ダニとは?
名前を聞くだけでもぞわぞわして痒くなってくる「ダニ」。寄生虫でくくられている事が多いですが、ダニはクモの仲間になります。
◆様々な影響を及ぼすダニ
ダニは、おおよそ4万種類ほど存在しており、そのほとんどが1mm以下の極小の生き物です。その中でも、吸血を行う種類のダニに寄生されることで、貧血や痒みなどを引き起こします。
ダニは吸血後に多量の卵を産み付けて行きます。潰したりした場合でも卵をばらまく結果になってしまいますので、一度寄生された場合は、掃除や洗濯、薬品での消毒をして残さず駆除する必要があります。
また、吸血をするタイプ以外にも、カーペットや布団、ソファ等にダニの仲間が生息しており、ダニの糞や死骸により気管支炎などを引き起こしたり、皮膚炎を起こしたりと様々な影響を及ぼします。
◆外猫が寄生されやすい「マダニ」
4万種類ほどいるダニの中でも、猫や人間の皮膚に寄生し、吸血するタイプの代表格がマダニです。
マダニは、肉眼でも確認できるくらいの大型のダニです。また、吸血行為後は血を吸って膨らみ更に大きくなるので、より見つけやすくもなります。
主に、外で寄生されることが多く、元野良猫であった猫や外に遊びに出るタイプの猫の場合は、特に寄生されている可能性が高いです。また、逆に人間が出かけた際に寄生され、猫へうつるというパターンも考えられます。
◆ダニは人にうつることも!
ダニの種類の中には、動物間で寄生し繁殖していくもの、人と動物両方に寄生し繁殖していく種類のものがいます。中には動物から人間に寄生し症状を引き起こし、命にかかわる感染症になってしまう場合もあります。
2016年には、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」にかかっていた野良猫に人間が噛まれ、死亡したという例もあります。直接ダニに噛まれたわけではなくても、ダニによる感染症にかかっていた野良猫に噛まれたことで人間にも感染するパターンです。このように、間接的に罹患することもあります。
ダニが活動する時期は?
ダニは、春から秋にかけて活動が活発化します。暖かい地域では、冬でも活動をしており、日本全国に生息しています。
4月頃から増加し始め、活動が最も活発化するのが11月あたりなので、ちょうど春と秋の行楽シーズンと重なっていますね。
ダニは自然豊かな場所に生息しているので、公園や庭、草地などの身近な場所にも潜んでいます。気持ちよくハイキングや行楽にでかけた先で、知らずのうちにダニに寄生されていたという事も少なくありません。
猫に寄生するダニの種類は?
おおよそ4万種類いるダニの中で、猫に寄生するダニの種類と寄生方法、そして寄生されたときの症状についてお伝えします。
少しでも症状と合致するようでしたら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
◆マダニ
4万種類のうち、おおよそ800程度の種類がマダニの仲間です。日本には47種類のマダニが生息しており、皮膚疾患だけではなく、命にかかわるような感染症を媒介することもあります。
・マダニの大きさ
マダニは、肉眼で確認ができる程の大きさで、通常は約3~10mm、吸血後は最大で20mmもの大きさに膨らみます。
・マダニの寄生方法
マダニは、植物の葉などから人や動物へと付着し寄生、吸血します。分泌成分によって固着するため、叩いたりするだけでは除去しにくい特性があります。
皮膚の薄く柔らかい場所を好む傾向にあるので、耳やお腹、口周りなどに寄生することが多いです。
マダニに寄生されてもかゆがるなどの症状はあまりでないため、猫の耳やお腹、毛をかき分けて触るなどでよくよく見てあげましょう。
血を吸ったマダニは、大きくイボやホクロのように見えることもあります。血を吸う前は、小さく見にくいですが、色はグレーっぽいものや茶色っぽい色をいていますので、こちらもしっかり確認してみましょう。
・マダニに寄生された時の症状
多数のマダニに寄生され吸血された場合は、貧血になってしまうことがあります。また、皮膚炎やマダニが媒介する感染症に感染する可能性が高くなります。
ダニの種類の中でも、マダニは多くの病原体を媒介します。猫から人へ、人から猫へ移り感染源を広げて行くので、猫だけではなく人間も注意が必要です。
◆ヒゼンダニ
ヒゼンダニという種類は、強烈なかゆみが出てくることが特徴で、猫へも人へも寄生し感染します。
・ヒゼンダニの大きさ
ヒゼンダニは、マダニのように目で確認できるダニの種類ではありません。大きさは400マイクロメートルとmmよりも更に小さいのです。
・ヒゼンダニの寄生方法
ヒゼンダニは皮膚の表面を歩き回るため、皮膚同士の接触によって他の猫に簡単にうつります。
猫に寄生したヒゼンダニは人間にも寄生しますが、人間の皮膚に寄生して繁殖することはありません。
ただし、一時的に赤いぶつぶつやかゆみなどの症状が出ることもありますので、すぐに病院へ行って適切な治療を受けてください。
・ヒゼンダニに寄生された時の症状
ヒゼンダニに寄生された場合は、疥癬(かいせん)症という皮膚病になってしまいます。猫の場合は、疥癬症にかかると、顔などの皮膚に赤いぶつぶつが出来るようになります。
人間同様、激しいかゆみにも襲われるので、皮膚をかきむしり傷口がじゅくじゅくになってしまうことも。
目には見えない種類のダニなので、激しく身体を掻いていたり掻きむしって傷が出来ているようでしたらすぐに病院へ行きましょう。
◆ミミヒゼンダニ
ヒゼンダニと同様の種類で、こちらも疥癬症を引き起こします。しかし、ヒゼンダニと違うのは、顔などの皮膚ではなく、耳の中に寄生し、かゆみを引き起こすことです。
・ミミヒゼンダニの大きさ
大きさは、0.3~0.5mmとこちらも目で見て確認できる種類ではありません。
・ミミヒゼンダニの寄生方法
外を出歩いている猫などから寄生し、猫から猫、もしくは猫から他の動物へと移っていきます。
多頭飼いや犬と一緒に生活している場合は感染が広がってしまいますので、注意が必要です。
・ミミヒゼンダニに寄生された時の症状
ミミヒゼンダニに寄生されると、耳の中が徐々に耳垢とダニの糞などで埋め尽くされ、耳の黒ずみや悪臭としてその存在を把握することが出来ます。
また、症状として耳をやたらと掻く、頭を振るなどの行為をするようになります。
ダニを見つけた時の駆除方法は?
ダニを見つけてしまった場合、どのように駆除すればよいのでしょうか。
◆ダニの寄生期間はおよそ1週間
ダニは、おおよそ1週間かけてお腹が一杯になるまで血を吸い、大きくなり限界まで膨らむと猫の身体から離れて行きます。その後、猫の体から離れたダニは卵を生み、増えようとするのです。
「1週間放置したら取れるのか」と思うのではなく、人間への感染、一緒に住んでいる犬や他の猫にも感染させないためにも、ダニを駆除してあげましょう。
◆ダニ駆除用の櫛やブラシを使用して駆除する
ダニを駆除するには、薬や専用の櫛やブラシなどを使用することで、猫に負担をかけず安全に駆除する事ができます。
血を吸ってない、小さいダニの場合は、すぐに取れるのでダニ・ノミ取り用の櫛やブラシを使ってとりましょう。
手で取る場合は、人間がダニに寄生される可能性も高いので気をつけましょう。取った後はガムテープなどにくっつけて丸めて捨てます。
◆ダニ駆除薬を使用して駆除する
血を吸って大きくなった場合のダニは、血を吸う前と比べ簡単には落ちません。1週間かけて血を吸うためダニの口が皮膚に食い込むこと、また固着する成分を分泌することで簡単には駆除することが出来ません。
皮膚に食い込んでいるので、無理に取ろうとすると猫に痛み与えてしまうだけではなく、残った口やダニの一部が皮膚炎などを引き起こしてしまいます。
この場合は、ダニ駆除薬(フロントライン等)を直接ダニに塗布することで駆除することが出来ます。
ダニの予防法は?
感染症や皮膚炎を引き起こすいくつかの種類のダニですが、これらに寄生されないようにするにはどうしたらいいのでしょう。
◆完全室内飼いにしてダニを予防する
一番の方法は、猫を外に出さないことです。一匹でも外に出ている猫がいると、他の猫にダニが寄生する恐れがありますので、すべての猫を完全室内飼いにすることをおすすめします。
◆ダニ駆除薬を使用してダニを予防する
元野良猫、昔から外に散歩に行くタイプでいまさらどうしようもない…という方や完全室内飼いの猫にもおすすめなのが、ダニに効く薬を塗布することです。外に行かない猫でも、人間が持ち込んでしまったダニから感染する可能性も考えられます。
そうなってしまわないように、定期的にダニに効く薬を塗布することで寄生を防ぐことが出来ます。
◆こまめに掃除をしてダニを予防する
一度寄生されてしまった場合は、家の中や猫の布団やタオルなどに卵がばらまかれている可能性があります。ダニは大量の卵を生むので、猫の身体についていたダニをとっても、卵が残っていればまた寄生されてしまいます。
そのため、こまめに掃除をすること、猫の布団やタオルなどを洗濯するなどして卵も取り除いてください。
犬と一緒に生活している場合は、犬が散歩中にダニを持ち帰ってきてしまう場合もあります。犬と生活をしている場合は、犬にもダニ予防、ダニ対策をしてあげてくださいね。
まとめ
ダニにはいくつか種類があること、動物間、人と動物の間で寄生する種類もいるということがわかっていただけたかと思います。
完全室内飼いの場合でも、人間や一緒に住んでいる犬などから移ることもあり完全には安心できません。
また、どの種類のダニであっても大量の卵を産むので、一度寄生されている場合は、布団やタオル猫タワーの掃除や洗濯、そして家の中もこまめに掃除をして一切痕跡を残さないようにしましょう。
ブラッシングをする時には、皮膚や毛の間などを確認して、すぐにダニを発見出来るようにしてあげましょう。
ダニが見つかってしまっても、適切な駆除方法で安全に猫に負担をかけずに駆除することが出来ます。猫や飼い主、一緒に住んでいる犬などに寄生されるのを防ぐために、定期的にダニ駆除薬の塗布をおすすめします。
ダニを早期に発見駆除出来れば、猫がかゆみや感染症になることもありません。そして人間に移ることもありません。かゆみや異常がある場合には、猫も人間もすばやく病院で適切な治療を受けてくださいね。
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