1.猫にラベンダーはとても危険
1-1.猫は成分を分解できない
1-2.ラベンダー以外にも注意
2.ラベンダーを含む身近な商品
3.猫がラベンダー中毒を起こしてしまったら
3-1.猫のラベンダー中毒の症状
3-2.ラベンダー中毒を起こした時の対処法
4.猫のラベンダー中毒対策
4-1.ラベンダーを含む製品を持ち込まない
4-2.外で使用する
5.まとめ
猫にラベンダーはとても危険
ラベンダーは、シソ科ラヴァンドラ属の植物です。
ラベンダーの中にも、様々な種類があり、花や葉の形などによって、大きく5種類に分類されています。花の色は、紫色が最も一般的で、薄い紫色のことを「ラベンダー色」と呼んだりもしますが、他に、白色やピンク色などもあるようです。
ラベンダーは、古くから世界各地で、伝統的なハーブとして、薬や調理、観賞用として用いられてきました。
ラベンダーの主な匂い成分は、酢酸リナリルやリナロールです。これらの成分には、鎮静作用があり、私たち人間に、「リラックス」や「ストレスの緩和」、さらに「癒し」などの、様々な嬉しい効果をもたらしてくれると言われています。スキンケア製品などの日用品で、ラベンダーの匂いが使われているものも多いですよね。
しかし、実はこのラベンダー、猫にとってはとても危険な物なのです。
◆猫は成分を分解できない
なぜ、猫にラベンダーは危険なのでしょうか?
その理由は、猫の体の仕組みにあります。猫は肉食動物のため、植物の有害物質を分解する能力(専門的な言葉では「グルクロン酸抱合」と呼ばれます)が体に備わっていません。
猫がラベンダーの匂いを嗅いだり、皮膚から吸収したりすると、猫にとって有害なラベンダーの匂い成分を体内に摂取してしまいます。猫は、それを分解することができないため、有害成分が体内に蓄積され、肝臓や腎臓などの内臓に大きな負担がかかってしまうのです。
大量に摂取した場合や、最悪の場合には、死に至ることもあります。ラベンダーは、私たち人間にとっては良い効果をもたらしてくれるものですが、猫にはとても危険だということを覚えておきましょう。
◆ラベンダー以外にも注意
猫にとって危険な匂い成分は、ラベンダーだけではありません。ティートゥリーや、リモネンなど、他の匂い成分にも注意が必要です。ラベンダー同様、猫の体が植物由来の有害成分を分解することができないためです。
また、猫の嗅覚はとても鋭く、皮膚はとても薄くできているため、有害な成分を吸収しやすいです。人間には全然、気にならない程度の微量であっても、猫にとっては深刻なダメージとなる場合があります。
猫のいるご家庭では、アロマは控えた方が安全でしょう。
ラベンダーを含む身近な商品
私たちの身近な製品の中で、ラベンダーの匂い成分を含む製品は、意外にも多いものです。
その製品によって異なりますが、成分表示には「ラベンダー油」や、「ラベンダー香料」、「ラベンダーエキス」などと表記されているようです。猫を飼っている方が以下の製品を使用する際には、少し注意が必要です。
・洗剤や柔軟剤
・ハンドクリーム
・アロマオイル
・ドライフラワー
・入浴剤
玄関やお部屋、トイレなどの芳香剤に、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。猫が芳香剤の匂いを嗅ぐと、鼻から成分を吸収してしまうおそれがあります。
また、液体タイプの芳香剤の場合、猫がボトルを倒してしまい、中の液体が猫の体にかかって皮膚から匂い成分を吸収してしまうおそれもあります。
猫のいるお部屋では、ラベンダーの芳香剤の使用は控えましょう。お部屋のにおいはついつい気になるものですが、必ずしも強い香りのものを使う必要はありません。
最近では、ペット用の芳香剤や、消臭剤なども販売されていますので、そういったものを選ぶのも一つの選択肢かもしれません。
洗濯用の洗剤、柔軟剤などにも、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。
また、ラベンダーの成分を含んでいるかどうかに限らず、どのような洗剤にも言える注意事項ですが、一般的に洗剤には汚れを落とすための、高濃度の様々な化学薬品が含まれています。
液体タイプ、ボールタイプなど様々なものがありますが、いずれも猫が口にしてしまうと危険なものです。猫が誤飲や誤食をすることがないよう、洗剤の管理には気を付けた方がよいでしょう。
ハンドクリームにも、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。冬になると乾燥が気になり、ハンドクリームを使用する機会も増えてくることと思います。
猫は体を舐めてきれいにする習慣がありますので、ハンドクリームのついた手で触ると、間接的に、猫がハンドクリームを舐めてしまうことになります。猫に触るときは、無香料のもの、匂いの少ないものを使うか、しっかり手を洗った方が良さそうです。
アロマテラピーで用いられるアロマオイル、エッセンシャルオイル(精油)などは、植物由来の成分が特に高濃度に凝縮されています。人間でも使い方を誤ると危険です。
オイル等は猫の近寄らない場所に保管し、猫のいる空間では使用しないようにしましょう。
ドライフラワーは、お花や葉などを乾燥させ、装飾用、観賞用に長期保存可能にしたものです。お部屋のインテリアとしてとても素敵なものですが、猫のいるご家庭ではそのまま飾るのは控えた方が良いでしょう。
猫が花の匂いを嗅いだり、乾燥した花や葉を口にしてしまうことによって、ラベンダー中毒を起こす危険性があります。
ラベンダーの香りの入浴剤もリラックス効果が高く、人気があります。
しかし、他のラベンダー製品と同様猫にとっては危険です。猫が残り湯を口にしてしまうと、ラベンダー中毒を起こす可能性があります。
入浴後は、くれぐれもお湯を放置しないように注意しましょう。
猫がラベンダー中毒を起こしてしまったら
◆猫のラベンダー中毒の症状
猫のラベンダー中毒の症状には、嘔吐、めまい、失禁、元気がなくなる、食欲がなくなるなど、様々なものがあります。
中でも、最も多くみられるのは嘔吐だと言われています。ラベンダーの匂い成分によって、肝臓や腎臓が破壊され、腎不全になることもあり、最悪の場合には死亡例もあるそうです。
◆ラベンダー中毒を起こした時の対処法
ラベンダーは猫にとって大変危険なものです。万が一、猫がラベンダーを口にしてしまった、強い匂いを嗅いでしまった、大量に皮膚から吸収してしまった…という場合は、できるだけ早めに動物病院に連れて行くことが大切です。
専門知識のある獣医師さんから適切な治療を受けることで、猫の体のダメージを最小限に食い止められるかもしれません。
とは言え、予期せぬアクシデントや急な通院は、猫にも飼い主さんにも大きなストレスがかかってしまいますよね。このようなことが起こらないよう、十分に気を付けておきたいものです。
猫のラベンダー中毒対策
◆ラベンダーを含む製品を持ち込まない
猫のラベンダー中毒を未然に防止するためには、どうしたらよいのでしょうか。
繰り返しになりますが、猫は人間よりも皮膚が薄く、嗅覚も敏感です。ごく微量の匂い成分であっても、思わぬ影響を受けてしまうかもしれません。
また、猫は好奇心が強い動物です。お部屋の中にラベンダー製品を置くと、どんなに注意していても、飼い主さんが目を離したほんの一瞬のすきに、猫が興味を示し、近寄ってしまう可能性があります。
ラベンダーの香りが好きな方にとっては、少し残念に思われるかもしれませんが、やはり猫の安全と健康を守るためには「お部屋にラベンダーを含む製品を持ち込まない」というのがベストな方法と言えるでしょう。
◆外で使用する
どうしてもラベンダー入りの製品を使用する事情がある場合は、できるだけ室内ではなく、外出先などで使用することをおすすめします。
そして、家に帰ってきたときは、猫に触る前に、手や体をしっかり洗うと良いでしょう。服やカバンへの付着にも、注意が必要です。
また、猫にはラベンダー(およびその他のアロマ製品全般)が危険である、という知識は、一般的にはまだまだ認知度が高いとは言えません。知らない方も多いはずです。
大切な猫の健康を守るために、飼い主さんはもちろんのこと、猫のいるお部屋に出入りするご家族やご友人にも同様に気を付けてもらうようにしましょう。
まとめ
私たちの身近では、様々なところでラベンダーの匂いが使われています。ラベンダーの匂いは、私たち人間に、リラックス効果や癒し効果など、プラスの影響をもたらしてくれるものです。その一方で、猫にはとても有害で、命にもかかわる危険なものです。ラベンダーを含む製品を使用する際には、猫が摂取することのないように、くれぐれも注意しなければなりません。大切な猫が長く安心して暮らせるように、十分に気を付けたいですね。この記事が「猫にラベンダーがダメな理由が知りたい」と考えている方の参考になれば嬉しいです。