猫にラベンダーは危険?ダメな理由が知りたい!

2023.11.05

猫にラベンダーは危険?ダメな理由が知りたい!

猫にラベンダーは危険?ダメな理由が知りたい! 「ラベンダー」の香りには、リラックスや癒しの効果があり、好きな方も多いと思います。しかし、実は猫にとっては危険です。いったい、なぜラベンダーは猫にとって危険なのでしょうか?その理由を解説していきます。

猫にラベンダーはとても危険

ラベンダー

ラベンダーは、シソ科ラヴァンドラ属の植物です。ラベンダーの中にも、様々な種類があり、花や葉の形などによって、大きく5種類に分類されています。花の色は、紫色が最も一般的で、薄い紫色のことを「ラベンダー色」と呼んだりもしますが、他に、白色やピンク色などもあるようです。ラベンダーは、古くから世界各地で、伝統的なハーブとして、薬や調理、観賞用として用いられてきました。ラベンダーの主な匂い成分は、酢酸リナリルやリナロールです。これらの成分には、鎮静作用があり、私たち人間に、「リラックス」や「ストレスの緩和」、さらに「癒し」などの、様々な嬉しい効果をもたらしてくれると言われています。スキンケア製品などの日用品で、ラベンダーの匂いが使われているものも多いですよね。しかし、実はこのラベンダー、猫にとっては、とても危険な物なのです。

◆猫は成分を分解できない

なぜ、猫にラベンダーは危険なのでしょうか?その理由は、猫の体の仕組みにあります。猫は肉食動物のため、植物の有害物質を分解する能力(専門的な言葉では「グルクロン酸抱合」と呼ばれます)が体に備わっていません。猫がラベンダーの匂いを嗅いだり、皮膚から吸収したりすると、猫にとって有害な、ラベンダーの匂い成分を体内に摂取してしまいます。猫は、それを分解することができないため、有害成分が体内に蓄積され、肝臓や腎臓などの内臓に大きな負担がかかってしまうのです。大量に摂取した場合や、最悪の場合には、死に至ることもあります。ラベンダーは、私たち人間にとっては良い効果をもたらしてくれるものですが、猫にはとても危険だということを覚えておきましょう。

◆ラベンダー以外にも注意

猫にとって危険な匂い成分は、ラベンダーだけではありません。ティートゥリーや、リモネンなど、他の匂い成分にも注意が必要です。ラベンダー同様、猫の体が植物由来の有害成分を分解することができないためです。また、猫の嗅覚はとても鋭く、皮膚はとても薄くできているため、有害な成分を吸収しやすいです。人間には全然、気にならない程度の微量であっても、猫にとっては深刻なダメージとなる場合があります。猫のいるご家庭では、アロマは控えた方が安全でしょう。


ラベンダーを含む身近な商品

ドライハーブ

私たちの身近な製品の中で、ラベンダーの匂い成分を含む製品は、意外にも多いものです。その製品によって異なりますが、成分表示には「ラベンダー油」や、「ラベンダー香料」、「ラベンダーエキス」などと表記されているようです。猫を飼っている方が、これらの製品を使用する際には、少し注意が必要です。

◆芳香剤

玄関やお部屋、トイレなどの芳香剤に、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。猫が芳香剤の匂いを嗅ぐと、鼻から成分を吸収してしまうおそれがあります。また、液体タイプの芳香剤の場合、猫がボトルを倒してしまい、中の液体が猫の体にかかって、皮膚から匂い成分を吸収してしまうおそれもあります。猫のいるお部屋では、ラベンダーの芳香剤の使用は控えましょう。お部屋のにおいは、ついつい気になるものですが、必ずしも強い香りのものを使う必要はありません。最近では、ペット用の芳香剤や、消臭剤なども販売されていますので、そういったものを選ぶのも一つの選択肢かもしれません。

◆洗剤や柔軟剤

洗濯用の洗剤、柔軟剤などにも、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。また、ラベンダーの成分を含んでいるかどうかに限らず、どのような洗剤にも言える注意事項ですが、一般的に、洗剤には汚れを落とすための、高濃度の様々な化学薬品が含まれています。液体タイプ、ボールタイプなど様々なものがありますが、いずれも、猫が口にしてしまうと危険なものです。猫が誤飲や誤食をすることがないよう、洗剤の管理には気を付けた方がよいでしょう。

◆ハンドクリーム

ハンドクリームにも、ラベンダーの匂い成分が含まれていることがあります。これから冬を迎え、乾燥が気になり、ハンドクリームを使用する機会も増えてくることと思います。猫は体を舐めてきれいにする習慣がありますので、ハンドクリームのついた手で触ると、間接的に、猫がハンドクリームを舐めてしまうことになります。猫に触るときは、無香料のもの、匂いの少ないものを使うか、しっかり手を洗った方が良さそうです。

◆アロマオイル

アロマテラピーで用いられるアロマオイル、エッセンシャルオイル(精油)などは、植物由来の成分が特に高濃度に凝縮されています。人間でも、使い方を誤ると危険です。オイル等は、猫の近寄らない場所に保管し、猫のいる空間では使用しないようにしましょう。

◆ドライフラワー

 ドライフラワーは、お花や葉などを乾燥させ、装飾用、観賞用に長期保存可能にしたものです。お部屋のインテリアとして、とても素敵なものですが、猫のいるご家庭では、そのまま飾るのは控えた方が良いでしょう。猫が花の匂いを嗅いだり、乾燥した花や葉を口にしてしまうことによって、ラベンダー中毒を起こす危険性があります。

◆入浴剤

 ラベンダーの香りの入浴剤も、リラックス効果が高く、人気があります。しかし、他のラベンダー製品と同様、猫にとっては危険です。猫が残り湯を口にしてしまうと、ラベンダー中毒を起こす可能性があります。入浴後は、くれぐれもお湯を放置しないように注意しましょう。


猫がラベンダー中毒を起こしてしまったら

◆猫のラベンダー中毒の症状

猫のラベンダー中毒の症状には、嘔吐、めまい、失禁、元気がなくなる、食欲がなくなるなど、様々なものがあります。中でも、最も多くみられるのは嘔吐だと言われています。ラベンダーの匂い成分によって、肝臓や腎臓が破壊され、腎不全になることもあり、最悪の場合には死亡例もあるそうです。

◆ラベンダー中毒を起こした時の対処法

ラベンダーは猫にとって大変危険なものです。万が一、猫がラベンダーを口にしてしまった、強い匂いを嗅いでしまった、大量に皮膚から吸収してしまった…という場合は、できるだけ早めに動物病院に連れて行くことが大切です。専門知識のある獣医師さんから適切な治療を受けることで、猫の体のダメージを最小限に食い止められるかもしれません。
とは言え、予期せぬアクシデントや、急な通院は、猫にも飼い主さんにも、大きなストレスがかかってしまいますよね。このようなことが起こらないよう、十分に気を付けておきたいものです。


猫のラベンダー中毒対策

ラベンダー畑

◆ラベンダーを含む製品を持ち込まない

猫のラベンダー中毒を未然に防止するためには、どうしたらよいのでしょうか。繰り返しになりますが、猫は人間よりも皮膚が薄く、嗅覚も敏感です。ごく微量の匂い成分であっても、思わぬ影響を受けてしまうかもしれません。
また、猫は好奇心が強い動物です。お部屋の中にラベンダー製品を置くと、どんなに注意していても、飼い主さんが目を離したほんの一瞬のすきに、猫が興味を示し、近寄ってしまう可能性があります。
ラベンダーの香りが好きな方にとっては、少し残念に思われるかもしれませんが、やはり猫の安全と健康を守るためには「お部屋にラベンダーを含む製品を持ち込まない」というのがベストな方法と言えるでしょう。

◆外で使用する

どうしてもラベンダー入りの製品を使用する事情がある場合は、できるだけ室内ではなく、外出先などで使用することをおすすめします。そして、家に帰ってきたときは、猫に触る前に、手や体をしっかり洗うと良いでしょう。服やカバンへの付着にも、注意が必要です。
また、猫にはラベンダー(およびその他のアロマ製品全般)が危険である、という知識は、一般的にはまだまだ、認知度が高いとは言えません。知らない方も多いはずです。大切な猫の健康を守るために、飼い主さんはもちろんのこと、猫のいるお部屋に出入りするご家族やご友人にも、同様に気を付けてもらうようにしましょう。


まとめ

撫でられる猫

私たちの身近では、様々なところでラベンダーの匂いが使われています。ラベンダーの匂いは、私たち人間に、リラックス効果や癒し効果など、プラスの影響をもたらしてくれるものです。その一方で、猫にはとても有害で、命にもかかわる危険なものです。ラベンダーを含む製品を使用する際には、猫が摂取することのないように、くれぐれも注意しなければなりません。大切な猫が長く安心して暮らせるように、十分に気を付けたいですね。この記事が「猫にラベンダーがダメな理由が知りたい」と考えている方の参考になれば嬉しいです。

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SONAERUわんにゃん

SONAERUわんにゃん

元保護猫の白茶トラ「ダニエル」と生活しています。 ライターの他に、犬と猫の「切り絵」の制作、ペット保険の仕事もしています。 1級愛玩動物飼養管理士試験合格。


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