1.猫に大根を与えても良い?
1-1.大根に含まれる主な成分
1-2.期待できる効果は?
1-3.アレルギー
1-4.猫に大根を与えるデメリット
2.大根の与え方
2-1.小さく切る
2-2.大根おろしにする
2-3.大根の皮や葉っぱは大丈夫?
2-4.味の付いた大根や大根のつまはNG
猫に大根を与えても良い?
大根はとても歯触りがよく、味が染み込みやすいのでさまざまな料理に使われていますよね。
脇役としても主役としても味わい深い野菜となりますので、どのような栄養が含まれているのかも気になるところです。
そして水分量が多い野菜としても知られていますので、水を飲む機会の少ない猫に食べさせたいと思う飼い主さんも多いことでしょう。
結論から言いますと、猫が大根を食べてもとくに問題はありません。
むしろ生でも与えられるので、大根から水分を摂取できるのは嬉しいポイントとなりますよね。
まずは大根にはどんな成分が含まれているのかを、詳しくご紹介していきます。
◆大根に含まれる主な成分
大根は一年中市場に出回っていますが、旬の季節は晩秋から初冬にかけてと言われています。
大根は部位によって味が変化する野菜としても知られており、葉も皮も余すところなく料理に使用できるのが嬉しいポイントですよね。
そして部位によっても栄養価が異なり、大まかな栄養素は以下の通りとなっています。
大根は根に近い下部ほど辛みが強く、水分量が少ないので漬物などに向いている部位と言えるでしょう。
中部は辛みと甘みのバランスが良いので、大根の旨味を楽しむ料理に最適です。
葉にもっとも近い上部は甘味が強いので、大根おろしや生で食べるサラダなどに向いています。
そして皮付近にはビタミンCが多く存在し、大根特有の辛み成分となる「イソチオシアネート」が含まれ、根となる下部に近づくほどこの辛み成分は強くなり、上部の約10倍もの含有量になると言われています。
大根の上部には「ジアスターゼ」と呼ばれる成分が含まれており、このジアスターゼとイソチオシアネートは細胞が破壊されたときに、化学反応によって生まれる成分となるので、大根は奥の深い野菜であることが分かりますよね。
◆期待できる効果は?
大根を猫が食べることによって期待できる効果は、なんといっても水分摂取が一番に挙げられます。
猫はもともとたくさん水を飲まなくても生活できるようにと、強靭な腎機能を持ち合わせているので、自ら進んで水を飲むことはありません。
しかし夏場などの気温が上がる季節は、室内でも熱中症の危険性が高まりますので、そんなときには水分量の多い食事を、愛猫のために心掛けたいと思っている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
そして化学反応で生まれるイソチオシアネートは、解毒作用や血液をサラサラにする効果を持ち、ジアスターゼは消化酵素となるので、消化の手助けをしてくれます。
ビタミン類も豊富に含まれているので、疲労回復や健康維持、ガンの抑制などのさまざまな効果が期待できるでしょう。
また、水分や食物繊維が豊富なので、便秘をしている猫ちゃんには、便秘解消の効果を促してくれるはずです。
◆アレルギー
大根は猫にとって食物アレルギーの反応を起こしにくい野菜となるので、飼い主さんが安心して与えられるのも嬉しいポイントとなります。
また、もともとアレルギー体質の猫ちゃんであれば、強いストレスや激しい運動を行った際に、多くのビタミンCを必要とします。
健康な個体であれば体内でビタミンCを合成できますが、それができない猫ちゃんは食事からビタミンCを摂取する必要がありますよね。
大根の葉にはたくさんのビタミンCが含まれているので、アレルギーを持っている子にも有効な野菜と言えるのではないでしょうか。
◆猫に大根を与えるデメリット
大根にはビタミンCが豊富に含まれているので、猫にも喜ばしい栄養素となりますが、大根を大根おろしにした場合、約2時間程度で酸化し、20~90%が効力を失うようです。
金属製(鉄や銅)のおろし金や、にんじんと一緒にすりおろすと、にんじんに含まれる酸化酵素(アスコルビナーゼ)が反応するので、お酢を利用した調理が有効となりますが、お酢を使った大根は猫に与えることはできません。
このような知識を持ち合わせていないと、せっかくの栄養成分を台無しにしてしまうことに繋がりますので、猫に大根を与える際には調理法なども意識して利用するようにしましょう。
大根の与え方
猫に大根を与える際には、どの部位をどのような調理法で与えるのかが重要となってきます。
猫へ安全に食べさせるためには、どのようにして大根を与えるべきなのでしょうか。
◆小さく切る
猫に大根を与えるときは、甘みが強い上部の部分を小さく切って与えるようにしましょう。
大根の上部は水分量が多いので、水分摂取目的で与えるのであれば、この部位が一番です。
◆大根おろしにする
大根の上部は大根おろしにとても向いている部位となるので、すりおろしてフードと混ぜる与え方もおすすめです。
繊維に沿っておろすことにより、辛みがマイルドになりますので、刺激に弱い猫ちゃんにもぴったりですよね。
大根の上部は大根の葉をつけたままにしておくと、葉っぱがすべて栄養を吸ってしまうので、購入後はすぐに切り落とし、別にして保管するようにしてください。
そしてすりおろしたあとは、すぐに使い切るようにし、酸化した大根おろしは猫ちゃんに食べさせないようにしましょう。
◆大根の皮や葉っぱは大丈夫?
大根の皮や大根の葉も栄養が豊富なので、猫に与えても問題はありませんが、猫は消化吸収が苦手な動物ですので、多少の工夫が必要となってきます。
大根おろしで猫に与える場合には、皮ごとすりおろすようにし、大根の葉を与える場合は、細かく刻んで与えることによって、消化の手助けをするような工夫をしてあげましょう。
◆味の付いた大根や大根のつまはNG
ぶり大根といった煮物は、魚の旨味が大根にもしみるので、猫にも与えたいといった気持ちになってしまいますが、魚の旨味だけでなく、砂糖やしょうゆなどで味付けをするので、猫に食べさせるのはNGです。
また、刺身のドリップが付着した大根のつまも、猫は喜んで食べそうな気がしますが、刺身によっては、ネギやにんにくといった薬味の味が付着していることもあるので、猫には与えないようにしましょう。
大根のつまは鮮度を保つために、漂白(消毒)をしている場合もありますし、少しでも不安要素が残るようであれば、与えない方が飼い主さん的にも安心できるのではないでしょうか。
大根を与える時の注意点は?
大根は水分が多くヘルシーな野菜ではありますが、猫に与える際には何か注意しなくてはいけない点があるのかも気になりますよね。
猫が大根を食べた際に、どのような危険があるのかを今一度確認しておきましょう。
◆少量を意識する
栄養豊富な大根ではありますが、たくさん与えたからといって猫が健康になるわけではありません。
大根にはイソチオシアネートといった辛み成分があるので、胃腸を刺激することもあり、水分補給が目的であっても、少量与えることを意識しておくと安心です。
大根おろしであれば1日スプーン1杯程度を目安とし、与えすぎには注意するようにしましょう。
◆病気に注意する
大根はアブラナ科の野菜となり、「ゴイトロゲン」といった成分も含まれているので、この成分がヨウ素の吸収を妨げることにより、甲状腺に負担をかけてしまうことがあるそうです。
甲状腺に何かしらの疾患を持っている猫ちゃんに、どうしても大根を与えたい理由があるようであれば、一度獣医師さんに相談することをおすすめします。
ほかにもカルシウムやミネラル類が豊富に含まれていることもあり、過剰摂取してしまうと「尿路結石」「高カリウム血症」「腎不全」といった病気の原因となってしまうことも。
また、大根は食物アレルギーが少ない野菜だと、こちらの記事でご紹介してはいますが、猫ちゃんの中には「口腔アレルギー」や「接触性アレルギー」を引き起こす可能性があるようです。
すべての猫ちゃんに安全な野菜とは言い切れないので、与える際には少量を意識し、しっかりと様子を見ながら与えるようにしてください。
体調を崩した場合の対処方法は?
猫は肉食動物となり、野菜の消化が苦手な上に、大根の辛み成分は胃腸に負担をかける可能性もあるので、中には大根を口にして体調を崩してしまう子が居るかもしれません。
大根を食べたあとに嘔吐や下痢などの症状や、目の充血や痒みなどを感じているようであれば、すぐに動物病院に連れていくようにしてください。
大根が何かしらの病気を発症させる原因になってしまっては、いくら栄養価の高い野菜であっても食べる意味がないので、与えることをすぐに中断しなくてはいけません。
大根を与えたあとに愛猫の様子に異変を感じる場合には、躊躇することなく動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
大根は部位によって味わいが異なる不思議な野菜ですが、普段から食卓に並ぶ機会の多い野菜となるので、猫にも食べさせたいと考える飼い主さんも多いはずです。
甘みの強い大根の上部は、猫に与えても安全な部分となるので、猫ちゃんに食べさせる場合はこの部分を小さく切るか、すりおろすなどをして与えると良いでしょう。
比較的安全な野菜ではありますが、病気を患っている猫ちゃんには悪影響となってしまうこともあるので、与える際はしっかりと飼い主さんの管理下のもと、食べさせることを心掛けてください。
最近では大根おろしアートなども流行っていますので、飼い主さんも楽しみながら調理してみるのもおすすめです。
正しく与えれば猫に必要な栄養が摂取できる上に、愛猫の飲水量も増やしてあげられますので、まずはお裾分けの気持ちで、少量を与えることから始めてみてはいかがでしょうか。
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