本来「おひとりさま」を好む猫ちゃん!他の動物と同居できる?
そもそも猫は、単独で暮らす本能が備わっています。野生の猫たちは、生後間もない赤ちゃんの頃には母親や兄弟たちと群れて暮らすのですが、成猫となる年齢が近づくと自立しなければなりません。単独行動があたりまえになります。
これは、仲間と一緒に行動する犬との大きな違いです。
仲間行動が多い犬は他の動物との共存がしやすく、単独行動が多い猫は難しいと考えられています。成猫となれば、基本的に「おひとりさま志向」が強くなる傾向になるのです。
ただ、家庭で飼われている猫たちにはそれはあまり当てはまりません。
「おひとりさまが好き」という本能は備わっていても、環境次第では、他の動物と一緒に暮らすのも抵抗がない猫ちゃんもいます。
それでは、猫と一緒に小動物が飼えるのか、また、飼うときに注意したい点について考えてみましょう。
小さく可愛らしい「ハムスター」
小さい体でチョコチョコと動くハムスター。場所をとらずに飼育できるので、ペットとしても人気です。
◆ネズミ科に属するハムスター
ハムスターは、動物学的な分け方をすると「ネズミ科」に属します。ただ、私たちが知るようなネズミとは少し違ってペットとして可愛がるように品種改良された愛玩目的の小動物です。
しかし、猫にとっては区別がつかないので「ネズミだ!」と思うでしょう。
◆猫にとってハムスターは追いかけたくなる存在
猫とネズミ…と言えば、「トムとジェリー」というアニメをイメージしませんか?猫がネズミを追いかけ、それから逃れようと必死に逃げる様子を可愛らしいアニメで再現しています。
そのイメージから考えると、ネズミの一種であるハムスターと猫が仲良くするのは難しそうな気がします。
猫にとってのハムスターは、自分より体が小さく気になる存在です。小刻みに動く様子に、好奇心が溢れることでしょう。追いかけたくてウズウズしますし、本能的に「捕って食べる」という思想があるので、仲良くするのは難しそうです。
◆ハムスターにとって猫は怖い存在
人間の手のひらにスポットおさまるほど小さな体のハムスター。かなり小さい動物ですよね。
人間から見て小さな猫でも、ハムスターから見れば猫は「巨大な動物」。いつ襲ってくるかもしれない気分になり、そばにいるだけで怖くてかなりのストレスでしょう。
◆一緒に飼うときの注意点
結論から言うと、猫とハムスターは一緒に飼うことはできます。ただ、お互いに寄り添ったりするほど仲良くなることは、ほぼないでしょう。
基本的に、猫とハムスターの関係は「追うもの」と「追われるもの」です。
同じペットとして飼う場合には、顔を合せないように部屋を分けましょう。同じ家では飼えるけれど、同じ空間では飼えない…と考えた方がよさそうです。
また、万が一同じ空間に入った時に猫がハムスターを獲物として追いかけないような対策が必要です。
猫が蓋を開けられないようなプラスチックの頑丈なケースに入れ、ハムスターを飼うようにしましょう。
丸い体がキュートな「ウサギ」
ウサギは小動物のなかでもペットとして人気があります。丸みをおびた体型に真っ直ぐ伸びた長い耳、見ているだけで飽きない愛くるしさが特徴です。
犬や猫と比べてもお世話がしやすいと人気が高い愛玩動物でしょう。
肉食動物の「猫」、草食動物の「ウサギ」…なんだかウサギの立場が弱そうな感じもします。
◆とにかく臆病なウサギ
ウサギはかなりストレスに弱い生き物。性格は臆病で、周囲に対して敏感です。
そのため、基本的には単独で飼うのが良いとされています。
臆病なウサギをペットとして飼っている後から、猫が後輩ペットとしてやってきたら、おそらくかなりのストレスになるでしょう。自分以外の動物がいるという状況に慣れないと、ストレスから体調を崩すこともあります。
◆同居させるなら部屋を分けて
猫にとって、自分より体の小さなウサギは追いかけたくなる存在となるでしょう。
猫が成猫なのか、子猫なのか、先輩なのか、後輩なのか…という状況の違いで、必ずしも同じ部屋で飼うのが難しいとは言い切れません。
逆に「同じ部屋で飼っても大丈夫」とも言えないのです。
◆様子を見ながら慣らすこともできるかもしれない
お互いの性格にもよるので、もしかしたら仲良くできるかもしれません。試しに対面させるなら、毎日、少しの時間面会させて、慣らして相性を見ていくのがいいでしょう。
そのときはウサギをケージにいれ、飼い主さんがしっかり配慮できる環境からスタートしてくださいね。
動くウサギを見ると猫は本能的に「追いかけたい」と感じるかもしれません。捕食対象として見てしまうと、思わぬケガに繋がります。
また、面会のときには猫もウサギも可愛がってあげましょう。
ただ、無理をさせないことが大事です。何度挑戦してもお互いに興奮が収まらないようなら、完全隔離でお互いを別の部屋で飼うようにすべきなのかもしれませんね。
小さな鳴き声が爽やかな「鳥」
インコや文鳥などの小さな鳥。手のひらに乗るサイズで、鳴き声も小さく家のなかにいると癒されるでしょう。小型のペットとして人気がある小動物です。
ただ、「猫が鳥を食べる」という話を聞いたことがある人も多いですよね。猫も鳥も大事なペットなので、飼い主さんとしては複雑でしょう。
基本的には、鳥は猫との暮らしが難しいと言われています。
◆猫にとって鳥は気になる存在
基本的に、鳥はカゴにいれておくと思いますが油断はできません。
猫は本能的に「鳥を襲いたい」と思うことが多いようで、カゴ自体を壊そうと試みます。運動神経がよい猫にとって、高い場所に吊るされた鳥カゴはジャンプすればすぐにアタックできます。
飼い主さんがちょっと目を離した隙に、鳥がカゴごと襲われることもあるので要注意です。
猫は、高い場所でカサカサと動いたり、ピーピーと鳴いている鳥に対して、攻撃的な気持ちになるかと思います。ストレスが溜まりっぱなしになるので、健康上よくありません。
◆どちらも生後間もないケースで同時に迎えた場合は同居ができるかも
どんな状況で鳥を迎えるかによって、一緒に飼えるかどうかの分かれ目です。もっともリスクが高いのが、成猫の猫ちゃんを先輩として、後から鳥を飼うケース。
一方、生後間もない子猫、そして鳥の雛と、お互いが生まれて間もないケースで迎えると一緒に飼えることもあります。
それは、猫も小鳥も「社会化期」の前だからです。精神的に成熟する前に、お互いに「いることが当たり前」な存在として認識できれば、スムーズな同居ができるかもしれません。
◆絶対に大丈夫とは言えない
猫と鳥が幼少期から暮らすなら、もしかして一緒に暮らせるかもしれないとお話ししました。
しかし、猫にとっては「攻撃したい相手」、鳥にとっては「襲われるかもしれない相手」、お互いに敵同士と認識しながら暮らすのは相当なストレスです。
仮に自然な流れで問題なく暮らすことができても、今後何かの拍子に猫の本能スイッチがオンになることもあるでしょう。
猫がジャンプできないところに鳥かごを設置する、鳥を放すときには目を離さないなど、飼い主さんは十分に配慮するようにしてくださいね。
相性は基本的に悪いもの同士なので、一緒に飼う場合には、かなり慎重な判断が必要です。
猫と似た部分も多い「フェレット」
フェレットという動物について、なんとなく耳にしたことがある人も多いでしょう。犬や猫のように大人気のペットというわけではありませんが、ひそかに人気があります。
イタチ科のフェレットは肉食です。とは言っても見た目はとてもキュートで、人懐こさがあります。
◆猫との相性は悪くない
フェレットは猫のように「よく眠る小動物」です。睡眠時間が長い特徴があります。
また、好奇心が強く、人間にも慣れやすく、遊ぶのも大好き。夜行性というところも猫に似た点です。根気よく頑張れば、しつけをすることもできる賢さもあります。
このように、猫と似た部分も多いフェレットは、基本的には相性がいいと言われています。
ただ、これは一般的な話なのでお互いの相性はしっかり確認すべきでしょう。
対面させたときに、どちらかが嫌がるようなら、無理強いしないようにすべきです。猫を先に飼っている場合、違う動物がやってきたことで捕獲対象にしがちです。猫が縄張りと感じているエリアに、フェレットが自由に動くのが気になり、攻撃をしてしまうことがあるでしょう。
◆飼うなら違う部屋がおすすめ
フェレットは暑さに弱い動物で、「暑い」「寒い」にはとても敏感です。理想的な温度環境にいないと、体調を崩しがちです。
一方、猫が快適と感じる温度は、フェレットよりも2℃ほど高め。
そのため、一緒の空間にいるとどちらに合わせるかが悩ましい問題となるでしょう。温度管理が必要な季節には違う部屋で飼育することが理想的です。
猫が他の動物と仲良くできるのは「社会科期」がカギ
いくつかの小動物と猫との暮らしについてまとめてみましたが、すべてのパターンに言えるのは、猫と他の小動物との暮らしが絶対にNGではないということです。
単独行動を好む猫が、他の動物と一緒に暮らすには「仲間だ」と認識することが近道。そのためには、社会化期と言われる子猫時代に慣れさせるのがいいようです。
◆猫の社会化はいつが適切?
猫の社会化は、生後2か月未満の頃の警戒心がない頃がいいと言われています。
同じ生活環境に他の動物がいても「そういうものなのだな」と自然に受け入れてくれます。人間を「飼い主」と受け入れてくれるのも、この時期です。
実は、この時期なら相性があまりよくないと言われている小動物とも触れ合えるまで仲良くなるケースがあるようです。
◆生後2か月を過ぎた猫ちゃんは警戒心が強くなる
社会化期が過ぎると警戒心が強くなるので、自分の縄張りに見知らぬ動物が来るのを極端に嫌います。猫は鋭い爪で引っ掻いたり、尖った歯で噛みついたりと、相手を攻撃することがあります。
また、性格によっては、飼い主さんが見知らぬ動物を可愛がっているのを敵視することさえあります。
単に「相性が悪い」だけでは済まされないのが捕食してしまうことです。鳥やハムスターは、成猫の性格によっては攻撃後に食べてしまうかもしれません。
◆全く別の部屋で飼うならOKなケースも多い
お互いのストレスとならないように、同じ家で対面させることがないなら飼うこともできるでしょう。
その際には、猫が他の小動物の部屋に入れないようにすることなど、注意が必要です。
まとめ
飼い主さんとしては、猫も他の動物も大事なペットです。一緒にペットにするなら、どちらにも幸せになって欲しいですよね。
ただ、相性が悪い場合には、「一緒に飼う」ことがお互いのストレスになるかもしれません。
猫は縄張り意識が強い動物なので、警戒心から攻撃することもあります。
一緒に飼えないこともありませんが、それぞれの特徴や性格も十分に配慮して、お互いに近づけないようにして飼うのがいいのかもしれません。
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