オオヤマネコの一種であるボブキャットはペットとして飼えるの?

2021.10.03

オオヤマネコの一種であるボブキャットはペットとして飼えるの?

猫が大好きな方であれば、一度は「野性味たっぷりの猫を飼ってみたい!」「大きなネコ科の動物と暮らしてみたい!」といった願望を抱いたことがありませんか? 普通の猫よりも大きな体を持つネコ科の動物が飼育下のもとで、どんな生活をしていくのか興味が湧いてきますよね。 そんな理想を現実に変えてくれるのが、ネコ科のオオヤマネコ属に分類される「ボブキャット」です。 ボブキャットとは一体、どのような猫を指すのでしょうか?

ボブキャットってどんな動物?

ボブキャット

ボブキャットと聞くと、ボブという名前の猫なのか、何かのキャラクターの名前なのかと思ってしまいますが、短いしっぽ(ボブテイル)を持つことから、和名で「ボブキャット」と呼ばれるようになりました。

学名では「Lynx rufus」と呼ばれ、「Lynx(リンクス)」にはオオヤマネコという意味があり、「rufus(ルフス)」にはラテン語で赤という意味があると言われています。

英名ではボブキャット以外に「Red lynx」と呼ばれることがあることからも、ボブキャットは「アカオオヤマネコ」と呼ばれることもあるそうです。

ボブキャットはネコ科のオオヤマネコ属に分類されている中型獣となりますが、どんな動物なのか詳しく確認していきましょう。

◆オオヤマネコ属の中型獣

ボブキャットが分類されているオオヤマネコ属には、ほかにも「カナダオオヤマネコ」「ユーラシア(ヨーロッパ)オオヤマネコ」「スペインオオヤマネコ」といった種類のオオヤマネコが存在しています。

オオヤマネコ属の中でボブキャットは、体のサイズが一番小型で、生まれたばかりのときは猫の赤ちゃんとの見分けがつかないと言われるほど、より猫に近い存在のオオヤマネコと言えるのかもしれません。

個体の小さなボブキャットは家猫と同じぐらいの大きさとも言われていますが、それでも体長は100cmほど、体重は15kgほどに成長する個体も居るそうなので、一概に小さなオオヤマネコとは言えませんよね。

家猫に近い存在であっても特定動物に指定されている中型獣なので、野性味や力の強いネコ科の動物と言えるでしょう。

◆体の特徴

ボブキャットの最大の特徴は短いしっぽでありますが、長さは20cm以下と短く、大きな体にちょこんと付いている様はなんとも可愛らしい姿です。

また、ボブキャットの被毛はアカオオヤマネコと呼ばれるように、赤みがかったグレーや茶色の褐色となり、黒色の斑点模様が全身に入っています。

夏には赤みが強く、冬にはグレーの色が強く出ることや、生息地によっても毛色が異なってくるとも言われているので、季節や住む場所によって違う雰囲気を見せてくれるのも面白いですよね。

耳の先端には黒い房毛(飾り毛)が生えており、頬からアゴの下にかけて長く垂れ下がる顎ヒゲもオオヤマネコ特有の特徴と言えるかもしれません。

またボブキャットは、野生のネコ科動物に見られる「虎耳状斑(こじじょうはん)」があるので、この模様が家猫にないことからも、野性味の強いネコ科動物であることがうかがえます。

虎耳状斑

オオヤマネコの中では小柄な体格をしていますが、筋肉質でがっしりとした体つきをしています。

◆生息地と生態

ボブキャットの生息地は広く、カナダ南部からアメリカ、メキシコ北東部辺りまで分布していると言われています。

森林や草原、沼沢地や乾燥している半砂漠地帯などで暮らしているボブキャットは、夜行性で単独行動を好むので、さまざまな環境に順応できる野生動物とも言えるでしょう。

そのため人目につかないような暮らしぶりなのかと思いきや、人間の暮らす場所のすぐ近くまで姿を現すことがあるので、生息地まで足を運べば野生のボブキャットを見ることができるかもしれません。

日中は木の上などで体を休ませ、陽が落ちた夕方から朝にかけては活動的になるので獲物を探しに行動します。

住んでいる場所や季節によって食べ物が変わるボブキャットですが、肉食獣なので基本的にはネズミやウサギなどの小動物、鳥類や鳥類の卵などを好んで食べるそうです。

また、猫は水が苦手として知られてはいますが、ボブキャットは寒くない限り水辺で狩りをして、魚などをエサにすることがあると言われています。

そして、自分の体より大きな鹿や羊などを捕まえることがあり、非常に優秀なハンターとして様々な順応性を垣間見せてくれるのも魅力的と言えるでしょう。


ボブキャットをペットとして飼える?

寄り添うボブキャット

はるか昔には日本でもオオヤマネコが生息していたと言われていますが、現在もアメリカ周辺ではオオヤマネコに12種類の亜種の存在が確認され、全体で72万頭以上の個体数が生存していると言われています。

絶滅の心配は無いとも言えるヤマネコの仲間となりますが、ボブキャットを普通の猫のようにペットとして飼ってみたいと思われる方もいらっしゃることでしょう。

日本ではボブキャットをペットとして飼育しても、平気なものなのでしょうか?

◆ボブキャットは「特定動物」に指定されている

特定動物に指定されていると前述したボブキャットですが、猛獣に分類され危険が及ぶ可能性も否めないので、飼育の際にはさまざまな法律が定められています。

ペットとして飼育するのであれば、各都道府県での飼育許可が必要となりますが、守るべき基準がとても多く、一定の基準を満たした広い環境、逃げ出さないような檻での飼育、膨大な飼育費用などが必要となってきます。

エサとして与える食事も生肉が主なので、食費だけでもかなりの金額がかかりますし、その食材を毎日大量に調達することを考えると、現実的に厳しいと感じる方も多いことかと思います。

このようなことからも、日本で基準を満たしつつ、ボブキャットの飼育ができる方はまず居ないと言えるのではないでしょうか。

また、警戒心が強くて繊細な心の持ち主でもあるので、人間との距離が上手に縮められない子や、野生で生活していた際に狂犬病を患ってしまった子は、人間を襲ってしまうこともあるそうです。

特定動物の飼育はなかなか難しい上に、許可が取れれば飼育ができる状態ではありましたが、令和2年6月に動物愛護法の改正案が成立し、一般家庭での愛玩目的(ペット)による飼育が禁止されたので、現在日本でボブキャットをペットとして迎え入れることができなくなりました。

もちろん無認可でボブキャットを飼育した場合、個人の場合は6ヶ月以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられるようです。

ただボブキャットを飼ってみたいという気持ちだけでは、日本での飼育は難しいので、条例のない海外での飼育や、別の方法でボブキャットとの距離を縮めてみてはいかがでしょうか。

◆見るだけに留めておく

ボブキャットはペットとして飼いたいと願うのではなく、見るだけに留めておくことによって、尊い命を守ることができます。

図鑑などに掲載されている情報や写真はもちろん、最近ではネットにもさまざまな画像や動画がたくさん投稿されていますよね。

海外でボブキャットを一般家庭で飼育している様子や、母親と離れ離れになったボブキャットの赤ちゃんなどを、飼育する様子を記録しているブログやサイトなどもありますので、それらを見ればよりボブキャットを身近に感じられることでしょう。

日本でもオオヤマネコを飼育している動物園はたくさんありますし、ボブキャットにこだわらずとも、野性味溢れたネコ科の動物に会いに行ってみるのもおすすめです。


ボブキャットに会うためには?

やはりどうしてもボブキャットに会いたいと強く願うようであれば、ボブキャットを飼育している動物園を探すしかありません。

果たして日本の動物園で、現在ボブキャットを飼育している場所はあるのでしょうか?

◆ボブキャットを飼育している動物園に行こう

ボブキャットが現在飼育されている動物園は、日本で一ヶ所のみとなっています。

それは、兵庫県にある「神戸市立王子動物園」です。

王子動物園では2014年5月11日生まれの「ソラ」ちゃんという女の子のボブキャットが飼育されています。

赤みがかった毛色を持ち、家猫を彷彿させるような愛らしいお顔が可愛らしく、動物園に足を運ぶ方々のお目当てになってしまうのも納得です。

王子動物園にはボブキャットのほかにもシベリアオオヤマネコや、約130種類もの動物が居ますので、是非一度来園してみてはいかがでしょうか。


まとめ

ネコ科の動物にはさまざまな種類が存在していますが、家猫のルーツをたどってみると、たくさんの歴史の背景が見えてくるのと同時に、色々な亜種が存在していることにも驚かされます。

ネコ科の中でもより猫に近い存在のオオヤマネコは、やはり猫好きの方からしてみると、実際に見てみたい、飼えるものなら飼ってみたいと思われる方も多くいらっしゃることでしょう。

しかし、現在では動物愛護法が改正されたことからも、ボブキャットを日本で飼育することはできません。

どうしてもボブキャットに会いたいのであれば、ボブキャットの居る動物園に足を運んでみるか、可愛らしいボブキャットの画像や動画を探して、癒されてみるのもおすすめですよ。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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