猫ちゃんの「ウールサッキング」は かわいいけれどとても危険です!

2017.05.01

猫ちゃんの「ウールサッキング」は かわいいけれどとても危険です!

猫ちゃんが突然、タオルやカーペット、カーテンなどの布を食べはじめて驚いたことはありませんか? 今回は、食べものとして不適当なものを食べてしまう「異食行動」のうち、布を食べてしまう「ウールサッキング」の危険性と、その対処法についてご紹介します。

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猫ちゃんの異食行動の原因はさまざま

猫 ウールサッキング 誤飲

ペット栄養学の世界では、ワンちゃんや猫ちゃんなどの動物が食べものとして不適当なものを食べてしまう行動を「異食行動(異嗜:いしゃ)」と呼びます。

異食行動の原因はさまざまです。子犬や子猫の場合は、まわりのものへの好奇心や探求心がきっかけとなって異食行動に走ることもよくあります。また、ミネラルの欠乏やストレスなどがその原因とみられる場合もあります。肝機能の異常など、重大な疾患が原因となっている場合がありますので、猫ちゃんに異食行動がみられたらすぐにかかりつけの動物病院に相談をしてください。


ウールサッキングがよくみられるのはオリエンタルタイプ

猫ちゃんの場合、ぬいぐるみやカーテン、クッション、タオルといった布地や繊維を食べたり吸ったりする「ウールサッキング」という症状がよくみられます。
Instagramを #woolsucking で検索すると、ウールサッキング中の猫ちゃんの写真がたくさん投稿されています。

イギリスでの研究では、シャム猫やコーニッシュレックス、オリエンタル、バリニーズなど、足や胴が細長く、頭はあごの小さな逆三角形の「オリエンタルタイプ」の猫ちゃんに、特によくウールサッキングの症状がみられることがわかっています。


ウールサッキングは猫ちゃんにとってとても危険です

猫 ウールサッキング 誤飲

猫ちゃんがお気に入りの毛布などをかじかじする姿はとてもかわいいものですが、猫ちゃんの体はウールやポリエステルなどの繊維を消化できません。喉に詰まって窒息したり、繊維が腸に詰まってしまったりする危険があるので、ウールサッキングをしているところを見かけたら別のオモチャで気を引いて、かじっていた布類をそっと取り除いてください。

ここで無理矢理取り上げてしまうと、「かじっていた布をペットオーナー様が取り上げる遊び」と猫ちゃんが勘違いしてしまい、ペットオーナー様の気を引くためにますますウールサッキングをしてしまう可能性があります。「猫ちゃんに気付かれないように取り除く」ことが最大のポイントです。

一度噛んだ布にニオイが残っているとまた噛んでしまうので、猫ちゃんがかじった布は捨ててしまうことをおすすめします。


ウールサッキングの原因は食感が好きだから?

なぜ、猫ちゃんがウールサッキングをするか、その原因についてはっきりしたことはわかっていません。

ペット栄養学では、ウールサッキングは食事に関連する行動と考えられていて、キャットフードを噛んだり、飲み込んだりするときの刺激が足りないからだという説もあります。「噛み心地がいいから噛んでいるうちに飲み込んでしまい、ウールが喉を通る刺激に病みつきになった」というわけです。


ウールサッキングの対処法は部屋の環境づくりとペットフード改善

ウールサッキングの原因が「食感」にある場合、猫ちゃんに「かじるのは危ないからやめなさい」と言っても、かじる布が部屋の中にある限りはやめないでしょう。

◆布製品を除去する

そこで、猫ちゃんを育てる部屋をひとつに絞り、布製品を除去することをオススメします。
カーテンはブラインドに、猫ちゃんのベッドは「猫ちぐら」「猫鍋」などの布を使っていないものに。ラグマットは敷かず、クッションは皮などのつるっとした素材にします。

◆フードやおやつを工夫する

さらに、猫ちゃんのフードを、食感がウールと似ている食物繊維が多く入った、高繊維質のドライフードに切り替えることをオススメします。
「猫草(燕麦:えんばく)」など、猫ちゃんが飲み込んでも害がない草を用意すると、ウールをかじれないことによるストレスが軽減できるでしょう。

一番手っ取り早いのは、布製品から猫ちゃんを隔離すること。キャットタワーを備えた縦長のケージが市販されていますので、お留守番のときはケージに入れるのがベストです。

見た目はかわいらしいウールサッキングは、猫ちゃんの健康を害するおそれがあります。お留守番させるときや、猫ちゃんのそばを離れるときは猫ちゃんをケージに入れて、猫ちゃんの健康を守ってあげましょう。

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参考文献:ペット栄養管理学テキストブック(一般社団法人日本ペット栄養学会著 出版社:アドスリー)P202 「問題行動と食事」(加隅良枝先生・荒田明香先生)より



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石原美紀子

石原美紀子

青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。


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