1.猫の肉球の役割とは
1-1.足音を消す
1-2.クッション
1-3.体温調節
1-4.センサー
1-5.滑り止め
2.猫の肉球がしっとりしている理由
2-1.毛繕いをしているところだから
2-2.汗をかいているから
猫の肉球の役割とは
猫の足先にちょこんと付いている肉球ですが、そのビジュアルのキュートさから、猫の部位で一番好き!といった方も多いことかと思います。
ただただかわいいだけの装飾と思われがちな肉球ではありますが、実は猫にとって重大な役割を担っていることをご存知でしょうか?
一般的に猫の肉球は、以下のような役割があると言われています。
◆足音を消す
狩猟本能を持つ肉食動物である猫は、野生で暮らしてきた時代から現代の猫にもその本能が受け継がれ、捕食をする必要のある野良猫や、捕食が必要のないイエネコにも備わっていることをご存知でしょうか。
獲物を捕まえるときには気付かれないように足音を消す必要がありますが、猫の場合は肉球が足音を吸収し、獲物に自分の存在を気付かれ難くしてくれるといった特徴を持っています。
◆クッション
猫は爪を自由自在に出し入れできるといった特徴を持っており、この特徴は足音を消す際にも役立っています。
この爪と肉球が猫の手足に付いていることによって、猫は高い場所へ飛び登ったり飛び降りたりすることができ、とくに着地の際には肉球がクッション代わりとなって、衝撃を吸収して体への負担を軽減させてくれるようです。
猫が高い場所から飛び降りてもケガをしないのは、このかわいらしい肉球が一役買っていると思うと、感慨深いものがありますよね。
◆体温調節
猫は全身を被毛で覆われており、平熱も38度前後と高いことから、体温調節が苦手な動物として認識されている方も多いのではないでしょうか。
犬も全身を被毛で覆われていますが、口を開けてパンティングをしながら体温調節をしており、猫の場合は口で呼吸をする姿を見かけないことからも、どうやって体温調節を行っているのか、疑問に感じている方も多くいらっしゃるはずです。
猫の汗腺は肉球の裏にあり、肉球を舐めることによって、体温調節を行っていると言われています。
◆センサー
猫は全身が被毛に覆われているのにも関わらず、足先の裏にだけ毛の生えていないない肉球があることに、疑問を感じたことはありませんか?
実は猫のみに限らず、動物の足裏には毛が生えることはなく、肉球が地面に触れることによって、安全かどうかの情報を素早くキャッチし、危険を察知しながら歩くことができるようです。
手足の裏に毛が生えていれば、毛に障害物がまとわりついて、ケガなどをしやすくなってしまうため、猫は靴を履かなくても生活ができるようにと、肉球が大切な役割を担ってくれているのかもしれません。
◆滑り止め
汗腺のある肉球は汗をかくことにより、滑り止めといった機能を発揮します。
人間と違ってさまざまな場所を移動する猫は、ただ身体能力が高いだけでなく、肉球を汗で湿らせることにより、安全に移動するといった本能がもともと備わっているそうです。
猫がほかの動物と違って、前足を器用に使って物を掴むことができるのも、肉球が一役買ってくれている証拠となり、肉球のおかげでより身体能力に磨きがかかっていることにも納得です。
猫の肉球がしっとりしている理由
普段はぷにぷにもちもちっとした触感の猫の肉球ですが、まれにじんわりと湿っているときがあります。
では、猫の肉球がしっとりしているときは、一体どのような理由が考えられるのでしょうか。
◆毛繕いをしているところだから
起きている時間には全身の毛繕いをして清潔を保っている猫となりますが、この毛繕いの最中にも肉球のお手入れを欠かすことはなく、肉球のみならず手足を広げて肉球の間に生えている被毛にもしっかりとケアを施します。
その際に猫の唾液が肉球につき、湿っている状態が続くことがよくあるそうです。
また、舐めることの難しい部位となる顔のお手入れの際にも、わざと肉球を唾液で濡らして顔をゴシゴシと洗います。
ここまで全身のセルフグルーミングを徹底できる猫が、どれだけキレイ好きであるかがうかがえますよね。
毛繕いのほかにも、水遊びで手足が濡れてしまった場合や、水のある場所に行った(お風呂場や洗面所など)ことにより、外的な要因で肉球が濡れていることもあるようです。
◆汗をかいているから
前述してある通り、猫の汗腺は肉球にあるため、何かしらの要因により汗をかいて湿っていることがよくあります。
猫の汗腺は肉球だけでなく、鼻にも存在しているため、猫が汗をかいているかどうかの確認をする場合には、この2つの部位をチェックするようにしましょう。
猫が汗をかいている!?
汗をかかないイメージの強い猫ではありますが、肉球と鼻に汗をかくことが分かった上で、どのような要因により汗が出るのかも気になるところですよね。
猫と人間とでは汗のかき方が異なるようですが、どのような違いがあるのかをまずは見ていきましょう。
◆猫にも汗腺がある
汗をかく汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺がありますが、さらっとした水状の汗が出るエクリン腺に対して、アポクリン腺はベタっとした油状の分泌物を出します。
アポクリン腺からの分泌物は体臭の元となり、人間では特に脇の下に多く分布し、毛根に開口部があることからも毛に密着しやすく、悪臭の原因になりやすいと言われているようです。
タンパク質や脂質といったニオイの元となる成分が多く含まれており、もともとはフェロモンの役割を果たしていたとも言われていました。
実は猫にも体全体にアポクリン腺がありますが、日頃のグルーミングのおかげで猫は体臭が気になりません。多少の分泌物が出ているにしても、キレイに舐めとってしまう術を持っている猫が体臭と無縁なのは、このような背景があることを知るととても面白いですよね。
もちろんすべての分泌物を舐めとっているわけではなく、アポクリン腺からの分泌物は縄張り争いや発情期などにも活躍するそうです。
被毛で覆われている猫はグルーミングの際に、気化熱を使っての体温調節が可能となるため、さらっとした汗をかくためのエクリン腺も必要最低限あれば問題がないとも考えられています。
進化の過程で不要なものが淘汰されてきた結果として、肉球や鼻先だけにエクリン腺が存在していることにも、感慨深さを覚えずにはいられません。
◆どんな時に汗をかくの?
猫にも人間と同じように汗腺が存在するのであれば、どのようなときに汗をかくのかも気になりませんか?
私たちは気温の暑さや湿度、発熱や緊張などにより汗をかきますが、猫が汗をかくときには、以下のような状況のときが多いようです。
- 暑い時
- 緊張している時
- においを付けたい時
- 高いところなどに移動する時
猫も人間と同じように体温調節のために汗をかき、ふわふわの被毛で覆われていても暑い季節を過ごすことが可能となります。
基本的に猫は鼻で温度を感じ取りますが、体が気温を察知してじんわりと肉球に汗をかき、汗をかくことによって猫はグルーミングを始めて気化熱を発生させ、毛繕いの過程で全身の体温を調節させるといった仕組みです。
また、こちらの理由も人間と一緒で、緊張や恐怖を感じたときにも猫は汗をかきます。
肉球から出る汗はさらっとした水状の汗となりますが、鼻の利く猫にとって自分の汗のニオイは安心できるニオイとなるため、自分の縄張りや好きなものに対して、肉球から汗を出してニオイ付けをすることが知られています。
前足をふみふみする行為もその一つとなり、飼い主さんに対してそのような行動をしてきた場合は、愛情表現として受け取ってあげてください。
ほかにも高い場所へ登ると意気込んだときにも汗をかき、持ち前の身体能力とバランス感覚を活かして移動することが可能となります。
まとめ
猫の肉球はただただかわいいだけでなく、猫にとって重要な役割を担っていることが分かりました。
たくさんの能力を秘めているからこそ、もっともっと愛猫の肉球を大切に、ケアをしてあげたいと思う飼い主さんは多いことでしょう。
冬など乾燥する時期には肉球がカサカサになったり、場合によってはひび割れてしまったりします。そんな時には猫用の肉球クリームなどを使って保湿してあげましょう。
また、肉球をケアする目的でも、室内の床に障害物となる物などを放置しないようにし、汚れが付着しないように日々の清潔を心掛けてあげてください。
愛猫の肉球が汗で湿っているのは、何かしらのサインです。室内が暑いようであれば室温の調整をし、緊張や不安を抱いているようであれば、その原因を取り除いてあげましょう。
気分が良さそうなときに汗をかいているのであれば、自分のニオイを何かにつけたいと考えている合図ですので、その時はその汗を拭きとるようなことはせず、満足するまで好きなように対象物へ汗を付けさせてあげてくださいね。
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