1.香箱座りって何?
1-1.足を折りたたんだ座り方
1-2.香箱座りの由来
2.猫はなぜ香箱座りをするの?
2-1.リラックスしている
2-2.香箱座りは理にかなっている?
2-3.香箱座りをしない猫
3.座り方で猫の気持ちがわかる?
3-1.スフィンクス座り
3-2.横座り
3-3.エジプト座り
3-4.しっぽ巻き座り
3-5.お腹を出している
3-6.親父座り
4.香箱座りには体調不良が隠れていることも
4-1.骨軟骨異形成
4-2.変形性関節症
4-3.カリシウイルス性関節症
5.香箱座りをするのは猫だけ?
6.まとめ
香箱座りって何?
SNSには、「香箱座り」をした可愛い猫ちゃんの写真がたくさん投稿されています。
読み方は、「こうばこすわり」です。
当たり前のように香箱座りと呼んでいますが、実のところ、どんな座り方なのでしょうか?
◆足を折りたたんだ座り方
香箱座りとは、猫が自分のお腹の下に、前足も後ろ足も全てしまっている座り方のことです。
前足も後ろ足も身体の下側に隠れてしまって見えず、尻尾も身体に巻き付けたり体の下にしまい込んだりすることもあります。
「箱座り」「香箱を作る」「香箱を組む」などと表現されることもあります。
本来は、「香箱を作る」という表現が正しいようで、辞書に「香箱座り」という項目はありません。
香箱座りという呼び方は、インターネット上で生まれた新しい言葉なのでしょう。
「香箱を作る」という表現は、森鴎外や芥川龍之介、尾崎紅葉などの作品にも、猫の座り方を表す言葉として出てきます。
◆香箱座りの由来
香箱座りをした猫は、全体のフォルムが長方形に見えることから「香箱」に例えられました。
香箱とは、ズバリ「お香を収納する箱」のことです。
茶道や香道で使われる蓋つきの長方形の箱で、漆塗りなどで和柄があしらわれている繊細で美しいものです。
「香箱を作る」という表現については、大正時代の辞書に「行儀よく坐れるまま、何事もせずにいること」と定義されていて、人が日向などで背を丸くして座っている様子を指しています。
猫が香箱を組んでいる様も、まさにこういう感じですよね。
ちなみに、英語圏では「catloaf」(キャットローフ)、「meatloaf」(ミートローフ)と呼ばれます。
「loaf」とは、「パンのかたまり」のことです。
「meatloaf」は、ひき肉や魚肉などをパン粉、卵などで固めてパンのローフのような形にして蒸し焼きにしたお料理です。
画像を見ると、確かに香箱座りをした猫の姿はローフに似ています。
茶トラの猫ちゃんの場合は、まさにローフです。
猫が香箱座りをした様子は、洋の東西を問わず猫好きさんの心をひきつけて、特別な名前をつけさせるようです。
猫はなぜ香箱座りをするの?
猫がなぜ香箱座りをするのか、理由が気になってきますね。
◆リラックスしている
香箱座りは、手足をお腹の下にしまい込んでいることから、すぐには動き出せない体勢です。
このことから、香箱を組んでいる猫は、リラックスしていると考えられています。
外敵がいないなど、脅威を感じていない時の座り方なのです。
また、飼い主さんへの信頼が表れた姿勢とも言えるでしょう。
猫ちゃんが安心して過ごせている証拠ですね。
香箱座りをする場所は猫自身がリラックスできる場所なので、いつでも香箱を組めるよう確保しておいてあげるとよいでしょう。
◆香箱座りは理にかなっている?
香箱を組んでいる時は、前足は折りたたんでいますが、後ろ足はすぐに踏み込める体勢です。
後ろ足で地面を蹴って立ち上がることができるので、リラックスしつつも、何かハプニングが起きた時には対処できる座り方なのです。
◆香箱座りをしない猫
子猫の頃は、身体にあまり肉がついていないため、安定しにくいようであまり香箱座りをしません。
遊び盛りで、じっとしていられないということもあるでしょう。
また、大き目の猫ちゃんは、前脚が太くて長く、上手く折りたたむことが難しいため、後述の「スフィンクス座り」をすることが多いようです。
外で暮らしている野良猫は、基本的に香箱座りをしない傾向があります。
外の世界では、外敵が多く、いつ襲撃されるか分かりません。
眠る時でも緊張状態で、いつでも戦えるようにしているのです。
座り方で猫の気持ちがわかる?
猫には、香箱座りのほかにも、いろいろと特徴的な座り方があります。
香箱座りがリラックスしている気持ちの表れなら、他の座り方にはどんな気持ちが隠れているのでしょうか?
◆スフィンクス座り
エジプトのスフィンクス像のように、後ろ足は体の下にしまい込み、前足は前方に突き出した座り方です。
この座り方は、何かあったときにはすぐ立ち上がれるようにしていると考えられ、やや身構えている時に見られると言われています。
スフィンクス座りの方を好む猫ちゃんは、大き目の子など、前足を身体の下にしまい込むのが窮屈なのかもしれません。
◆横座り
横向きに寝転んで、後ろ足を投げ出し、前足は地面につけている座り方です。
前足を少し立てている場合は、やや警戒をしている時ですが、地面にぺったりとしている時は、そのまま寝てしまうこともあるなど、警戒心は薄い状態と考えられます。
寝そうで寝ない、今にも寝てしまいそうというような状態なんですね。
◆エジプト座り
上半身を起こして、前足は揃えている座り方で、犬のオスワリに似ています。
「エジプト座り」というのは、エジプト神話に出てくる猫の姿の女神「バステト」に由来している呼び方です。
野良猫によく見られる座り方で、やや警戒している状態と言われています。
◆しっぽ巻き座り
上半身を起こして前足をつき、身体にしっぽを巻き付けています。
基本的には、警戒している様子の表れとされています。
一方で、寒さから身を守るためにしていたり、しっぽが汚れないようにしていたりすることもあります。
SNSでは、「しっぽマフラー」と呼ばれることも。
愛猫がしっぽを巻き付けて座っている時には、室温など周りの環境をチェックしてあげるとよいでしょう。
◆お腹を出している
座り方ではありませんが、仰向けになってお腹を出している時は、最大のリラックス状態です。
動物にとって、お腹は最大の急所なので、外敵がいる環境ではお腹を出すことなどできません。
また、少しでも相手に警戒心が残っている場合にも、お腹を出すことはありません。
お腹を出しているのは、飼い主さんを信頼していて、おうちの中が安心できる場所である証拠ですね。
◆親父座り
あまり見られる座り方ではありませんが、お腹を見せて後ろ足を広げて座る様子を「親父座り」や「おじさん座り」と呼ぶことがあります。
まるで人間のようなポーズから、SNSでは「中に人間が入っている」と言われることもありますね。
これは、お腹や胸毛の毛づくろいをしていて、そのままぼんやりしてしまったような場合に見られることが多いようです。
お腹を見せていること、すぐには動き出せないことから、警戒心が低い状態と思われます。
親父座りをする猫ちゃんは、のんびり屋さんなのかもしれませんね。
この姿勢は、猫の身体の作りから見ると、あまり長時間できるものではありません。
目撃できたら、レアな瞬間を見たということになるでしょう。
また、スコティッシュフォールドがよくするので、「スコ座り」とも言われます。
ただし、スコティッシュフォールドの場合、慢性炎症や変形関節症で、前足や後ろ足に体重がかかる座り方では負担がかかってしまって辛いのかもしれません。
香箱座りには体調不良が隠れていることも
普段から香箱座りをしている猫ちゃんなのに、何となく元気がない場合、体調が悪くてじっと耐えているのかもしれません。
普段あまり香箱座りをしない子なら、なおさらです。
長い時間香箱座りをしていて、ゴハンも食べないという様子が続く場合、体調が悪い可能性もあるので、動物病院で診てもらってくださいね。
座り方がいつもと違う場合や頻繁に座り方を変える場合にも、体調不良が隠れていることがあります。
座り方以外にも、お腹を床や地面に押しつけている場合は、腹痛の可能性があります。
普段から、愛猫の様子をよく観察しておいて、異変に気づいてあげてくださいね。
座り方が変化するときに隠れている病気は、主に以下の通りです。
◆骨軟骨異形成
骨の成長が思うように進まない病気で、関節の痛みを伴います。
◆変形性関節症
軟骨部分に問題があり、痛みが出る炎症です。
主な原因は、加齢や肥満です。
◆カリシウイルス性関節症
猫風邪の病原体であるカリシウイルスに感染すると、多発性関節炎になる恐れがあります。
子猫などあまり体力がない子の場合、命にかかわることもあり、注意が必要です。
香箱座りをするのは猫だけ?
(園長ツイート)
~ カラカルの香箱座り ~
ネコ科の大型獣トラ,ライオンなどでは見れませんが,同じ猛獣でも小型のカラカル,サーバルは香箱座りをします。
「デレ~ッ」も可愛いけど,これはこれで親近感がわきます。#福山市立動物園 #カラカル #サーバル pic.twitter.com/Ru9eRi6SlK— 福山市立動物園[公式] (@FukuyamaZoo) April 2, 2018
香箱座りは猫だけのものでしょうか?
ライオンやトラなどのネコ科の動物は香箱座りをしないのか、気になりますね。
以前は、香箱座りは猫特有のもので、ライオンやトラといった大型のネコ科動物は香箱座りをしないと言われていました。
しかし、ライオンやトラが香箱を組んでいる姿も目撃されています。
また、ウサギやアルパカ、犬も、香箱座りをするようです。
ウサギの場合は猫と異なり、前足を後ろ足の間に入れる座り方です。
いずれも、のんびりリラックスしている表れと言われています。
まとめ
猫の可愛さが凝縮されたような香箱座りは、猫好きさんでなくても癒される姿です。
香箱を組んでいる猫はリラックスしていたり、飼い主さんを信頼していたりと、飼い主さんとしては嬉しい姿と言えますね。
香箱座りをする場所は猫ちゃんのお気に入りの場所なので、いつでも座れるように確保しておいてあげましょう。
ただし、普段香箱座りをしない子がしていたり、長時間香箱を組んでいたりするようなら、体調不良が隠れている可能性もありますので、様子はよく見てあげてくださいね。
座り方から、猫の気持ちや体調を読み取ることができます。
愛猫の座り方に注目して、上手にコミュニケーションを取りましょう。
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