【掲載:2017.06.20 更新:2020.05.01】
毛のない猫5選!
◆スフィンクス
スフィンクスといえば、毛のない猫の代表的な種類です。スフィンクスの起源は、1966年のカナダのトロントで、白黒の猫から生まれた子猫の中に無毛の猫がいたことが始まりです。
スフィンクスは毛のない猫として知られていますが、無毛とはいっても、実際には桃の外側のように薄く毛が生えています。
毛がない猫でも、実は、皮膚にある毛包の数は普通の猫と変わりません。毛幹が正常に成長していないため、毛がない猫となって見えるのです。
スフィンクスは、目は大きなレモン型で、耳が大きく、頰骨がへこんでいます。ひげはない個体がほとんどだとされています。
毛のない猫のため筋肉質であることがよくわかります。頭頂部や手足はもちろん、体にもシワがたくさんあります。
スフィンクスの皮膚には汗腺があり、汗をかくことができます。そのため、シワの部分が汚れやすいので、ぬるま湯で湿らせた柔らかい布などで拭き取るなどのお手入れが必要になります。
体型のタイプはセミフォーリンで、毛がないために手足はより細く見えます。
体重は、成猫で3.5kgから6kg程度とされており、オスの方ががっしりしています。
性格は、人間が好きで好奇心が旺盛、遊ぶことも大好きです。
◆ドンスコイ
ドンスコイは、ロシアが原産の毛のない猫です。ドンスコイは「ドンスフィンクス」とも呼ばれており、見た目もスフィンクスに大変似ています。
ドンスコイのドンは、ロストフ・オン・ドンという町で発見されたことと、スフィンクスに似ていることで、ドンスフィンクスという名前となりました。
スフィンクスと違うのは、スフィンクスの無毛は劣性遺伝ですが、ドンスコイの無毛は優勢遺伝によるという点です。つまり、繁殖することで、毛のない猫が生まれる可能性が高いということです。
被毛のタイプは4種類あって、ラバーボールド、フロックド、ベロア、ブラッシュがあります。
ラバーボールドは無毛、フロックドは産毛が生えており、ベロアは生まれたときには産毛がありますがその後に抜け、ブラッシュは柔らかな縮れ毛か巻き毛をしています。
被毛の色には様々な種類があります。
目はつり上がったアーモンド型で、耳の先は丸く、頭はくさび型をしています。
体は筋肉質でがっしりしており、冬には胸や尻尾などに毛が生えていることもあり、暖かくなると抜けおちます。
スフィンクスと同じように、ドンスコイもシワの部分に皮脂や汚れがたまりやすいので、お手入れが必要になります。
性格はスフィンクスと似ており、賢くて人懐こく、しつけもしやすいとされています。
◆ピーターボールド
ロシア原産の無毛の猫であるドンスコイを基本として、オリエンタルショートヘアと交配させて作られたのが、ピーターボールドという毛のない猫の種類です。
無毛の遺伝子を研究するために交配が始められましたが、その過程で、薄いビロードのような被毛をもつものが現れ、その美しさと珍しさから、さらに繁殖が進められるようになりました。
サイアミーズ、オリエンタルショートヘアとの交配をすることで、オリエンタルタイプのスタイルと無毛を保つようにされています。
ピーターボールドには、無毛タイプの「ボールド」と、毛が生えているタイプの「ヘアリー」とがいます。
ボールドは、ウルトラボールド、フロック・シャモア、ベロアといった3種類に分けられます。
ウルトラボールドは毛のない猫で、フロック・シャモアは部分的に毛が生えます。ベロアは薄く産毛が生えています。
ヘアリーは、ストレートとブラッシュの2種類があり、ストレートは直毛、ブラッシュはワイヤーヘアで縮れたり巻いたりしています。
ピーターボールドの毛色には、様々なものが認められています。
◆バンビーノ
バンビーノは、スフィンクスとマンチカンを交配させて生まれた毛のない猫です。新しい品種のため、TICA=The Internatonal Cat Associationでは実験的な種類として認められています。
スフィンクス譲りの無毛でシワの多い体や顔と、マンチカン譲りの足の短さが特徴です。
頭はくさび形で小さく、頰骨が出ていて、目は大きなレモン型、耳は大きく離れ気味についています。
皮膚の色は白、黒、ピンクで、しっとりとした触り心地です。
全くの無毛と、産毛を持つものがバンビーノとして好ましいとされていますが、被毛のあるものが生まれることもあるということです。
成猫でも体重は2kgから4kgほどで、小さな猫です。
◆ユークレイニアンレフコイ
ユークレイニアンレフコイは、折れ耳が特徴な、ウクライナ産の新しい毛のない猫の品種です。
そのため、ウクライナとロシア以外ではあまり知られていませんし、猫の種類としてまだ登録団体などでは公認されていません。
ユークレイニアンレフコイは、被毛は無毛か、産毛程度となっています。毛色は様々なものが認められます。
耳は上のほうから半分か3分の1ほどの位置で折れ曲がっており、前に倒れています。耳の大きさはスコティッシュフォールドほど小さくはありません。
顔はスフィンクスとよく似ていて、頬骨が出て、角ばった顔つきをしています。しかし、スフィンクスにはヒゲがありませんが、ユークレイニアンレフコイにはヒゲが生えています。
体つきもスフィンクスに似て細身ですが筋肉質で、しっぽも細くてムチのようになっています。
ユークレイニアンレフコイはまだ世界でも頭数が少なくて珍しく、数百頭ほどしかいない毛のない猫の種類とされています。
毛のない猫が生まれる理由
毛のない猫の起源は、人間が偶然に無毛の猫を発見したということから始まっています。
スフィンクスの無毛は、自然発生した突然変異で、奇形ではありません。無毛の遺伝は、劣勢遺伝子により現れるということです。
一つの遺伝子座に異なる遺伝子が共存した場合に、優勢遺伝子と劣勢遺伝子では、優勢遺伝子の形質がより現れやすくなります。
そのため、スフィンクスを繁殖させたときには、無毛(に近い)のものと、目に見えてわかる産毛や部分的などの毛があるものとが生まれ、無毛は生まれにくいということになります。
一方、ドンスコイの無毛は優勢遺伝のため、スフィンクスに比べて、繁殖での出現が高いということです。
同じ毛のない猫でも、遺伝子に優勢と劣勢という違いがあるのは不思議ですね。
毛のない猫を飼う時の注意点
◆気温に気をつける
毛のない猫は、寒さにも暑さにも弱いため、部屋の温度管理に気をつけましょう。
被毛がないため、寒さに弱いということはわかりやすいですね。逆に、暑い時には、日光に当たると皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
被毛がある猫と違って、毛のない猫は肌の汗腺が発達しているので、汗をかいたり、皮脂を分泌するために肌がしっとりと濡れて汚れやすくなったりします。
冬には、毛のない猫用に肌を守る服を着せても良いでしょう。
暑い時には、ぬるま湯につけて固く絞った布などで、体やシワの部分を優しく拭いて、汚れを取ってあげてください。
◆直射日光に気をつける
毛のない猫たち、または毛があっても薄いものは、皮膚が紫外線に当たると、炎症を起こしやすくなっています。
毛のない猫を飼う時には、基本的に完全室内飼いにして、日光が当たる部屋にいる時には、日陰になる部分をかならず作ってあげるようにしてください。
◆皮膚の怪我に気をつける
毛のない猫は、少しの接触でも、皮膚を傷めてしまうことがよくあります。家具のざらざらしたところや、木製の椅子やテーブルなどのささくれなどでも、皮膚に傷がつくことがあるということです。
もし多頭飼いをしていれば、他の猫とじゃれあっただけでも、皮膚に傷がつきやすいと言えます。
毛のない猫が長時間過ごす場所には危険なものを置かないこと、場合によっては猫用の服を着せること、猫の爪を切っておくことなどが大切です。
◆お手入れをする
毛のない猫は、ブラッシングの必要はありませんが、皮膚が汚れやすいので、定期的に拭いてきれいにしてあげる必要があります。
特に、シワになった部分に、皮脂やよごれがたまりやすいので、シワを伸ばしながら柔らかい布で拭いてあげましょう。
さらに、毛のない猫は、耳にも指の間にも毛がほとんどないので、汚れがたまりやすくなっています。綿棒などでのお手入れが定期的に必要です。
皮膚のチェックもこまめにして、傷がないか、傷があったら化膿してきていないかなどを確認してください。
猫同士だけではなく、人間が毛のない猫を触る時にも、やさしく触ってあげるようにしてくださいね。
◆よく遊んであげる
毛のない猫のルーツは、スフィンクスとドンスコイが基本となっています。
スフィンクスもドンスコイも、人懐こく、寂しがり屋なところがあるため、毛のない猫の多くが同じような性格を持っていると考えられます。
そのため、留守番はあまり得意ではなく、飼い主さんがいなくなると寂しがって鳴いたりいたずらをしたりすることもあります。
できるだけ家族がいるような環境で飼ったり、可能であれば複数の猫を飼ったりできると良いでしょう。
◆運動できる環境を作る
毛のない猫は、皮膚が傷つきやすいからといっても、じっとさせておくのはよくありません。
遊ぶことが好きで、好奇心も旺盛なため、毛のある猫と同じように、キャットタワーやおもちゃなどで遊べるようにしてあげましょう。
遊んだあとは、皮膚の状態をチェックして、汚れがあれば拭いてきれいにしてあげましょう。
まとめ
毛のない猫は、人間が抱っこすると、被毛のある猫よりもさらにほんのりとした温かさを感じられます。
また、無毛とはいえ実際にはわずかな産毛があるため、触り心地は上質なビロードを撫でているように感じます。
毛のない猫は、筋肉の動きがはっきりわかるため、その野生的な見た目と体つきに魅力を感じる人も多くいます。
毛のない猫は、まだ日本では珍しい種類の猫です。ペットショップではまれに見られることもありますが、どうしても毛のない猫を手に入れたい時には、ブリーダーさんと連絡を取った方が見つけやすいと言えるでしょう。
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