人間の手のひらや足の裏にあたる、毛が生えていない、膨らんだ部分が肉球です。猫の肉球には、プニプニした素敵な触り心地というだけでなく、色々な秘密があります。
肉球が存在している理由
なぜ、猫には肉球があるのでしょうか?
まず、猫のように獲物を捕らえて食べる肉食の動物は、獲物に近づくときに音を立てないようにするために、肉球が存在しているという説があります。また、獲物に飛びかかる時や、木などに登った時に滑り止めになるようになっています。さらに、高いところから飛び降りた時にも、衝撃吸収のクッションの役割をしています。
猫がグルーミングをする時にも、人の手のひらのようにして肉球が使われます。また、何かにじゃれたりする時にも、爪と指と肉球部分で捕まえたり、触って引き寄せたりします。
さらに、手根球の上あたりにある毛は、顔のヒゲと同じように、センサーの役割を果たし、足元の異常を感じ取ることが出来ます。
名前の秘密
ひとくちに肉球といっても、各部分に実はちゃんと名前があります。
◆前足
掌球(しょうきゅう):前足の、いちばん大きな肉球(A)
指球(しきゅう):前足のそれぞれの指にある肉球(B)
狼爪(ろうそう):人間の手だと親指に相当する指で、基本的に前足のみにある(C)
手根球(手根球):前足のみにある肉球(D)
◆後ろ足
足底球(そくていきゅう):後ろ足のいちばん大きな肉球(E)
趾球(しきゅう):後ろ足のそれぞれの指にある肉球(F)
肉球の中身の秘密
肉球は外側から、表皮(ひょうひ)-a:角質細胞、真皮(しんぴ):コラーゲン-b、皮下組織(ひかそしき):脂肪組織-c、という層の構造になっています。
特に表皮は硬くなっていて、角質層が重なり合って出来ています。そして、皮下組織の脂肪の下に血管や神経があるため、冷たさや熱さに強くなっているのですね。この脂肪のところは、弾性線維が網目状になっているため、プニプニと、あの肉球独特の感触があるのです。
そのような構造のため、怪我した場合には、皮下組織や脂肪で出来ている肉球は、傷口が大きく開きがちです。さらに、血液が流れていない表面部分は、肉の盛り上がりが遅くなりますし、足の裏ということで立ち上がれば必ず地面に触れますので、直るのに時間がかかります。実際に怪我をした場合には、エリザベスカラーをするだけでなく、肉球や怪我をした足本体を保護する必要もあるでしょう。
普段から、猫が怪我をしないように、尖ったものや刃物などは、気をつけて片付けておきましょう。外に出ている猫は、怪我をしてくる可能性もあります。直りにくい場所ですから、よく観察してあげてください。最近では肉球用のクリームも売っています。肉球が乾燥して硬くなっている場合、ちょっとしたひび割れから、肉球が割れたりすることもあります。マッサージしたりクリームを使うなどしたりして、うるおいを保つなどのケアをしてあげると良いでしょう。
肉球も汗をかく
肉球にある小さなくぼみ部分には、真皮層にあるエクリン腺の開口部がつながっていて、汗が、わずかですが出ます。暑い時はもちろん、緊張したり怖い思いをしたりする時にも汗が出ます。病院に行くと、極度の緊張と恐怖から、肉球に汗をかく猫が多いようです。
肉球がしっとりすることで、滑り止めになります。また、匂い付けの役割も果たします。猫は歩きながら、または爪を研いだり木に登ったりしながらマーキングしているということになります。
肉球の色の秘密
肉球にも色々な色があります。猫の毛色に合わせて肉球の色もある程度決まっています。例えば、白猫:薄いピンク色、黒猫:濃い小豆色、キジ猫:濃い茶色系、茶トラ:濃いピンク系、二毛:ピンクと小豆が混ざっている、という感じです。
一般的に、毛色が薄ければ肉球の色も薄く、毛色が濃ければ肉球の色も濃いという法則です。成長するにつれて、肉球の模様が変わることもあるようです。
猫の爪
喧嘩の時や木登りの時、爪研ぎの時などに猫は爪を出しますが、猫の肉球を優しく押すと、普段はしまわれている爪が出てきます。室内飼いの猫は、爪の手入れをしっかりしておかないと、伸びた爪が肉球に刺さってしまうことがあります。定期的にチェックして、爪切りをしてあげましょう。
肉球で猫の性格がわかる?
最近では猫の手相として、肉球で性格がわかるという説があります。
掌球の大きさや、指球の形、肉球の並び方などで、性格や行動を判断していくようです。
肉球の秘密を知っていれば、より猫との生活が楽しくなりそうですね!
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