1.猫に昆布を与えても良い?
1-1.昆布の主な成分
1-2.昆布の期待できる効果
猫に昆布を与えても良い?
昆布は健康志向のキャットフードに含有されていることも多く、猫が食べても安全な食材であることが分かります。
出汁をとる食材として重宝されている上に、さまざまな効果が期待できることからも、日常的に愛猫へ与えたいと考える方は多いことでしょう。
しかし、基本的には猫に与える必要がない食材でもあるため、与える際にはいくつかの注意点があることも覚えておきましょう。
◆昆布の主な成分
まずは昆布にどんな成分が含まれているのかが気になるところですが、昆布とはコンブ木コンブ科に属する、海藻の一種となります。
調味料の開発に繋がったと言われている、旨味成分となる「グルタミン酸」や、ミネラルの一種となる「ヨウ素(ヨード)」をはじめとするミネラル類、「ビタミンK」
や独特のねばり成分となる「食物繊維」に含まれる「アルギン酸」や「フコイダン」、褐色の色素成分となる「フコキサンチン」などが含まれています。
◆昆布の期待できる効果
昆布の旨味成分は美味しいと感じることにより、塩分濃度を低く抑えられるため、減塩に繋げやすくなりますし、胃に作用して胃腸の働きを良くして、過食を防ぐといった効果が期待できます。
海で育つ昆布にはミネラル類が多く含まれていますが、ほかの食材よりも海水の成分に近いと言われており、体内への消化吸収率が高いと言われています。
無駄な塩分を排出して、血液の上昇を助けるといった、代謝を活発にする働きをしてくれるため、猫の健康を維持する目的でも、嬉しい効果が得られると言えるでしょう。
また、昆布に含まれるビタミンKは血液凝固の働きをして骨を健康に保ち、海藻特有の水溶性食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、糖質や脂質の吸収を抑えつつ、コレステロール値の上昇を抑えるといった効果も得られるようです。
色素成分には脂肪の蓄積を抑え、体脂肪を燃やす際に必要なタンパク質の活性化を上げるなど、さまざまな効果が期待できることからも、昆布のポテンシャルの高さがうかがえますよね。
昆布の与え方
たくさんの可能性を秘めている昆布ではありますが、実際に愛猫へ与える場合には、どのような与え方をすれば良いかも気になることでしょう。
私たち人間は柔らかく煮出してから口にしますが、猫に与える場合はどのような調理法が理想となるのでしょうか。
◆柔らかく煮出す
猫に昆布を与える際には、乾燥した無塩の昆布を必ず煮出し、柔らかくしてから与えるようにしてください。
猫は硬いものも噛み砕く歯の力や顎を持ってはいますが、乾燥した硬いままの昆布を与えてしまうと、口の中や食道を傷付けてしまう恐れがある上に、摂取量も多くなってしまうため、煮出したあとに冷ましてから、柔らかくなった状態の昆布を与えるようにしましょう。
◆昆布を切ってフードに混ぜる
柔らかくなった昆布は乾燥時よりもかさが増え、想像よりも大きくなることがあるため、猫が食べやすいように小さめの一口大(0.5~1cm程度)に切るといった、ひと手間が大事となってきます。
小さく切ることによってドライフードとの相性も良く、ウェットフードに混ぜても食べやすくなるのでおすすめです。
◆猫に与えてもOKな量
愛猫に昆布を与える際には、年齢によって分量を考慮する必要があります。
キャットフード100gあたりに対して、ナトリウムの摂取量は0.2g以上が理想とされている子猫の場合、子猫に合った良質なフードを与えているようであれば、そこから必要な栄養素を吸収できるため、あえて昆布を与える必要はありません。
子猫同様、老猫の場合は体力やさまざまな臓器の機能が低下していることからも、豊富なミネラル類や食物繊維が悪影響をもたらす可能性も否めないため、健康を維持する目的でも与えない方が無難と言えるでしょう。
また、健康な1~7歳ほどの成猫の場合も、子猫と同様ナトリウムの摂取量に変わりはないため、与える際には小さめの一口大に切った昆布を数枚程度に留めてください。
とろろ昆布やだし汁は与えても大丈夫なの?
昆布の中には「とろろ昆布」といった製品や、旨味がたっぷり凝縮された「昆布のだし汁」などがありますが、それらも猫が口にしたとしても安全なのかが気になるところですよね。
とろろ昆布は酢に漬けて柔らかくしたものをブロック状にして固め、その断面を薄く削り取ったものとなりますが、商品によっては加工段階にお酢だけでなく、調味料を使用していることがあるため、猫には与えない方が安全です。
昆布のだし汁は天然物で無塩の昆布から取っただし汁であれば、水分補給目的として少量猫のフードにトッピングしても構いませんが、市販の昆布だしや顆粒の昆布だしから取っただし汁は、添加物も多く塩分過多となるため、猫には与えないようにしましょう。
与えすぎると病気になる可能性もある
昆布は海産物であることから、猫に与える際には塩分量が気になる方も多いことかと思います。
10gの昆布に0.8g程度の塩分が含まれていると言われてはいますが、猫に与える際にはほんの少量を心掛ける飼い主さんがほとんどだと考えられる上に、そもそも塩分量を気にする方であれば、あえて猫に与えるといった選択肢を持つ方は少ないのではないでしょうか。
このようなことからも昆布を食べることによって、塩分過多になることは考えにくいのですが、もっとも注意すべきなのがミネラルの一種となるヨウ素の含有量です。
ヨウ素は海藻類全般に含まれている成分となりますが、乾燥わかめ100gで8.7mg、海苔が3.6mgなのに対し、昆布には179mgも含有されています。
甲状腺ホルモンを作るために、必要不可欠なミネラル成分となるヨウ素を必要以上に摂取してしまえば、甲状腺の機能にダメージを与えることがあるため、「甲状腺機能亢進症」といった病気が懸念される猫の場合は、与えすぎないに越したことはありません。
また、ホルモンの作用が低下する「甲状腺機能低下症」を患っている猫に対して、ヨウ素がたくさん含まれた昆布は、症状を改善に向かわせる食材として、取り入れてみたいと考える飼い主さんがいらっしゃるかもしれませんが、勝手な判断は愛猫を余計に苦しめることにも繋がるため、自己判断で与えることはやめてください。
甲状腺機能低下症の治療は投薬治療が基本となりますし、他の過剰症が引き起こされる可能性も否めないため、知識がない中での自己流による食事療法は行わないようにしましょう。
昆布を与える際の注意点
猫にも嬉しい栄養素や効果があるからといって、むやみやたらに好きなだけ昆布を与えるようなことはせず、できることなら何かを食べさせる際には、安全第一で与えたいものですよね。
本来昆布は人間の食べ物となり、猫には食べる必要性のないものとなるため、スーパーなどで売られている昆布は人間用に加工されていて、市場に出回っていることが一般的となります。
市販の商品の中には調味料を加えたもの、塩分が余分に含まれているものなどもありますので、猫に与えることを前提で購入する場合には必ず、無塩の昆布を選んであげるようにしてください。
そのほかにも、おしゃぶり昆布や昆布の佃煮といった加工品は、塩分含有量も多くなっているため、猫には絶対に与えてはいけません。
そして食物繊維が豊富な昆布は、胃腸の調子が悪い時などに食べると消化器に悪影響をもたらし、嘔吐や下痢の原因となることもあるので、必ず愛猫の体調が万全なときに、少量から食べさせることを心掛けるようにしましょう。
まとめ
昆布はとても体に良く旨味が強いイメージがある通り、私たちが普段口にする料理にも使われている機会が多いですよね。
健康にも嬉しい成分が多く含まれている分、日常的にたくさん摂取すればさらに健康になれそうな気もしますが、その嬉しい成分によって悪影響をもたらす可能性はゼロではないため、過剰摂取はおすすめできない食材として、認識しておかなくてはいけません。
栄養価の高い食べ物だからといって猫に与えたとしても、同じような効果が得られるとは限りませんし、根本的に猫は昆布を積極的に食べる必要性もないため、どうしても与えたい理由がある場合には、少量をたまに与える程度に留めてあげてください。
そもそも猫は旨味をほぼ感じ取れないことからも、猫にとって旨味は必要ありませんし、昆布を与えたいと考えるのは人間のエゴとも取れますので、与える際にはしっかりと責任を持って、愛猫に負担がかからないような与え方を心掛けてあげましょう。
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