【獣医師監修】猫の黒い目ヤニは大丈夫?目ヤニの色と考えられる病気

2026.06.12

【獣医師監修】猫の黒い目ヤニは大丈夫?目ヤニの色と考えられる病気

目やには、涙の成分と老廃物などが混ざり合ってできたものです。目頭や目尻に少量の目やにがついている程度であれば、生理的な働きによるものなので心配ありませんが、目やにの量が多い、目やにに色が着いているなどの場合には、病気やケガが原因かもしれません。今回は、猫の目やにの色と考えられる病気、目やにの取り方をご紹介します。

【掲載:2022.06.26  更新:2026.06.12】

猫の目やにはどうしてできる?

猫の目元アップ

はじめに、目やにとは何か、なぜできるのかについて解説します。

涙の成分には、「ムチン」というねばねばした粘質物が含まれています。まぶたの裏には「結膜」という白目部分を覆う粘膜があり、黒目部分には「角膜」があります。
ムチンを主成分とする粘液に、結膜と角膜からの老廃物や血液成分、および目に付着したチリやほこりなどが混ざってできたものが目やにです。医学用語では、「眼脂」(がんし)と呼ばれます。

目やには基本的に、目に入った汚れや老廃物を体外に出す生理的な働きによるものです。目頭や目尻に少量付着している程度であれば、心配ありません。
しかし、量が多かったり、色が着いていたり、ドロッとしていたりする場合には、病気やケガが原因のケースもあり、注意が必要です。


黒い目やには出ていても大丈夫?

飼い主さんが気づく猫の目やには、黒い、あるいは茶色い場合が多いはずです。人と色が異なるため、病気ではないかと心配になる飼い主さんも少なくないでしょう。
ここでは、正常な目やにの色と異常な色についてご紹介します。

◆正常な目やにの色

正常な目やにの特徴は、乳白色または赤茶色~こげ茶色をしていて、少量で固まっているか、固まっていなくても1日1回拭き取る程度の量です。
正常な目やには、数日で乾燥して目の端にこびりつきます。乾燥すると、赤っぽい茶色~黒になります。
どんな猫の目にも発生するもので、心配ありません。
ただし、異常な色の目やにが乾燥して固まった場合にも黒い場合があるため、量が多い、取ってもすぐにまた出るなどの場合には早めの受診をおすすめします。

◆異常な目やにはどんなもの?

・色が正常な目やにと異なる、量が多い、粘り気がある
病気の可能性があります。

・色が白や黄色、緑色
何らかの病気やケガが疑われます。

・ドロドロとしている
感染症の疑いがあります。

・さらさらした涙のよう
ハウスダストなどのアレルギーの可能性があります。

いずれの場合にも、目やにの異常のほかに、くしゃみや鼻水などの症状や、かゆみから体を頻繁に掻くなどの行動が見られるので、あわせて観察してください。


猫の目やにが多い時に考えられる病気

目ヤニが出ている猫

猫の目やにが多い場合、何らかの病気があると考えられます。
ここでは、量が多い場合に可能性のある病気をご紹介します。これらの病気やケガが疑われる場合には、早急に動物病院を受診しましょう。

◆猫風邪

「猫風邪」とは1つの感染症ではなく、次のような病気の総称です。

猫ヘルペスウイルスによる「猫ウイルス性鼻気管炎」
猫カリシウイルスによる「猫カリシウイルス感染症」
クラミジアなどの細菌による「猫クラミジア感染症」

症状がくしゃみや鼻水など人の風邪の症状に似ているため、猫風邪と呼ばれています。
白や緑、黄色の目やにが出ている場合、猫風邪にかかっていると疑われ、大抵の場合、両目から目やにが出ますが、片目だけのこともあります。
目やにの他に、くしゃみや鼻水、咳や発熱などの症状が現れることがあります。
軽い猫風邪であれば自然に治癒することもありますが、子猫やシニア猫は免疫力が低いため重症化することがあり、命に関わる場合もあるので要注意です。
また、これらのウイルスは感染力が強いため、同居猫がいる場合は蔓延する可能性があります。
さらに、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスは、一旦感染すると症状が治まってもウイルスは一生体内に残り、免疫機能が衰えたときに再発するので注意が必要です。
これらのウイルス感染症は、混合ワクチンの接種で予防することができます。

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◆結膜炎

まぶたの裏にある結膜や白目が、何らかの理由で炎症を起こしているのが「結膜炎」です。
目やにの量が多かったり、緑色や黄色であったりする場合には、結膜炎が疑われます。
結膜炎の原因となる病気は、猫風邪などウイルス性の病気、角膜炎や流涙症(りゅうるいしょう)などです。また、異物が目に入った場合や、アレルギーなどの免疫異常が原因の場合もあります。
結膜炎は猫がかかりやすい目の病気といわれており、目やにの異常の他、下記のような症状が現れます。

・目の充血
・涙が止まらない
・目を開けにくそうにする
・細める
・しょぼしょぼさせる

◆角膜炎

角膜は、目の表面を覆っている透明な膜で、ここに炎症が起きることを「角膜炎」といいます。
原因の多くはケガで、大抵の場合は他の猫とのケンカなどによるものですが、猫風邪になると結膜炎と角膜炎を併発するケースがあります。
角膜炎も結膜炎と同じく、猫がかかりやすい目の病気といわれています。
怪我による角膜の傷が原因の場合、傷ついた方の目から白や黄色の目やにが出ます。涙の量も多く、片目をつぶったままであったり、目を開けづらそうにしていたりします。

◆アレルギー

アレルギーによって大量の目やにが出たり、涙を流したりするほか、目が腫れる場合もあります。また、くしゃみが出ることも。
猫が発症するアレルギーには、下記のようなものがあります。

・ハウスダストアレルギー
・食物アレルギー
・花粉症
など

アレルギーに対しては、原因となる物質(アレルゲン)を特定することが大切となります。かかりつけの動物病院で相談しながら、アレルゲンを特定することで、症状を和らげることができる可能性があります。

◆鼻炎

鼻炎とは、鼻の粘膜が炎症を起こした状態を指します。
主な症状は、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどです。
原因としては、下記のようなものが考えられ、ウイルス感染の場合には目やにが出ることがあります。

・ウイルス感染
・真菌感染
・細菌感染
・腫瘍
・異物
・歯周病
など

◆流涙症

目やには通常、目の内側にある「涙点」から涙と一緒に排せつされ、「涙小管」(るいしょうかん)を通って「涙嚢」(るいのう)に溜まります。最終的に、「鼻涙管」(びるいかん)という穴に流れていき、鼻に流れ込みます。この経路が「涙道」です。
涙道のうちのどこかが詰まったり、狭くなったりして涙が流れないと、常に涙目になり、余分な涙が目からこぼれ落ちて涙や目やにが増えることがあります。

原因としては、下記のようなものが挙げられます。

・鼻炎や副鼻腔炎による鼻涙管への圧迫
・鼻腔や上顎骨周辺の腫瘍
・涙小管や涙嚢の炎症
・排せつする穴が生まれつき閉じているなどの先天的奇形

また、ペルシャやヒマラヤンなどの猫種は、顔面骨格が鼻涙管を圧迫してしまい、涙が詰まりやすく、涙が止まらない、涙やけになるなどの症状が見られます。そこに細菌感染が起こって、目やにが出やすい傾向があります。


猫の目やにの取り方

飼い主に目やにを拭かれる猫

ここでは、黒い正常な目やにの取り方についてご紹介します。

◆コットンやガーゼを使用する

目の周りはデリケートですし、角膜などを傷つける恐れもありますので、優しく取ってあげましょう。
拭き取りには、カット綿や柔らかい化粧用コットンまたはガーゼを用います。

➀人肌(38℃)程度のぬるま湯に浸して、水が滴らないように指先でギュッと絞る
➁飼い主さんの爪で目を傷つけないよう、人差し指に湿らせたカット綿を巻き付け、猫の目頭の下側をそっと押さえる
➂そのまま鼻の方へスライドさせるようにして拭きとる

皮膚を傷つける可能性があるので、ゴシゴシこすらないようにしましょう。
少量のカサカサした目やにであれば、乾いたコットンで拭いても大丈夫です。
その他、動物病院で処方される消毒液や生理食塩水にガーゼを浸して、目の周りを拭く方法もあります。また、ペット用のウェットティッシュを用いても良いでしょう。

固まって取れない場合には、ぬるま湯で濡らしたタオルを顔に乗せてふやかすと、取りやすくなります。
目やにを取る際には、猫ちゃんをリラックスさせてあげてから、体を背後から包み込むように支えてあげるのがポイントです。動きを制御でき、安全に拭き取ることができますよ。
綿棒は、猫ちゃんが動いたときに目に入り、目を傷つけてしまう恐れがあるため、使わない方がよいでしょう。また、ティッシュは、繊維が粗く、皮膚や粘膜を傷つける可能性があるのでおすすめしません。

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◆少量なら無理に取らなくても大丈夫

正常な範囲の少量の目やにであれば問題ないので、無理に取る必要はありません。
しかし、目の周りにたくさんこびりついていると、乾燥して固まり、目が開けづらくなって、猫がストレスを感じる元となります。
また目やにを放置すると、目のふちが茶色っぽく汚れて「目やに焼け」になることもあります。
飼い主さんは、愛猫の目をチェックして、たくさんついているときには拭き取ってあげましょう。

◆人用の目薬は厳禁!

猫の目にトラブルがある場合、人用の目薬を使用することは厳禁です。
つい手元にある目薬を使いたくなる飼い主さんもいるかと思いますが、市販の目薬にはさまざまな成分が入っていて、猫には刺激が強すぎるものが含まれます。また、目薬によっては、かえって悪化させてしまう恐れも。
目やにの異常の原因が特定できなければ、根本的な解決にはなりません。必ず獣医師さんに診察してもらい、適切な治療を受けてください。

◆動物病院を受診する時には

猫ちゃんを動物病院に連れて行く時には、付いている目やにをそのままにしていきましょう。「汚れたままでは…」と考えてしまいがちですが、ついたままにしておくと、色や成分が診断の手掛かりになります。
また、受診の際には、「いつから」「どちらの目から」出ていたか、また、猫ちゃんがどんな仕草をしていたかなどをメモにして持っていくことをおすすめします。

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まとめ

正常な猫の目やには、黒いか、または赤茶色く、1日に1回拭けばよい程度の量です。
白や黄色、緑色をしている、量が多いなどの場合には、感染症や外傷が原因と考えられるので、すぐに動物病院を受診してください。
正常な黒い目やにでも、乾燥して固まりこびりついてしまうと、猫ちゃんのストレスになってしまうほか、目やに焼けの原因にもなります。飼い主さんが拭き取って清潔に保ってあげましょう。
目やにを取る際には、背後から体を包み込むように支えて、ぬるま湯に浸したガーゼやカット綿で優しく拭きとります。人用のウェットティッシュや綿棒は危険なので、使用しないでください。
目やには、目の病気のサインの場合があります。色や量に異常がないか、普段からこまめにチェックして、愛猫の目の健康を守ってあげましょう。

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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