猫が舌をしまい忘れている理由は?

少し間抜けな表情となる猫の舌のしまい忘れですが、日常的に見られる表情ではないため、愛猫の無防備な表情に魅了されてしまう飼い主さんは少なくないはずです。
猫の呼吸法は鼻呼吸となるため、基本的に口呼吸をすることはありませんが、何かしらの理由により口呼吸をして舌をしまい忘れているとしたら、口呼吸をしてしまう原因を追究しなくてはいけません。
一般的に猫が舌をしまい忘れているときは、以下のような理由があると考えられています。
◆リラックスしている
猫が舌をしまい忘れている理由としてもっとも多いのが、リラックスしているからこそのしまい忘れです。
単独行動を好み、警戒心の強い動物となる猫ではありますが、人間と一緒に共存してきた時間が長いこともあり、室内で飼育されている猫のほとんどは飼い主さんとの信頼関係が構築され、警戒心から解き放たれた生活を送っており、自然とリラックスしている時間が長くなります。
眠っているときなどに安心してリラックスしていると、気持ちだけでなく筋肉もゆるんでくるため、口元もゆるみそのまま舌が出てしまっても不思議ではありません。
とくに性格が穏やかで、子猫のときから完全室内飼いとして人間の傍に居る猫ちゃんは、まったく警戒心を抱くことなく人との暮らしを楽しめる子が多いようです。
◆グルーミングの途中
キレイ好きな動物と言われている猫は、眠っている時間以外にはセルフグルーミングにせっせと勤しみ、常に美しい毛並みを整えています。
グルーミングには毛並みを整えるだけでなく、血流を促進させて皮膚の健康を維持する、自身の唾液によって体温調節をする、気持ちを落ち着かせてストレスを軽減させるなどといった役割があるため、猫にとって欠かせない日課とも言えますよね。
日課となるグルーミングを勤しむ最中に飼い主さんに急に声をかけられたり、窓の外に飛んでいる鳥を見つけたり、何かの物音に気を取られたりすると、グルーミングを無意識に中断することとなるため、舌をしまい忘れてしまう子も居るようです。
そのほかにも、大きなあくびをした際に舌が上手に口の中に戻らず、舌の先だけ微妙に出続けている子も多く居ます。
◆顔の形状によってしまえない
猫にはたくさんの純血種が存在していますが、その中の短頭種と呼ばれる品種(ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチックショートヘアなど)は
鼻が短いだけでなく、あごが小さくて舌が長い個体が多いため、舌をしまい忘れてしまう要因が揃っていると言えます。
ご飯を食べたあと、グルーミングをしたあと、眠っているときなどに舌をしまい忘れてしまうことが多いため、このような特徴も含めて短頭種の魅力とも言えるでしょう。
短頭種には長毛の個体も多いため、短毛種よりもグルーミングが上手にできず、長い被毛を舐めきれずに舌が出しっぱなしになってしまうことがあります。
このように顔の形状が関係して舌を出している場合は、ある意味生理現象とも言えるため、基本的には健康上に問題はないと言えるでしょう。
◆筋力の衰え
猫もシニア期に突入してくるとさまざまな身体の機能が低下していきますが、その一つに筋力の衰えがあります。
高齢期に入った愛猫がやたらと舌をしまい忘れていると感じるようであれば、やはり加齢に伴う変化が原因であると考えるべきですよね。
足腰の筋力だけでなく身体全体の筋力も落ちてくるため、口内に舌をしまう際に必要となる筋力も不足してしまえば、必然的に舌をしまい忘れてしまう回数が増えてしまうはずです。
また、筋力の衰えだけでなく、脳や神経に異常がある場合にも口が閉じにくくなったり、舌が出続けたりするケースもあるため、何度も舌をしまい忘れている様子がみられる際には、このような原因が隠れている場合があることも覚えておきましょう。
◆口内環境の悪化
舌のしまい忘れが多く感じるときには、口内環境に問題を抱えている場合もあります。
猫は口腔内のpHバランスにより虫歯ができにくいと言われていますが、その反面歯周病にはなりやすいとも言われているため、口腔内に炎症が生じ痛みを伴えば、必然的に舌をしまうことが困難になってしまうはずです。
高齢化で歯が抜け落ちてしまった場合も、舌が外にでやすくなってしまいますし、なかなか気づきにくい猫の口内環境ではありますが、愛猫が年齢を重ねていくにつれて意識的にチェックをしていきたいものです。
また、短頭種の子は特殊な顔の形状から歯並びが悪くなる傾向も強いため、歯周病のリスクが高まるとも言われているので注意が必要です。
猫が舌をしまい忘れていて問題はない?
愛猫が舌をしまい忘れているときは、微笑ましい気持ちとともに「何か重篤な病気の兆候なのでは?」などと不安になってしまう飼い主さんも多いことかと思います。
そのまま様子を見ていても、果たして良いものなのでしょうか。
◆基本的には特に問題なし
猫が舌をしまい忘れる理由は色々と想定できることが分かりましたが、健康的な猫ちゃんの場合は基本的に問題視しないで良いと言えるでしょう。
安全な家の中でリラックスしている状態により、舌をしまい忘れているときは一時的な場合がほとんどですし、猫ちゃん自身が気付いて舌を戻してくれるため、飼い主さんは「ほほえましいな」といった気持ちで見守ってあげてください。
飼い主さんに絶対的な信頼を寄せている猫ちゃんであれば、常にこのように無防備な姿を見せてくれるはずですよ。
◆他に症状がないか確認する
基本的に問題視する必要のない舌のしまい忘れですが、シニア期に突入してからやたらと舌が出ていると感じることが多くなった場合は、何かしらの機能が低下している可能性があります。
筋力の衰えや口腔内のトラブルはなかなか気づきにくいため、定期的にかかりけつけの動物病院で定期検診を受けるようにし、愛猫の健康を維持できるように努めていきましょう。
猫が舌を出したまま口呼吸していたら要注意!

猫は基本的に口呼吸をしない動物と前述している通り、舌を出したまま口呼吸をしている場合は注意が必要となります。
◆猫の口呼吸は危険サイン
鼻呼吸が主体となる猫が舌をしまい忘れているだけでなく、口呼吸をしている様子が見られる
ときには、呼吸器に何かしらの問題を抱えている可能性が高いと言えます。
「ハァハァ」と口を開けて空気を吸い込む呼吸法を「パンティング」と呼び、子猫時代には激しく遊んだあとにパンティングが見られることがありますが、成猫では稀な呼吸法となるため、このサインを見逃さないようにしてください。
呼吸器に問題が起きているだけでなく、「甲状腺機能亢進症」や「熱中症」といった病気を患っている可能性もあるため、よだれを垂らしている、口臭が強くなる、チアノーゼ(舌が紫になる)を起こしている、食欲不振などの症状が出ていないかにも注目してみましょう。
◆すぐに動物病院へ
愛猫が舌をしまい忘れて口呼吸をしている際には、様子をみるようなことはせずにすぐに動物病院を受診するようにしてください。
呼吸が上手にできない場合にはそのまま命を落としてしまう危険性もあるため、愛猫の命を守るためにも飼い主さんは迅速な対応を心掛けましょう。
まとめ
猫が舌をしまい忘れている表情はとても可愛らしいですが、頻繁に見せてくれる表情ではないため、どのような理由で舌が出たままになっているのか気になる飼い主さんは多いと思います。
基本的にはリラックスしていて気持ちがゆるんでいることから、舌をしまい忘れるケースがほとんどとなるため、人に対して警戒心を解いて一緒に居てくれているとしたら、飼い主冥利に尽きるとも言えますよね。
しかし、その反面加齢によって舌がしまいづらくなっている場合や、病気を患っていて舌がしまえなくなっている場合もあるため、日頃から愛猫の様子をよく観察しつつ、問題があるかどうかのサインを見逃さないようにしたいものです。
愛猫の健康を守ってあげられるのは飼い主さんしか居ないため、舌をしまい忘れている際にほかにも体調が悪そうにしている様子が見られるときは、そのまま経過をみるようなことはせずに、迅速にかかりつけの動物病院を受診するようにしましょう。
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