【獣医師監修】アニサキスは猫にも危険な存在?魚を欲しがったらどうすれば良い?

2023.10.21

【獣医師監修】アニサキスは猫にも危険な存在?魚を欲しがったらどうすれば良い?

猫に寄生する寄生虫には多くの種類が存在し、いろいろな感染症を引き起こすことで知られています。 寄生部位や引き起こされる症状、感染経路などもさまざまとなりますが、私たち人間の生活を脅かす「アニサキス」は、猫に感染する恐れがあるのかも気になるところです。 昨今では市場に出回っている魚にもアニサキスの寄生が増加していますが、猫にとってアニサキスは脅威となる寄生虫と言えるのでしょうか。

猫もアニサキスに注意が必要!

猫とさかなのおもちゃ

魚が大好きといったイメージの強い猫ではありますが、日本人は昔から魚を食べる文化が根付いているため、このようなイメージが定着していったと考えられています。

キャットフードの原材料にもさまざまな魚が使用されている通り、肉食の猫にとって魚はとても身近なたんぱく源と言えるでしょう。

そんな猫も大好きな魚ですが、昨今では魚の輸送技術が発達し、新鮮な状態で市場に出回ってくるようになりました。

新鮮な魚を食べられるのは喜ばしいことではありますが、その反面「アニサキス」と呼ばれる寄生虫の増加に繋がっていると考えられているようです。

アニサキスとは線虫(寄生虫)の一種となり、色は白く少し太い糸のような見た目をしていて、主に青魚(背の青い魚)に寄生します。

主にサバ、アジ、カツオ、サンマ、イワシなどに寄生しますが、イカやほかの魚介類にも寄生するため、とくに生食をする際には注意が必要と言えるでしょう。

アニサキスのイラスト

アニサキスは寄生先の魚介類が古くなって(死んで)時間が経過すると、内臓から筋肉(身)に移動します。

基本的にはマイナス20度以下で24時間以上の冷凍、70度以上または60度以上の温度で1分の加熱が、アニサキスを死滅させる必須条件となります。

近年では冷凍や加熱せずとも、冷蔵状態で長時間の輸送が可能になったこともあり、アニサキスの幼虫が魚の身に移動しやすくなったため、魚を口にする際にはアニサキスに十分注意しなくてはいけません。

アニサキスが寄生している生鮮な魚介類を食べることにより、胃の壁や腸の壁に刺入(しにゅう)されれば、アニサキス症といった食中毒を引き起こし激痛に襲われるため、このようなことからも猫に魚を与える際には気を付けるべきと言えますよね。

とくに愛猫に生魚(お刺身)をよく与える、魚を使った手作りご飯を食べさせているといった飼い主さんは、魚を扱う際には細心の注意を払うべきと言えるでしょう。


猫にアニサキスの危険を避けるために

アニサキスが付いている魚のイラスト

生鮮魚介類を扱う際には、アニサキスが寄生している可能性を考慮する必要がありますが、愛猫に食べさせる際には、さまざまなことに注意をしなくてはいけません。

危険なアニサキスから愛猫を守るためには、飼い主さんはどのようなことに気をつけておくべきなのでしょうか。

◆生魚やお刺身は与えない

やはり安全に愛猫へ魚を食べさせたいようであれば、生魚やお刺身をそのまま与えないことが一番です。

生鮮魚介類は猫にとってごちそうとなり、魚の香りがダイレクトに感じられますが、もしその生魚やお刺身にアニサキスが居た場合、食べ物を噛まずに丸のみする猫にはさらに危険度が高くなります。

どうしても愛猫に新鮮で美味しい生の魚を食べさせたいようであれば、アニサキスが身に移動する前に速やかに内臓を処理して新鮮なうちに冷凍させ、24時間以上経過したのちに解凍すれば安全性が高くなります。

解凍した魚を食べやすい大きさに切り、さらになめろうのように細かく叩けば危険度は低くなると言えますが、そのような手間暇をかけてまで、生の魚を猫に食べさせる必要性はないため、生魚やお刺身は猫に与えないことが一番安全であると言えるでしょう。

猫ちゃんの中には死滅したアニサキスに対して、アレルギー反応を起こすアレルギー体質の個体が存在する可能性もあるため、魚介類を与える際には、さまざまなリスクがあることを理解しておかなくてはいけません。

◆青魚は避ける

青魚はオキアミと呼ばれるエビに似た、動物性プランクトンを餌としています。

そのオキアミはアニサキスの卵を餌とし、そのオキアミを好んで青魚が食べるといった生態系ができあがっていることからも、青魚にはアニサキスが寄生しやすいと言えるでしょう。

私たち人間の食卓にも並びやすい青魚ではありますが、アニサキスが寄生している確率が元から高いようであれば、あえて猫に与えるべきではないと言えますよね。

カツオやアジなどの青魚はキャットフードや猫用おやつにも使われていますが、どうしてもそれらの青魚を愛猫に食べさせたいときは、必ず猫用に販売されている商品を購入して与えるようにしてください。

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◆必ずよく過熱をする

アニサキスのことを考えると、愛猫に魚を与えるのを止めてしまいたい気持ちに駆られますが、猫にとっても魚は重要なたんぱく源となりますし、とくに手作りごはんを与えている飼い主さんであれば、魚はメインの食材としても外せませんよね。

与える魚として青魚類を避けることはもちろん、生の魚は猫に与えるべきではないため、愛猫に食べさせる際には必ず過熱をしてから与えるようにしましょう。

アニサキスは前述してある通り70度以上で加熱、または60度であれば1分以上の加熱で死滅させることが可能となります。

また、さらなる安全性を目指すようであれば、食中毒が限りなくゼロに近いと言われている、養殖魚が猫におすすめとなります。

天然物よりお値段も安いですし、市場にもたくさん出回っていて入手しやすい点も嬉しいですよね。


猫に与えても良い魚の種類

青魚などの魚介類は猫に与えるべきではないことが分かりましたが、どのような魚が猫に与えても安全なのかが気になるところですよね。

どの魚も天然物になればある程度アニサキスのリスクはありますが、猫が食べても安全だと言われている魚の種類は以下の通りとなります。

・マグロ
・タイ
・サーモンなど

猫も大好きなマグロは、猫が食べても安全性の高い魚と言われています。

赤身の部分は豊富なたんぱく質を含み、猫にも有用に働く栄養素となるため、ご褒美的な意味合いでも食べさせてあげたい魚と言えるでしょう。

ほかにもタイやタラなどの白身魚は、赤身魚よりもチアミナーゼの含有量が少ないため、チアミン欠乏症を引き起こすリスクが低くなります。

また、サーモンは身の色がオレンジであることから、赤身魚と認識されやすいですが、白身魚の一種となっています。

養殖であれば猫も安全に食べられますし、魚を与える際にはこれらのことを踏まえて、新鮮な魚を選ぶようにしましょう。


厚生労働省のアニサキスへの注意喚起がかわいい!

アニサキスは猫にも注意が必要な寄生虫となりますが、このアニサキスに対しての注意喚起が、厚生老総省からも出ていることをご存じでしょうか?

その注意喚起をしているモデルに選ばれたのは、漁師さんや魚屋さんといった魚のプロなどではなく、魚好きといったイメージが定着している猫なのです!

そのキュートな注意喚起がSNSで話題となり、その投稿に対してのコメントがたくさんUPされていますが、その中でも猫ちゃんの画像付きの引用は最高にキュートです。

このような注意喚起を発表した厚生労働省に賞賛の声が集まり、よりアニサキスに注意しようという気持ちが生まれることでしょう。

◆かわいい広報に感化されたニャ!

分かりやりやすい注意喚起に感化され、自らもサンマをチェックしだす猫ちゃん。

爪を立てた両手でしっかりと掴みこみ、今にも猫キックが炸裂する瞬間です。

耳がイカ耳になっているあたり、アニサキスが見つかって臨戦態勢なのかもしれません。

◆魚介類は鮮度が命ニャ!

アニサキスの中毒症を引き起こさないためには、鮮度の良い魚選びも大切ですよね。

そのようなメッセージ性が込められたこちらの画像は、魚選びのパロディでありながらも、見る人すべてをほっこりさせてくれるような画像となっています。

魚を購入するつもりでこんなシーンに出くわした際には、「どっちの子にしようかな?」と悩みに悩んでしまいそうです。

◆みんなで一斉にアニサキスのチェックニャ!

青魚であるサンマにもアニサキスは寄生しやすく、購入の際には徹底的にチェックをする必要があります。

一匹の猫ちゃんがまずはサンマを徹底的にチェックし、入念にアニサキスは居ないのかと探していますが、その横では仲間の猫ちゃんたちが、サンマの入っていたパックまで徹底的にチェックをしています。

「一匹も逃さないニャ!」といった執念まで感じるほど、猫ちゃんたちが注意喚起を体現してくれている姿がほほえましいですよね。


まとめ

日本人の食生活には欠かすことのできない魚ではありますが、昨今では冷蔵状態での長時間輸送技術が向上したため、私たちの食卓に並ぶ際にも新鮮な魚が食べられるようになりました。

そのためアニサキスの増殖を助長させてしまい、テレビなどでもアニサキス関連のニュースを目にする機会が増えましたよね。

とくに日本では魚を生で食べる機会が多く、誰しもがアニサキスの被害に遭う危険性がありますし、魚を扱う際には細心の注意を払う必要があると言えるでしょう。

猫ちゃんの中にも魚が好きな子が多いため、欲しがられるとついついおすそ分けしてしまう飼い主さんは多いと思いますが、猫の健康を守るためにも青魚は与えない、生(お刺身)では与えないなどを徹底することが一番です。

愛猫に魚を与える際には食べても問題のない魚なのか、どのように調理するかなどをしっかりと考慮し、安全に美味しく食べさせてあげるようにしましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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