- 1.そもそも「ダニ」って?
- 2.室内飼いでも安心できない…!?感染ルートは?
- 3.ダニが猫の体に寄生すると起こる症状
- 4.ダニ対策で行うべきこと
- 5.まとめ
1-1.「マダニ」
1-2.「ヒゼンダニ」「ミミヒゼンダニ」
1-3.「チリダニ」
2-1.ケース①:犬と一緒に暮らしている
2-2.ケース②:他の猫と触れ合う機会がある
2-3.ケース③:飼い主さんが外から持ち込む
2-3.ケース④:地域的にダニが多い
4-1.丁寧&こまめな掃除をする
4-2.シャンプーとブラッシングで被毛ケア
4-3.猫の寝具や身の回りアイテムを洗濯する
4-4.部屋を換気して湿気対策
4-5.飼い主さんが帰宅したときの対策
4-6.犬と同居しているときには注意が必要
4-7.飼い主さんの布団のお手入れもする
4-8.掃除機内のゴミはこまめに捨てる
そもそも「ダニ」って?
ダニと聞くと、「かゆい」「皮膚に影響がある」といった不快なイメージを持つ人は多いでしょう。しかし、その姿はあまりイメージできないかもしれません。
そもそもダニは、1ミリにも満たないほどの大きさで、肉眼ではなかかなか見ることができない小さな虫です。
通常、家のなかにいるダニの寿命は2~3か月。エサを食べて成長した成虫のダニは卵を産みます。そして、生まれた卵がさらに成虫となっていくと、数十匹が数千以上ものダニ集団に…!
また、屋外に生息するダニは、猫や犬などの体にひっつくことで動物たちに不快な症状をもたらす寄生虫。いったいどんなダニに気をつけたらいいでしょうか。
◆「マダニ」
春先から活発に動き出すのがマダニで、木々や草花が生い茂る草むらに生息しています。
マダニは、動物の皮膚から吸血することで栄養をたくわえ生きている虫。ふだんは小さい体をしていますが、血を吸うと体長が数十倍から100倍以上にも巨大化します。血を吸った大きいマダニを発見するとビックリするかもしれません。
ただ、血を吸っているマダニを見つけたときに、すぐに取るのは危険です。マダニの口は、ギザギザした凶器のような形をしています。猫の皮膚に突き刺さった状態のマダニを無理やり取ろうとすると、体だけが取れてしまうことも…!
皮膚にマダニの一部が残った結果、化膿して大変なことになるかもしれないので気をつけましょう。
また、マダニを媒介して発症する感染症もあります。猫だけでなく人間にも感染する可能性があり、死に至った事例も報告されています。
◆「ヒゼンダニ」「ミミヒゼンダニ」
激しいかゆみを引き起こすヒゼンダニは、外で生活している野良猫の体に付着しているケースが多いです。「ヒゼンダニに寄生している猫」が感染経路なので、他の猫との接触を控えることで予防ができます。
また、耳のなかで寄生するミミヒゼンダニというダニもいます。激しいかゆみが表れたときには、耳をかいたり、頭を振るような仕草を見せたりもします。
外耳炎から内耳炎と症状が悪化しないうちに、早めに発見、そして治療することが大事です。
特に、湿気がこもりがちな垂れ耳の猫種は注意しましょう。
◆「チリダニ」
家のなかで見られるダニの主なものが、わずか0.1ミリ程度の極小のチリダニ。動物や人間の体から出るフケや皮脂などをエサに繁殖するダニです。カーペットや布団、クッションといった布製品の細かい繊維に入り込んでいます。
チリダニは、高温と高湿度で活発化します。湿度60%以上、気温20度以上という条件で増殖していくダニなので、梅雨時期や初夏にかけて注意が必要になってきます。
室内飼いでも安心できない…!?感染ルートは?
「外⇔家のなか」を自由に行き来できる猫のほうがダニの付着リスクがあります。そのため、「完全室内飼いだから大丈夫かな」と安心しきっている飼い主さんもいるかもしれません。
でも、猫ちゃん自身が外に出ないからといって、「ダニが室内にいない」とは言えないのです。
◆ケース①:犬と一緒に暮らしている
犬と一緒に暮らしている猫は、ダニに寄生される確率が高まります。それというのも、完全室内飼いができる猫と違い、日常的に散歩に行く犬がダニに寄生されるかもしれないからです。
特に、公園や河原など、草が多い場所を散歩コースにしている犬は、吸血タイプの「マダニ」が寄生する確率が高くなります。
◆ケース②:他の猫と触れ合う機会がある
外で自由に行き来できる猫と触れ合う機会があると、ダニがつく可能性があります。動物病院に行ったとき、待合室で他の猫からダニをもらってしまうかもしれません。
また、他の犬や猫を撫でたり抱っこした飼い主さんの洋服から、完全室内飼いの愛猫にダニが移るケースも考えられます。
◆ケース③:飼い主さんが外から持ち込む
愛猫が完全室内飼いでも、飼い主さん家族は外への行き来はするものです。飼い主さんがダニを知らずに家に持ち込んでしまう可能性はゼロではありませんよね。
「草むらには行かないからダニはついていない」という飼い主さんもいるかもしれませんが、自分以外のルートから持ち込んでしまうこともあります。
衣類にダニがついている人とすれ違う、バスや電車の座席についていたダニが洋服についてしまったなど、予想外の場所から持ち帰ってこともあるかもしれません。
◆ケース④:地域的にダニが多い
春から夏に向けて活発になるマダニですが、基本的に生い茂った草むらで生息しています。そのため、住んでいるエリアに木々や草が多ければ、完全室内飼いの猫でも、ダニに遭遇するリスクがあります。
「窓を開けっ放しにしている」「半分外のような縁側でお昼寝をしている」「広い庭に植木がたくさんある」「畑作業中の近所の人が訪れる機会がある」など、外と室内の線引きがあいまいな地域的特性があると、寄生するリスクが高まると言えるでしょう。
ダニが猫の体に寄生すると起こる症状
大量に血を吸うマダニに寄生されると、かゆみや痛みなど猫の体に異変が起こります。マダニはウイルス感染のリスクもある怖いダニです。
吸われた血の量が多ければ、貧血や黄疸、発熱などの症状が出て、重症化するケースもあります。
マダニのウイルス感染症として重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が人間側に発症するケースも近年報告されています。人間自身がマダニに噛まれて発症するのではなく、マダニに噛まれた猫から人間にルート感染するのです。
死に至る恐れもあるため、愛猫がマダニに寄生されない注意が必要です。
また、ダニはアレルギーの原因になります。家のなかにチリダニが大量に住み着くと、その死骸や糞がハウスダストへと変わります。極小のダニから出る糞は粉状へと変化し吸い込みやすくなり、人間や動物にさまざまなアレルギーをもたらす要因になります。
皮膚炎、鼻炎、気管支喘息、目のかゆみ…など、不快で辛い症状を引き起こしてしまう厄介なものです。
ダニ対策で行うべきこと
人間の肉眼ではなかなか見えない小さなダニは、見つけることも除くというのは難しいです。「ダニがいるかもしれない」「ダニを増やさないようにしよう」と常に心掛け、愛猫をリスクから守りましょう。
◆丁寧&こまめな掃除をする
とにかく掃除を徹底するのが駆除の方法のひとつです。特に、ダニが好むカーペット、畳、ソファー、布団などの念入りに。
ダニは繊維の隙間に入り込み、掃除機をかけたときに吸い込まれないように踏ん張ります。そのため、掃除機をかけるときには「ゆっくり移動させる」「吸い込みパワーのあるものを使う」に注意しましょう。
また、ダニ対策でこまめな掃除をするのは、生きているダニの駆除の目的だけではありません。ダニのエサとなる人間の皮脂や猫の抜け毛、さらにはダニの卵やダニの死骸を取り除く意味もあります。
エサを減らしてダニが住みにくくすることで、ダニの数を減らすことへと繋がります。
◆シャンプーとブラッシングで被毛ケア
自分でペロペロと体を舐める猫の体は、案外清潔さをキープしています。ただ、ダニがついている場合、猫が自分で舐めただけでは取り除けません。
特に、抜け毛の多い猫種や毛の長い猫種の場合、ブラッシング不足で皮脂の含まった抜け毛が溜まっていることもあります。猫の皮脂やフケはダニの好物なので、「ここは良い住処だな」とダニが猫の体に住み着いてしまうかもしれません。
日常的にブラッシングでダニが落ちるようにしましょう。
また、ときどきシャンプーで体を洗うのもダニ対策のひとつです。
シャンプー後に乾燥が不充分だと、湿気でますますダニが繁殖します。シャンプーして体を濡らした後には、ペット用のドライヤーでしっかりと乾燥させてくださいね。
そして、猫の皮膚や耳のなかなど、ダニが原因で炎症が起きていないかもときどきチェックしてみましょう。ダニが原因で炎症や化膿が起きているときには、動物病院を受診し、適切な対処をしてもらいましょう。
◆猫の寝具や身の回りアイテムを洗濯する
猫の身の回りのアイテムは、こまめに洗濯して衛生を保ちましょう。「定期的に洗濯する」と決めておくと、寝具を交換する習慣がつきます。
特に、猫が皮膚を直接つける寝具は、フケが落ちてダニが寄り付く原因になります。綿入りの猫用ベッドはダニの住処になる可能性が高いのでこまめに洗濯した方がいいでしょう。
「毎週〇曜日には洗う」と決めておけば、猫ちゃんが綺麗な環境で気分良く眠ることができそうですね。専用のカレンダーを準備し、印をつけておくのもいいでしょう。カレンダーをチェックすることで「そろそろ洗濯しよう」という意識も生まれます。
◆部屋を換気して湿気対策
ダニは湿度の高いところが大好きなので、湿度を下げる工夫をしたほうがいいでしょう。閉め切った室内は湿気が溜まりやすいので、窓を開けて空気の通り道を作り、新鮮な乾いた空気と古い湿った空気を循環させましょう。
◆飼い主さんが帰宅したときの対策
家に帰宅したときには、「玄関に入る前に衣類についたホコリを落とす」「家に入ったらすぐに室内着に着替える」「丁寧な手洗いをする」など、愛猫の生活エリアにダニを持ち込まないようにしたいものです。
◆犬と同居しているときには注意が必要
犬と暮らしている場合は、犬のケアも念入りに行いましょう。特に、外から持ち込んでしまうリスクがあるマダニには要注意です。
散歩から帰宅したら、犬の体を払う、ブラッシングするなど、目視でチェックしてから室内へ入るようにさせましょう。
◆飼い主さんの布団のお手入れもする
飼い主さんの布団で猫が一緒に寝ている場合、猫用の寝具だけでなく、人間用の布団のお手入れもしましょう。布団の綿が好きなダニが数多く潜んでいるかもしれません。敷きっぱなしの布団は湿気を含み、ダニの大好物の場所となっていることもあります。
「高温でダニを死滅させよう」とダニ対策で注目されている布団の天日干しですが、天気を選ばないと高温にならずに中途半端に終わってしまうケースもあるようです。
また、布団乾燥機などで全体的に乾燥させるのも効果があるのでやってみてはいかがでしょうか。
◆掃除機内のゴミはこまめに捨てる
吸引力のある掃除機なら、完全とまではいきませんがダニの死骸や卵の吸い込みが期待できますね。
注意したいのは、掃除機内に溜まったゴミの処分です。紙パック式、サイクロン式のどちらにしても、吸い込みパワーにも影響するので、掃除機内に溜めたままにしておくのはよくありません。
また、サイクロン式の掃除機だと、捨てるときにダストボックス内のホコリが周囲に飛び散ることがよくあります。
そのまま捨てられるように、ビニール袋やレジ袋などのなかで捨てるのがおすすめです。吸い込んだダニの卵が掃除機内で孵化する前に、処分してしまいましょう。
まとめ
完全室内飼いで、外のダニが寄生するリスクはだいぶ減るものです。しかし、猫自身が外へ行く機会がなくても、「一緒に暮らしている犬」「外から帰ってきた飼い主さん」などがダニを連れ帰ってしまうケースも考えられます。
それに、家のなかにはアレルギーの原因になるダニもいるので、掃除や洗濯で清潔な環境づくりが猫のためにもなります。
ダニ対策でできることはぜひ試してみてくださいね。
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