猫がいつものご飯を食べない理由とは?
猫という動物は1度に全ての食事を摂ることはあまりなく、食べたり食べなかったりと「食べムラ」する動物といわれています。
ただ、食べる量が明らかに減っていると感じるならいくつか原因があるかもしれません。
◆猫がご飯を食べない時の原因は?
いつも通りにご飯をあげたのに食べてくれない…なんてことは、猫の飼い主さんなら誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。
猫がご飯を食べない原因はいろいろあります。
・ご飯の好みが違う
・ご飯の好みが変わる
・ご飯の味に飽きる
・老化による食欲減少
どんなに高級なフードや好みのご飯をあげても、途中で食べるのをやめてご飯を残すことがあります。その場合は、猫の習性の「食べムラ」の可能性があります。
子猫から成猫になったときの「食べムラ」でしたら何も心配ありません。日頃から、猫がどれぐらいのご飯の量を食べるのかチェックしておきましょう。
猫も人間と同じく味の好みがあり、苦手なフードの場合は食べない事も多いです。飼い主さんは、いくつかフードを交換してみて、猫が好きなキャットフードはどの種類なのかを把握する必要があります。
実際に食べさせてみないと猫の好みのご飯を判断するのは難しいので、飼い主さんは根気良く、猫の好きなフードを見つけてあげましょう。
◆病気で食べない場合は注意が必要
「食べムラ」の他には、猫が病気でご飯を食べないという原因があります。猫がご飯を食べない目安は猫の年齢が1歳以上で、24時間全くご飯を食べないという基準です。
その場合は、フードを変えて様子を見てみましょう。絶食状態が24時間を超えてきてしまうと、分解されるはずの脂肪が肝臓に蓄積されて肝機能が損なわれる肝リピドーシスなどを引き起こす可能性もあります。
また、年を取ってきた老猫なら気付かないうちに口内炎ができていて、痛くて食べられないといった場合もあるかもしれません。食欲不振のほかに、元気がなかったり下痢をしていたりという症状がある場合も、深刻な状況になる前に動物病院に連れて行きましょう。
動物病院であれば、診察したうえで点滴や胃カテーテルなど強制給餌を行うことができます。
猫の習性「ネオフィリア」と「ネオフォビア」
猫は好き嫌いが多い、グルメというイメージがありますが、気まぐれな食欲になるのはなぜでしょうか。
◆猫の「食べムラ」と「食べ飽き」
猫がご飯を食べてくれないのには理由があります。「食べムラ」と「食べ飽き」です。
「食べムラ」は、食べ物に対する好奇心と警戒心が原因です。本能的に生き残るためには、好奇心も警戒心も両方大切ですが、その思いが「食べムラ」を引き起こしてしまいます。
「食べ飽き」は、食べ物の栄養バランスが原因です。飼い主さんは「猫にご飯をあげたのに食べてくれない」と思いますが、猫は別の意味で食べないのです。飼い主さんは猫に合った栄養バランスで好みの食感のフードを選ぶ必要があります。
猫はもともと単独で狩りをする動物で、いつもでも狩りをできる臨戦態勢でいる必要があります。そのために猫はお腹がいっぱいで動きが鈍くならないように胃袋が小さいのが特徴です。
猫は生きるために、ご飯に自分にとって重要な栄養分が含まれているかどうか見分ける能力があります。3大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂肪のバランスが重要であることがわかっているために「食べムラ」「食べ飽き」をいう行動がでます。
◆好奇心から新しいものを好む「ネオフィリア」
猫には「ネオフィリア」と呼ばれる習慣があります。「ネオフィリア」とは新しいもの好きという意味もあります。
猫は食べ物に好奇心があり、いろいろな物を食べられたほうが生存に有利と考えています。一方で、フードの形状や食感、舌触りなどが好みに合わないとあまり食べないことがあり、新しい食感や形状の食事を急に食べたがります。
一般的に多いと言われる猫の「食べムラ」や「食べ飽き」があるのは「ネオフィリア」があるためといわれています。これに対応するためには、フードの栄養バランスが最適に調整されていると同時に、異なる種類の形状や食感、舌触りのフードをあげる必要があります。
◆警戒心から起こる「ネオフォビア」
「ネオフォビア」(新奇恐怖症)と呼ばれる習慣もあります。「ネオフォビア」は初めて食べる物は何が起こるかわからないという警戒心から起きる習性です。何かを食べて嘔吐などの良くない経験をすると、その後の経験からその食べ物を食べなくなります。
猫がご飯を食べない時の対処法は?
猫には「ネオフィリア」と「ネオフォビア」という習慣があることをご紹介しましたが、猫がご飯を食べない時、飼い主さんはどのような対処をすればいいのでしょうか。
◆ご飯のニオイが減っている時
フードのニオイは食欲に大きく関係していて、フードのニオイが少なくなると猫がご飯を食べない事もあります。
猫はニオイでフードを食べられる物か、食べられない物かを判断しているといわれています。ドライフードを出しっぱなしにしている場合はニオイが減ってしまい、食べなくなる傾向にあります。器にご飯が残っているのに、猫がご飯を催促してくるのはフードのニオイが減っているとためだといわれています。
・ウェットフードを加える
猫のご飯は基本的にはドライフードで十分ですが、ウェットフードの方がよく食べることがあります。
ウェットフードはドライフードと違い、ニオイが強いものが多く、猫の鼻を刺激して食欲が増すことがあります。ドライフードに飽きることがある猫には、ドライフードの上に少量のウェットフードをのせてあげるとよく食べることが多いです。
・密閉して保存する
ドライフードのニオイがなくなってしまう場合は、保存状態に気をつけなくてはなりません。ドライフードを猫が食べきる前にフードのニオイが飛んでしまうことがありますので、ご飯のニオイが減らないようにきっちりと保存することが大切です。
ドライフードは真空容器になっているビンに保存したほうがいいでしょう。密閉状態で保存すればニオイが消えにくくなります。
フードストッカーに保存する際は、湿気から守るために乾燥剤も忘れずに一緒に入れましょう。ドライフードやウェットフードは、できるだけ古い物は捨てて、新しい物に変えてあげると食欲が増すことが多いようです。
猫がご飯を食べない、フードに飽きる時は猫のフードの保管方法を変えてみるのもいいかもしれません。
・フードを温める
ウェットフードを冷蔵庫で保管する飼い主さんもいると思いますが、冷蔵庫に入れたウェットフードは冷えてしまうとニオイが薄れてしまいます。ニオイが薄れることで食べてくれないことも多いようです。
フードを冷蔵庫などで保管している場合は、与える時にレンジなどで少し温めてあげるとニオイが増して嗜好性が上がります。
◆ご飯の好みが違う時
猫の好物といえば魚だと思われる方も多いと思いますが、猫の中には魚系のフードよりもチキンなどの肉系のフードの方がよく食べることがあります。元々猫は肉食動物として過ごしてきたので肉系のご飯が好きということが関係しているのかもしれません。
猫も人間と同じく、味の好みがあります。苦手なフードの場合は食べない事もあります。そういう場合は、いくつかフードを交換してみて、猫が好物としているキャットフードはどの種類なのかを把握する必要があります。
好きなのか嫌いなのかは、実際に猫に食べさせてみないと好みのご飯を判断するのは難しいと思います。飼い主さんは猫の好きなフードを見つけてあげましょう。
◆ご飯の好みが変わった時
猫はとても神経質です。ちょっとした環境の変化やフードの変化で急に食べなくなることがあります。
元々食欲旺盛だったのに食べなくなったのなら、フードを切り替えてしまったことが原因かもしれません。その場合は元々食べていたものに戻してあげると食べることが多いです。
新しいフードに切り替える時は、前のフードに少しずつ新しいフードを混ぜていきましょう。そうすることでご飯の味が突然変わったと感じにくくなります。
また、猫は環境の変化でご飯を食べなくなることも多いようです。ご飯の容器を置いてある場所やご飯の容器の周辺の物の配置など変えてしまうと、猫がストレスにより食べなくなることもあります。その場合は、ご飯の容器の位置を元に戻してあげると食べることがあります。
他にもフードを入れている食器の高さや深さなどが変わると食べなくなる事もあるので、食べやすい食器に交換してあげるといいでしょう。
◆ご飯の味に飽きた時
猫も人と同じように、毎日同じ食べ物を食べ続けると飽きることもあります。グルメな動物で、好き嫌いが激しい猫は、自分にとって重要な栄養分が含まれているか見分ける能力があり、必要な栄養分が足りない餌は猫が食べ飽きることがあります。
そのための対策としては、フードの種類のローテーションが効果的です。いろいろなフードを試しているうちに猫の食欲が増すことがあります。
◆ご飯は食べないのにおやつは食べる時
「ご飯を与えてもあまり食べないのに、おやつは要求してくる」「おやつを食べすぎているのかご飯に興味を示さない」といった問題がある場合は、偏食を少しずつ直していく必要があります。
猫に主食として与えるフードは「総合栄養食」と呼ばれる、栄養基準を満たしたフードにしましょう。
総合栄養食の記載のないフードやおやつは、与えすぎると栄養バランスが崩れてしまい肥満などの病気を引き起こすことがあります。
嗜好性の高いおやつは猫も喜びますし、ご飯を食べないからと言っておやつばかりをあげてしまっていると、ご飯を食べなくてもおいしいおやつがもらえると覚えてしまいます。
既に愛猫がおやつばかりを食べている場合は、健康のためにも1日の摂取量を少しずつ減らし、総合栄養食のフードを食べられるようにしていってあげてください。
◆老化による食欲減少の時
猫も人と同じように高齢になっていくとご飯を食べる量や回数も減っていきます。老猫になると足腰が弱ってきたり、寝る時間も増えます。ご飯を食べる回数は若い頃と比べると減っていきます。
老化による食欲不振なら無理に食べさせないようにして、食べやすいウェットフードや流動食、高栄養のおやつなどを使って必要な栄養を補ってあげたり、フードの量やご飯の回数も猫に合わせて用意してあげたりすることが大事です。今は老猫用のキャットフードが販売されているので年齢に合わせたフードをあげましょう。
まとめ
猫がご飯を食べてくれないのには理由は、猫の独特の習性の「ネオフィリア」があります。時々、違うフードを食べたくなるといわれています。そのため「食べムラ」と「食べ飽き」があります。
猫も人と同じで、毎日同じ食べ物を食べ続けると飽きることもあります。日頃から猫のご飯の好みや量をしっかりと知っておくいいでしょう。食事の好みを知っておけば、なぜご飯を食べないのかがわかると思います。病気の可能性にも早く気づくことができます。飼い主さんは、猫がご飯を食べているか日頃からチェックしておきましょう。
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