう攻撃しないでほしい」という気持ちを伝えようとしています。けんかの時以外では、恐怖心を感じているときにもこのしぐさが見られます。
◆しっぽをだらんと下げて大人しくしている意味:体調が悪い時のサイン
しっぽがだらんと下がっている時は、体調が悪い時や気分が落ち込んでいる時を表現しています。
このようなしっぽをしている時は、静かに見守ってあげましょう。
◆しっぽがピンとした状態の意味:緊張している時のサイン
特に抱っこをしている時、しっぽがピンとした状態で下がっているのは緊張しているサインです。慣れない人に抱っこされている時に見られます。
しっぽに関するこんな行動に注意!
◆しっぽを小刻みに根元から振っていたら要注意!
猫が1秒間隔くらいで、しっぽを根元から左右に小刻みに振っていることがあります。このような時は、イライラしていたり、ストレスを感じていると受け取ってあげましょう。
強引な抱き方をされてちょっとイラッとしてる時などにも、「今は我慢しているけどね、嫌なんだけど」というように振っていることがあります。
◆しっぽに対する自傷行為の可能性も
子猫がしっぽで遊んだり、母猫が子猫を遊ばせたりするのはよく目にする微笑ましい光景です。ただ、成猫がこのしぐさをしていたら注意してあげてください。
成猫は自分のしっぽを認識しています。成猫が自分のしっぽを追いかけていたり、噛みついていたりするのは、遊んでいるというよりストレスが原因の可能性が考えられるのです。
徐々にこうしたしぐさが自傷行為にエスカレートしていく可能性もあります。ストレスかもしれないと認識して、猫の様子をしっかり観察して対応することが必要です。
まとめ
猫のしっぽには、感情の表現や、猫の生活上で大切なバランス機能があります。
しっぽの様子にはさまざまな意味が込められ、よく観察することで猫の気持ちが見えてきます。嫌がっているのかどうかが分かるだけでも、猫のためになりますね。
言葉を話せない猫の気持ちを察することで、猫との生活がよりよくなる手助けにしましょう。
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