1.猫のトイレの回数が多い
1-1.猫のトイレの回数
1-2.トイレに行くのにおしっこが出ない
2.猫のトイレの回数が多い病気
2-1.下部尿路疾患
2-2.尿路結石症
2-3.膀胱炎
2-4.尿道閉塞
2-5.腫瘍
猫のトイレの回数が多い
愛猫のトイレの回数やオシッコの量を把握できていますか?
腎臓や泌尿器系の病気に罹ることが多い猫にとって、トイレの回数やオシッコの量は健康のバロメーターとなります。
日頃、トイレを片づける時に、オシッコの量や回数をチェックしておきましょう。
◆猫のトイレの回数
猫の排泄回数の目安は、オシッコが1日に2~3回程度、うんちが1~3回程度です。
しかし、これよりも多かったり少なかったりしても、即、病気の可能性があるということではありません。
実際に病気を疑う判断基準は、普段より回数が増えた/減った、トイレに行っているのに上手く排せつできていない、トイレを失敗するようになったなど、何らかの変化が見られるかどうかです。
排泄の量や回数は猫の個体によって異なるので、普段と違うかどうかを判断するためには、飼い主さんが普段の量や回数を把握しておくことが大切です。
◆トイレに行くのにおしっこが出ない
特に気をつけたいのが、トイレに行くのにおしっこが出ない場合です。
何度もトイレに行き、排せつのポーズをとるのに、オシッコが少なかったり出ていなかったりする場合には、膀胱炎や尿道閉塞の可能性があります。
膀胱炎は、さほど心配の必要がない病気ですが、尿道閉塞は2~3日で尿毒症となり命にかかわるので要注意です。
猫のトイレの回数が多い病気
◆下部尿路疾患
猫下部尿路疾患(FLUTD)とは、膀胱から尿道までの下部尿路に起こる様々な病気の総称です。
原因は、尿路結石(尿石症)、突発性膀胱炎、膀胱周辺の腫瘍、尿路感染症などの病気で、一つまたは複数が合わさって起こります。
下部尿路疾患の原因では、突発性膀胱炎が一番多いと報告されています。
下部尿路疾患になると、以下のような排泄に伴う様々な症状が見られます。
□頻繁にトイレに行くのにおしっこの量が少ない
□オシッコをする時に痛がって鳴く
□血尿が出る
□オシッコが濁る
□トイレ以外で粗相をする
□落ち着きがなくなる
下部尿路疾患を予防するには、十分に水を飲ませる、バランスの取れた食事を取らせる、トイレを清潔にするなどの日頃のケアが大切です。
◆尿路結石症
猫下部尿路疾患の代表的な病気の一つです。
腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結石ができる病気で、結石が膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりします。
結石の大きさは、砂粒くらいから数cmの固まりまで様々です。
猫に多い代表的な結石は、おしっこがアルカリ性に傾くとできやすい「ストルバイト」と、酸性に傾くとできやすい「シュウ酸カルシウム」の2つです。
ストルバイトは比較的若い猫に多く、シュウ酸カルシウムは中高齢の猫に多い結石です。
オシッコの中にマグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラル成分が増えたり、尿のpHが崩れたりすると結石ができやすくなります。
オス・メスともになりますが、特にオスは、尿道が細くカーブしている部分があり、先端も細くなっているため、結石が尿道に詰まりやすく重症になりがちです。
また、肥満の猫もかかりやすいです。
オシッコと一緒に結晶が出て、猫砂やシートの表面がキラキラと光って見えることがあります。
尿路結石症の予防には、ミネラルバランスが良く、オシッコのpHを適切にコントロールするフードを与えましょう。
水を上手にたくさん飲ませることも大切です。
適度な運動は、肥満を防止し、水を飲む量を増やせるので、おすすめの予防法です。
◆膀胱炎
膀胱炎には、細菌に感染して膀胱に炎症が起こる「細菌性膀胱炎」と、原因不明の「突発性膀胱炎」があります。
突発性膀胱炎は、猫の膀胱炎の半数以上を占め、10歳以下の比較的若い猫に多いです。
ストレスや水を飲む量が少ないこと、膀胱粘膜の異常などとの関連性が指摘されていますが、まだ分かっていないことが多い病気です。
細菌性膀胱炎は、尿道から膀胱に細菌が侵入して炎症が起きる病気で、膀胱にできた結晶や結石が傷つけた部分に細菌が感染して起こることもあります。
メスは尿道が太くて短いため、オスに比べて体内に細菌が入りやすく、細菌性膀胱炎にかかりやすいと言われています。
また、尿路結石症の猫は注意が必要で、特に尿道を短くする手術を受けた猫は罹りやすくなります。
一方、膀胱炎にかかると、オシッコのpHが高くなり(アルカリ性に傾く)、結石ができやすくなるとも言われています。
初期症状は、トイレに行くのにおしっこが少ししか出ないため残尿感があり、頻繁にトイレに行くようになります。
オシッコに血が混じって茶色くなったり、血尿が出たり、白っぽく濁ったりして、いつもとはおしっこのニオイが違ったりします。
お腹に触ると痛がったり、トイレ以外で粗相をしたりすることもあります。
細菌性膀胱炎の予防には、おしっこを我慢してしまわないよう、トイレを清潔に保つことが重要です。
◆尿道閉塞
尿道閉塞とは、何らかの原因で尿道が塞がり、オシッコが出にくくなったり、全く出なくなったりする状態を言います。
結石などが尿道に詰まったり、腫瘍などが尿道を圧迫したりすることが原因で起こります。
また、泌尿器の発育不全で起こることもあります。
尿路結石症の猫は、注意が必要です。
オスは尿道が細長く、カーブしている部分があり、先端が細くなっているため、メスより詰まりやすい構造となっています。
症状としては、典型的な下部尿路疾患の症状が出ます。
全くおしっこが出なくなると、急性腎障害(急性腎不全)や尿毒症になります。
早期に治療しなければ1~2日で死に至るので、初期症状の段階で気づいてすぐに病院に連れていくことが重要です。
原因としては尿石症が多いので、食事を管理したり水を多く飲ませたりして、尿石症を予防することが尿道閉塞の予防に繋がります。
◆腫瘍
膀胱や腎臓に腫瘍ができて、下部尿路疾患の症状を示すことがあります。
膀胱の腫瘍は、あまり多くはありませんが、高齢の猫にできることがあります。
多くは悪性で、移行上皮癌の確率が高いと言われています。
腎臓の腫瘍も猫ではあまり多くなく、発症した場合リンパ腫や腎腺がんが多いです。
腎臓の腫瘍の明確な原因や遺伝性の有無は、分かっておらず、予防は困難です。
腎臓腫瘍は、猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスに感染していると発症しやすい傾向があります。
猫のトイレの回数が多い時の対処法
猫のトイレの回数が多くなった場合、深刻な泌尿器系の病気が隠れていることもあるので、日頃のトイレの回数やオシッコの量の把握が大切になります。
オシッコの回数が少ない場合は、猫自身が元気にしているなら、自宅で対処することで元に戻ることがあります。
トイレに行くけれどおしっこが出ない場合、膀胱炎と尿道閉塞が疑われます。
尿道閉塞は短期間で命にかかわるので、トイレで特に辛そうにしていたり、声をあげたりするようなら、すぐに動物病院に連れていきましょう。
トイレの回数が多くなり、オシッコの量も増えた場合には、膀胱炎や腎臓の病気、糖尿病の可能性があります。
これらの病気になるとオシッコの量が増えて水分を取られるため、水を飲む量が増えます。
5~6歳以上の猫は、腎臓病になるリスクが高いです。
腎臓病になると、オシッコの回数や量が増え、水を飲む量も大幅に増えます。
糖尿病は、肥満の猫で注意が必要な病気で、水をたくさん飲み、食欲の増加や下痢などの症状が出たりします。
多飲多尿などが起こっている場合には、自己判断をせず、動物病院に連れていきましょう。
冬になるとトイレの回数が増える?
人は、冬寒くなると、トイレの回数が増えることがあります。
しかし、猫は逆にトイレの回数は少なくなります。
猫は、もともと水を飲む量が少ないですが、冬は寒さで動きが鈍るため、水を飲む量がさらに少なくなり、トイレの回数も減少します。
猫は、少ない水でも生きていけるよう水分を効率よく使うので、もともと濃いオシッコをします。
オシッコの回数が減ると更におしっこが濃くなり、結晶・結石ができやすくなります。
結石が詰まって尿道閉塞を起こすと、尿毒症や急性腎障害になり、命にかかわることもあるので、トイレの回数が少なくなった時にも注意が必要です。
まとめ
猫は、腎臓の病気をはじめとして、泌尿器系の病気に罹ることが多いです。
猫のトイレの回数の目安は、成猫でオシッコが1日2~3回、うんちが1~3回程度です。
生後4ヶ月までの子猫の場合は、オシッコは1日に3~4回程度です。
猫のトイレの回数の増減が、即、病気であるとは限りませんが、多すぎたり少なすぎたりする場合には、注意が必要です。
獣医師の治療が必要な病気が隠れている場合もあるので、様子見をせずに、動物病院に連れていきましょう。
トイレの回数の増減を知るには、日頃のトイレの回数やオシッコの量を把握しておくことが必要です。
トイレの片づけをする際に、よく観察をして、記録をつけておくとよいでしょう。
水分を十分に摂取できるよう、水飲み場を増やしたりウェットフードを与えたりといった対策も有効です。
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