1.猫の被毛の仕組み
1-1.一つの毛穴から複数の毛が生えている
1-2.三種類の違う性質の毛が生えている
1-3.被毛は筋肉によって動くことが出来る
2.猫の毛並みが悪くなる原因
2-1.栄養不足
2-1.汚れ
2-1.病気
3.猫の毛並みが悪くなった時の対処法
3-1.キャットフードを見直してみる
3-2.サプリで足りない栄養を補う
3-3.シャンプーやブラッシングをしてみる
【掲載:2020.03.29 更新:2023.1.26】
猫の被毛の仕組み
猫と一緒に暮らす上で、必ずつきまとってくる問題として、猫の抜け毛などが上がってきますよね。
特に換毛期の季節は、気付くと部屋の隅などに毛の塊が複数転がっているほど、猫の抜け毛に悩まされてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか?
どんなに沢山の毛が抜けようと、また寒い季節には沢山の毛が生えてくる猫。
当たり前のように思ってしまいがちですが、これってとても不思議なことだとは思いませんか?
猫の柔らかい被毛の仕組みを知って、猫の毛並みへの理解を深めていきましょう!
◆一つの毛穴から複数の毛が生えている
猫は一つの毛穴から数十本もの毛が生えてくると言われています。
なので猫の被毛は、人間の頭髪の約300倍もの毛が全身に生えているそうです。
そして驚くべきなのが、換毛期には毛の伸びる速さが、一週間に2mm程度であると言われていることなんですよね!
新しく毛が生えてくれば古い毛は押し出されて抜けますので、気付くと猫の抜け毛が気になってしまう…という状況に陥ってしまうようです。
このように暑い季節と寒い季節に、被毛自らが衣替えをしてくれる仕組みになっているとは驚きですよね。
◆三種類の違う性質の毛が生えている
一つの毛穴から複数の毛が生えている猫ですが、特殊な生え方をしていることによって、毛はとても密集していることが分かります。
被毛はお腹に集中し背中にかけて少なくなっていますので、シャンプーなどをして猫が水に濡れる姿を見ると、びっくりしたことはありませんか?
このような姿を見ると、猫の毛並みは沢山の空気を含む構造になっていることが分かりますが、猫の毛は細く、3種類の性質が違う毛が生えていることも関係しています。
一番硬く長い上毛は「ガードヘア」と呼ばれ、毛穴につき一本しか生えていませんが、水を弾き紫外線を防ぐ役割を果たしてくれます。
そして下毛は2種類あり、「オーンヘア」と「ダウンヘア」と呼ばれ、主に保温の効果を担っています。
猫種によっては上毛か下毛のみの猫なども居ますが、基本的にはこの3種類の被毛が生えているんですよね。
◆被毛は筋肉によって動くことが出来る
猫が驚いたときや相手を威嚇したときに、毛を逆立てることがありますよね。
猫は毛をも自由自在に動かしてしまうのかと、不思議に思ってしまいますが、皮膚から生えている毛のみを自由自在に動かしているわけではありません。
猫の皮膚には「立毛筋」と呼ばれている筋肉があり、この筋肉によって毛を逆立てることが出来る仕組みとなっています。
簡単に言うと私たちが寒いときに感じる、「鳥肌」のような状態と言えるのではないでしょうか。
立毛筋は首筋から背中、尻尾にかけて発達していますので、猫の毛が逆立つと独特なフォルムとなり、その姿がまたとても可愛らしいんですよね。
神経伝達によって毛を逆立てることが出来るので、毛先に触れただけでも毛がピクッと反応し、毛並みを整えるように撫でれば波立つような動きを見せてくれることも。
そして寒いときには、毛を逆立てて空気を含ませる働きをし、断熱性を高めて寒さを防ぐ働きもしてくれるそうですよ。
猫の毛並みが悪くなる原因
なんとも不思議な猫の被毛の仕組みですが、このように様々な役割を担った被毛の毛並みや毛づやが悪いとき、飼い主としては心配になってしまいますよね?
あまりにも複雑な仕組みをしているから毛並みが悪いのか、何度も毛が生え変わることによって毛並みが悪いかなど、原因も気になってしまうところです。
猫の毛並みが悪くなってしまうのには、様々な原因が考えらます。
◆栄養不足
猫の毛並みにもっとも重要なのは、バランスのとれた栄養です。
栄養が偏ってしまうと、猫の被毛は毛艶がなくなり、パサパサとした見た目となっていることでしょう。
とくに猫の被毛は生え変わりの時間も早いので、栄養が不十分であると新しく生え変わる毛にも栄養がいかず、毛並みがずっと悪い状態となってしまいます。
猫は肉食なのでタンパク質が豊富な食事が望ましいですが、健康で居続けるためにはタンパク質以外にもビタミンやミネラル、必須脂肪酸など、様々な栄養素が必要となってきますよね。
そして肥満にならないように食事の量を減らしてしまうと、キャットフードのカロリーや油分を控えてしまえば、毛並みが悪くなってしまうことでしょう。
どんなに猫にとって肥満などの病気を配慮するためでも、大切なのはバランスのとれた栄養豊富な食事であると言えますよね。
◆汚れ
猫が普段から怠らない行為の一つとして、グルーミングが挙げられます。
単純に猫は綺麗好きだから、グルーミングを欠かさないように思ってしまいますが、
このグルーミングは毛並みを整えている以外にも、体に付着した汚れを落とすためにも行っている行為となります。
普段家の中だけで生活している場合にも、ホコリやゴミ、そしてダニやノミなどが付着してしまうことがあります。
猫の舌にはザラザラとした突起物(糸状乳頭)が複数ついており、その突起がブラシの役目を果たしてくれるので、汚れを綺麗に絡めとってくれるのです。
グルーミングが苦手な猫ちゃんや、何かしらの事情があってグルーミングが出来ない猫ちゃんなどは、被毛の表面に汚れが付着してしまうので、毛並みが悪くなってしまうことが良くあるそうです。
◆乾燥
猫の毛並みが悪くなっていることの一因として、乾燥があげられます。
人間の髪の毛もそうですが、乾燥は毛がパサパサする原因になりますので、猫ちゃん用のトリートメントを付けて潤いを与えると毛並みがよく見えます。
また冬場はお部屋に加湿器を設置して部屋全体の湿度をあげることにより被毛がしっとりとします。加湿をすることで静電気防止にもなります。
◆病気
栄養不足や汚れ以外にも、病気で毛並みが悪くなってしまうことがあります。
とくに内臓系や皮膚の病気、口腔内の病気(口内炎など)を患っている場合には、毛並みが悪くなってしまう傾向にあるようです。
内臓系の病気は同時に脱水症状を起こすことも多いので、被毛がどんどん割れていき、毛並みが徐々に悪くなってしまうんですよね。
もちろん皮膚の病気を患っているときも、皮膚の毛穴から毛が生えてきていますので、被毛が直に影響を受けてしまうのも否めません。
また口腔内に異常がある場合は、私たちでも何かを食べたり飲んだりすることが苦痛に感じてしまうことがありませんか?
これは猫も同じで、口腔内に何かしらの異常がある場合は、食欲も落ちて栄養が不足してしまいますし、グルーミングも出来なくなって被毛に汚れが溜まってしまうことでしょう。
そうなると毛並みが悪くなり、毛艶もなくなってしまいますので、急にこのような変化を感じた場合は、何かしらの病気を患っている可能性が高いです。
毛並みの悪さのほかにいつもと違う症状が見られたら、早めに獣医師に相談してください。
猫の毛並みが悪くなった時の対処法
病気で毛並みが悪くなっているときは、猫を動物病院に連れていってあげる必要がありますが、病気でない場合には、飼い主さんが出来る対処法もいくつかあります。
愛猫の毛並みが良くなるようにするには、どんな対処法を用いて改善に導いてあげれば良いのでしょうか?
◆キャットフードを見直してみる
健康な猫ちゃんの毛並みが悪くなる原因で、栄養が不足している可能性が高い場合には、キャットフードの見直しをしてみることをおすすめします。
猫は嗜好性が高く、好き嫌いがはっきりしている猫ちゃんも多いので、キャットフードにもそれぞれ好みが出てきます。
とくに総合栄養食ではなく、一般食のキャットフードは香りも強く、好む傾向の猫ちゃんはとても多いです。
ですが一般食のキャットフードは、それだけ与え続けてしまうと、栄養が不足してしまうので、猫の毛並みはどんどん悪くなっていってしまうのです。
愛猫の健康を考えるのなら、一日の必要摂取カロリーをしっかりと計算し、栄養が不足しないように心掛けてあげるようにしましょう。
◆サプリで足りない栄養を補う
どうしても猫の食事であるキャットフードは、タンパク質が多めになりますので、その他の栄養が偏っているように感じてしまいますよね。
総合栄養食のフードであれば栄養が計算されて作られていますが、もし一般食のフードを毎日食べているのであれば、栄養が偏ってしまっているはずです。
そのフードが気に入っていて、他のフードを食べてくれないようであれば、サプリを用いて足りない分の栄養を補ってみてはいかがでしょうか。
サプリであれば、お気に入りのキャットフードに混ぜて与えることが出来ますので、フードを変えることなく与えることが可能です。
ミネラルやビタミン、必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6系)などのサプリがおすすめですよ。
◆シャンプーやブラッシングをしてみる
グルーミングが苦手な猫ちゃんや、皮膚に何かしらの疾患を持っている猫ちゃんには、シャンプーやブラッシングが効果的です。
シャンプーやブラッシングをすることによって、血行が良くなり、抜け毛を取り除いてあげることが出来ます。
同時に汚れも取り除くことが出来ますので、なかなかシャンプーは出来なかったとしても、ブラッシングは定期的に行ってあげてみてはいかがでしょうか。
ブラッシングをする際のブラシは、人間用の商品ではなく、必ずペット用の物を選ぶようにしましょう。
優しくブラッシングをしてあげると、スキンシップの一環にもなりますので、とてもおすすめですよ!
ブラッシングをするときは被毛の乾燥予防としてトリートメントやブラッシングスプレーなどをつけてあげるとよいでしょう。
まとめ
猫の人気な部位として、「ビロードのような被毛」を挙げる方も多いかと思いますが、毛艶のある美しい毛並みは、やはり猫独特の魅力と言えますよね。
猫の容姿を美しく着飾るだけの役割のようにも感じますが、しっかりと体を守るために、様々な役割を担っていることが分かりました。
なので飼い主さんに出来ることは、常に健康な被毛を守ってあげることになるのです。
「少しでも毛艶が良くないな」と感じるようなことがあれば、対処法を用いて、健康的な毛並に戻るように手助けをしてあげてくださいね。
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