猫はもともと、獲物を捕らえて食べる生き物です。飼い猫となってフードをもらえるようになっても、その本能はちゃんと残っています。
前足を使って獲物を捕らえていることを考えれば、猫にとってひっかくという行為はごく普通で自然なことだと言えます。
人の手に対して爪をたててひっかく時は、それなりの理由があります。
猫の前足でひっかかれる場合
猫は興味を引くものを確かめたり、自分の方に引き寄せたりする時に前足を使います。
猫の前足でひっかかれてケガをするのは、主に次のような場合です。
・猫じゃらしなどで遊んでいて、猫がおもちゃを前足で捉えようとした時に人間の手にあたった場合。
・猫が遊んでいて、人の足を獲物に見立てて、飛びかかってきた時。
野良猫を保護した時など、すでにある程度野生の本能で生きてきている猫は、フードを手であげようとすると、前足ではたき落とそうとして、結果、人の手をひっかくことになります。警戒している猫にフードをあげる時は、手からあげることはやめましょう。
また、保護してケージに入っていたり、怯えている猫に対しても、不用意に触ろうとしたり、手を近づけるのは止めましょう。まだ、猫にとって人間の手を怖がらなくなってきてから、触ったり、手でフードをあげたりするようにしましょう。
猫じゃらしなどで遊んでいる場合には、人間のほうが、手をひっかかれないように気をつけることです。
また、手で猫と遊ぶべきではないという説もありますが、しっかりとしつけをすれば、人間の手に対していつでも攻撃的になるということはないでしょう。痛いことをされたときには、痛いと声をあげる、しつこく遊ぼうとしてくる場合には相手にしないようにする、などの対処をしましょう。
人の足などをひっかく場合は、たとえば来客があったときなど、猫が怖がったり、縄張りを荒らされたと感じたりした時で、人に対して攻撃的になった時です。家族以外の人に慣れていない猫の場合は、他人が来たら別の部屋に入れて近づけないなど、興奮させないようにしましょう。
猫の後ろ足でひっかかれる場合
後ろ足でひっかかれると、傷が深くなりやすいです。後ろ足の場合は、抱っこされていた猫が逃げる時に後ろ足でキックされてひっかかれる、触られたくない猫が飛び上がって逃げようとした時などに蹴られてひっかかれる、などです。
こちらのほうが、人間が猫に良くないことをした時や、猫が驚いたりした時が多いです。
また、子猫時代の遊び方として、前足で獲物を捕まえて後ろ足でキックをする、という行動がよく見られます。これを人間の手にされると、後ろ足でひっかかれることになり、傷ができる場合もあります。
対策としては、いやがる猫を抱っこしたり押さえつけたりしないこと、とっさの場合に備えて後ろ足の爪をしっかり切っておくことです。
猫に噛まれたり、ひっかかれたりしたら
猫にひっかかれると、バルトネラ・ヘンセネラ菌によって猫ひっかき病にかかることがあります。また、噛まれるとパスツレラ・マルトシダ菌によってパスツレラ症という人畜共通感染症(ズーノーシス)を起こすことがあります。
猫に噛まれたりひっかかれたりしたら、すぐに流水できれいに傷口を洗い流し、手当てをしてください。もし、傷が腫れたり、痛みがひどかったりと心配と思われるような症状が出たら、早めに病院に行って診察を受けてください。
– パスツレラ症についての記事はこちら –
猫の「噛む」「ひっかく」で死亡例も!猫から人に感染する恐怖のパスツレラ症
猫が壁や床をひっかく場合
猫が壁などをひっかくのは、爪研ぎと言われる、自分のなわばりを主張する行為であり、本能に刻印された行動と言ってよいでしょう。「どうやって爪とぎやめさせるか?」ではなく、「どうやって壁や床以外で爪とぎをさせるか?」という観点が重要になります。
猫用の爪研ぎを置いて、それで爪研ぎをさせるようにまずしつけます。問題なくできることもありますが、なかなかしてくれない場合もあります。爪研ぎを壁に置く、または床に置く、フードやまたたびのにおいをつけるなどして、猫が興味を持つようにしてみましょう。
猫が壁などをひっかくのは猫がなわばりを主張する行為なので、目立つ場所に爪研ぎを置くと良いでしょう。そして、安定して、猫が体重をかけてひっかいても大丈夫なような置き方をしてあげましょう。
猫がひっかくことは、本能からそうする場合がほとんどです。猫の性質を生かして、猫も人も快適に生活できるようにしましょう。
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