猫の交通事故の現状は?
交通量の多い場所はもちろんの事、細い山道や路地裏からも不意にピョンっと現れて交通事故に巻き込まれてしまう猫ちゃん。皆さんも猫の交通事故の現場や道端で車に轢かれた猫の亡骸に遭遇した事がある方もいらっしゃると思います。
地域などによって多少のバラつきはありますが、年間で猫の交通事故はどれ位起きているのでしょうか?
◆猫の負傷動物は犬の10倍!?
負傷動物とは、屋外で感染症などの病気にかかったり、何らかの理由で怪我をして収容された動物のことです。交通事故で負傷し収容された猫もこの数に含まれます。
環境省のデータによると、平成28年度のこの負傷動物収容数は、犬が981頭であるのに対し、猫はなんと11,475頭だそうです。
11,475頭のうちどれだけの数が交通事故での収容かという統計は発表されていませんが、行動範囲の広い成猫がその7割を占めていることからも、猫は交通事故に遭う確率が高いという事が推測されます。
負傷動物として収容された後、治療の甲斐なく亡くなってしまった・回復の見込みがないほど弱ってしまっている場合などは、殺処分となってしまいます。
犬や猫の殺処分ゼロを目指すというスローガンが唱われていますが、いくら殺処分ゼロを目指したところで、交通事故などで負傷し亡くなる動物が居なくならない限り、それを実現することは不可能という訳です。
◆交通事故で負傷した愛猫を見つけるのは難しい
猫を放し飼いにされていて交通事故に遭ってしまった場合、飼い主さんが必死に探して見つける事が出来れば、怪我を負った猫ちゃんを動物病院に連れて行って治療する事が出来るかもしれません。
しかし、負傷して収容されている猫の11,475匹のうち、返還数は423匹というデータから分かるように、やはりどこで交通事故に遭ってどこに収容されているのかを特定するのは実際難しいところです。
もちろん11,475匹の負傷動物すべてが飼い猫というわけではないですし、そのうち2,938頭が譲渡されたという喜ばしい報告もあります。ただ、残りの7,928頭の猫が殺処分となっている現実を知ると胸が締め付けられます。
猫の交通事故に遭遇したら?
あなたが道端で猫の交通事故に遭遇した時、その対処法を知らないと実際に何をしていいのか迷ってしまいますよね。
◆公共の場所や私有地への埋葬は違法となる
道端で猫の亡骸を見てとても悲しい気持ちになり、近くの空き地などに埋めてあげようと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、現在ではコンクリートばかりで埋めてあげられるような場所も減りましたし、良かれと思って下手に公園などに埋めて対処しても、それが公共の場所や他人の私有地だとしたら違法になってしまいます。
猫の亡骸を発見した場合は、自身でどうにかする前に国土交通省や各自治体の役所に連絡するという方法があります。
◆国道の場合
猫の亡骸を発見した際の対処として、そこが国道だった場合には国土交通省の道路緊急ダイアル(#9910)へ連絡を入れましょう。
道路緊急ダイアルは、道路の穴ぼこ、路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなど、道路の異状を受け付けている国土交通省の番号です。
24時間・無料で受け付けており、連絡すると住所・事故の状況・猫の状態などの情報を聞き取りした上、亡骸を回収しにきてくれます。
亡骸は清掃センターでの処理とはなりますが、報告された動物種・轢かれた位置などはデータ化され、動物柵や新しい道路を造る際の参考資料となるそうです。
◆国道以外の場合
都道府県道・市町村道などの国道以外の場合の対処についてですが、各自治体の役所へ連絡するようにしましょう。
地域によって回収の方法や処理方法が違うようですが、中には回収した後に合同で火葬後、共同墓地に埋葬される場合もあるようです。
◆その他の場合
時間帯が夜間であったり、国道・都道府県道などの区別が分からない場合は、先ほどの国土交通省の道路緊急ダイアル(#9910)に連絡してみましょう。管轄が違うようならそのまま繋いでもらえたり、管轄の連絡先を教えてもらえる場合があります。
猫の不慮の事故を防ぐためにできることは?
負傷動物のデータを見る限り、全部の猫ちゃんに対して対処してあげる事は難しいと思います。ですが、飼い主さんや一人一人のちょっとした意識で、交通事故自体を減らしてあげる事は可能です。その方法をご紹介していきましょう。
◆猫の放し飼いの危険性
ご家庭で猫ちゃんを放し飼いにしているという人もいるかと思いますが、放し飼いについて少し考えてみて下さい。
放し飼いとは、昼は自由に外で遊び、お腹が空いたり夜になると帰ってくるというスタイルで、一見猫にとっても都合が良く、飼い主からしても自宅の家具などへのイタズラやトイレの掃除なども減り、両者に好都合のようにも感じるかもしれません。
しかし、放し飼いにする事で、愛猫が交通事故に遭ってしまう確率はどうでしょう?不慮の事故に合い、幼少期やまだ若い状態で亡くなってしまったらどうでしょうか?
放し飼いにしている状態から外に出してあげられない事を可哀想に思う飼い主さんもいるかもしれません。ですが、愛猫が交通事故で車に轢かれ、頭を打ち砕かれて内蔵が飛び出し、それをカラスなどに食べられる事よりも可哀想なのかどうかという事を考えると、答えは簡単かと思います。
◆猫が交通事故に遭いやすい理由は?
負傷動物のデータから推測できるように、犬と比べると猫は交通事故に合う確率が高い動物です。それはどの猫にも共通するの猫の特徴が関係しています。
まず、猫は来た道を引き返せないという点です。
興味があるものに対して追いかけていたり、道路の向こう側に行きたい一心で走り抜けてしまったりします。
それから、狩の習性で獲物に対してそれに集中して周りが見えなくなり、獲物を見つけるとパッと瞬時に飛び出すという行動も見られます。
また、猫の視力は人間の10分の1程と言われており、素早い動きをする虫などは良く見えますが、車が近づいてくる距離感を見極めるのは難しいのです。猫は夜行性なので車のライトなどにも目が眩んでしまって動けなくなり、夜間に交通事故に遭う事も少なくありません。
こういったことを踏まえると、放し飼いではなく完全室内飼いを推奨する理由がお分かり頂けるかと思います。
◆猫が外に出たがる場合は?
放し飼いの猫が外に出たがるのは自分の縄張りを確認する為です。ですから、放し飼いの猫を完全室内飼いにするのは可哀想という方は、窓のカーテンを開け見晴らしのいい場所を作ってあげましょう。野外の様子が自由に見られるスポットを作り、外に行かなくても充分に楽しめる環境にしてあげて下さい。
完全室内飼いは猫が安全・安心に暮らせる唯一の方法だといえるでしょう。
◆猫バンバンで交通事故を防ごう
みなさんは「猫バンバン」という言葉を知っていますか?聞いたことのない方からすると、「えっ!?猫バンバンって何!?」と思われるかもしれませんが、こちらは日産自動車が提唱し、他の自動車メーカーにも拡がりつつある言葉です。
猫にとって車は、夏なら暑さを凌ぐ日陰になったり、冬にはエンジンルームが暖をとるための場所になったりと一年中需要がある場所でもあります。
この時、車の下にいる猫やエンジンルームに入り込んでしまった猫の存在に気づかずに発進してしまうと、わざとでは無いにしても怪我をさせてしまったり、場合によっては命を落としてしまう事も考えられます。
そこで日産自動車が提唱した「猫バンバン」の出番です。要は、車に乗り込む前に、ボンネットなどをバンバンと叩いて下に猫ちゃんが潜んでいないか確認するというもの。車に乗る前に猫バンバンを習慣にすれば、不慮の事故の防止にも繋がるというわけです。
YouTubeでも乗る前に猫バンバンの動画が見れますので、まだ見た事がないという方は是非一度チェックしてみて下さいね。猫も人間も安心して暮らせる為にと考えられた猫バンバン、もっと広がって欲しいなと思います。
まとめ
猫の交通事故の現状や対処法、交通事故を防ぐ為の対策についてお話しさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
私も自宅の猫が窓際で外を眺めている時に、お外にでたいのかなー?と少し切なくなる時もあります。
ですが、元々完全室内飼いの猫が外に出れないからといって、それがストレスになる事もありませんし、交通事故などの危険性を考えると、室内で安全に遊んでもらって長生きしてもらうのが1番だと感じます。可愛い愛猫から内蔵が飛び出しているところを見たいなんて人はいないはずです。
1匹でも不慮の事故に巻き込まれる猫ちゃんが減ることを願い、「放し飼いにしない」「猫バンバン」など、一人一人の意識で出来ることから初めてみませんか?
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