1.猫はお米を食べても大丈夫?
1-1.お米の栄養
1-2.1日の摂取量
2.猫にお米を与える際の注意点
2-1.生米
2-2.とぎ汁
2-3.味付き
3.猫の穀物アレルギーに注意
4.猫の主食はお肉?
5.まとめ
猫はお米を食べても大丈夫?
どんなおかずとも相性の良いお米は、私たち人間の主食でもあり、摂取することによってさまざまな栄養が供給されるので、欠かすことのできないエネルギー源となります。
人間にとって主食となるほど重要な存在のお米ですが、猫はお米を食べても大丈夫なのでしょうか。
まずはお米にどんな栄養が含まれているのか見ていきましょう。
◆お米の栄養
噛めば噛むほど甘味が増すお米は、甘い味がすることから糖分が多く含まれているような気がしますが、実際は炭水化物が大半を占めています。
お米の炭水化物=でんぷんとなりますので、水と熱を加えて加熱することによって糊化し、独特の粘り気が生まれるのです。
そして咀嚼して吸収することにより、でんぷんはブドウ糖に変化して脳の働きを活性化してくれる役割も担っています。
ほかにも猫に必要な栄養素であるタンパク質やビタミンなども含まれていますが、でんぷん(炭水化物)が成分の7割以上を占めていますので、このでんぷんが猫にどのような影響をもたらすかが重要となってくることでしょう。
◆猫はでんぷんの消化機能が十分でない
猫は肉食動物なので、生肉のようなタンパク質をはじめとしたバランスの良い食材を食べて生き抜いてきました。
人間と共存するようになった現在でもその本質は変わりません。
とくに今の市販のキャットフードは、猫に必要な栄養素がしっかりと計算されて作られているので、猫にお米を食べさせる必要性はないと言えるでしょう。
猫は人間のようにお米を主食としておかずを食べることはないので、当然と言えますよね。
そもそもお米を食べる理由がない猫にとって、お米の糖を消化する機能や代謝能力が十分ではないので、積極的に与える食材ではないことが分かります。
私たちが普段お米を美味しく食べているからといって、もともと体のつくりが異なる猫に必要な食材ではないので、どうしても愛猫がお米を欲しがる際には摂取量に気を付けて与えてあげてください。
与える際には炊いたお米に水分を足してペースト状にし、1日スプーン1杯程度を目安として、様子を見ながら与えましょう。
猫にお米を与える際の注意点
お米は炊いてあるものであれば、猫に多少与えても問題はありませんが、お米に関連する食材はさらに注意が必要なものもあります。
◆生米
炊く前のお米は「生米」と呼ばれ、とても硬いのが特徴的ですよね。
この生米もお米であることには変わりありませんが、やはり消化が苦手な猫にとって与えるべきではない状態であることが分かります。
猫は咀嚼をほとんどしない動物な上、植物性の食べ物を消化するのが苦手なので、生米は炊いたお米よりもさらに猫の胃腸に負担をかけることになってしまうのです。
消化不良を起こし下痢や嘔吐をしてしまうこともあるので、生米を猫に与えることはやめておきましょう。
◆とぎ汁
お米のとぎ汁にはたくさんの栄養が流れ出ているので、私たちの生活の中では重宝されることも多いですよね。
そんなに栄養価が高いのであれば、猫に飲ませればさらに健康につながるのでは?と考えたことのある飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
ですがお米のとぎ汁には、お米を育てる際に付着した汚れや農薬、そして菌や虫などが不着していることがあります。
お米を研いでそれらの汚れを落としていくため、そのとぎ汁を猫が飲んでしまうと体に何かしらの悪影響が出てしまう可能性も否めません。
また、とぎ汁には米粒のミネラル分が大量に流れ出ているので、とぎ汁を飲むと過剰摂取になり兼ねません。
ミネラルは猫にとって必要な栄養素ではありますが、過剰摂取をしてしまえば腎臓に負担をかけ、結石などもできやすくなってしまうので危険です。
◆味付き
淡泊な味わいのお米はどんなおかずにも合うので、昔の人は白米にお味噌汁やかつお節をかけた「ねこまんま」を与えていました。
ですがこのトッピング、猫が好きそうな感じはしますが、実際は塩分過多で猫にとって悪影響を及ぼす可能性が高いです。
キャットフードが一般化していなかった時代は、ある意味そのような食事しか猫に与えることができなかったと考えられますが、今はたくさんのメーカーがバランスの良い猫の食事を開発しています。
あえて時代に逆らって味付きのお米を与えてしまうことは、猫の寿命を縮めてしまうことになってしまうので、味付きのお米は与えないようにしましょう。
猫の穀物アレルギーに注意
肉食動物の猫は植物性の食べ物を消化するのが苦手なので、最近では「グレインフリー(穀物不使用)」のキャットフードも販売されるようになってきました。
穀物アレルギーを持っている猫ちゃんにとっては、なくてはならない存在のフードとも言えますよね。
お米はアレルギー反応が出にくい食材としてアレルギー用の療法食にも使われていますが、もしお米を食べたことによって何かしらの反応が出てしまえば、飼い主さんはお米を愛猫に与えたことをきっと後悔してしまうことでしょう。
アレルギー反応を起こしてしまえば、皮膚に強い痒みが出ますので、皮膚を鋭利な爪で掻きむしり、脱毛や出血により傷口から感染症を患ってしまうこともあるのです。
ほんの少しの可能性でも猫に辛い思いをさせてしまうぐらいなら、人間の食べ物は与えないという強い意志を持つことも大切です。
猫の主食はお肉?
私たちと一緒に共存して生活する猫は、少なからず人間のように嗜好性を重視した食べ物を口にする機会が増えたようにも感じます。
「猫にも美味しいものを食べさせたい」と考えるのは人間のエゴであり、肉食動物である猫にとって現実的ではないような気もしますよね。
とくにお米はでんぷん(炭水化物)が豊富なので、炭水化物を分解する酵素を持ち合わせていない猫には、不向きは食材であることが分かります。
また、雑食性の人間と肉食の猫とでは腸管の長さも異なり、腸管の短い猫が植物性の食材を食べると消化ができず、臓器に負担をかけてしまうのです。
このようなことからも、猫にとって何が幸せなのか、どうしたら健康的に毎日を送れるのかを、飼い主さんはしっかりと考えてあげる必要があるのではないでしょうか。
猫が食べるべき主食はネズミや魚などの極端な物ではなく、「総合栄養食」と名前の付いているキャットフードです。
総合栄養食には猫に必要な栄養素が、しっかりと計算されて作られているので、細かな栄養を計算する必要もないですし、何よりも安心して与えることができますよね。
最近では猫の年齢に合わせたフードもたくさん出ていますので、子猫用や高齢猫用など、年齢に合わせて選んであげることも可能です。
そして病気を患っている猫用のフードもあるので、ニーズに合わせて選べるのも嬉しいですよね。
愛猫に長生きしてもらいたいのであれば、市販の総合栄養食フードと新鮮なお水を与えていれば問題ないので、人間の食べ物は与えないことが一番です。
まとめ
太陽の恵みをいっぱいに浴びたお米は栄養価も高く、せっかくなら嗜好性の高い猫にも、おすそ分けしたいと考える飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
ですが肉食動物である猫は、雑食である人間と体のつくりがまず違いますので、植物性の食べ物を口にしてしまうと、消化不良を起こしてしまうことが多いです。
どうしても食べたがる場合には、水分でふやかしたお米をスプーン1杯程度あげるようにしましょう。
たとえ愛猫がお米の香りを察知して欲しがったとしても、猫の健康を考えるのなら人間の食べ物は猫に与えるべきではないのです。
猫が生きるために必要な栄養素は総合栄養食のキャットフードに計算されてしっかりと含まれていますので、年齢と体調に合わせて選んであげるようにしてください。