これって猫の本能？猫はなぜ他の動物と仲良しになれるのか？

2016.10.31

テレビやネットで見かける、猫が他の動物と仲良しになっている様子。猫はなぜ、他の動物と仲良しになれるのでしょうか？

猫が、犬などの他の動物と仲良くしているのを、テレビやネットで見られたことがあるのではないでしょうか。また、本来は獲物となる鳥やうさぎ、ハムスターなどのネズミといった小動物とも、仲良くしている光景が見られる事もあります。
これは、本来の猫が持っている本能から言えば、考えにくい行動です。

猫は野生の頃、森や林、砂漠など、自然の中で狩猟生活を行ってきました。そのときの獲物となったのが鳥、ネズミ、とかげ、昆虫など、こまかく動く小動物です。猫と鳥、ネズミなどが同じ場所にいると、いつ猫の本能が目覚めるか分かりませんので、そうした小動物と猫を一緒に飼うことは、本来は考えられません。

猫が他の動物と仲良しになれる理由は、幼い頃に身につけた経験からそうなれる、と言えるでしょう。

猫の性質としては、生まれた時に持っているものと、生まれた後に経験から身についてくるものがあります。
猫は、生後２週間から６週間の子猫の間に、社会性といって、他の生き物との関わりを学習します。普段は母猫や兄弟猫と過ごして、生き方を学んでいきます。
この社会化の時期に、猫以外の他の動物と触れ合うことによって、他の動物にも愛情を持ち、実際に身体が触れ合うことも気にせず、行動するようになるのです。

社会化は生後２週〜７週の間に行われます。特に、他の種との社会化には生後３週から６週齢が最も大切な時期であるといわれています。

人と猫の関係を例にすれば、幼い時期から人の手に触れながら育った猫は、人と接触がなかった野良猫などに比べると、人を怖がらなくなります。人に慣れた経験、人と遊んでいた時間や関わった人の数と比例して、その触れ合い方は変わってきますが、自分が大丈夫だと認識した人には、愛情を示したり、触れ合ったりすることができるようになっています。
この時期に、親猫や兄弟猫としか過ごさなかった猫は、獲物以外の生き物は、敵や危険な生き物、よくわからない生き物として認識されて、なかなか接触しようとはしません。

子猫の頃に人に接したことがなく、成長した野良猫を保護して人に懐かせるのは、全く不可能とは言えませんが、とても難しいのは、このためです。

この生後３週から６週時期に、犬や鳥、うさぎやネズミなど、他の動物と仲良くなれることを学習した猫は、相手の種類にもよりますが、成長しても他の動物を受け入れることが出来、愛情を持って接することもできるようになるということです。

また、猫が他の生き物と仲良くなれる一説として、哺乳類には共感の能力があるのではないかという説があります。苦痛、空腹、孤独などを和らげるためにほかの個体を受け入れるのかもしれない、というものです。
これは、母猫が子育て中に、他の種類の子供を受け入れて一緒に育てる、という場合にも言えるのではないでしょうか。

さらに、別の説もあります。
猫は基本的に群れをつくらず生きています。このために、同じ種類同士の結びつきよりも、個体同士の関係をより重要にするのではないか、ということです。
犬は人間を、自分たち犬とは違う、と認識していることが行動でわかるそうですが、猫には、猫と人間を別にとらえているという行動が見られない、という研究があります。ただし、飼い主の家族の中では誰がご飯をくれるか、やさしくしてくれるかなどを理解しており、態度を変えて接しているということです。この考えによると、猫同士の種族、ということよりも、相手を判断して猫は仲良くなっている、と言えるでしょう。
猫が、自分よりはるかに大きな人間や、犬や、馬などとも仲良くできるのは、この性格のせいかも知れません。

さらに、成猫になってからでも、他の種類の動物と仲良くなるという例もあります。特に幼い頃から他の動物と接してきていなくても、成長してから他の犬やうさぎなどを受け入れて仲良くなったという例があります。これはもう、その猫が持っている気質、性格、というほかないでしょう。

ただし、猫には本能というものがありますので、たとえ幼い頃から一緒に過ごしたとしても、すべての生き物と仲良くできるわけではありません。特に、鳥や小動物は、成猫になった時はもちろん、社会化期の子猫の時でも、獲物として認識することももちろんあります。人間が、他の動物と無理に仲良くさせようとすることは、お互いのためにも控えた方が良いでしょう。