1.猫にシリンジが必要となる場面は?
1-1.投薬
1-2.ミルクを与える
1-3.強制給餌
2.シリンジの使い方
2-1.シリンジの持ち方に注意する
2-2.体を起こした状態でシリンジを使用する
2-3.シリンジで少量ずつ与える
猫にシリンジが必要となる場面は?
猫があまりにも自力で水を飲まないので、シリンジで強制給水されてるんだけど、たまにこういう「んー、水なー。まぁまずくはないんだけど」みたいな満更でもない顔するのはちょっとかわいい。 pic.twitter.com/mWoJdaKowV
— きだて たく (@tech_k) July 19, 2020
健康な猫ちゃんであれば自分でフードを食べられますが、何かしらの理由があって自分で餌を食べられない場合には、飼い主さんが食べることに対してお手伝いをしてあげる必要があります。
その際にどのようにして餌を与えるかというと、飼い主さんの指ですくったフードを舐めさせるやり方や、スポイトを用いて注入を行う方法が一般的ではありました。
しかし、最近では針のない注射器である「シリンジ」を利用する、動物病院や飼い主さんが増えたようにも思えます。
猫にシリンジが必要になる場面は、大きく分けると以下の3つに分けられます。
◆投薬
病気などで継続的な治療が必要な際には、動物病院で薬を処方されることがよくありますよね。
とくに飲み薬を飲む必要がある場合には、毎日決まった時間に飼い主さんがサポートして、愛猫に飲ませてあげなくてはいけません。
しかし猫は少しの変化にも敏感なので、普段食べているフードに薬を混ぜて与えると、少しのニオイや味を敏感に察知し、食べることをやめてしまう子も少なくないでしょう。
錠剤の場合は飲み込む力の強い子であれば、口を無理矢理開いて舌の奥の方に薬を入れて口を閉じ、そのまま飲み込ませる方法もあります。
ですがこの方法は上手にできる子とできない子が居ますので、難しいと感じる飼い主さんも多いことかと思います。
また、液体の薬や錠剤をお湯で溶かしたとしても、その味にびっくりして泡を吹いてしまうこともありますので、そんなときはシリンジを使いましょう。
シリンジを使った投薬の例としては、錠剤を細かく砕き、ペースト状のフードに混ぜて、シリンジで吸引して一気に口に入れると、そのまま飲んでくれるようになります。
それでも、猫が飲みにくそうな場合は、砕いた錠剤をさらにお湯で溶かしてから、フードに混ぜましょう。
◆ミルクを与える
赤ちゃん猫を保護することになったときは、飼い主さんが母猫の代わりを務めなくてはいけないので、一日に何度もミルクを与えなくてはいけません。
とくに生後間もない子猫は、自分でミルクを飲み込む力が弱く、子猫用の哺乳瓶ではニップル(吸飲)部が大きいこともあり、シリンジやスポイトを利用して与えるのが一般的ですよね。
口の小さい子猫に対し、小さめ(細め)のシリンジを使うと比較的与えやすくなります。
子猫にミルクを与える際は、誤嚥(ごえん)をしないように、少量をゆっくりと与えるので根気が要りますが、このとき(成長期)だけの貴重な時間となりますので、愛情を持ってミルクを飲ませてあげるようにしましょう。
◆強制給餌
病気や怪我によって自分で餌を食べることができない猫ちゃんや、歳を重ねて飲み込む力が弱って食事ができない猫ちゃんには、強制給餌(きょうせいきゅうじ)が必要となってきます。
強制給餌とはその名の通り、強制的に餌を食べさせることとなります。
強制と聞くと可哀相な気もしますが、命を繋ぐためにはとても大切なことですよね。
もちろん強制給餌は猫ちゃんの状態にもよりますが、餌を食べることにより、免疫が付いて体力回復へ向かう場合や、最終的に自発的に食べられるようになる見込みがあるのであれば、迷わず強制給餌を行うべきです。
とくに猫の宿命とも言える病気である腎臓病は、強制給餌が必要となる病気とも言われていますので、猫ちゃんと暮らしている方であれば、シリンジの使い方を知っておいて損は無いと言えるでしょう。
シリンジの使い方
猫にシリンジを使用する際には、しっかりと使い方を把握しておく必要があります。
使用方法を把握しないまま使ってしまうと、猫ちゃんの誤嚥に繋がってしまうので大変危険です。
安全に使用するためにも、以下の点に注意して使用するようにしましょう。
◆シリンジの持ち方に注意する
シリンジは針が付いていない注射器となりますが、持ち方がとても重要で、病院の看護師さんが持つような持ち方は、猫に使用する際には向いていません。
看護師さんが持つような、人差し指と中指で注射筒(外筒)を固定し、親指で押子を押す持ち方をしてしまうと調節が難しく、中身が一気に出てしまうことがあります。
そのような方法で猫に使用してしまうと、誤嚥に繋がり気管に詰まってしまうので、猫に使用する際にはシリンジを握るようにして持ち、押子を親指で押す飲ませ方の方が、量の加減をコントロールしやすくなります。
◆体を起こした状態でシリンジを使用する
猫にシリンジでフードやお水を与える際には、必ず猫の体を起こした(腹ばい)状態で行うようにしましょう。
体を仰向けにした状態で与えてしまうと、本来食道を通り胃に到達するはずの食べ物が、誤って気道に入ってしまい、誤嚥を起こしかねないので注意が必要です。
誤嚥を起こしてしまえば最悪の場合、窒息や肺炎を引き起こしてしまうので、シリンジを使用の際には猫ちゃんの体勢をしっかり意識して行ってください。
猫ちゃんの体勢を整えることができたのなら、犬歯の後ろの隙間にシリンジの筒先(先端)を入れ、ゆっくりと給餌をしてあげましょう。
そして必ず飲み込めたかの確認をした後に、次の一口を与えるようにすれば誤嚥を防ぐことができますよ。
◆シリンジで少量ずつ与える
シリンジを使用する際には、誤嚥に気を付けなくてはいけないことからも、少量ずつ与えることが基本となります。
とくにシリンジを使う必要性のある猫ちゃんの大半は、飲み込む力が弱いことが多いので、一度にたくさんの量を口の中に入れてしまえば、うまく飲み込むことができずにすべて吐き出してしまう可能性も否めません。
確実に摂取ができるようにシリンジを使用しているのに、シリンジの扱い方によって、猫ちゃんに給餌をすることが儘ならないのであれば本末転倒ですよね。
また、猫は固形よりも、液体に近い食べ物や飲み物を飲み込むことが苦手な動物ですので、餌を与える際には粘り気を高くする工夫をすると、スムーズに飲み込めるようになる場合もあります。
時間がかかっても根気よく与えることが大切ですので、あきらめずに猫ちゃんのスピードに合わせて食べさせてあげるようにしましょう。
猫にシリンジを使う前に
突然の病気や高齢猫の介護の際に役立つシリンジではありますが、使う機会がくるのは、いつだって突然のことだと思います。
そうなると急いでシリンジを購入し、使用をスタートさせなくてはいけないので、使用後に何かしらの不満を感じることがあるかもしれません。
猫にシリンジを使う前には、以下の下準備をしておくようにしましょう。
◆十分に準備をする
シリンジを使用する際には、一本だけ購入するのではなく、十分に在庫を確保しておくことをおすすめします。
もちろん洗って繰り返し使用することはできますが、押子の先端にあるガスケット(ゴム)部分は、使用を繰り返すことによって潤滑油が落ち、滑りが悪くなってしまうからです。
滑りが悪くなり硬くなってしまったガスケットを、放置したまま使用を続けてしまうと、押子を押した際に大きく反動し、中身が一気に猫ちゃんの口の中に流れ込む危険性が高くなります。
洗い方としては洗剤を使わず、ぬるま湯で丁寧に洗うことが理想ではありますが、毎日使用するものなので、ぬるま湯だけでは汚れが取り切れない不安も残ってしまいますよね。
ガスケット部分にフードが目詰まりすることもありますので、シリンジを使用する際にはストックを十分に確保し、順次交換をしながらの使用を心掛けましょう。
◆猫の爪を切っておく
シリンジを猫に使用する機会というのは、強制的に餌やミルクといった水分を与えることに繋がりますので、強制されることを嫌がる猫ちゃんは多いと言われています。
無理強いされて喜ぶ子は居ませんので、逃げるように必死に暴れ、ときには飼い主さんを傷付けてしまう猫ちゃんも居るはずです。
ですがどんなに暴れても傷つけられても、愛猫にシリンジを使用する必要性があるのであれば、諦めずに給餌をすることだけに専念してください。
暴れる猫ちゃんに対して一番にやるべき対策は、猫ちゃんの爪を切っておくということです。
爪を切っておけば猫ちゃんが暴れたとしても、飼い主さんへの攻撃は軽減できますので、猫ちゃんに対しての事前準備もしておくに越したことはありませんよね。
おもいっきり噛まれるのであれば、保護グローブなどを購入して、腕を守ることをおすすめします。
猫ちゃんの性格に合わせて、臨機応変に対応することが必要となってきますので、根気が要りますが愛猫のためにも、事前準備は怠らないようにしましょう。
まとめ
シリンジを使用する機会は、子猫にミルクを与えるような微笑ましい場面だけでなく、生死に関わるような辛い場面でも使用をしなくてはいけません。
だからこそ使い方を間違えてはいけませんし、正しい知識を増やして安全に利用したいものですよね。
そしてすべての猫ちゃんが、上手にシリンジで吸飲できるわけではないので、シリンジの中身がこぼれてしまったあとのケアも大切です。
猫はキレイ好きなので、自分の体に付着してしまった場合は、洗い流さないシャンプーなどでキレイに拭き取り、清潔を保ってあげてください。
そして寝床やお気に入りの毛布などにこぼしてしまった際も、洗濯をしてキレイにしてあげるようにしましょう。
シリンジの扱いは最初は難しく感じますが、慣れていけばコツを掴んで冷静に使用できますので、根気よく猫ちゃんの給餌に専念してあげてくださいね。
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