猫の健康診断はなぜ必要?
猫に健康診断が必要なのか疑問をもつ飼い主さんもいると思います。
猫を始めとして、動物たちは自分の不調を言葉にすることはできません。健康寿命をのばすためにも、日頃から飼い主さんが愛猫の体調を把握し、健康診断などを受けさせたほうがいいでしょう。
◆猫は不調を隠す動物!?
猫は痛みや病気、ケガを隠すという行為をします。元々狩猟動物だった猫は、生きていくためには周りの動物たちに痛みや体の不調を知られないようしなければいけません。知られてしまうと、逆に猫が狩猟の的になってしまうからです。
そのため、猫は痛みや体の不調があっても見せることはせずに平気なフリをします。
これは飼い主さんに対しても同じで、痛みや病気、ケガを隠すことがあるので、見た目で判断するのは難しくなります。
◆健康診断で病気や不調を早期発見できる
見た目でわかるケガや目の病気、皮膚の病気などは早期に発見することができます。特に室内飼いの猫の場合は、猫の異変に気付いたり、目立った体の不調でもない限り動物病院へは行かないという飼い主さんも多いと思います。
しかし、内臓疾患などは非常に分かりにくく、病気がわかった時にはすでに手遅れにしまうことが多いようです。
私たち人間は、健康診断の結果で生活習慣の改善や自覚症状がない病気の発見につながったりしていますよね。猫もこれと同じで、健康診断を受けることで、病気の予防や早期発見、早期治療につながるのです。
近年、
健康診断を受ければ、飼い主さんが気づかなかったこともわかるので、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
◆猫の健康診断はいつ受ける?
猫の健康診断を受ける頻度は、猫の年齢によって変えていきましょう。
幼猫(1歳未満)
体力がないので抵抗力も低いです。簡単な検査でいいので健康診断をこまめに受けて予防接種もしておきましょう。
成猫(1歳~6歳)
年に1度は健康診断を受けましょう。
高齢猫(7歳以上)
半年に1度の健康診断を受けましょう。
7歳以上は老化が始まる年齢です。特に10歳以上は高齢猫なので、半年に1度は精密検査をおすすめします。成猫でも持病がある猫は、健康状態がよくない時はこまめに健康診断を受けることをおすすめします。
猫が健康診断を受けるタイミングは飼い主さん次第です。飼い主さんがきちんと時期を決めて健康診断を受けたほうがいいでしょう。
覚えやすい時期として誕生月に健康診断に連れていくように決めている方もいるようですよ。
予防接種(ワクチン)も年に1度は受けることが望ましいので、予防接種するタイミングに合わせて健康診断を受けると何回も動物病院に行かなくて済みます。
猫の健康診断の項目・料金は?
猫の医療は人と違い自由診療になるため、国による健康保険がありません。また、健康診断といっても動物病院によって項目や受診にかかる時間、料金は違ってきます。健康診断は動物病院によって診断のコースなどがあります。
動物病院によって多少は変わってきますが、平成27年に発表された日本獣医師会の調査によると、健康診断(1日ドック)全体の平均金額は15,304円となっています。
◆一般的な健康診断の項目・料金
一般的な健康診断の項目には以下のようなものがあります。
・問診
猫の普段の生活の様子や健康状態について飼い主さんに確認をします。
・体重測定、触診、聴診、目や耳、口腔内チェック
診察台に猫を乗せて体重測定をします。触診は猫の身体の隅々まで見て触ってチェックします。聴診は聴診器などで心音や脈拍などをチェックします。目、耳、歯、リンパ節などの全身にわたって身体検査を行います。
・尿検査
猫は特に尿石症や腎臓病になりやすいです。尿石症や腎臓病の発見に尿検査は欠かせません。
人のようにその場ですぐに尿を採取できればいいのですが、猫はそういうわけにはいきません。そのため、家で事前に採取した尿を動物病院に持参して検査を行います。
尿はできるだけ新しいのがいいでしょう。検査当日の朝の尿が好ましいです。
・糞便検査
糞便検査では、寄生虫感染や腸内細菌がいるかの確認をします。消化機能の確認、便への出血がないかなどを顕微鏡で詳しく調べます。
便も尿と同じく家で採取した便を動物病院に持参します。便は尿と違い、採取するタイミングが難しいです。1日のうちにどの時間に便をするか、毎日便をするのかなど飼い主さんは確認しておきましょう。
便はできるだけ新しいのがいいでしょう。検査当日の朝の便が好ましいです。
・血液検査
各項目の数値によって、甲状腺ホルモン、肝臓、腎臓、貧血などの各臓器が正常に機能しているか確認をします。猫エイズや猫白血病などウイルス感染しているかもわかります。
特にシニア期を迎えた猫におすすめなのが、SDMAと呼ばれる腎臓の働きを調べられる検査です。
通常の血液検査項目にある「尿素窒素」及び「クレアチニン」に異常が現れるのはすでに腎臓の機能が半分以上失われてからといわれていますが、このSDMA検査では更に早期に腎臓機能の変化に気付くことができます。
また、心筋への負担の増大を迅速に計測できる心臓バイオマーカーなどもありますので、好発品種の猫を飼っている場合はかかりつけの獣医さんに聞いてみるのもよいでしょう。
◆健康診断につけるオプション
必要に応じて一般的な健康診断にオプションをつけることができます。どんなオプションがあるのか、料金はどれぐらいかかるのかを健康診断を受ける動物病院で確認をしましょう。
・レントゲン検査
レントゲン検査は人と同じようにレントゲンで全身の撮影をします。胸部や腹部の内臓を撮影し、大きさや形、位置の確認など見た目からはわかりにくい病気を調べます。
・超音波エコー検査
超音波エコー検査はレントゲン検査で判断しにくい臓器の動きや状態、腫瘍があるかないかがわかります。また、妊娠中の猫はレントゲン検査を受けられないので超音波エコー検査をおすすめします。
・心電図検査
心臓が拡張と収縮を繰り返す時に微弱な活動電流が発生します。その変化を波形として記録し、心臓の病気を診断します。
心臓の疾患に関する検査の中では比較的簡単に行えるものであることから、病気発見の第一の手がかりとしてよく用いられます。
・眼科検査
眼圧検査は、房水という液体によって保たれている眼球内圧(眼圧)を測定します。涙量検査、緑内障・白内障の検査があります。
常に目ヤニが出るなどの症状がある場合は眼科検査をおすすめします。また、歳とともに目も衰えてくるので年齢に応じて検査を受けるといいでしょう。
・歯科検診
歯根の炎症チェック、歯石除去、歯肉ケアなどがあります。歯石除去は、猫は大人しくしてくれないことが多いため、全身麻酔をかけての処置になります。
歯周病は、口腔内疾患の中で最もその発生率が最も高く、3歳以上の猫の80%以上に歯周病があるといわれています。
◆猫の年齢や健康状態に合わせて選ぼう
他の検査項目については、猫の年齢や健康状態に合わせて獣医師さんと相談して決めることをおすすめします。
老猫になると、慢性腎不全や甲状腺機能亢進症といった病気にかかりやすくなります。この病気は尿検査や血液検査で調べることができます。特に重要な血液検査の検査項目を増やして念入りに調べたほうがいいです。
また、心臓や肝臓、腎臓などに不安のある場合は、「レントゲン検査」や「超音波エコー検査」まで受けておくと飼い主さんも猫も安心できます。持病がある猫は一般的な健康診断と持病に関する診断も必ず受けましょう。
検査に応じて、猫に全身麻酔を行う時があります。全身麻酔をする時は健康状態を調べるために血液検査をします。動物が高齢の場合は胸部のレントゲン検査を行い、心臓の状態をチェックする必要があります。
猫の健康診断の受け方は?予約~当日まで
猫の健康診断を受けるには、事前にいろいろな準備が必要です。
1.健康診断の予約をする
まずは、動物病院に健康診断の予約をしましょう。ほとんどの動物病院の健康診断は予約が必要です。
予約不要の動物病院もありますが、より確実な検査を受けたいならば予約をしておいたほうがいいでしょう。
2.検査項目を相談する
猫の健康診断の項目の確認をしてください。猫に必要な項目があるか、料金はいくらかかるのか見積を出してもらいましょう。
健康診断をかかりつけの動物病院で受けるならば、無駄なく検査を受けられます。
3.健康診断当日
健康診断の当日は、検査の途中で吐いてしまう可能性があるので、なるべく朝ご飯は食べさせないほうがいいでしょう。朝ご飯を食べていない状態が続くのは猫にとって辛いので、できるだけ朝1番で健康診断を受けられるように予約しておくといいでしょう。
また、精密検査をする場合は、1日かかることもあるのでキャットフードを持参するといいでしょう。
健康診断で何かわからないことがあれば、動物病院で遠慮なく聞きましょう。
猫の健康診断の準備と注意点は?
◆猫が落ち着けるものを用意しておく
検査の内容によって絶飲食の指示をされることもあります。また、検査に時間がかかる場合は猫を動物病院に預ける可能性があります。猫が落ち着けるように、いつも愛用しているタオルやおもちゃなどを一緒に渡しておけるようにしましょう。
◆普段の様子をよく確認しておく
飼い主さんは健康診断の問診時に日頃の猫の様子を獣医師さんにしっかり伝えられるように、猫の体調や動きをよく観察しておいてください。猫のご飯の内容、ご飯の量、お水の量、トイレの回数などは特に大事なことです。
◆尿・便を用意しておく
健康診断では尿検査、糞便検査はほぼ必ず行われるので、尿と便を飼い主さんが家で事前に採取しなければなりません。
猫がどのタイミングで尿や便をするか日頃からチェックしておくと採取しやすくなります。尿や便は採取から3時間以内のものがいいでしょう。採取した時の猫の状態、日付や時間を忘れずに明記しておきましょう。
尿の採取、持参が難しい場合は病院で膀胱内を確認しながら採尿することもできるようです。
システムトイレにセットして簡単に採尿ができます。尿たんぱく量簡易検査も可能。
猫の健康診断まとめ
健康診断を受けるのは病気の予防と早期発見のためです。そのためには1回健康診断を受けたら終わりではなく、定期的に健康診断を受けたほうがいいでしょう。検査結果で猫が病気にならないように飼い主さんも何に気をつければいいかわかります。
昔では治らなかった病気でも、今では早期発見、早期治療で治る病気もあります。早期発見ができるように健康診断をすることはとても大切なことです。猫が健康で長生きができるように、飼い主さんも積極的に猫に健康診断を受けさせてあげましょう。
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