1.猫の歯の構造について
1-1.前歯(切歯)
1-2.犬歯
1-3.臼歯
2.子猫の歯の生え変わりの時期、見られる行動は?
2-1.子猫の乳歯が生え変わる時期
2-2.子猫の乳歯の生え変わり方
2-3.生え変わりの時期に見られる行動
2-4.乳歯を見つけたら
3.成猫の歯が抜ける時に考えられる病気は?
3-1.歯周病
3-2.破歯細胞性吸収病巣
4.健康な歯を保つためには?
4-1.歯ブラシで歯磨きをしてあげる
4-2.歯みがきシートやデンタルおやつを利用する
4-3.子猫の頃から歯磨きを習慣化する
4-4.ウェットフードからドライフードにする
4-5.猫の健康に気をつける
猫の歯の構造について
猫の歯は、子猫の頃の乳歯が26本で、成猫になると永久歯が30本となります。
歯の種類としては、前歯(切歯)、犬歯、臼歯があります。
◆前歯(切歯)
前歯(切歯)が上顎下顎それぞれに6本ずつ、計12本あります。
切歯は、獲物に噛み付いたり、小さな獲物の肉を噛み取ったり、また体が痒い時に甘噛みしたりするのに使い、毛を梳かす櫛のような役割もします。
◆犬歯
切歯の左右に大きな犬歯が1本ずつで上顎に2本、下顎に2本で計4本あります。
犬歯は幅が広くて長く、獲物を襲う時に噛み付いたり、相手に傷を追わせたりするのに適しています。また、猫同士の喧嘩や、大きな敵が来た時には、犬歯を見せて唸り、威嚇をします。
◆臼歯
犬歯より奥で口の先端から奥歯にかけて臼歯があり、前方のものを前臼歯、奥のものを後臼歯といいます。
前臼歯は上顎に6本、下顎に4本で計10本あり、後臼歯は上下に2本ずつで計4本あります。乳歯から永久歯に生え変わる時に、この後臼歯が新しく加わりますので、歯の数が増えます。
猫は肉食で、獲物を前歯や犬歯で噛みちぎり、飲み込みます。獲物を食べる時にすりつぶす必要がないので、臼歯の先は他の歯と同じようにギザギザと尖っています。
上下の臼歯は噛み合わさることがなく、奥の臼歯でもハサミのように肉を噛みちぎられるようになっています。
子猫の歯の生え変わりの時期、見られる行動は?
◆子猫の乳歯が生え変わる時期
子猫の乳歯は、生まれてから15日から20日ごろに生え始め、生後2ヶ月頃までに生え揃います。
そして、子猫は生後3ヶ月頃から生後7ヶ月ごろまでに、乳歯が永久歯に生え変わります。永久歯が生え始めると、それから1ヶ月ほどで生え変わりが完了します。
◆子猫の乳歯の生え変わり方
猫の永久歯は、乳歯が生えている時にすでに顎の内部の骨に出来ており、乳歯の少し内側から生えて来ます。そして、永久歯が伸びてくるにつれて乳歯が押し出されて、最終的には抜けてしまいます。
乳歯から永久歯に生え変わる順番としては、犬歯から先に抜けると考えられます。
飼い猫の場合、抜けた乳歯が床に落ちていて見つかることもありますが、いつ猫の乳歯が抜けたのか、またいつから永久歯が生え出したのかに気づくのはなかなか難しいことだと言えるでしょう。
◆生え変わりの時期に見られる行動
・手や布などに噛みつく
子猫の乳歯が永久歯に生え変わる時には、歯茎が痒かったり痛かったりするため、飼い主さんの手や布、または硬いものなど、何かに噛み付いたりすることが増えます。
・出血する
歯が抜けると少し出血しますので、猫の口周りに血が出ていたり、噛んだものに血がついたりすることもあります。
この出血は数分で止まるので気にすることはありませんが、長く出血し続けるようであれば獣医さんで診てもらった方が良いでしょう。
・口の周りを舐める
よだれも増えてくるので、出血することも加わって、よくペロペロと何もないのに口周りを舐めることが増えることもあります。
・口臭が出る
生え変わりの時期には少し猫の口が臭うこともあります。口臭は、乳歯と永久歯の間に食べかすや歯垢がたまることで起きます。
永久歯に生え変わり終わると、口臭も自然になくなっていくので、気にすることはないでしょう。
◆乳歯を見つけたら
猫の乳歯は抜けた際に飲み込んでしまったり、小さいため落ちていることに気付かず掃除してしまったりとなかなか見つけている飼い主さんは少ないようです。
しかし、最近は「猫の乳歯ケース」といったグッズも登場していて、愛猫の名前を入れて保管している人も増えています。
幸運にも飼い猫の乳歯を発見することができたら、こういったうちの子グッズで保管するのもいいかもしれませんね。
成猫の歯が抜ける時に考えられる病気は?
成猫の歯が抜けた時には、まず怪我が原因の場合が多いのですが、病気の時もあります。
歯が抜ける原因として主なものは、次の2つの病気が考えられます。
◆歯周病
猫の歯周病は、歯の表面や隙間についた細菌が毒素を出して、歯茎に炎症が起こる状態です。
歯周病の進行は、まず歯に歯垢がたまって、さらに石灰化が進むと歯石がつきます。
歯垢とは、猫の唾液に含まれる糖タンパクや上皮の細胞や炎症細胞などが歯の表面についた細菌混ざって出来た汚れのことです。
歯石とは、歯茎の肉から出るカルシウムやリン酸塩が結合して、石灰化してしまって硬くなったものです。
どちらも、ついてしまうと自然に取れることは難しく、一度できるとできやすくなります。
歯垢や歯石といったものが猫の口の中にある状態が続くと、細菌が増える原因ともなるので、歯肉や歯周組織に炎症が起きて、歯周病となります。
口臭がして、歯茎から出血したり、歯がグラグラして抜けたりして、悪化すると歯が抜けることもあります。歯茎が下がってくるので、猫の歯が長くなったように見えることもあります。
3歳~4歳以上の猫の85%は、歯周病になっているとも言われます。
◆破歯細胞性吸収病巣
破歯細胞性吸収病巣とは、歯の組織にある破歯細胞が、猫の歯を壊していくという病気で、歯根吸収、歯頚部吸収病巣とも言われます。
猫の乳歯が永久歯に生え変わる時には、破歯細胞という細胞が乳歯に働きかけて溶かしていき、乳歯が抜けます。この破歯細胞がどういうわけか永久歯まで溶かしてしまう状態が破歯細胞性吸収病巣です。
最初はエナメル質の欠損から始まり、進行するに連れて歯の上の方に広がっていき、歯が溶けたように小さくなっていきます。
また、猫の歯の付け根部分に吸収病巣という穴が空いてきて、歯茎を残して歯が折れてしまうこともあります。
歯が完全に欠損してしまうと、歯茎を覆っている根元部分が盛り上がってきます。虫歯のように見えて、強い痛みもありますが、虫歯とは違う病気です。
猫が成猫になってからなる進行性の病気で、純血種猫で約80%、雑種猫でも約40%が破歯細胞性吸収病巣になっているとも言われます。
猫の破歯細胞性吸収病巣の猫に見られる症状としては、よだれが増えたり、出血したり、痛みで食欲が落ちたりします。
破歯細胞性吸収病巣は、早い段階で動物病院に連れて行き、治療を始めることが大切です。
健康な歯を保つためには?
◆歯ブラシで歯磨きをしてあげる
飼い猫は特に、餌が柔らかいものだったり、細かい粉になって歯に付着したりするために、口の中が汚れやすくて細菌が発生しやすい環境になっています。
歯磨きをするには、猫用または小児用の歯ブラシを使い、猫専用の歯磨き粉を使って磨きます。
この時、人間用の歯磨き粉はキシリトールが入っていて低血糖を起こす可能性があるため、絶対に使わないようにしましょう。
◆歯みがきシートやデンタルおやつを利用する
猫が嫌がることで歯ブラシでの歯磨きが難しければ、綿棒で手入れしたり、指で磨くタイプの歯磨きシートを使ったりする方法があります。
また、歯磨きの効果がある猫用のデンタルおやつもありますので、補助的に与えてみるのも良いでしょう。
ただし、おやつでは臼歯の根元などに対する歯磨き効果はほとんどないと考えられますので、歯磨きを中心に考えることが基本です。
◆子猫の頃から歯磨きを習慣化する
できれば子猫の頃から歯磨きをして、歯の手入れをされることを嫌がらないようにしておけると良いでしょう。
成猫になってから歯磨きを習慣化しようとすると、とても難しく時間がかかると言えます。
歯磨きの頻度は、歯垢がたまり歯石ができてしまうまでが2、3日と早いため、できれば毎日することをおすすめします。
◆ウェットフードは歯につきやすいので気をつける
ウェットフードは柔らかく水分も多いため、歯の隙間や歯茎と歯の間にたまりやすく、猫の歯が汚れやすくなります。
ドライフードでも歯の病気は起こりますが、ウェットフードだけであればより歯が汚れやすいと考えた方が良いでしょう。
ウェットフードを食べている猫ちゃんは特に歯垢に気をつけてあげてください。
◆猫の健康に気をつける
健康な時には大丈夫でも、猫の免疫力が落ちると、口の中の細菌の働きを抑えられずに増えてしまうことがあります。猫の体が弱った時には、早めに動物病院へ連れていって治療をしましょう。
口の中や歯茎に傷が出来た時にも、炎症が広がる原因となり、歯周病が発生しやすくなります。
猫が何か硬いものを噛んだり、怪我をしたりすれば、できるだけ早く病院へ連れていって治すようにしましょう。
よだれや口臭、歯茎の腫れなど、普段から猫の口の中をチェックするようにしておくと良いでしょう。
猫の歯についてのまとめ
猫の歯が抜ける時は、乳歯から永久歯に生え変わりの時と、怪我や病気、加齢のためが考えられます。
歯の生え変わりは、生後3ヶ月ごろから始まっておよそ1ヶ月で完了しますので、あっという間と言えるでしょう。床に落ちている抜けた猫の乳歯が見られたら、ラッキーかも知れません。
猫の歯が抜ける病気は、普段から猫の歯を清潔に保つことで予防できますので、歯磨きを習慣化してしまうことをおすすめします。子猫の頃から歯磨きに慣らしておくと、普段の歯のお手入れが楽になります。
歯磨きを嫌がる猫は多いので、歯磨き効果のある猫用おやつを与えたり、歯磨きガーゼを利用したりするなど、工夫して行うと良いでしょう。
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