子猫の噛み癖の原因3選
猫はもともと単独行動を好み、獲物を捕食しながら生き延びてきた動物であるため、「噛む」といった行為は当たり前のように本能に刻まれています。
捕食だけでなく自分の身を守るためにも、敵に対して噛んで応戦することは当然の行動とも言えるでしょう。
そして、まだ「噛む」といった行為の意味をしっかりと理解していない子猫の場合、気になった物はとりあえず噛んでから、物事を学んでいくといった節があるため、ある程度噛み癖があったとしても、成長過程の上で必要な経験とも言えますよね。
しかし、このような噛み癖が直らず成長してしまうと、適切な力加減を知らないまま噛むことが当然となってしまうため、なぜ子猫は噛み癖がついてしまうのか、飼い主さんは理解した上で、適切な対処をしていかなくてはいけません。
子猫にとって「噛む」といった行為には、どのような意味合いが込められているのでしょうか。
◆遊んでいるつもりだから
一番の理由はやはり、子猫にとって噛むといった行為は遊んでいるつもり、という説が有力です。
もともと猫は狩猟本能を持ち合わせ、鼻猫や兄弟猫といった身近な家族とじゃれ合って狩りの技を身につけるため、「噛むと痛くて相手が怒る」といった当然の反応を、身をもって感じ、社会性を学んでいきます。
しかし、このように社会性を学ばず、親猫と離された子猫の場合、必然的に噛み癖がついてしまい、成猫になってもこのクセがなかなか抜けずに飼い主さんを困らせるケースが多いようです。
このような背景も知らずに子猫と遊ぶときに、飼い主さん自身が手や足といった身体の一部を使ってしまえば、不規則な動きをする遊び道具(おもちゃ)として認識されてしまい、子猫をかまっていないタイミングでも飼い主さんが動いた瞬間などに、遊んでもらっていると勘違いをして噛んでしまうこともあるようです。
◆歯が生え変わるから
子猫の歯は生後1ヶ月程度で乳歯が生え揃い、3~6ヶ月程度で永久歯に生え変わります。
この歯の生え変わりといった時期の子猫は人間の赤ちゃんと同様、歯茎がムズムズとかゆくなってしまうため、身近にある物を噛んで口の中の違和感を和らげようとします。
歯が生え揃ったあとは自然と噛み癖がなくなる子もいますが、このクセがなかなか抜けずに成猫になっても噛み癖が直らない子がいるのも現実です。
◆ストレスや不安からの行動
飼い主さんと遊ぶ中で「しつこい」「もう遊びたくない」などと感じたときに、子猫が飼い主さんを噛んでくることがあります。
また、執拗に飼い主さんがかまってしまっても、「撫でられたくない」「やめてほしい」といった気持ちから、噛んで応戦するといった姿勢を見せてくる子も少なくありません。
子猫と飼い主さんのスキンシップに対しての認識が少しズレて、飼い主さん側の意識が過剰になってしまえば、子猫は多大なストレスを受けることになりますし、噛んで抵抗したとしてもある意味仕方がないとも言えますよね。
ストレスを感じると無関係な物に対して八つ当たりをする「転嫁行動」を見せる子は多いため、成長過程でこのような経験をしながら、自分自身で折り合いをつけている可能性も否めません。
ほかにも、病気やケガなどで不調を感じている場合、飼い主さんに患部を触らせないために噛んでくることがありますし、飼い主さんに甘えたいのに甘えられない状況が続いてしまうと、不安な気持ちから噛んで気を引こうとする場合もあります。
子猫の噛み癖を直す方法
子猫の噛み癖を直すためには、飼い主さんがその都度同じ対処法をしっかりと遂行するようにし、ブレない気持ちで子猫に向き合っていく必要があります。
噛まれた瞬間は大きな声で叱ったりせず、「痛い」「ダメ」などの短い言葉で気持ちを伝え、噛まれた部位を隠して遊ぶことを一旦止めるようにします。
子猫は遊びがエスカレートして、狩猟本能にスイッチが入って噛んでしまっただけなので、なぜ遊んでもらえなくなったかが理解ができません。
その後、どんなにかまってほしそうにしても無視をするようにし、飼い主さんは別の部屋に移動をするなどをして、噛むと楽しい遊びが終わってしまうことを根気よく学んでもらうようにしましょう。
噛む行為はいけないことだと覚えてもらうだけでなく、良い行動をした際にはしっかりと褒めてあげることも大切です。
「ご飯をキレイに完食した」「上手にトイレができた」ときなどには、必ず優しく声をかけるようにし、たくさん褒めてあげてください。
猫はとても頭の良い動物のため、自分のした行動と飼い主さんに褒められた行為を結びつけることができ、また褒められたくて同じ行動を繰り返すようになります。
自然と褒められることが多くなるにつれて、子猫は噛んでそっけない態度を飼い主さんにとられると、自分の行いに非があると認識してくれるはずのため、褒めるといった行為も継続的に行っていくに越したことはありません。
その他、子猫と遊ぶときは飼い主さんの手や指を使ってじゃれさせるのではなく、噛んでもOKなおもちゃを準備して遊ぶようにするとよいでしょう。
おもちゃを使って遊ぶととても楽しいということを覚えてもらうようにし、おもちゃを見ると狩猟本能のスイッチが入るようになってくれるのが理想的となります。
噛み癖改善に役立つグッズとは
噛み癖のある子猫におもちゃを選ぶ際には、どのようなおもちゃが適しているのかも気になりますよね。
安全に遊んでもらうためには、以下のようなポイントを押さえつつ、理想的なおもちゃを選んでみるようにしましょう。
◆噛むのに適したおもちゃ
子猫の口腔内を傷つけないためにも、なるべく柔らかい素材の商品を選ぶと良いでしょう。
ネズミの形をしたおもちゃやボールのような小さいおもちゃは、子猫の狩猟本能をくすぐりますが、誤飲の危険性が高くなってしまうため、幼い子猫には不向きなおもちゃと言えます。
成長期の子猫は身体も未熟であるため、1回に遊ぶ時間は10分程度にし、1日に3回程度を目安に遊んであげてください。
その際、子猫には10分間の遊びに集中してもらうためにも、飼い主さん側も全力で付き合ってあげなくてはいけません。
猫じゃらしのようなおもちゃを用いり、トンネルや箱を使って隠してみると狩猟本能が刺激されるため、一気に狩りモードに突入します。
また、かくれんぼのような遊びも全身を使うことから、エネルギーが発散できるのでおすすめです。
その他、飼い主さんと遊ぶ以外にも、お留守番のときなどに寂しくないように、ひとり遊びも覚えてもらいたいところですよね。
知育玩具は子猫の五感を刺激する上に、爪を研ぐといった行為も学べるため、一人遊びに最適なおもちゃと言えるでしょう。
◆噛み癖防止のためのグッズ
なかなか噛み癖が直らない子猫には、噛み癖防止グッズの導入も検討してみましょう。
こちらの商品は飼い主さんの手足に塗って使用しますが、子猫が噛むと辛くてまずいと感じる成分が入っているため、噛むといった行為を自然と止めるようになっていきます。
◆噛んでも壊れにくいベッドやクッション
飼い主さんや子猫が使うベッド、クッションなどの製品も、噛まれても壊れにくい素材のものを選ぶようにすると安心です。
柔らかい素材や綿がすぐ出てしまう製品は、子猫が噛みちぎって誤飲する可能性があるため、なかなか噛み癖が直らない子の場合は、室内にあるアイテムの見直しをしてみましょう。
まとめ
何をしても子猫の噛み癖が直らない場合には、一人で悩んでいても解決することは難しいため、獣医師さんに相談してみてはいかがでしょうか。
専門の知識を持った動物病院の獣医師さんであれば、別角度からのアドバイスをいただけるかもしれませんし、別の原因を導きだしてくれるかもしれません。
また、噛み癖を放置したままにしておくと噛まれる回数も増えるため、パスツレラ症や猫ひっかき病などの感染症を引き起こすリスクが高まります。
噛み癖を甘くみて放置していても良いことは何もないですし、身の安全を守る目的でも専門家に相談をして、改善への糸口を見つけてもらうようにしましょう。
子猫の噛み癖はさまざまな理由によって引き起こされますが、どんどんエスカレートしてしまえば、成猫になっても力加減が分からずに噛む癖が抜けなくなってしまうため注意が必要です。
飼い主さんは一貫性のある対応を心掛けつつ、別の物に興味を示してもらえるような対策をしていかなければいけません。
子猫を引き取った瞬間から飼い主さんは子猫の母親となりますが、噛むといった行為がクセづかないよう上手にコントロールしつつ、柔軟な性格の猫ちゃんに育てるよう努めていきましょう。
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