猫又とは?
猫又とは、日本の民間伝承や古典の怪談、随筆などにある「猫の妖怪」のことを言います。
猫又の伝説には、人が飼っていた猫が年を取って妖怪化したものや、山中に棲む巨大な獣だったなど、様々な言い伝えがあります。そして、猫又は不思議な妖力を持ち、人の言葉を理解できると言われていました。
◆猫又の誕生の由来は?
猫又が初めて文献に登場したのは、鎌倉時代の「明月記」で、一晩に何人もの人間を食い殺したと書かれています。
ただし、「明月記」では『猫のような眼』とはありますが、猫とは断定していないので、元は猫ではなく妖怪であった可能性もあるそうです。
江戸時代になると、猫はネズミを駆除してくれる動物として民衆に愛され、人気のペットとなりました。しかし、猫特有の「足音がしない」「急に姿を消してしまう」という性質が妖怪のようであると言われ、猫=妖怪という図式に大きく役立ってしまったようです。
◆猫が年を取ると猫又になるってホント?
これは古くから言い伝わる「都市伝説」です。典型的な猫又のイメージ像が作り上げられたのは江戸時代後期で、そのころにはもう猫又や化け猫が成立したものであったと推測されます。
中国の明で1600年代初頭、「吾雑組」の中で「金花の家猫は3年以上飼えば人を迷わすことが出来る」と記されています。この「金花猫」とは、金花という地区に出没する中国版化け猫の事です。この「金花猫」のイメージが長い年月を経て、日本文化の中にあった「猫又」に影響を及ぼし、単純に「猫が化ける」という従来の図式から「年を取った猫が化ける」という新たな図式に変化したと思われます。
化け猫とは?
化け猫は、その名の通り猫が妖怪に変化したものを「化け猫」と言います。
化け猫は日本各地に伝説が残されていますが、佐賀県の「鍋島の化け猫騒動」などはとても有名です。
◆化け猫の誕生の由来は?
猫が妖怪のイメージになりやすい要因は、猫の性質にとても影響しています。
猫は夜行性で暗闇にいても目が光り、瞳の形も変化します。歩くときは足音を立てずに歩き、犬とは違い行動がなかなか読みづらいところや、爪の鋭さや高いところからも平気でジャンプしてしまう身軽さなどが化け猫になってしまう要因とも言えるでしょう。
猫又と化け猫の違いとは?
「鍋島の化け猫騒動」に代表されるように、化け猫の成り立ちは「人の恨み」がかたちとなって現れたものや、残忍な殺され方をした猫が恨みを持って化けたという話が一般的です。
一方で猫又は、長い年月を生きた猫が変化し、不思議な力を持つようになったという説があります。
ただし、猫又と化け猫のほとんどは混同されることが多く、日本各地で見てもその区別はあいまいなものです。猫又と化け猫は別物ではありますが、これと言って定義がないので、作品に書かれている猫が化け猫であれば、化け猫といいますし、猫又だと言われれば猫又であるようです。
化け猫が登場する作品を紹介
日本各地には猫又や化け猫が登場する物語が沢山存在しています。面白い話もあれば、恐ろしいものや悲しいものまで、猫の話だけでこんなに存在するとは驚きです。
猫又や化け猫にまつわる話をいくつかご紹介させていただきます。
◆佐賀鍋島の化け猫騒動
化け猫を題材にした有名な作品は「佐賀鍋島の化け猫騒動」があります。
戦国時代、佐賀の鍋島藩二代目藩主・光茂が、かつての主家である龍造寺家当主・又一郎を碁の対局中に惨殺してしまいました。のちに真相を知った又一郎の母・お政の方は怒り苦しみ、愛猫「コマ」に復讐を託し、自分の血を「コマ」に舐めさせた後亡くなったといいます。
その後、鍋島家では次々と怪事件が起こるようになり、鍋島の姓を受け継いだものが次々に謎の死を遂げていきました。
そこで、鍋島家の側近・半衛門がこの怪事件について調べたところ、その正体が恐ろしい化け猫になった「コマ」の仕業ということを突き止めたのです。
それ以来、鍋島家に関わりのある人々の間では、今も猫を飼うことが禁忌になっているということです。
◆三毛猫の経立(ふったち)
日本各地に伝わる昔話の中にも、化け猫が題材になったものがあります。
昔、おじいさんとおばあさんが年を取った三毛猫と仲良く暮らしていました。
おじいさんが村の会合に出ていて、家ではおばあさんと三毛猫だけのある晩の日のこと。
なんとおばあさんに向かって三毛猫が急にたちあがり、しゃべりかけてきました。おばあさんはびっくりして声も出ず、猫を見つめていると、今度は踊り出しました。
そして、三毛猫はおばあさんに日頃の感謝を伝えながら、こう話しました。「このことを誰にも話してはいけません。話したら、」いつもの三毛猫に戻り、外に出て行ってしまいました。
やがておじいさんが戻ってきたのですが、おばあさんは三毛猫との約束通り話す事はしませんでした。
しかし、何日か経った日、三毛猫が返ってこないことをおじいさんが心配し、おばあさんに尋ねると、おばあさんは猫との約束を破り、おじいさんに聞いたこと見たことを話してしまいました。するとそこにいきなり猫の声が聞こえたかと思ったら、天井から猫が飛び降り、おばあさんの首に噛みつき、あっという間にいなくなってしまった。
それ以来、年を取った三毛猫は化け猫に代わってしまうと言い伝えられています。
10月開催「化け猫フェスティバル」とは?
神楽坂で行われる「化け猫フェスティバル」をご存知ですか?
化け猫フェスティバルは、2010年から始まった、猫の仮装イベントです。今年の開催日は、2017年10月15日(日)となっています。
◆神楽坂は猫と縁の深い街!
神楽坂は猫と縁の深い街だと言われています。「吾輩は猫である」で知られる日本を代表する作家・夏目漱石のゆかりの地が神楽坂で、ここは、江戸時代から「花街」としての文化があり、そこで暮らす芸者の間で猫をペットとして飼う人が多かったので、この神楽坂は猫と縁の深い街になっていったのです。
そして猫の街ならではのお祭りをしようではないかという声から、『街』と『街の人』と『街に来る人』すべての人々が一体となり作り上げたイベントが、この「化け猫フェスティバル」なのです。
◆化け猫フェスティバルではどんなイベントがあるの?
【化け猫パレード】
化け猫パレードでは、猫をテーマにした仮装であればどなたでも参加OK。みんなで作り上げるお祭りなんて楽しそうですよね。
SNSでもたびたび話題となり、今では日本のみならず、海外からこのフェスティバルに合わせて来日し、フェスティバルに参加する人も多くいるそうです。
化け猫パレードは14:00~15:00でおこなわれ、参加費は一人500円、小学生以下は無料だそうです。
【猫メイクサービス】
自分で仮装を用意しなくても、会場で猫メイクをしてくれるサービスがあります。当日チケットを購入すると、プロのメイクさんがメイクしてくれるので、かなり本格的な猫メイクが楽しめそうです。
【あにゃ踊り】
フィナーレに超猫派ダンサー・藤田義宏さんと誰でも参加自由な参加型「阿波踊り」で締めくくります。こちらは参加費無料です。
フィナーレの前に簡単な阿波踊りのレクシャーが受けられますので、当日いきなり参加されても問題なしです。
まとめ
いかがでしたか?
猫は夜に目が光ったり、足音を立てずに近づいてきたりと、今も昔も、人々をちょっとびっくりさせるような一面があります。
しかし、現代ではこの化け猫文化を町おこしのイベントに利用し、猫好きさんにはもちろん、猫が好きではない人でも全員を巻き込み、楽しいフェステバルを開催しているとは驚きですね。
きっかけは化け猫でも猫を知ることで、猫たちにもっと目が向けられ、一匹でも幸せに暮らしていける猫を増やしていきたいものです。
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