猫が快適にすごせる?猫ちぐらって知ってますか?

2020.10.11

猫が快適にすごせる?猫ちぐらって知ってますか?

猫ちゃんベッドのひとつとして、ひそかな注目を浴びている“猫ちぐら”。 いったいどんなものなのでしょう? 購入価格や使うときの注意点など、「猫ちぐら」の細かい部分にまで迫って解説していきます。

【目次】
1.「猫ちぐら」ってそもそもどんなもの?
 1-1.古くから伝わる民芸品
 1-2.一つ一つが手作り
 1-3.昔は、人間の赤ちゃん用だった…!?
 1-4.猫ちぐらという名前の由来は?
 1-5.天然のわらが材料

2.猫ちぐらが魅力的なワケとは?
 2-1.魅力ポイント①:丈夫でしっかりしたつくり
 2-2.魅力ポイント②:保温性が高い
 2-3.魅力ポイント③:通気性があって夏にも涼しい環境
 2-4.魅力ポイント④:猫のくつろぐ姿がかわいい
 2-5.魅力ポイント⑤:シンプルでインテリアにも素敵

3.猫ちぐらを使うときの注意ポイント
 3-1.湿気には注意する
 3-2.爪とぎしないように猫ちゃんに教えよう
 3-3.ダニが発生するリスクもある
 3-4.お手入れをする
 3-5.タオルや毛布を敷いてあげよう
 3-6.長時間の日光はあまりよくない
 3-7.「寝る場所」と認識させてあげよう

4.猫ちぐらの気になる価格

5.まとめ

「猫ちぐら」ってそもそもどんなもの?

まずは、猫ちぐらについて、どんなものかを説明していきます。

◆古くから伝わる民芸品

猫ちぐらは、新潟県にある関川村、長野県にある栄村などで古くから伝わっている伝統的な民芸品です。

稲わらを編んで作りあげた、猫ちゃん用のベッド。
主に、かまくら型やドーム型などの形状で、猫が出入りできる入口がついています。
中は、猫が好む薄暗いリラックススペースです。

ゴロンと寝そべっている様子を見ていると、まるで小さな猫のおうちですね。
猫ちぐらの中から、こちらをチラッと見ている猫は、とても可愛らしい表情です。

◆一つ一つが手作り

新潟県の関川村では「関川村猫ちぐらの会」があり、会員さん達が一つ一つ丁寧に手作りで作成しています。

猫ちぐらのサイズにもよりますが、1個作るために1週間はかかってしまうとのこと。
でも、それだけ長い時間をかけるため、しっかりとした品質で出来上がっています。
注文を受けてから届くまでの期間は、そのときの注文状況や製作状況によって一概には言えませんが、数か月かかることは珍しくないようです。

また、数年前には、テレビで紹介されたことがきっかけで注文が殺到。
“数年待ち”という時期もあったのだとか!

・ひとつずつの手作りのため完成までに1週間程度の時間がかかる
・作り手の後継者が不足している
・農家減少にともない高品質の稲わらの確保が難しい

など、いろいろな問題が絡み合っているため、注文してすぐに届くわけではありません。

予約数が多ければ、待つ時間も長くなるでしょう。
注文してから届くまでの期間が長く感じるかもしれませんが、作り手の皆さんの温かい気持ちがこめられていると思うと気長に待っていられそうですね。

◆昔は、人間の赤ちゃん用だった…!?

今でこそ、猫ちゃんのベッドとして知られている猫ちぐらですが、実は昔は人間の赤ちゃんのために作られていたそうです。

稲わらで編まれているため、保温や通気に優れた特徴を持つ「ちぐら」。
農作業中でも、赤ちゃんを身近で見守ることができるアイテムとして重宝していたのですね。

また、歴史はとても古いようで、猫ちぐらが民芸品として有名な新潟県の関川村では「大正時代にはすでに猫ちぐらがあったのでは…」というお話もあるのだとか。

さらに、江戸時代の浮世絵に、猫ちぐらのようなものが描かれていたことから、現在の猫ちぐらの前身となるようなものが、古くから使われていたことが分かりますね。

◆猫ちぐらという名前の由来は?

わらで編んだ赤ちゃんを入れるためのゆりかごのようなお椀型の入れ物のことを、「えじこ(嬰児籠)」と古くから呼んでいました。
地域によって方言があり、新潟県では「ちぐら」、それ以外では「つぐら」「いじこ」と、さまざまな呼び方があるようです。

猫ちぐらが民芸品として売り出されるようになったのは、昭和50年から60年にかけての頃でした。
世の中のペットブームも相まって、注目の的になりました。

そもそもはお椀のような形状をしていましたが、猫の寝床として「猫ちぐら」が定着してからは、ドーム型が主流になっています。

屋根がないオープンな寝床のお椀型も販売されています。
抱っこのまま、上から出し入れしてあげられるので、寝ている時間が長い子猫や老猫のお世話に選ぶ人も多いようです。

◆天然のわらが材料

天然の稲わらが材料です。
1つの猫ちぐらを編むためには、50~60センチ程度の稲わらが4キロほどは必要と言われています。
たくさんの稲わらを使うため、米どころとなる地域が発祥となったのかもしれませんね。


猫ちぐらが魅力的なワケとは?

猫ちぐらが人気を集めているのは、作り方や見た目など魅力的なポイントがたくさんあるからです。
どんな点が、好評なのでしょうか。

◆魅力ポイント①:丈夫でしっかりしたつくり

猫ちぐらは、とても丈夫です。

布製のベッドの場合、新しいうちは問題ありませんが、使っているうちにどうしてもボロボロになってしまうもの。
清潔を保つために何度も洗濯すると、表面の繊維が傷み、寝心地が悪くなってしまうこともあるでしょう。
布が切れたりすると、新しく買い替えなければなりませんよね。

猫ちぐらは「丈夫さ」を重視して、稲わらをギュッと適度な力加減で編みこんでいます。
やんちゃな猫が、うっかり飛び乗ったり、爪とぎでゴリゴリしちゃっても、壊れにくい頑丈さが魅力です。

愛猫のためにひとつ買えば、かなり長い期間使えるでしょう。

◆魅力ポイント②:保温性が高い

保温性に優れている天然のわらが素材なので、猫ちぐらのなかは温かいです。
寒い時期には、猫ちゃんが温かく快適に過ごせます。

◆魅力ポイント③:通気性があって夏にも涼しい環境

暑い季節にも快適です。
通気性があるので、猫ちぐらの中は、猫ちゃんにとって涼しい環境になるでしょう。
エアコンとのダブル使いで、暑い夏も乗り切れそうですね。

◆魅力ポイント④:猫のくつろぐ姿がかわいい

ドーム型の猫ちぐらは、丸みを帯びた形状。
模様やデザインに派手さはないですが、その素朴な雰囲気のなかに猫がスヤスヤしている様子がとにかく可愛らしいのです。

◆魅力ポイント⑤:シンプルでインテリアにも素敵

猫用ベッドはたくさんありますが、天然のわらを編んでいる猫ちぐらは、どこか懐かしくホッとするシンプルな外見をしています。
インテリアとしても活躍し、和風のお部屋にももちろん、洋風のお部屋にもマッチすることでしょう。


猫ちぐらを使うときの注意ポイント

次に、猫ちぐらの使い方の注意ポイントやお手入れ方法などについてまとめていきます。

◆湿気には注意する

本来、通気性に優れている猫ちぐらですが、置く場所には注意しなければなりません。
風が通らず湿り気のある場所は、いくら通気性のよい素材だとしても湿気でカビが発生しやすくなります。
家の外に置いておくと湿気が溜まりやすいので、避けた方がいいでしょう。

また、万が一カビが生えてしまった場合の対処には注意しましょう。
猫ちぐらを乾燥させて、カビをブラシで取り払うようにしてくださいね。

◆爪とぎしないように猫ちゃんに教えよう

天然素材の優しい香りに引き寄せられ、爪とぎ場所にしてしまう猫ちゃんもいるかもしれません。
丈夫な猫ちぐらですから、ちょっとカリカリしても簡単には壊れないかと思います。

ただ、愛猫の快適空間としてせっかく購入した猫ちぐら。
本来の目的と違った使い方をされてしまうと、少し悲しいですよね。

「ここは爪とぎ場所ではないよ」と、教えてあげましょう。

◆ダニが発生するリスクもある

猫ちぐらに使用する「わら」は、消毒済の清潔なものです。
しかし、使用している最中に、部屋のどこかからダニが発生してしまうことは少なくありません。

高温多湿の気候の日本では、どこの地域にお住まいでもダニがいる可能性があります。
そのため、もし、ダニが多数発生しているような場合、猫の体にも影響があるのでダニを退治するお手入れが必要になってきます。
殺虫剤は健康に悪影響ですから、使わないようにしましょう。

ダニは高温で死滅するので「天日干し」が頭に思い浮かぶかもしれませんが、長時間の直射日光は素材が悪くなる原因になってしまいます。

布団乾燥機などの熱風を使って、効率よく安全にダニを取り除きましょう。

◆お手入れをする

布製と違って、洗濯ができない素材です。

そのため、お手入れはゴミを取ったり、中を拭いたりなどになります。

ただ、濡れたタオルを使うと素材に水分が染み込み、カビを発生させてしまうかもしれません。
濡れタオルでお手入れした後には、風通しのよいところでしっかり乾燥させてから使いましょう。

◆タオルや毛布を敷いてあげよう

そのままでも猫が寝ることはできますが、抜け毛やゴミなどの汚れが溜まって掃除が大変かもしれません。
下敷きとして、タオルや毛布を敷いてあげれば、ふだんのお手入れがしやすくなるでしょう。

◆長時間の日光はあまりよくない

直射日光にあてれば、ダニやカビ対策になります。
ただ、長時間、直射日光にさらしてしまうと、素材が傷む原因となってしまうでしょう。
ときどきは日光にあてて乾燥させるのは、お手入れとして効果がありますが、干す時間に注意してくださいね。

◆「寝る場所」と認識させてあげよう

猫ちぐらの中は、狭さや暗さ、温かさなど、猫ちゃん好みの環境です。
ただ、ふだんのベッドに慣れていたり、そもそもベッドがない環境で寝て過ごしている猫ちゃんの場合、猫ちぐらを見ても「寝る場所」と認識しないこともあるでしょう。

好奇心旺盛な性格の猫ちゃんなら「ここは何だろう?!」と興味を持ってくれて、次第に寝てくれるかもしれませんね。
いつも使っているタオルを敷き安心させ、寝る場所と認識してもらいましょう。

何にしても、猫ちゃんの気持ちが大事です。
あまり無理強いせずに、自然と興味を持ってくれるのを待つといいかもしれませんね。


猫ちぐらの気になる価格

とても魅力的な猫ちぐら。
気になるのは、その価格ですよね。

購入場所や大きさによっても価格帯は異なりますが、消費税や送料を含むと25,000~30,000円くらいが平均相場となっているようです。

新潟県や長野県で民芸品として販売されているものは、地域に伝わる作り方で完成した伝統的な猫ちぐら。
数万円と猫用ベッドとしては少しお高めに感じますが、素材にこだわった手作業、長持ちさせるための特別な処理を施していると考えると、納得できる方も多いのではないでしょうか。

ただ、猫ちぐらが注目されてきた最近では、猫ちぐらに雰囲気が似ているものも売られています。
「猫ちぐらみたいなベッド」は、数千円程度の価格からの購入が可能で、本物と比べるとお得感があるかもしれません。

しかし、本物と比べると編み方や素材、生産国にも違いがあります。

ほんの一例ですが、材質が「ウォーターヒヤシンス」「カイザ草」「ポリプロピレン」、生産国が「ベトナム」「バングラデシュ」「中国」などとなっています。
天然の素材を使っている点では、保温性や通気性などが期待でき、猫ちゃんも快適に過ごせるかと思います。

ただ、昔から伝わる地域の猫ちぐらとは、丈夫さや編み方が違っていることは知っておくといいでしょう。

購入前には、どんな点が違うのかにも着目して、納得した上で選ぶといいかもしれませんね。

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まとめ

いかがでしたか。

天然の素材から丁寧に作り上げられた伝統的な猫ちぐら。
夏でも冬でも快適に猫が過ごせるのは、使用している天然素材や受け継がれてきた製法に秘密があります。
きれいなドーム型に仕上げるには、作り手さんの経験からくるセンスも関係しているようです。

また、猫にとって快適スペースとなること間違いなしの猫ちぐらですが、お手入れをサボったり、使用方法を間違うと、カビやダニが出ることもあります。

愛猫が快適に過ごしている姿を見るのは、飼い主さんにとって微笑ましい瞬間です。
猫ちぐらが猫ちゃんにとって快適スペースとなると嬉しいものですね。



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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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