1.猫の異食症とは
1-1.異食の対象となりやすいものは?
1-2.こんな行動をしていたら異食症かも?
2.猫の異食症の原因
2-1.遺伝的なもの
2-2.ご飯が足りていない
2-3.寄生虫や病気
2-4.ストレス
2-5.愛情不足
2-6.遊んでいる
3.猫の異食症の対策は?
3-1.異食の対象となるものを置かない
3-2.動物病院に相談
3-3.時間をとって遊んであげる
3-4.たくさん甘えさせてあげる
猫の異食症とは
飼い主さんがふと目を離した隙に、愛猫が部屋の中にある物に興味を持ち、ガジガジとかじっている…。
元気な子であれば、日常的に見る行動ではありますが、本来食べ物として認識するはずの無いものを食べようとしているのであれば、さすがに飼い主さんも心配になってしまいますよね。
ただの誤飲だけならありえない話ではありませんが、同じような行動を繰り返したり、同じ物を食べ続けたりしているのなら、問題行動として捉えても良いかもしれません。
このような問題行動を繰り返す病気を、「異食症」と呼びます。
ほかにも「ウールサッキング」などと呼ばれることもあり、猫と一緒に暮らしている飼い主の方であれば、すべての方が注意しておきたい病気とも言えるでしょう。
猫の異食症の対象になりやすい異物には、どんなものがあるのでしょうか?
◆異食の対象となりやすいものは?
異食症はウールサッキングと呼ばれていることからも、ウール(羊毛)をサッキング(しゃぶる)といった意味を持っています。
ですので羊毛のような布製品である、毛布やタオルなどは異食の対象になりやすい傾向になります。
ほかには布製のおもちゃやビニール袋、おからや木の素材を使った猫砂、ダンボールなどの紙製品も口にする猫ちゃんも多いと言われています。
◆こんな行動をしていたら異食症かも?
傍から見ると異食の対象と遊んでいたり、興味をひかれて舐めたり噛んだりするような行動は、日常的に見ることができますよね。
ですがその行動が長時間続き、異食の対象が一つの異物に絞られた場合はどうでしょうか?
後者は強い執着のようなものを感じますので、愛猫の行動が異常であることに気付くはずです。
細かく噛み砕いてしまえば、そのまま飲み込んでしまうこともあるので、遊びと病気の違いをしっかりと見極めるようにしましょう。
猫の異食症の原因
猫が異物を食べてしまった場合、飼い主さんはその異物を取り上げて、食べることを止めさせようとするかもしれませんが、それでは何も解決に繋がりません。
原因を追究し、その原因に合わせた対策を心掛けることによって、改善へと導いてあげなくてはいけませんよね。
猫が異食をする原因として考えられている要因は、以下の通りです。
◆遺伝的なもの
猫の異食症はまだ解明されていない点も多く、はっきりとした原因が分かっていないとも言われています。
中でも猫種によっては、遺伝で異食症を発症することが多いと統計的に見られており、シャム猫やバーミーズといった、東洋を発祥とした純血種に多く見られるそうです。
東洋系の猫たちは繊維質のものを好む傾向があると言われていますが、明確には理由が分かっていないこともあり、大まかに遺伝的なものが原因として考えられています。
◆ご飯が足りていない
私たちはお腹が空いていたり、何か口寂しくなったりした場合は、飴やガムを食べて気分を紛らわすことがありますよね。
ですが完全室内飼いの猫は、食事の管理を飼い主さんが行っているので、お腹が空いたからといってすぐに何か食べる物を貰えるわけではありません。
たくさん鳴いてご飯が欲しいアピールをしても、フードやおやつを貰えない場合は、異物を食べてお腹と心を満たしているとも考えられます。
また、ご飯が足りないだけでなく、猫の体に必要な栄養素が足りていない場合にも、異食をすることがあるようです。
◆寄生虫や病気
異食症の原因の中で、別の病気などが関係していることも稀にあると言われています。
とくにお腹に寄生虫が居る場合は、体の中の栄養を寄生虫に取られてしまいますし、その不快感から敢えて異物を口にして、体外に虫を出そうとしているのかもしれません。
また、内臓などに病気を患っている際にも、猫自身が痛みや痒みを感じているときは、どうにかその煩わしさを取り除こうとして異食を始めることがあるようです。
急に異食を始めるようになったのであれば、注意が必要です。
◆ストレス
猫も人間と同じように、ストレスを溜めることがあります。
ですが人間のように上手なストレス発散方法も確立されていないので、その不満な気持ちは問題行動へと発展することがほとんどです。
猫は言葉で辛い気持ちを飼い主さんに伝えることはできないので、愛猫の行動を見てその裏にどんな気持ちが隠されているのか、読み取ってあげなくてはいけません。
ストレスで異食を始めてしまったのであれば、その行動は長く続くはずですので、普段から愛猫の様子をみて、異食症の原因を追究してあげましょう。
◆愛情不足
飼い主さんとの絆が深く、信頼関係が確立されている猫ちゃんは、その分飼い主さんへの依存心も強いです。
一匹でのお留守番が長い子や、飼い主さんが構ってあげる時間が短い場合には、愛情が足りないと感じていることでしょう。
寂しい気持ちを埋めるためにも、まずはお腹を満たそうと思って、異物を口にするといった心理が働いているのかもしれませんよね。
また、幼少期に母猫と早く離されてしまった子猫は、おっぱいをフミフミやチュッチュする時間が短かったために、大人になってもそのような行動を繰り返すと言われています。
なのでそのような行動の延長で、異食に繋がってしまうことも否めません。
◆遊んでいる
猫は狩りを得意とする動物なので、家の中にあるものでも、遊びの対象にすることはよくありますよね。
その遊びの延長で仕留めることができたのなら、本能的に獲物を口にしてしまうことも、ないとは言い切れないのではないでしょうか。
仕留めたついでに食べてみるといった考えは、野生で生きてきた猫の本質とも言えるので、ついつい口に入れてしまうのかもしれません。
単純に異物の噛んだときの音や、噛み心地を気に入ることもあるので、噛み砕く力が強ければ、そのまま細かく砕いて口にすることもあるので注意が必要でしょう。
猫の異食症の対策は?
猫の異食症は、放っておいて良い病気ではありません。
お腹に溜まった異物が、排泄や嘔吐で上手に体外に排出できれば良いですが、紐やビニールなどを異食した場合、胃や腸で詰まってしまう危険性があるからです。
そのまま異食が続いてしまえば、腸閉塞を引き起こす可能性もあるので、愛猫の異食を見つけたのなら、すぐに止めさせるような対策を心掛けましょう。
◆異食の対象となるものを置かない
まずは部屋の中に、猫が食べて困るようなものは、極力置いておかないことが一番です。
愛猫の行動範囲を把握し、その場所に異食の対象になりやすいものは置かないようにしてください。
部屋の片付けを常に心掛けるだけでも、異食症の対策としては効果的ですので、常に生活環境を整えるようにしましょう。
また、飼い主さんが留守の間や、就寝時間に異食を繰り返しているようでしたら、その時間帯だけケージに入れることも有効です。
◆動物病院に相談
部屋を片付けて、異物を極力部屋に置かないようにしても、異食症が治らないようでしたら、動物病院に相談してみるのもおすすめです。
愛猫の異食の特徴を伝え、専門家の意見を聞くことによって、解決に導いてくれることは多々あります。
そして健康であったとしても、定期的な健康診断を受けさせてあげてください。
万一ほかの病気が異食症を引き起こしているのであれば、まずは原因となる病気から治療を始めることができますので、健康で居続けてもらうためにも必要となります。
◆時間をとって遊んであげる
遊びの延長で異食を始めたり、ストレスから異食をしたりするのであれば、飼い主さんと一緒に遊ぶ時間を増やしてあげるようにしましょう。
飼い主さんと一緒に遊んでいる最中に異食をした場合は、その場で異物を取り上げ、食べることを止めさせられますよね。
どんなに眠る時間が多い動物であったとしても、飼い主さんと過ごす時間は、猫ちゃんにとってかけがえのないものです。
ストレスを上手に発散させてあげれば、心も体も満たされ、自然と問題行動が減っていくはずですよ。
◆たくさん甘えさせてあげる
食べ物を欲しがる、ものに執着するといった心理として、やはり「寂しさ」が根本にあるとも言えますよね。
心に空いた大きな穴は、異物で埋めるのではなく、たっぷりの愛情でいっぱいにしてあげる必要があるのです。
愛猫が構って欲しい、甘えたいといったアピールをしてきたときは、しっかりと向き合って相手をしてあげてください。
短い時間でも自分に注がれた愛情を感じてくれるはずですので、このようなケアも問題行動解消へと繋がります。
まとめ
異食症は一時的な誤飲などではなく、継続的に繰り返される病気です。
放置してしまえば、異物がお腹の中で詰まり、最悪の場合麻酔をかけて手術をしなくてはいけません。
健康な成猫であれば手術をすることは可能ですが、子猫や老猫の場合、麻酔が使えないこともあるので、普段から異食をさせないような対策が必要となってきます。
いずれにせよ猫に負担をかけることには変わりないので、愛猫が辛い思いをしないためにも、部屋の整理整頓を心掛け、ストレスを溜めないような心のケアを怠らないようにしてあげてください。
愛猫の不満のサインを見逃さないように心掛ければ、問題行動も事前に回避することができますので、日頃からスキンシップを図って愛情を深めていきましょう。
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