2-1.やりすぎは猫にストレスがかかる危険性も…
2-2.猫吸いで人間が病気になる危険も!?
2-3.猫吸いで注意したい感染症
3-1.トキソプラズマ症
3-2.回虫症
3-3.Q熱(コクシエラ症)
3-4.サルモネラ症
3-5.猫ひっかき病(バルトネラ症)
3-6.パスツレラ症(パスツレラ菌)
4-1.猫がリラックスしている時にする
4-2.猫が健康な状態である
4-3.野良猫には猫吸いをしない
4-4.過激なスキンシップは避ける
【掲載:2019.10.09 更新:2022.09.27】
猫好きの間では当たり前?「猫吸い」とは
◆猫吸いとは?
猫吸いとは、文字どおり「猫を吸うこと」です。
具体的には、猫を向かい合わせに抱っこして、お腹や胸の部分に顔を近づけ、息を吸うといった手順になります。
猫の吸い方については、鼻と口を被毛に埋めて息を吸うものから、口でパクっと軽く噛むようにして吸うものまであります。
猫を吸う部分については、お腹や胸の他、猫の顔や後頭部、背中などもあるようです。
◆猫吸いの由来は?
猫吸いという言葉は、アーティストの坂本美雨さんが、Twitterで「猫は吸うもの」とつぶやき、テレビで出演した際に猫吸いを披露したことが始まりのようです。
猫吸いという行動は大きな反響を呼びましたが、猫を飼っている人の中では、同様の行動はよくすることだという共感の声も多数ありました。猫が好きな人にとっては、自然とやってしまう行為のひとつなのかも知れません。
◆猫吸いをする理由は?
飼い主さんが猫吸いをする理由には、飼い主さんの愛情表現があげられます。
猫の体臭は、他の動物に比べても少ないと言えます。猫が綺麗好きでグルーミングをいつもすることに加えて、猫の体には汗腺がほとんどないことがその理由です。猫好きには、いい匂いだと感じることもあるようです。
さらに、猫の被毛はやわらかくて、触り心地も良く、顔が触れてもチクチクするということもほぼありません。
撫でたり、抱っこしたりといった愛情表現に加えて、顔を近づけて、さらに口を近づけて吸ってしまうといった行動をしてしまうということです。
猫吸いにはこんな危険性が隠れている場合も…
飼い主の愛情表現というだけであれば仕方ありませんが、息を吸うとなると、注意するべきことがあります。
◆やりすぎは猫にストレスがかかる危険性も…
猫吸いでは、猫を抱っこしたり体を押さえたりするなどして、顔をくっつけるという行為をします。
そのため、この体を触られたり、固定されたり、人間の顔が接触したりという行動が、猫にとってストレスになっている危険性もあり得ます。
猫がストレスを感じているかどうかは、普段から抱っこや撫でられることが多いかどうかも関係してきますし、飼い主さんとのどのような信頼関係にあるかにもよります。
また、お腹や胸部分を触られるのを嫌がる猫もいますし、長い間抱っこされるのを嫌う猫もいます。
猫吸いが愛情表現だとは、猫にとってわからない可能性もあります。動きを制限されてストレスを感じさせるだけになっていれば、猫吸いは猫のためにはなっていませんね。
特に子猫や老猫は、飼い主さんが触り過ぎることでストレスを感じる可能性も高いので、控えめにしてあげる方が良いでしょう。
◆猫吸いで人間が病気になる危険も!?
猫吸いをすることで、猫から人間にうつる感染症などの病気にかかる可能性があるので、気をつけなければなりません。感染症の原因は、細菌や寄生虫やカビなどがあります。
感染する経路としては、猫に噛まれたりひっかかれたりすることで感染する場合が多く、その他にも
・口から摂取することで感染する経口感染
・虫が皮膚を刺すことで感染してしまう経皮感染
・感染源に触ってしまうことで感染する接触感染
などがあります。
◆猫吸いで注意したい感染症
猫吸いをすることで感染する場合には、猫の体についたホコリや塵などを吸ってしまう場合や、猫にすでに寄生している虫の死骸や卵などを吸ってしまう場合があります。
また、嫌がったり暴れたりした猫に引っかかれることで感染する危険性も考えられます。
猫吸いをする上でかかる可能性があるのは、トキソプラズマ症、回虫症、Q熱(コクシエラ症)、サルモネラ症などです。
そうすると、人間も病原体を体内に取り込んでしまうことになりますので、感染症にかかることになり、様々な症状が現れます。
猫から人間にうつる可能性のある感染症や病気
動物と人間の間で成立する感染症のことを「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と言い、動物から人間へ感染するものを「動物由来感染症」と言います。
◆トキソプラズマ症
トキソプラズマに感染した猫の糞にある虫のオーシスト(卵など)を、口から摂取してしまうことで人間に感染します。
感染した時の症状は、健康な成人の場合、ほとんどは無症状と言われています。症状が出る場合には、発熱やだるさ、またはリンパ節が腫れるなどといったものがあります。
トキソプラズマ症は、免疫力が高ければ、猫、人間ともに感染しても症状が出ないこともあります。また、一度感染して抗体が出来ている場合には、感染しても症状が出ないので問題ないとされます。
ただし、妊婦が感染すると、胎児に影響が出る危険性もありますので、特に注意が必要です。
猫のトイレ処理をした後は、手をしっかり洗い、口に入ることのないように気をつける必要があります。
◆回虫症
感染している猫の糞や毛に回虫の卵があり、それを人間が口から摂取してしまうことで感染します。
人間に現れる症状としては、咳や発熱、体のだるさといった病気から、てんかんの発作や神経症状といった重いものもあります。
目に寄生した場合には、視覚障害が起きたり、ひどい場合には失明したりするおそれもあります。
◆Q熱(コクシエラ症)
感染した猫の糞や尿、皮膚等に含まれる病原体を吸い込むことによって感染します。
また、猫に寄生しているダニが病原体を媒介して、感染することもあります。
人間に出る症状としては、無症状の場合も多くありますが、発熱、頭痛、悪寒などの風邪に似た病気の症状となります。
さらには上気道炎や気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症の症状が現れることもあります。
◆サルモネラ症
サルモネラ菌は、国内で代表的な人間の食中毒原因菌となっています。猫からの感染の場合、猫の糞に細菌が付着していて、それを人間が吸い込むことで感染します。
人間への感染は、主として成人では急性胃腸炎になります。子供や高齢者が感染した場合には、症状がより重篤化する危険もありますので、注意が必要です。
◆猫ひっかき病(バルトネラ症)
猫に人が咬まれたり、引っかかれたりすることで感染します。
猫にとっては常在菌なので無症状ですが、人間が感染すると、傷口が化膿して、頭痛や発熱が起こり、リンパ節が腫れたりします。
猫吸いをしようとして、猫が嫌がって暴れると、手や顔などを引っかかれてしまうことで、感染する危険性があります。
◆パスツレラ症(パスツレラ菌)
猫ひっかき病と同じで、パスツレラ菌を持っている猫に噛まれたり、引っ掻かれたりすることで感染します。
傷口が化膿して腫れて痛み、発熱することもあります。重症化すると、骨髄炎や、呼吸器系の疾患が起こることもあります。
呼吸器系の症状では、軽い風邪のような症状から、肺炎といった重い症状が出る場合もあり、ひどい場合には死亡例もあります。
特に、体力が落ちている時や、子供や高齢者は、発症する確率が高くなります。
猫吸いをする時の注意点は?
◆猫がリラックスしている時にする
猫吸いをする時には、まず猫の状態をよく確認することです。
リラックスしていて、触られたり顔を近づけられたりしてもストレスに感じず、嫌がらないような猫の状態が最適だと言えるでしょう。
◆猫が健康な状態である
猫が健康で病気にかかっていないということも注意したい点です。
猫のノミやダニの予防をして、ワクチン摂取をしておくのは基本ですし、ブラッシングをして被毛についたゴミなどを落として、きれいにしておくことも大切です。
とはいえ、猫は毎日排泄しますし、グルーミングで手足の裏や陰部をなめているということを忘れないようにしましょう。
◆野良猫には猫吸いをしない
完全室内飼いで、生肉を食べさせておらず、なんらかの病気にもかかっていない猫であれば、それほど猫吸いに関して神経質になる必要はありません。
特に気をつける時には、猫が外に出ている場合です。また、野良猫であればなおさら注意する必要があります。
◆過激なスキンシップは避ける
室内飼いの猫であっても、直接ほこりや猫の毛を吸い込んで飲み込んでしまうことは、良いことではありません。
猫吸いをして猫とキスしたり、口の中に猫の被毛が入り込んだりするほどの過剰なスキンシップは、控えた方が良いでしょう。
猫吸いのまとめ
猫好きがついやってしまう猫吸いですが、室内飼いされている猫であれば、スキンシップとして大きな問題はないと言えるでしょう。
ただし、猫が病気でないこと、猫がストレスを感じていないことは、大切なことですので、飼い猫の様子をよく観察したうえで行うべきです。
猫と不安なく触れ合うためには、ワクチン接種や健康診断、日々のブラッシングや体調チェックなどをしっかりしておく必要がありますね。
また、猫吸いを楽しんだ後には、手を洗い、うがいをして、そのまま食事やおやつタイムをすることのないように気をつけてください。
飼い主さんが病気にならず健康であることが、猫にとってとても必要なことです。猫吸いはほどほどに楽しむようにしましょう。
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